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第十三幕 転生歌姫と生命神の祈り
第十三幕 1 『新たなクラスメイト』
しおりを挟むーーーー 王城 カティアの部屋 ーーーー
「……あの、ミーティアちゃん?」
「なぁに?シェラお姉ちゃん?」
カティアが学園に登校した後、部屋に残ったミーティアとシェラは二人で過ごしていた。
まだ本調子ではない事を自覚しているシェラは、大人しくベッドで休んでいるのだが、ずっと側を離れないミーティアに困惑の表情で話しかけた。
「ずっと私に付いてなくても良いのよ?退屈でしょう?」
「……どこにも行かない?」
「……ええ。まだ本調子ではないし、これだけお世話になっておいて黙って出ていくような事は出来ないもの」
疑わしげなミーティアの問に、苦笑して答える。
(それに……もはや私だけの力ではどうにもならない状況まで来ている。巻き込むのは本意では無いけど……でも、もう誰もが無関係ではいられない…か)
「ふみゅぅ~……」
考え事をしていると、いつの間にか無意識にミーティアの頭を撫でていたらしい。
彼女は気持ちよさそうに目を細めている。
(……かわいい。癒やされるわ。たまには、ゆっくり休むのも悪くないかも)
シェラはそう思い、今日一日はミーティアに心を癒やしてもらう事にした。
ーーーーーーーー
「……え~と?これは一体どういうことなんでしょうか?」
休み時間になって、エフィ=アルマリアさん……こと、エフィメラさんに話を聞いて見ることに。
ちなみに彼女の席は私の隣だったりする。
他のクラスメイト……特に男どもが話しかけたそうにしていたが、取り敢えずは私に譲ってくれたみたい。
ルシェーラたちも集まってきた。
「ご覧のとおりです。もう私がアクサレナに居ることは、敵に知られてしまいましたので……だったら、連携を密に取るためにも、出来るだけカティア様のお側にいたほうが良いかと思いまして」
「それは、確かに」
「……というのが表向きの理由。実は、こういう学生生活には憧れてたんですよ」
などと嬉しそうに言うエフィメラさん。
敵にバレたと言う割にはウキウキしてるよ。
う~ん……何とも豪胆なお姫様だなぁ……
などと思ってたら。
「カティアさんとそっくりですわ」
「だよね」
「豪胆で前向きなところ、かしら?」
「そうそう」
などと皆さん仰る。
似てるかなぁ…?
大体、豪胆で前向きなのは皆似たようなもんでしょ。
「ということで……グラナの、というのは秘密でお願いしますね。それから、これからはクラスメイトになるのですから、もっと砕けた口調で話していただけると嬉しいです」
「うん、分かったよ。だったらエフェメ……エフィもね」
「…ええ、そうね。そうするわ。ところで……皆さんを紹介してもらえるかしら?」
「あ、そうだね」
一応、先の騒乱の際に会ってはいるのだけど、ちゃんと紹介はしてなかったね。
ということで、それぞれ自己紹介をしてから雑談に興じる。
エフィは皇女だけど、砕けた口調で話をしてみれば普通の年頃の少女といった感じで、直ぐに皆と打ち解けることが出来た。
歳も16歳との事なので私達とそう変わらない。
私やレティはもう少しで誕生日を迎えるので同い年になる。
「そう言えば、ウィラー出身…と言うのは?」
「アグレアス侯爵の伝手で……旧アルマ地方との繋がりは今もあるとのことで、協力頂いたのです」
「え~と、アルマ地方で旧王国時代から続く家って事は……ミュラー伯爵のとこかな?」
「ええ、その通りです。その外戚……と言う事で」
「へぇ~……メリエルってちゃんと王女してるのね」
「どういう意味よ!?」
シフィルの失礼な感想に、ぷんすか怒るメリエルちゃん。
そのやり取りに思わず皆笑ってしまった。
「あ、そうだ!!大事な事を伝え忘れてたよ!あのね、シェラさんが目を覚ましたんだ」
「本当!?良かったわ……」
エフィが嬉しそうに言う。
安心して胸を撫で下ろすと言った様子。
随分心配していたからね。
他の皆も喜んでいるが、特に嬉しそうなのはメリエルちゃんだ。
「シェラさん起きたんだね!良かった~」
倒れていたシェラさんを見つけて介抱していたから、特に心配していたんだよね。
「ねぇ、カティア。放課後になったら、お見舞いに行っちゃダメかな?」
と、メリエルちゃんが聞いてきた。
そう言えば……自室に友達を招いたことは無かったね。
エーデルワイスの邸にも、王城にも。
「ん~、別に大丈夫だと思うけど。そうだね……折角だから皆一緒に来る?」
「迷惑じゃなければ、是非」
「「「私達も!」」」
皆も乗り気だね。
と言う事で、急遽みんなが王城に来ることになった。
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