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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉
第十一幕 56 『母娘の戦い』
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ミーティアと一緒にダンジョン攻略すること暫し。
途中で遭遇した魔物は数しれずだが、幸いにもそれほど苦戦することもなく進むことができた。
道の分岐もそれなりにあったが、間違った進路だと直ぐに行き止まりになるので、迷うことも無かった。
そうして順調とも言えるペースで攻略を進め、ついにボス部屋らしき扉の前に立つ。
「ミーティア、疲れてない?魔力はまだ残ってる?」
「うん、大丈夫だよ!ママ!」
「ミロン、何かアドバイスは無い?」
ダメ元で一応聞いてみる。
「いえ、特には。ただボスを倒すだけです」
まあ、それはそうだろうけど。
多分これまでと同じように、一筋縄ではいかないだろう。
「そう……じゃ、行こうか」
「うん!」
そして扉に手をかけると、キィ……と少し軋む音はするものの、さしたる力も必要なくスムーズに開いていく。
中に入ると、いたって普通のボス部屋だ。
作りも広さも上層階にあるのと大差がない。
ただ、部屋の中央部に大きな魔法陣が描かれているのが異なる点だ。
そして私達が部屋の中に入ると、背後でバタン!と扉が閉まり、魔法陣が輝きを放ち始める!
「うん、いかにもだね。召喚の魔法陣なのかな?」
「何が出てくるのかな?」
心なしかワクワクしているような雰囲気だね、ミーティアさんや。
まあ頼もしい事だねぇ……
そして、魔法陣は一際大きな光を放ち、その中に何者かの影が現れる。
影は……2つある?
2対2ということか。
そして光が晴れると、その正体が明らかになった。
『ふふふ……よくここまで来たね。ここは私達母娘が相手するよ!』
『負けないの!』
「……なるほど。そう言う試練なんだね」
「あわわ……ママと私がいる!?」
目の前に立つのは、私とミーティアに瓜二つの姿をした二人。
つまりこの試練は、己に打ち克つというのがコンセプトなのだろう。
本来は一対一なのだろうが、私達はイレギュラーによって母娘のタッグマッチとなるわけだ。
「ミーティア、行ける?」
「うん!大丈夫だよ!!私のニセモノもママのニセモノもボコボコにするの!」
『返り討ちにするの!!』
ミーティアさん……容赦ないっすね……両方とも。
もう少し躊躇いとかは無いのだろうか…?
『ちょっと……最近教育方針に問題がないのか心配……』
「同意……」
と、とにかく!
戦闘開始だよ!!
先ず、コピーのミーティアが、最初から全力を発揮するべく少女モードとなる。
『変身!!マジカルエンジェル!プリティーミーティア参上!』
「む!?……わたしも負けないの!へ~んし~ん!!」
そのノリよ……
ミーティアも偽物に対抗して少女モードとなる。
「じゃん!!接敵即殲滅!!破壊と混沌の愛天使!ラブリーミーティア見参!!」
『………』
「………」
もうママ達はツッコみませんよ?
名乗りが妙に物騒なのにもツッコミませんから!!
さらに二人共がディザール様の印を発動する。
そして私と『私』も同じく、初っ端から印を発動!!
鮮烈な青い輝きが私達の身体を包む!!
そして、ほとんど同時に全員が動き出し、私と『私』、二人のミーティアがそれぞれ激突する!!
先ずは当人同士の戦いだ!
お互いに薙刀を構える。
口火を切ったのは私の足元を掬う様な薙ぎ払いの一撃。
それを『私』はタイミングよく跳躍して避けつつ間合いを詰めて来る。
そしてその勢いのまま、リヴェラを薙刀から瞬時に刀に変化させて袈裟斬りを繰り出してきた!!
がしっ!!
私は威力が乗り切る前に相手の柄頭を掌底で弾いて斬撃の軌道を逸らす!
そして私もリヴェラの形態を短剣に変えて脇腹を狙って突き入れるが、それは身体を捻って回避される。
攻防はそれで終わらない。
近接レンジでの激しい応酬がなされるが、どちらも有効打は与えられず膠着状態となる。
ぶぉっ!!
……っと!?
突然、横合いから炎の槍が飛んできたので慌てて回避する。
私達が切り結んでいたところに、ミーティアたちの戦いの流れ弾が襲ってきたのだ。
私だけでなく、『私』も回避を余儀なくされたので、大勢に影響はなかった。
ちらっ、とミーティア達の戦いを横目で確認すると、とんでもないことになっていた。
「[雷龍]![炎龍]![水龍]!!」
『[風龍]![氷龍]![地龍]!!』
自律行動型の○龍をお互いに三体ずつ呼び出し、当人同士は龍の攻撃の合間を縫っての双剣乱舞。
いや……えらいこっちゃだわ……
『…何あの怪獣大決戦は?』
呆れたように呟く『私』。
「……同感」
ちょっとアレには手出ししにくいな……なんて思ったものの。
きっと、この戦いを制するにはミーティアとの連携も必要になってくるだろうと思うのだった。
途中で遭遇した魔物は数しれずだが、幸いにもそれほど苦戦することもなく進むことができた。
道の分岐もそれなりにあったが、間違った進路だと直ぐに行き止まりになるので、迷うことも無かった。
そうして順調とも言えるペースで攻略を進め、ついにボス部屋らしき扉の前に立つ。
「ミーティア、疲れてない?魔力はまだ残ってる?」
「うん、大丈夫だよ!ママ!」
「ミロン、何かアドバイスは無い?」
ダメ元で一応聞いてみる。
「いえ、特には。ただボスを倒すだけです」
まあ、それはそうだろうけど。
多分これまでと同じように、一筋縄ではいかないだろう。
「そう……じゃ、行こうか」
「うん!」
そして扉に手をかけると、キィ……と少し軋む音はするものの、さしたる力も必要なくスムーズに開いていく。
中に入ると、いたって普通のボス部屋だ。
作りも広さも上層階にあるのと大差がない。
ただ、部屋の中央部に大きな魔法陣が描かれているのが異なる点だ。
そして私達が部屋の中に入ると、背後でバタン!と扉が閉まり、魔法陣が輝きを放ち始める!
「うん、いかにもだね。召喚の魔法陣なのかな?」
「何が出てくるのかな?」
心なしかワクワクしているような雰囲気だね、ミーティアさんや。
まあ頼もしい事だねぇ……
そして、魔法陣は一際大きな光を放ち、その中に何者かの影が現れる。
影は……2つある?
2対2ということか。
そして光が晴れると、その正体が明らかになった。
『ふふふ……よくここまで来たね。ここは私達母娘が相手するよ!』
『負けないの!』
「……なるほど。そう言う試練なんだね」
「あわわ……ママと私がいる!?」
目の前に立つのは、私とミーティアに瓜二つの姿をした二人。
つまりこの試練は、己に打ち克つというのがコンセプトなのだろう。
本来は一対一なのだろうが、私達はイレギュラーによって母娘のタッグマッチとなるわけだ。
「ミーティア、行ける?」
「うん!大丈夫だよ!!私のニセモノもママのニセモノもボコボコにするの!」
『返り討ちにするの!!』
ミーティアさん……容赦ないっすね……両方とも。
もう少し躊躇いとかは無いのだろうか…?
『ちょっと……最近教育方針に問題がないのか心配……』
「同意……」
と、とにかく!
戦闘開始だよ!!
先ず、コピーのミーティアが、最初から全力を発揮するべく少女モードとなる。
『変身!!マジカルエンジェル!プリティーミーティア参上!』
「む!?……わたしも負けないの!へ~んし~ん!!」
そのノリよ……
ミーティアも偽物に対抗して少女モードとなる。
「じゃん!!接敵即殲滅!!破壊と混沌の愛天使!ラブリーミーティア見参!!」
『………』
「………」
もうママ達はツッコみませんよ?
名乗りが妙に物騒なのにもツッコミませんから!!
さらに二人共がディザール様の印を発動する。
そして私と『私』も同じく、初っ端から印を発動!!
鮮烈な青い輝きが私達の身体を包む!!
そして、ほとんど同時に全員が動き出し、私と『私』、二人のミーティアがそれぞれ激突する!!
先ずは当人同士の戦いだ!
お互いに薙刀を構える。
口火を切ったのは私の足元を掬う様な薙ぎ払いの一撃。
それを『私』はタイミングよく跳躍して避けつつ間合いを詰めて来る。
そしてその勢いのまま、リヴェラを薙刀から瞬時に刀に変化させて袈裟斬りを繰り出してきた!!
がしっ!!
私は威力が乗り切る前に相手の柄頭を掌底で弾いて斬撃の軌道を逸らす!
そして私もリヴェラの形態を短剣に変えて脇腹を狙って突き入れるが、それは身体を捻って回避される。
攻防はそれで終わらない。
近接レンジでの激しい応酬がなされるが、どちらも有効打は与えられず膠着状態となる。
ぶぉっ!!
……っと!?
突然、横合いから炎の槍が飛んできたので慌てて回避する。
私達が切り結んでいたところに、ミーティアたちの戦いの流れ弾が襲ってきたのだ。
私だけでなく、『私』も回避を余儀なくされたので、大勢に影響はなかった。
ちらっ、とミーティア達の戦いを横目で確認すると、とんでもないことになっていた。
「[雷龍]![炎龍]![水龍]!!」
『[風龍]![氷龍]![地龍]!!』
自律行動型の○龍をお互いに三体ずつ呼び出し、当人同士は龍の攻撃の合間を縫っての双剣乱舞。
いや……えらいこっちゃだわ……
『…何あの怪獣大決戦は?』
呆れたように呟く『私』。
「……同感」
ちょっとアレには手出ししにくいな……なんて思ったものの。
きっと、この戦いを制するにはミーティアとの連携も必要になってくるだろうと思うのだった。
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