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第十五幕 転生歌姫の最終決戦
第十五幕 33 『VS大魔王 変貌』
しおりを挟む『ふははは!!!どうした!!!そんなものか、お前たちの力は!!!』
ドゴォッッッ!!!
私達の攻撃が効かないと見た魔王は、両腕の大剣を大きく振り回して攻勢に転じる。
こちらを侮っているのか、それは技と呼べるようなものではなく力任せに振り回すだけのものだ。
だが、猛烈なスピードとパワーで振るわれるそれは暴風が吹き荒れるが如く。
一撃たりとも貰ってはいけないと言う緊張感を強いられ、中々付け入る隙も見出せない。
「くっ……調子に乗ってますわね……!!」
「ルシェーラ、焦るな!!」
焦れたルシェーラが強引に懐に飛び込もうとするのを、テオが踏み止ませる。
「カティア……!!」
「うん、分かってる!!」
極大の魔法攻撃でもかすり傷一つ付けられなかった。
だったら……
私はこれまで発動させていたディザール様の印に加えて、リル姉さんのものも重ねて発動させる!!
金と銀と青の光が複雑に絡み合い、手にした二刀に纏う。
そしてテオの持つ聖剣からも、青い光が激しく噴き上がる。
普通の攻撃が効かないなら……退魔の力を極限まで増幅させて叩き込むんだ!!
「滅魔の力を持たない俺等は支援に徹するんだ!!」
「分かりましたわ!!」
ロランさんの魔剣は言わずもがな、ルシェーラの神聖斧戦斧でも、私達に比べたら退魔の力は一段劣ってしまう。
二人はタゲ取りに専念して支援してくれるようだ。
そして、後衛の皆も……!!
「『流星驟雨』!!」
ミーティアが二つの印を全開にして、無数の光弾にして撃ち出す!!
かつての奇術師との戦いの時よりも……ミーティア自身の成長に応じて、以前とは比べ物にならないほどにその威力が増大している。
そのミーティアの無数の流星弾に合わせ……
「[破邪聖風]!!」
「『光矢驟雨』!!!」
シフィルが破邪の風を巻き起こし、それに乗せてステラが無数の光の矢を放つ!!
そして更に……!
「「[日輪華]!!!」」
メリエルちゃんとシェラさんが、特級退魔魔法を重ねて発動させる!!
無数の退魔の光が魔王に殺到する中、私とテオは止めとばかりに肉薄して滅魔の刃を振るう!!!
それぞれが持つ退魔の力を結集した飽和攻撃……これでダメージを与えられなければ……!!
『ぐあーーーーっっっ!!!!』
しかし私の心配は杞憂に終わり、さしもの魔王も無数の退魔の光に晒されて苦悶の声を上げる!!
だが……!
『くはぁっ!!!ふ、ふふふ……中々やるではないか!!少しくらいは手応えがなければつまらんからな!!』
少なからずダメージは与えた。
だが、魔王は余裕の笑みすら浮かべて瞬く間に再生してしまう。
そして……禍々しい瘴気の波動が猛烈に噴き出し……!!
『もう手加減も必要無かろう!!喰らえ!![天魔波旬烈氣]!!!』
圧縮された瘴気混じりの闘気が衝撃波となって襲いかかってくる!!
ブアッッ!!!!
「きゃあーーーっっ!!!」
「うおーーーーっっ!!」
魔王の全周囲に放たれたそれは、私達を大きく吹き飛ばしてしまう!!
衝撃による打撃ダメージだけでなく……瘴気が身体を蝕んで体力を奪われる。
「くっ……!!」
『ははは!!!やはり脆弱!!!人間とは何と脆弱なる者なのか!!……どうだ?今からでも我が軍門に下り、黒き神にその身を捧げぬか?』
「断るっ!!!」
冗談じゃない!!
こんな事くらいで勝ったつもりになるなんて、随分私達を舐めてくれるじゃないの!!
『そうこなくては、楽しめぬな。だが、手は緩めぬぞ!!』
そう言って、再び魔王は闘気を集め始める。
またあの攻撃をするつもりかっ!?
だがその時……魔王の様子が……?
『ぐっ……なんだ?身体が……?』
魔王の纏っていた瘴気がより一層濃くなって、黒い闇となる。
そして……!!
『があっ!?』
ボコッ!!
魔王の身体が再び変容を始めた!!
この期に及んで、また変身するって言うの!?
すでに身の丈は優に5メートルは超えていたのだが、さらに身体が肥大化していく。
首と尾が長く伸び、悪魔のような相貌は更なる人外のものへと変わる。
手も足も胴体も……先程までは辛うじて人の形を保っていたが、今度こそ本当の意味での人外へと成り果てていく。
そして……最終的には竜のような姿へと変貌を遂げるのであった。
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