【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜

O.T.I

文字の大きさ
上 下
37 / 191
レティシア8歳 転機

【番外編】レティの鉄道講座 そのさん!

しおりを挟む

「はいどうも~!今回もやってまいりました鉄道講座のお時間です!」

「よろしくお願いします!」

「はい、今回もアシスタントにKさんをお迎えして進めてまいります!」










「さて、今回のテーマは……ズバリ、『動力』だよ!」

「動力かぁ……レールや車輪と同じくらい重要だよね~」

「その通り!本編でもかなり開発には苦労してるんだけど……とにかくこれがなければ車両を動かせないからね」

「本編では人力トロッコが出てきたよね」

「うん。ああいう梃子で動かすものの他にも、直接人が押していたものも昔はあったみたいだよ」

「へぇ~」

「あとは歴史的には馬車鉄道なんてものもあったね。だけど、それらは大量かつ高速に輸送するには余りにも非力すぎるよね」

「それはそうだろうね」

「で、現在に至るまで様々な近代的な動力が鉄道車両には採用されたのだけど、その始まりと言えば……」

「蒸気機関車!」

「そうだね。蒸気機関の原型とも言うべきものは、かなり昔からあったみたいなんだけど……実用的なものといえばイギリスのジェームズ・ワットが開発したものが有名だよね」

「あ~、歴史で習うよね。産業革命の原動力になったって」

「そうだね。でも、まだその段階では乗り物には応用されてなくて、工作機械とかの定置動力として使っていたんだ。それがやがて蒸気船になり、そして鉄道にも応用されるようになった。本格的な旅客鉄道用の蒸気機関車としては、ロバート・スチーブンソンが設計した『ロケット号』が有名だね。そして日本には蒸気機関車の模型(といってもちゃんと動くやつ)が入ってきて始めて蒸気機関に触れたんだね。まぁ、その辺の細かい話をすると蒸気機関だけで話が終わっちゃうので、詳しくはウ○キで!」

「なるほど……じゃあ、他の動力は?」

「日本の歴史で言えば、蒸気機関の次に動力として登場したのは電動機モーターだね。京都で走った路面電車が最初で、1895年(明治28年)開業だって」

「そんな昔から電車が走ってたんだ……」

「もちろん、現代の電車は格段に進歩してるんだけど。昔は直流モーターを使ってたけど、今の主流は交流モーターで、制御方法も全くと言っていいほど違うからね。ま、それも細かい話は割愛だよ」

「詳しくはウ○キで?」

「そう。で、昔の直流モーターなら大体の仕組みは分かるから、私的には蒸気機関とかよりは実現可能かな~、なんて思ったりしたんだけど」

「けど?」

「電動機は当然のことながら、電源が必要になるんだよね」

「そりゃそうだ」

「鉄道車両を動かすくらいの高電圧大電流が必要だから、発電所が必要だったり、送電のために架線を張ったり……とにかく地上設備に凄くコストがかかるんだ。たから断念した」

「なるほどね~」

「で、電動機以外で主流になってる動力と言えばディーゼル機関があるね」

「地方でよく見るやつね」

「そうだね。さっき言った通り、電化にはコストがかかるからね。電車ってのはある程度輸送量が多い路線向きなんだよ。で、そこまでコストがかけられない地方なんかは非電化で主役はディーゼルカーになるわけ」

「ふむふむ」

「で、ディーゼル車も主流としては二つの方式に分けられるんだ。液体式と電気式ね。機械式ってのもあるけど、今の日本では殆ど例が無いはず」

「ディーゼルエンジンで車輪を動かすだけじゃないの?」

「ディーゼルエンジンの動力が直接車輪に伝わるわけじゃないんだよ。内燃機関全般に言えることなんだけど、高負荷静止状態からは起動できないから車輪と直結することは出来ないの。だから間に動力伝達の仕組みが必要になる。で、液体式っていうのはエンジンと車輪の間にトルクコンバーターって言うのが挟まるんだよ。で、このトルクコンバーター内で動力伝達に液体(オイル)を使うから液体式ね」

「あ~、自動車で言うAT車ってことね」

「そういう事。で、次に電気式なんだけど……これはディーゼルエンジンで発電機を回して、それで発生した電気でモーターを動かすんだ」

「え~と……何だか回りくどい気がするんだけど……」

「確かにそう見えるんだけどね……液体式に比べて色んなメリットがあるから主流になってきてるんだよ」

「どんなメリットがあるの?」

「一つは、実際の動力としてはモーターになるからね。電車と設計を共通化出来てコスト削減に繋がるよ。あとは複雑な機構のトルクコンバーターが要らないからメンテナンスしやすいとか、エンジン(発電機)とモーターの間は電気的に繋がってるだけだから、設計の自由度があるとか……まぁ、短所もあるんだけど、それ以上の長所が多いってことね」

「なるほど~。動力一つとっても奥が深いんだねぇ……」

「そうでしょう?それで、今まで出てきた蒸気機関、電動機、ディーゼル機関は鉄道の歴史上で主流になった動力ってことになるんだけど、他にも色々あるんだよ」

「へぇ、まだあるの?」

「うん。他の動力として先ず上がるのはリニアモーターかな。まぁ、モーターって言うくらいだから電動機の一種なんだけど」

「超電導リニア!」

「そうだね。もうすぐ営業路線が出来る……と思いきや何だか難航してるみたいだけど。リニアってのは『直線』って意味なんだけど、その名の通り回転軸を持たない直線的なモーターってことなんだ。超電導リニアは更にマイスナー効果・ピン止め効果によって車体を磁気浮上させて超高速で走行するんだね」

「あれ?超電導じゃないリニアモーターってのもあるの?」

「あるよ~。都営大江戸線がそうだよ。鉄輪式リニアモーターカーって言うんだ。リニアモーターは普通のモーターよりも小型化出来るから車体を小さくできる……つまり、その分トンネル断面も小さく出来るんで、建設コストを削減できるんだ」

「あ~、そう言えば少し狭いよね……」


「変わり種としては、車輪を駆動するのではなく、飛行機みたいにプロペラやジェットエンジンで推進力を得る、なんてものもあったね。実験の域を出なかったと思うけど」

「何それ面白そう」

「実用性は疑問だけどね。後はそうだね……動力源の話もしておこうか」

「動力源っていうと、電気だったり燃料だったり?」

「そう。蒸気機関であれば水と石炭。重油も使ったりしてたけど。ディーゼル機関はもちろんディーゼル燃料(軽油)、電動機は電気……なんだけど、最近では水素燃料電池を電源にした車両が開発中らしいね」

「ふぇ~……ホントに奥が深い世界だね~」

「そうでしょうそうでしょう。……と、まぁ、動力一つとってもこれだけの選択肢があるんだけど……」

「レティは全く違う動力を作ろうとしてるんだよね」

「その通り!結局、前世の知識があったって専門で学んだわけじゃないから、細かい設計なんか分からないんだよ……まぁ、異世界鉄道なんだから魔法で解決すべきでしょ。お話的に」

「こらこら。身も蓋もないこと言わないの」



「というわけで!!本編ではいよいよ動力も含めた本格的な開発が始まるので、乞うご期待!!」

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

加工を極めし転生者、チート化した幼女たちとの自由気ままな冒険ライフ

犬社護
ファンタジー
交通事故で不慮の死を遂げてしまった僕-リョウトは、死後の世界で女神と出会い、異世界へ転生されることになった。事前に転生先の世界観について詳しく教えられ、その場でスキルやギフトを練習しても構わないと言われたので、僕は自分に与えられるギフトだけを極めるまで練習を重ねた。女神の目的は不明だけど、僕は全てを納得した上で、フランベル王国王都ベルンシュナイルに住む貴族の名門ヒライデン伯爵家の次男として転生すると、とある理由で魔法を一つも習得できないせいで、15年間軟禁生活を強いられ、15歳の誕生日に両親から追放処分を受けてしまう。ようやく自由を手に入れたけど、初日から幽霊に憑かれた幼女ルティナ、2日目には幽霊になってしまった幼女リノアと出会い、2人を仲間にしたことで、僕は様々な選択を迫られることになる。そしてその結果、子供たちが意図せず、どんどんチート化してしまう。 僕の夢は、自由気ままに世界中を冒険すること…なんだけど、いつの間にかチートな子供たちが主体となって、冒険が進んでいく。 僕の夢……どこいった?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...