22 / 191
レティシア5歳 はじまり
【番外編】レティの鉄道講座 そのに
しおりを挟む「はいっ!ということで~…今回もやってまいりました『レティの鉄道講座』!第二回です!」
「…何かユー○ューバーみたいな出だしだね」
「今日もアシスタントに『K』さんを迎えて進めていきたいと思います!」
「え、え~と…Kです。よろしくお願いします(この間私の名前バラしてたと思うんだけど…)」
「今回のテーマはズバリ、『レールと車輪』だよ!」
「まあ、それが無いと始まらないもんね」
「その通り!鉄道には様々な部品があって、どれもが欠かせないものだけど…とにかくこれが無ければね」
「でも、そんなに語ることってあるの?本編で結構詳しく話していたじゃない」
「まだまだ色々話せることはあるよ!まあ、一番のキモであるカーブをスムーズに曲がることが出来る理由については本編で語った通りだね」
「うん。車輪の断面を見ると踏面が斜めになってるんだよね」
「そう。カーブだけじゃなくて、直線で中心からズレたときでも復元力が働くので、とっても重要な構造なんだよ。あ、因みにそうやって中心に戻ろうとする動きは『自己操舵性』と言うよ」
「なるほど~。でも、実際の電車の車輪とか見ても傾斜がついてるのは分からなかったなぁ…」
「ああ、それほど急角度じゃないからね。あまり傾斜がキツイと今度はカーブで抵抗が強くなるから。パッと見だとそれと分からないくらいの角度だよ」
「へぇ……他にも何か工夫はあるの?」
「そうだねぇ…後は車輪の構造かな。二つの車輪が車軸で固定されてるのが基本だね。車輪と車軸を合わせて輪軸って言うよ。で、車輪ってただの円盤じゃなくって…輪心とタイヤが組み合わさった構造なんだ」
「へぇ…列車にもタイヤがついてるんだ?」
「もちろん自動車と違ってゴムじゃなくて金属なんだけどね。摩耗したら交換するのは同じだね。で、タイヤは踏面と脱線防止のためのフランジが成型されてるの」
「フランジって内側の出っ張ったところだよね」
「そう。あれがレールに引っかかって脱線するのを防ぐんだね。で、ここまで話しておいて何だけど……実は今の日本の車両だと輪心とタイヤは一体になってるケースが殆どなんだ」
「あ、そうなんだ。そのほうがシンプルだね」
「そう、強度的にも有利だったりするからね。他にも色々な構造があるけど…例えば車軸に固定されず車輪の一つ一つが独立した構造もあったり……まあ語りだすときりがないから、詳しくは○ィキで」
「(ああ…面倒くさくなったんだね)」
「じゃあ次はレールについてだね」
「レール…鉄道の名前の由来だよね?」
「そだね。まさに鉄の道だもんね」
「構造自体はそんなに複雑じゃないけど…これも色々な工夫がされてるんだよね」
「もちろん。先ずは断面形状だけど、Kさんはどういう形をしてるかは知ってるかな?」
「えっと、アルファベットの「I」の字型だよね?」
「そうだね。現在のレールは車輪に接する頭部はやや厚く、地面側…底部の方は広く薄い形なので、完全な「I」の字型ではないけど」
「でも、なんでそんな形をしているの?」
「鉄道の黎明期では、車輪も含めて形状が違っていたんだけど……レールは「L」字型で、車輪にはフランジが無かったんだ。レールの垂直に立った部分が車輪のフランジの役割を持っていたんだよ」
「ふむふむ」
「で、効率的に車輪が転がるように突き詰めていった結果が今の車輪とレールの形状ってことだね」
「ほうほう」
「転がり抵抗を最小限に、カーブを曲がりやすく、ということで車輪とレールが接する部分の形状が決まったんだね」
「なるほど。…でも、「I」の字型…くびれがある理由は?」
「ああ、あれは…材料を節約するのが第一の理由みたいだね。レールと接する頭部は摩耗するからある程度厚めに、地面に接する底部は設置安定性を高めるのと、枕木に固定しやすいように広く薄く…その結果があの形ってこと」
「う~ん、なるほど……レール一つとっても奥深いんだね…」
「そう。長い時をかけて少しずつ改良を重ねていったんだよ。レールの継ぎ目もそう」
「継ぎ目?」
「うん。延々と長いレールを作ることはできないからね。輸送のことも考えると尚更。だからレールには継ぎ目ができる」
「それはそうだね。ガタンゴトンって音は継ぎ目があるからなんだよね」
「そう。でも最近の電車ではあまりガタンゴトンって言わないじゃない?」
「そう言えばそうかも?」
「あれはね、ロングレールって言って、現場で溶接して継ぎ目を消してるんだよ」
「ふ~ん、じゃあ、全部溶接しちゃえば良いんじゃない?」
「ところが、そういうわけにはいかないんだよ」
「なんで?」
「金属は気温によって収縮・膨張するからね。全部繋げちゃうと遊びがなくなって歪みが生じてしまう。だから継ぎ目は必要なの」
「そしたらどのみち継ぎ目のところで衝撃が発生するってこと?」
「いや、それも工夫があって…昔のレールの継ぎ目って、進行方向に対して単純に垂直方向に交差する形だったんだけど…今のレールはこれを斜めにすることで衝撃が発生しないようにしてるんだ」
「へぇ~、賢いねぇ」
「凄いでしょ?こんなふうに、車輪もレールも、その形状がとても重要なんだよ。効率性と、何よりも安全性を考えて作られている。……私も記憶を頼りに取り敢えず設計してはみたけど…実用化までには何度も試行錯誤することになると思うよ」
「遠い道のりなんだね…やっぱりレティは凄いよ」
「えへへ~、もっと褒めて。…でも、Kさんにもっと早く会ってたら色々楽ができたのにな~」
「へ?何で?」
「ホラ、あのチート魔法、[変転流転]があれば金属加工はラクラクでしょ。試作もバンバン作れる」
「いや、あれって魔力消費が凄いからバンバン作れはしないと思うけど…」
「というわけで~、今回の講義はここまで。また次回をお楽しみに~」
「ありがとうございました~!」
10
お気に入りに追加
178
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ
犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。
僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。
僕の夢……どこいった?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる