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レティシア5歳 はじまり
第12話 計画
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ピクニックの日から数日が経った。
その日以降レティシアは図書室に籠もるばかりになるのは止めて、散歩に出るのが日課になった。
邸の庭だけでも十分広いので、良い気分転換になった。
そして、彼女の目的である鉄道建設についても、そろそろ本格的に考えようか…と画策していた。
(計画…と言っても、いきなり建設が始められるわけではない。そもそもが個人の力だけで為せるものじゃない。例え私が公爵令嬢であってもだ。とにかく、国を巻き込まないと。そのためにはどうするか…先ずはその道筋を描かなくては)
彼女が考える通り、世界で初めての鉄道を敷設するとなると一大国家事業だ。
土地の確保も、モーリス公爵領内ならば公爵家の裁量で調整できるかもしれないが、それだって領政議会やら何やらを通さなければならない。
ましてや彼女は、先ずは王都まで開通させることを目指しているのだ。
国を巻き込まなければ到底実現出来るものではない。
(では、国を巻き込むためにはどうすればいいか。要するに、有用性を示せれば…国家事業として進めるに値するほどだと示せれば良い。精々が馬車くらいしかないこの世界の交通事情からすれば、間違いなく画期的で有用だと断言できる。だけど、それは私が実物を知ってるから言えることだ)
レティシアは具体的に計画を立てるために、やるべきことを頭の中で整理していく。
(いま実物がないものの有用性を説いたところで胡散臭いと思われるだけだ。かと言っていきなり実物は作れない。いや、そもそもこの世界の技術レベルで実現可能なのかが分からない。…そうすると先ず一番最初にやるべきなのは、その可能性を探ること。後回しにしてたけど、図書室には技術論文みたいなものもあったはず。何か使えそうなものがないか確認してみよう)
モーリス公爵家の蔵書には確かにそのような書物もあった。
各地の学校や研究機関から公開されている論文などを取り寄せて収蔵しているのだが、これは過去の当主からの慣習となっているらしい。
レティシアはその事は知らなかったが、彼女にとっては僥倖であっただろう。
(実現可能性が見えたとして、その次……やはり、いきなり完成形のモノを作るのは難しいだろう。そうすると……そうだ、サイズが小さければその分難易度は下がる。コンセプトを説明するための模型を作れば良いのでは?確か、前世の日本でも…)
鉄道黎明期において、その存在が初めて日本国内で日本人の目に触れたのは海外より持ち込まれた模型だったという。
その後、日本人の手によっても模型が作られたり、実際に乗客を乗せられるものがやはり海外から持ち込まれてデモンストレーションが行われたりもした。
そうやって鉄道の有用性は目に見える形で示され、やがて国家事業として建設が進められることになったのである。
「よし!それで行こう!」
「はい?お嬢さま、何か御用でございましょうか?」
「あ…ううん、何でもないよ!」
近くにエリーシャがいたのを失念したレティシアは大声を上げてしまい、何か用事があるのかと勘違いして声をかけてきた彼女に慌てて返事をして取り繕う。
エリーシャは不思議そうな顔で首を傾げるが、最近は本を読みながら独り言を呟いていることも多かったので、さほど気にした様子もなくそれ以上は追求されなかった。
(いけないいけない…夢中になると周りが見えなくなるのが私の悪い癖だよね…前世も今も。とにかく、先ずやるべきことの方向性は決まった。今までは、この世界の知識や常識を得るために図書室通いをしていたけど…言葉もかなり覚えたし、これからは技術論文とかの専門書も目を通していこう)
そうして……彼女は再び図書室に籠もって家族を心配させてしまい、また反省することになるのであった。
その日以降レティシアは図書室に籠もるばかりになるのは止めて、散歩に出るのが日課になった。
邸の庭だけでも十分広いので、良い気分転換になった。
そして、彼女の目的である鉄道建設についても、そろそろ本格的に考えようか…と画策していた。
(計画…と言っても、いきなり建設が始められるわけではない。そもそもが個人の力だけで為せるものじゃない。例え私が公爵令嬢であってもだ。とにかく、国を巻き込まないと。そのためにはどうするか…先ずはその道筋を描かなくては)
彼女が考える通り、世界で初めての鉄道を敷設するとなると一大国家事業だ。
土地の確保も、モーリス公爵領内ならば公爵家の裁量で調整できるかもしれないが、それだって領政議会やら何やらを通さなければならない。
ましてや彼女は、先ずは王都まで開通させることを目指しているのだ。
国を巻き込まなければ到底実現出来るものではない。
(では、国を巻き込むためにはどうすればいいか。要するに、有用性を示せれば…国家事業として進めるに値するほどだと示せれば良い。精々が馬車くらいしかないこの世界の交通事情からすれば、間違いなく画期的で有用だと断言できる。だけど、それは私が実物を知ってるから言えることだ)
レティシアは具体的に計画を立てるために、やるべきことを頭の中で整理していく。
(いま実物がないものの有用性を説いたところで胡散臭いと思われるだけだ。かと言っていきなり実物は作れない。いや、そもそもこの世界の技術レベルで実現可能なのかが分からない。…そうすると先ず一番最初にやるべきなのは、その可能性を探ること。後回しにしてたけど、図書室には技術論文みたいなものもあったはず。何か使えそうなものがないか確認してみよう)
モーリス公爵家の蔵書には確かにそのような書物もあった。
各地の学校や研究機関から公開されている論文などを取り寄せて収蔵しているのだが、これは過去の当主からの慣習となっているらしい。
レティシアはその事は知らなかったが、彼女にとっては僥倖であっただろう。
(実現可能性が見えたとして、その次……やはり、いきなり完成形のモノを作るのは難しいだろう。そうすると……そうだ、サイズが小さければその分難易度は下がる。コンセプトを説明するための模型を作れば良いのでは?確か、前世の日本でも…)
鉄道黎明期において、その存在が初めて日本国内で日本人の目に触れたのは海外より持ち込まれた模型だったという。
その後、日本人の手によっても模型が作られたり、実際に乗客を乗せられるものがやはり海外から持ち込まれてデモンストレーションが行われたりもした。
そうやって鉄道の有用性は目に見える形で示され、やがて国家事業として建設が進められることになったのである。
「よし!それで行こう!」
「はい?お嬢さま、何か御用でございましょうか?」
「あ…ううん、何でもないよ!」
近くにエリーシャがいたのを失念したレティシアは大声を上げてしまい、何か用事があるのかと勘違いして声をかけてきた彼女に慌てて返事をして取り繕う。
エリーシャは不思議そうな顔で首を傾げるが、最近は本を読みながら独り言を呟いていることも多かったので、さほど気にした様子もなくそれ以上は追求されなかった。
(いけないいけない…夢中になると周りが見えなくなるのが私の悪い癖だよね…前世も今も。とにかく、先ずやるべきことの方向性は決まった。今までは、この世界の知識や常識を得るために図書室通いをしていたけど…言葉もかなり覚えたし、これからは技術論文とかの専門書も目を通していこう)
そうして……彼女は再び図書室に籠もって家族を心配させてしまい、また反省することになるのであった。
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