【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!

O.T.I

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第十一幕 転生歌姫と迷宮の輪舞曲〈ロンド〉

第十一幕 5 『宴の終わり』

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 料理の殆どは無くなって、今は皆まったりと寛いでる。
 そろそろ宴会も終わりかな?

 今日は突然参加することになったけど、とても楽しかった。



「ミーティア、もうお腹いっぱいでしょう」

「うにゅう…もう食べられないの…」

 精神体でも満腹感があるんだね。
 じゃなければ幾らでも食べてただろうね、この娘は。

「もう、食べ過ぎだよ…おデブちゃんになっちゃうよ?」

「……」

 あ、固まった。
 それを気にするあたり、小さくてもレディなんだねぇ…

「…つぎはがまんするの」

「そうしなさい」

 そのやり取りにテオが苦笑していたよ。











「そろそろシメか……エメリール、最後に一曲歌ってくれねぇか?」

 と、オキュパロス様がリクエストした。
 リル姉さんの歌かぁ…確かに聞いてみたいね。

「ええ、構わないけど……今日は本職が来てるわよ?」

 ん?私のこと?

「ああ…確かにな。カティアの歌は神がかっていたぜ」

「ほぅ、それは是非聞いてみたいものだな」

 オキュパロス様の言葉に、他の方々も期待の眼差しを向けてくる。

 これは、断れない流れだね。
 まあ、断るつもりもないけど。

 でも、リル姉さんの歌も聞きたいので…


「リル姉さんも一緒に歌おうよ」

「そうね、だったら…ミーティアとテオもどうかしら?」

 と、何処からともなくリュートを出してテオに渡しながら言う。

「やる!」

「俺の演奏で良ければ」

 二人とも快くその申し出を受ける。

 すると、楽しそうなことには目がないリナ姉さんも黙ってるはずもなく…

「じゃあ私も!歌は得意じゃないけど、踊りなら!ね、リリアお姉ちゃん?」

「む…私もか?…まあ、それも悪くないな」

 と、バックダンサー(?)を買って出てくれた。
 これは中々豪華なステージだね。
 気合が入るよ。


「ふむ、ではワシがステージを造ってやろうではないか」

 そう言ってオーディマ様が手を振るうと、宴会場近くの地面が隆起し始め……瞬く間に石造りの立派な舞台が出来上がった。


「よし!音響はオレに任せておけ!」

 そう言うのはシャハル様。
 おそらく空間系の魔法とかでホールみたいな音響効果を作り出してくれるのだろうか?




 …思いがけず大掛かりになってしまったが、私達は舞台に上がって演奏を始める。
 
 リル姉さんから(お手軽学習で)教わった神代の歌や、逆に私が教えてあげた今地上で歌われている歌を何曲も披露した。
 テオの演奏に合わせて、リル姉さん、私、ミーティアの歌声が美しいハーモニーを奏で、リナ姉さんとリリア姉さんの華麗な舞が華を添える。

 宴はこの日一番の盛り上がりを見せ…
 そして楽しいひと時は終わりを告げたのであった。





















「?……ああ、そうか。戻ってきたんだね」

 一瞬状況が分からなくなったが、どうやら地上に意識が戻ってきたらしい。

 神界に行く前の姿勢のまま…神界で過ごした時間の長さに関わらず、地上ではほんの一瞬の出来事なのはこれまでと同じだった。


「どうしましたか?おねえさま?」

 私の呟きを聞いたクラーナが不思議そうに訪ねてきた。
 ん~、この子も一緒に行ければ良かったけどね…

「ううん、何でもないよ。クラーナはちゃんとお祈り出来たかな?」

 ちょっと申し訳ないなと思いつつそう誤魔化す。

「はい!みんながしあわせにくらせますようにとおいのりしました!」

「そう、えらいわね」

 元気よく答えるクラーナ。
 ナデナデ。


「テオもミーティアもお祈りは済んだ?」

「ああ、大丈夫だ」

「うん!」

 一緒に神界に行っていた二人とも、何事もなかったように自然に答える。


「じゃあ、後ろで並んでる人もいるし、邪魔にならないように引き上げますか」


 新年早々に楽しい思い出が出来て良かった。



 また神様方に会える日を楽しみにしながら…私達は神殿を後にするのだった。
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