【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

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レティシア8歳 転機

【番外編】レティの鉄道講座 そのよんっ!

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「皆さんこんにちは。今回もやってまいりました『レティの鉄道講座』第4回です。司会は私レティシアと……」

「こんにちは、『K』です。……どうしたの?今日は随分大人しいね?」

「何を言ってるんですかKさん?私はいつもこうでしょう?」

「(取り敢えずスルーしとくか……)今日のテーマは何なの?」

「そうですね、これまでは鉄道に関する技術面の話題が中心でしたが……今回は『鉄道に関する法律』の話をさせていただきたいと思います」

「あ~なるほど。本編では、とうさ……国王陛下にそのあたりの話をしてたもんね」

「はい。幾ら技術的な課題をクリアしていっても、これほどの大事業を遂行するには法整備が必要不可欠となります」

「(いつまでそのキャラ続けるんだろ?)確かにそうだよね」

「ということで、私達の転生前の出身国である日本を例として話をさせてもらいますね」













「先ず、日本の法の種類としては……国そのものの基本法である『憲法』を始めとして、各省庁が所管する『法律』『政令』『省令』『告示』、地方自治体が定める『条例』などがありますね。生憎と私は専門家ではないので詳しい分類は割愛いたします。ただ、私達は日本国民としてこれらの法律を遵守する必要があるのです」

「もう日本国民では無いのだけど……。でも、守らなければいけない法律なのに、詳しく知ってる人のほうが少ないよね~」

「そうですね。それで、鉄道の敷設や経営に関しても、様々な法が関わってくるのです。……というわけで、鉄道の事業運営に大きく関わる法律『鉄道事業法』を見てみよう!」

「わっ!?急に元に戻った……。一体何だったの?」

「ほら、法律の話だから……真面目な感じで行こうかな~、って。でも疲れた」

「……そっすか(こっちが疲れるよ)」






「『鉄道事業法』ってのは、『軌道法』とともに鉄道事業に関わるもっとも基本的な法律だよ。鉄道の敷設から運営、安全管理規程……鉄道事業に関するありとあらゆる事が事細かに定められてるの。……だから、こんなラノベのいちコーナーでは、とても全てを解説しきれるものじゃないね!」

「こらこら、ぶっちゃけないの」

「まぁ、なもんで……ここでは法律が定める鉄道事業の形態について話すことにするよ。先ず……私みたいに新たに鉄道事業を始めたい!という場合には、この法律に従って管轄省庁である国土交通省の認可を受けなければいけない」

「好き勝手に作っちゃ駄目だものね」

「そう。こういう計画で建設していいですか?ってお上にお伺いを立てて、許可を得るってことね。当然、採算性や環境面とか、いろいろな審査を通る必要がある。で、鉄道事業って大きく分けて3種類あるんだけど、各形態に応じた許可が必用なんだ」

「3種類?」

「うん。第一種~第三種の3種類ね。第一種は最も一般的で、鉄道施設を自前で保有して運行も行なう形態」

「あ~、大体の鉄道会社はそれだよね」

「そう。で、第二種は自前では鉄道施設を保有しないで、他の事業者に使用料を支払って施設を借りて運行する事業者ね。代表的なのは日本貨物鉄道(JR貨物)。自社線も保有してるけど、多くはJR〇〇に乗り入れて貨物輸送してる」

「へぇ……」

「そして第三種事業者は……第一種事業者に譲渡する目的で鉄道の敷設を行う事業、または第二種事業者に使用させるために敷設して施設を保有、管理する事業者のこと」

「作って……譲渡しちゃうの?」

「国とか自治体が都市計画とかの為に建設して、その後の保守管理と運営を鉄道会社に任せるケースかな。この第三種事業者になって欲しいってのが、私が国にお願いしたいことの一つなんだよ」

「なるほど~。国民の血税を使うってことね!」

「……何かそう言われると悪い事してるみたいに聞こえるよ」

「あはは……冗談だよ。多くの国民の為になる事業に税金を投入するのは健全な事だと思うよ」

「うん、もちろん。私の夢だけど……皆のためにもなると思うからやってるんだから。……で、事業形態の種類はそんな感じ。日本では第一種事業者が多いけど、第二種・第三種の事業形態は『上下分離式』なんて言われていて……日本ではまだそこまで例は多くないんだけど、ヨーロッパなんかだとそっちの方が主流だったりする」

「上下分離式にはどういうメリットがあるの?」

「ん~……日本だと、自治体が出資する第三セクターが第三種事業者になって……ようするに鉄道施設を社会インフラとして税金で下支えして、鉄道会社は身軽に経営できるから利益を出しやすくなる、って感じかな。鉄道の経営で利益を出すのは難しいけど、地域の重要な交通インフラとしての意義があるから失くせない……そういう場合に、まるっと抱え込むよりはそれぞれの負担を軽くして存続させるための手法の一つになってる」

「なるほど……高速道路と高速バスの関係みたいなものかな」

「あぁ、それは分かりやすい例えだね。……鉄道ファンとしてはさ、道路行政にばかり偏重してる気がしてならないよ。まぁ、日本は地形の問題もあるから、そもそも鉄道は不利だったりするとは思うけど」

「勾配に弱いし、カーブも大きくしなければだもんね」

「そゆこと。まぁ、それはさておき……上下分離式の話なんだけど、ヨーロッパなんかだと更に一歩踏み込んで、『オープンアクセス』なんて方式が取られていたりする」

「それは、何が違うの?」

「基本的には、第二種・第三種の上下分離式という点では同じなんだけど……第二種事業者が固定されず、様々な事業者が参加できるようになってるんだ」

「あ~、つまり競争原理を持ち込んだ……って事?」

「そう言うことだね。同じ路線でも様々な事業者が列車を走らせるんだ。新幹線みたいな高速列車もライバル会社が鎬を削ってたりするんだよ」

「サービス面で競争があると、利用者にとってはメリットがありそうだね」

「そうだね。そうやって便利になれば利用者も増えて……事業者も潤う。な~んて、そうそう何でも上手くはいかないとは思うけど。でも、趣味的にもヨーロッパの鉄道って面白いんだよね~。できれば転生する前に旅行したかったよ……」

「レティ……」

「はい!湿っぽいのはナシナシ!……それで、最終的には私も『オープンアクセス』を目指したいんだよね。趣味的にどうとか、じゃなくて……やっぱり利用者がいろんなサービスを選択できて、業界全体が発展してほしいと思うから」

「そこまで先を見据えてるんだね、レティは」

「まだまだ先は長いけどね。でも、頑張るよ!私の鉄道魂は熱く燃えてるからね!」

「うん、応援してるよ」

「ありがとう!……それでは、今回のお話はここまで。次回をお楽しみに!」

「さようなら~」

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