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第十四幕 転生歌姫と繋がる運命の輪
第十四幕 38 『謎の異能』
しおりを挟む大転移魔法に介入され、強制的に降り立った荒野。
そこで私達は、七天禍の一人『占星術師』と相対する事となった。
魔族は何れも侮りがたい力を持つ強敵。
特に異能の力には警戒が必要だ。
かつて戦った七天禍の異能は……
『獣騎士』は段階的に変身して、純粋な肉弾戦闘能力の強化。
『奇術師』は、空間干渉によるトリッキーな攻撃。
『調律師』は、瘴気を媒介とする『音』により、こちらの身体に干渉、弱体化。
『薬師』は、ありとあらゆる毒薬を自在に扱う力。
果たして……『占星術師』の異能はどう言うものなのか?
それを見極めるまでは慎重に戦わなければならないだろう。
こちらのフォーメーションは、前衛にテオとルシェーラ。
私とミーティア、シフィルは遊撃ポジション。
ステラ、メリエルちゃん、シェラさんは弓、魔法による後方支援。
「いくら魔族が強いからと言って……あなた一人で私達を相手にするつもり?それに、こちらにだって同じ魔族のシェラさんがいる」
緊張感が高まる中、私は揺さぶりをかける。
まぁ、一人で相手をする自信があるから、こうしてるのだろうけど。
「無論です。確かに純粋な戦闘能力で言えば、私はそれほど強い力を持ってるわけではありません。しかし……それでも、私一人であなた方全員を屠るのは可能です」
……やはり、異能の力に自信があるということか。
よし、こうして睨み合っていても始まらない。
慎重に相手をしなければいけないのは確かだけど……先ずは攻撃だ!!
「みんな!!いくよっ!!」
「「「おーっ!!」」」
先ずは先制……テオとルシェーラが間合いを詰め、左右から挟み込むように攻撃を繰り出す。
「はぁっ!!」
「せやぁっ!!」
テオの袈裟斬りと、ルシェーラの足元への薙ぎ払いが、僅かにタイミングをずらして占星術師に襲いかかる!!
回避しにくい連携攻撃だ!
さぁ、どう出る!!
しかし、占星術師はまともな回避行動を取っていない。
通る!!
と思った瞬間……!!
「!?」
「なっ!?」
二人の攻撃は、占星術師に当たらない。
いや、今のは……?
だが、考えてるヒマはない!!
今は攻撃を続けるんだ!!
「てやぁーーーっ!!!」
「たぁーーっっ!!」
「[風刃]っ!!!」
テオ達に続いていた、私とミーティア、シフィルの三連撃が繰り出される!!
私は敵の背後に回り込みながら、薙刀の薙ぎ払い。
ミーティアは真正面から双剣による十文字斬り。
シフィルは大きく跳躍しながら風の魔法を頭上から放つ。
先のテオ達よりも更に回避が困難な攻撃。
しかし……!!
「なんで!?」
「当たらない!!」
「どうなってるの!?」
やはり、先程と同じように攻撃が当たらない。
驚くべきは……いずれの攻撃に対しても、占星術師は一切の回避行動を取っていない事だ。
攻撃の軌道も逸れたりしていない。
なのに当たらない!
これは一体、どういう事!?
あまりの不自然さに頭が混乱する。
すると、ただ立っていただけの占星術師が、攻勢にまわる!
「[赫光]」
無詠唱で行使された魔法により、術者を中心として全方位に無数の熱光線が放たれ……音もなく猛烈なスピードで私達に襲いかかる!!
「ちっ!!」
「なんのっ!!」
「かいひっ!!」
しかし、幸いにも光速では無かったので、比較的余裕を持ってそれぞれ回避に成功する。
そして、熱線が通り過ぎたあと……空気が熱で焼けたような匂いがあたりに立ち込めた。
直撃すれば、ただでは済まなかっただろう。
「……この程度は避けますか」
「そっちこそ……あれがあなたの異能ってわけ?」
「さて。答える義理はありませんね」
……これまでの相手は、割と直ぐにネタばらししてくれたんだけどなぁ。
どうやら、そういうところも厄介な相手のようだ。
さあ、どうする……?
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