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レティシア12歳 飛躍
第47話 冒険者
しおりを挟む「え~と……これは……先月の売上金の明細で……こっちは……」
レティシアの誕生日から数日。
彼女は晴れて12歳となったわけだが、それで急に何かが変わるわけでもなく、これまで同様に鉄道開発や商会経営の業務に精を出していた。
今は会長室で溜まった決裁待ちの書類に目を通しているところだ。
彼女にしては珍しく一つ一つしっかり内容を確認しているのは、普段はロクに目を通さずにサインしている事をリディーに指摘されたためだろうか。
いずれ面倒になって元に戻ると思われるが……
「はい、おっけ~。サラサラサラ~っと。次は……何々?……ふむふむ……冒険者……依頼?」
ふと、そのキーワードが気になった。
書類の内容は……どうやら以前から権利取得に向けて調整していた廃鉱山に関するもののようだ。
父アンリに根回ししてもらい、既に大体の手続きは終わっている。
後は採掘再開に向けて準備を進めようとしているのだが、長らく使われていなかった鉱山の内部には魔物が住み着いているらしい。
そのため、魔物の駆除を行うために冒険者に依頼を出す必要があるのだが、書類はそのための伺書のようだ。
「冒険者かぁ……」
レティシアは、こと戦闘面に関しては自分は向いてないと思っている。
彼女の兄や、友人のルシェーラに才能の違いを見せつけられたからだ。
しかし、前世男子の記憶を持つ身としては『冒険者』と言う言葉は非常に興味が唆られるところだった。
「ん~……もともと視察するつもりだったし、どうせなら一緒に行けないかなぁ……?」
などと呟く。
安全が確保されたのを確認してから視察に向かえば良いのだが……冒険者に興味を持った彼女は、どうにかして間近でその仕事ぶりを見てみたいと思うのだった。
「何だって?冒険者と一緒に廃鉱山に行きたい?」
「ダメよ。視察にしても、ちゃんと安全が確保されてからじゃないと」
思い立ったら即行動のレティシアは、早速両親に聞いてみたが……やはり危険ということで許可は下りない。
だが、レティシアは食い下がる。
「でも、今回は高ランクの冒険者複数人に依頼を出すし……住み着いた魔物もそんなに強いやつらしいし、そこまで危険じゃないはずだよ」
「ふむ……レティは何で一緒に行きたいんだい?」
「あなた!」
「まぁまぁ、頭ごなしに否定しても、この娘は納得しないだろう?レティの言う通り、危険度がそれ程大きく見積もられていないのも確かだ」
「もう……あなたはレティに甘いんですから……」
難色を示すアデリーヌを宥めながら、アンリはレティシアに問う。
「それで、どうなんだい?」
「ん~……ほら、冒険者の人達の活動って結構重要でしょ?魔物の駆除から薬草や食材や貴重な魔法触媒なんかの採取、商隊の護衛……彼らがいなければ色々なことが成り立たない」
「うん、その通りだね。それで?」
「私も当然、間接的にでも彼らのお世話になってると思うんだ。で、貴族の娘としては、彼らが普段どういう仕事をしているのか見ておくのは、とても大切な事じゃないかな~……なんて。社会見学と言うか……」
本当はただ単に面白そうだから……なのだが、そんなことを馬鹿正直に言っても納得してもらえないと思った彼女は適当な理由をでっち上げる。
「なるほど。まぁ、一理あるね。ふむ……(まぁ、唯の興味本位だとは思うが)」
流石に長らく彼女の父親をしてるだけあって、お見通しである。
「(だが、確かにそれも経験だろう。ちゃんと護衛依頼も含めるよう依頼を出せば問題も無い)分かったよ。許可しよう」
「やった!!ありがとう!父さん!!」
「はぁ……本当にレティに甘いんだから……」
「だけど無茶しては駄目だよ?君も相当な魔法の腕前なのは知っているが、戦闘ともなれば勝手が違うのだからね」
「うん!もちろん分かってるよ!」
こうして、レティシアは冒険者に達と共に廃鉱山へと向かうことになった。
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