211 / 683
第八幕 転生歌姫と母娘の絆
第八幕 6 『受験二日目』
しおりを挟む
今日は入学試験二日目である。
試験科目は地理学、神学、魔法学だ。
地理学はそこそこ、神学、魔法学はかなり自信がある。
「あ!カティアさん、おはよ~!」
昨日少しお話したメリエルさんが親しげに話しかけて来てくれる。
もう既にお友達って感じで、こっちも何だか嬉しくなる。
「おはよう、メリエルさん。今日も試験頑張ろうね」
「うん!今日はわたしの得意科目があるから、張り切っちゃうよ!」
ふふ…ホント、一所懸命な感じが可愛らしいなぁ。
…やっぱり、誰かに似ている気がする。
間違いなく彼女とは初対面のはずだけど、天真爛漫で感情を素直に表に出すところが…
「どうしたの?」
「…え?ああ、いえ…何でもないよ」
おっと、いけない。
気になって考え事していたら訝られてしまった。
そして試験開始となる。
先ずは地理学の試験だ。
大陸の地勢、各国各地の産業、主要な街道…などなど。
一座で旅していた時の経験が結構役に立っている。
もちろんそれだけでは知識に偏りがあったので勉強はしたのだけど。
二日目も幸先が良い感じかな?
次は神学。
メリエルちゃん(さん付けよりしっくりくる)が得意だと言っていた。
問題も解答も神代語なので結構ハードルが高いのだけど…神殿関係の家なのかな?
試験を受けるのも、私とメリエルちゃんの他には数名だけだ。
問題は神代語の知識を問うもの、神代語で書かれた神々の伝説、逸話、教えなどに関する問題など。
他にも各地に残る神代の遺跡に関するものなどもあり、考古学みたいな側面もあるみたい。
オキュパロス様のお手軽学習で神代語は完璧。
それに…職業柄、伝説伝承の類はよく扱うので割と詳しい方だ。
うん、バッチリだよ!
本日最後は魔法学。
これもメリエルちゃんが得意と言ってたな。
基本的な魔法、魔法語や、魔法の発展の歴史などに関する知識を問う。
この辺は学院出身のアネッサ姉さんから講義を受けたので問題ない。
それが筆記試験で、このあと実技試験もある。
魔法の実技試験を行うには、これまで筆記試験を行ってきた部屋では無理なので、演習場に移動するとのこと。
昨日は休日だったのか学生の姿は殆ど見られなかったけど、今日は多くの学生が構内にいて活気が感じられる。
私達受験生が移動するとき、ちょうど休み時間だったらしく、廊下にたむろする学生たちから注目を浴びる。
(お、おい!あの娘…カティア様じゃないか!?)
(え…?あ!?ホントだ!!)
(学園に入学されるのか…?)
(う、美しい…お近付きになりたい…)
(なあ、次は演習場で魔法の試験らしいぞ)
(見に行こうぜ!!)
…めっちゃ噂されてる。
「ねーねー、カティアさんって有名人なの?」
「あはは…まあ、ちょっとね…」
「なんだ、知らなかったのか?この方…カティア様はイスパル王国の王女殿下であらせられるのだぞ」
と、私とメリエルちゃんが話しているところに、受験生の男の子が話しかけてきた。
黒髪に翠の瞳、眼鏡をかけてインテリっぽいイメージだ。
「え?あ~、そうなんだ~」
「えっと、あなたは…」
「失礼しました。私はアドレアン伯爵家が長子、ユーグ=アドレアンと申します。以後お見知りおきのほど、よろしくお願いします」
「これはご丁寧に。私はカティア=イスパルです。一緒に入学できるよう、頑張りましょうね」
「私はメリエルだよ!よろしくね!」
「…ところでメリエルさん?先程言った通り、カティア様は王女殿下なのだから、あまり人目があるところで馴れ馴れしい態度をしていると、良い顔をしない者もいる。少し注意したほうが良いだろう」
「う~ん?でも、そしたら私も王女だから問題ないじゃない?」
「「え?」」
…あ!?
誰かに似てると思ったら!
「私はメリエル=ウィラー、ウィラーの第二王女だよ。えへへ…あまり、それっぽくないけど」
そうだ、リナ姉さんとかメリエナ王女に似てるんだ。
顔の造作とか雰囲気が。
う~ん、謎が解けてスッキリ。
「これは…そうとは知らずとは言え、とんだご無礼を…」
「いいよいいよ~、そんな堅苦しいのは好きじゃないし。ねっ?カティアさん!」
「うん、そうだね。もともと学園では身分は平等と言う事だし、ただの学友として接してくれれば良いと思うよ」
「それは建前的なところもあるのですが…分かりました」
「うんうん、ぜひそうしてね。で、ウィラーの王女と言う事は、メリエナさんの妹さん?」
「うん、そうだよ。あ、この間のお披露目のパーティでお姉ちゃんと会ったんだね」
「私の事はカティアで良いよ」
「じゃあ私も!」
「うん、メリエルちゃん」
「…これで誰かしら合格しなかったら悲惨ですね」
「「縁起でもないこと言うな!!」」
このインテリメガネめ…建前だとか言ってたくせに早速遠慮がないよ。
まあ、友達ってのはそんなものだから、いい傾向なのかな?
「…何かギャラリーが多いんですけど」
「さっき移動する時にカティア様が噂になってましたからね。それで集まってきたんでしょう」
「授業はないのかな?」
まさか名門校の生徒がサボり…なんてことは無いよね?
演習場は屋外で、結界の魔道具になる塀で囲われている。
かなり広いけど…大体サッカーグラウンドくらいだろうか。
中央付近には魔法のターゲットにするためなのか、案山子のようなものが立っている。
ギャラリーは塀に沿って多くの学生…だけでなく教員らしき人もチラホラ。
安全を考慮して、私達とターゲットの延長線上には誰もおらず、それ以外の三方にぎっしりと詰めかけていた。
「まったく…見世物じゃないんだぞ」
と試験官の先生がボヤいている。
私の噂を聞いてとの事だったので申し訳ない。
さて、これから魔法の実技試験なんだけど、見ての通り、あのターゲットに向かって魔法を放つという事だ。
発動速度や正確性、威力などを見るのだが、現段階での練度よりも、どちらかというと潜在的な素質を重視するらしい。
どうやってそれを測るのかはよく分からないけど…
もちろん、今の時点で上級魔法とか使えるなら、その時点で十分な素質ありってことになる。
ということで、早速一人づつ魔法を撃っていき、何人か終わったところでメリエルちゃんの番となった。
彼女は魔法も得意だと言っていたが、何を使うのかな?
「次、メリエルさんどうぞ」
「はい!」
メリエルちゃんが一歩前に出て詠唱を始める。
…これは!
『日の輪の如き華となって遍く天地を照らせ…[日輪華]!!』
バシュッ!!
小型の太陽の如き輝きが生まれ、超高温の熱量によってターゲットは跡形もなく消えてしまった。
退魔系特級魔法[日輪華]…これが使えるとは。
私も使えるけど、チートみたいなものだし…他にはティセラさんが使えるって言ってたけど、神殿の神官でも使い手は非常に少ないはず。
思いがけない超強力な魔法に、ギャラリーがざわつく。
(今の…[日輪華]だと!?)
(マジかよ!何なんだあの娘?…めちゃ可愛いじゃんか)
(おいおいおい…レティシアちゃんと言い、今年の新入生(予定)はどうなってるんだよ)
ああ…レティも派手にやったんだね。
[虚空滅却]とか使ったのかな?
それだと会場を破壊しそうだけど…まさかね。
「えへへ~!ぶいっ!!」
メリエルちゃんは満面の笑みを浮べてドヤ顔だ。
もう、可愛いなぁ…
しかし、その可愛さとは裏腹に使った魔法がエグい。
ターゲットがあった辺りの地面がガラスみたいになってるよ。
「…うむ、見事なものだ。では、次は…カティアさん、どうぞ」
「あ…はい!」
私の番がやって来た。
先の興奮が冷めやらぬまま、私の登場によって更に騒がしくなる。
(おい、次はカティア様だぞっ!)
(さっきの娘も凄かったけど…一体どうなるんだ?)
(おれ、武神杯見たけど、魔法もめちゃ凄かったぞ。上級をポンポン使ってたし)
(そりゃあ楽しみだな!)
何だか変な期待をされてるなぁ…
さて、どうしようか。
試験を始めるときに先生は、自分が使える最強のものを…なんて言ってたけど。
「あの~…」
「?…どうしました?」
「いえ、私が使える魔法で最大威力のやつって、[轟天雷]なんですけど…」
「…それは流石に不味いですね。この会場で使っても問題ない範囲で強いもの、でお願いします」
「ですよね。分かりました」
そりゃそうだ。
そうすると、私もこれかな。
精神を集中させ、魔力を高めて詠唱を開始する。
『天より零れ落ちたる日の欠片は、神の気を纏て此処に集い光となれ。神威須らく魔を滅すべし。其は日の輪の如き華となって遍く天地を照らせ…』
詠唱の完了と共に、手をターゲットに向かって突き出し、最後の引き金を引く!
『[日輪華]っ!!』
バシュッ!!
先程と全く同じ光景が繰り返される。
小型の太陽が残っていたターゲットの一つを飲み込み、その光がおさまると、跡にはガラス化した小さなクレーターが残るのみだった。
(ま、また[日輪華]!?)
(先生たちより凄いんじゃないか?)
(特級魔法の大売り出しだな…)
(て言うか、これ以上なにを学ぶんだ?)
いやいや、学ぶことなんて幾らでもあるものだよ?
「カティアも使えるんだ!お揃いだねっ!」
「え?あ、ああ、そうだね?(お揃い…と言うのだろうか?)」
まあ、これでギャラリーの皆さんも満足したかな?
「これまた素晴らしかったですね……では、次は…ユーグくん」
「はい!…あれだけ見せつけられるとやりにくいな」
そうは言いつつも彼が使ったのは、上級の[天雷]だ。
素早く発動して正確に的に当てるのは中々の腕前だと思う。
[日輪華]程ではなかったが、十分に観客(?)を驚かせていた。
その後も何人か実技が行われていたが、突出していたのはやはり私達3人だった。
こうして試験二日目は終了した。
一日目、二日目ともに順調で、出来は悪くなさそうだ。
そう、確かな手応えを感じるのだった。
試験科目は地理学、神学、魔法学だ。
地理学はそこそこ、神学、魔法学はかなり自信がある。
「あ!カティアさん、おはよ~!」
昨日少しお話したメリエルさんが親しげに話しかけて来てくれる。
もう既にお友達って感じで、こっちも何だか嬉しくなる。
「おはよう、メリエルさん。今日も試験頑張ろうね」
「うん!今日はわたしの得意科目があるから、張り切っちゃうよ!」
ふふ…ホント、一所懸命な感じが可愛らしいなぁ。
…やっぱり、誰かに似ている気がする。
間違いなく彼女とは初対面のはずだけど、天真爛漫で感情を素直に表に出すところが…
「どうしたの?」
「…え?ああ、いえ…何でもないよ」
おっと、いけない。
気になって考え事していたら訝られてしまった。
そして試験開始となる。
先ずは地理学の試験だ。
大陸の地勢、各国各地の産業、主要な街道…などなど。
一座で旅していた時の経験が結構役に立っている。
もちろんそれだけでは知識に偏りがあったので勉強はしたのだけど。
二日目も幸先が良い感じかな?
次は神学。
メリエルちゃん(さん付けよりしっくりくる)が得意だと言っていた。
問題も解答も神代語なので結構ハードルが高いのだけど…神殿関係の家なのかな?
試験を受けるのも、私とメリエルちゃんの他には数名だけだ。
問題は神代語の知識を問うもの、神代語で書かれた神々の伝説、逸話、教えなどに関する問題など。
他にも各地に残る神代の遺跡に関するものなどもあり、考古学みたいな側面もあるみたい。
オキュパロス様のお手軽学習で神代語は完璧。
それに…職業柄、伝説伝承の類はよく扱うので割と詳しい方だ。
うん、バッチリだよ!
本日最後は魔法学。
これもメリエルちゃんが得意と言ってたな。
基本的な魔法、魔法語や、魔法の発展の歴史などに関する知識を問う。
この辺は学院出身のアネッサ姉さんから講義を受けたので問題ない。
それが筆記試験で、このあと実技試験もある。
魔法の実技試験を行うには、これまで筆記試験を行ってきた部屋では無理なので、演習場に移動するとのこと。
昨日は休日だったのか学生の姿は殆ど見られなかったけど、今日は多くの学生が構内にいて活気が感じられる。
私達受験生が移動するとき、ちょうど休み時間だったらしく、廊下にたむろする学生たちから注目を浴びる。
(お、おい!あの娘…カティア様じゃないか!?)
(え…?あ!?ホントだ!!)
(学園に入学されるのか…?)
(う、美しい…お近付きになりたい…)
(なあ、次は演習場で魔法の試験らしいぞ)
(見に行こうぜ!!)
…めっちゃ噂されてる。
「ねーねー、カティアさんって有名人なの?」
「あはは…まあ、ちょっとね…」
「なんだ、知らなかったのか?この方…カティア様はイスパル王国の王女殿下であらせられるのだぞ」
と、私とメリエルちゃんが話しているところに、受験生の男の子が話しかけてきた。
黒髪に翠の瞳、眼鏡をかけてインテリっぽいイメージだ。
「え?あ~、そうなんだ~」
「えっと、あなたは…」
「失礼しました。私はアドレアン伯爵家が長子、ユーグ=アドレアンと申します。以後お見知りおきのほど、よろしくお願いします」
「これはご丁寧に。私はカティア=イスパルです。一緒に入学できるよう、頑張りましょうね」
「私はメリエルだよ!よろしくね!」
「…ところでメリエルさん?先程言った通り、カティア様は王女殿下なのだから、あまり人目があるところで馴れ馴れしい態度をしていると、良い顔をしない者もいる。少し注意したほうが良いだろう」
「う~ん?でも、そしたら私も王女だから問題ないじゃない?」
「「え?」」
…あ!?
誰かに似てると思ったら!
「私はメリエル=ウィラー、ウィラーの第二王女だよ。えへへ…あまり、それっぽくないけど」
そうだ、リナ姉さんとかメリエナ王女に似てるんだ。
顔の造作とか雰囲気が。
う~ん、謎が解けてスッキリ。
「これは…そうとは知らずとは言え、とんだご無礼を…」
「いいよいいよ~、そんな堅苦しいのは好きじゃないし。ねっ?カティアさん!」
「うん、そうだね。もともと学園では身分は平等と言う事だし、ただの学友として接してくれれば良いと思うよ」
「それは建前的なところもあるのですが…分かりました」
「うんうん、ぜひそうしてね。で、ウィラーの王女と言う事は、メリエナさんの妹さん?」
「うん、そうだよ。あ、この間のお披露目のパーティでお姉ちゃんと会ったんだね」
「私の事はカティアで良いよ」
「じゃあ私も!」
「うん、メリエルちゃん」
「…これで誰かしら合格しなかったら悲惨ですね」
「「縁起でもないこと言うな!!」」
このインテリメガネめ…建前だとか言ってたくせに早速遠慮がないよ。
まあ、友達ってのはそんなものだから、いい傾向なのかな?
「…何かギャラリーが多いんですけど」
「さっき移動する時にカティア様が噂になってましたからね。それで集まってきたんでしょう」
「授業はないのかな?」
まさか名門校の生徒がサボり…なんてことは無いよね?
演習場は屋外で、結界の魔道具になる塀で囲われている。
かなり広いけど…大体サッカーグラウンドくらいだろうか。
中央付近には魔法のターゲットにするためなのか、案山子のようなものが立っている。
ギャラリーは塀に沿って多くの学生…だけでなく教員らしき人もチラホラ。
安全を考慮して、私達とターゲットの延長線上には誰もおらず、それ以外の三方にぎっしりと詰めかけていた。
「まったく…見世物じゃないんだぞ」
と試験官の先生がボヤいている。
私の噂を聞いてとの事だったので申し訳ない。
さて、これから魔法の実技試験なんだけど、見ての通り、あのターゲットに向かって魔法を放つという事だ。
発動速度や正確性、威力などを見るのだが、現段階での練度よりも、どちらかというと潜在的な素質を重視するらしい。
どうやってそれを測るのかはよく分からないけど…
もちろん、今の時点で上級魔法とか使えるなら、その時点で十分な素質ありってことになる。
ということで、早速一人づつ魔法を撃っていき、何人か終わったところでメリエルちゃんの番となった。
彼女は魔法も得意だと言っていたが、何を使うのかな?
「次、メリエルさんどうぞ」
「はい!」
メリエルちゃんが一歩前に出て詠唱を始める。
…これは!
『日の輪の如き華となって遍く天地を照らせ…[日輪華]!!』
バシュッ!!
小型の太陽の如き輝きが生まれ、超高温の熱量によってターゲットは跡形もなく消えてしまった。
退魔系特級魔法[日輪華]…これが使えるとは。
私も使えるけど、チートみたいなものだし…他にはティセラさんが使えるって言ってたけど、神殿の神官でも使い手は非常に少ないはず。
思いがけない超強力な魔法に、ギャラリーがざわつく。
(今の…[日輪華]だと!?)
(マジかよ!何なんだあの娘?…めちゃ可愛いじゃんか)
(おいおいおい…レティシアちゃんと言い、今年の新入生(予定)はどうなってるんだよ)
ああ…レティも派手にやったんだね。
[虚空滅却]とか使ったのかな?
それだと会場を破壊しそうだけど…まさかね。
「えへへ~!ぶいっ!!」
メリエルちゃんは満面の笑みを浮べてドヤ顔だ。
もう、可愛いなぁ…
しかし、その可愛さとは裏腹に使った魔法がエグい。
ターゲットがあった辺りの地面がガラスみたいになってるよ。
「…うむ、見事なものだ。では、次は…カティアさん、どうぞ」
「あ…はい!」
私の番がやって来た。
先の興奮が冷めやらぬまま、私の登場によって更に騒がしくなる。
(おい、次はカティア様だぞっ!)
(さっきの娘も凄かったけど…一体どうなるんだ?)
(おれ、武神杯見たけど、魔法もめちゃ凄かったぞ。上級をポンポン使ってたし)
(そりゃあ楽しみだな!)
何だか変な期待をされてるなぁ…
さて、どうしようか。
試験を始めるときに先生は、自分が使える最強のものを…なんて言ってたけど。
「あの~…」
「?…どうしました?」
「いえ、私が使える魔法で最大威力のやつって、[轟天雷]なんですけど…」
「…それは流石に不味いですね。この会場で使っても問題ない範囲で強いもの、でお願いします」
「ですよね。分かりました」
そりゃそうだ。
そうすると、私もこれかな。
精神を集中させ、魔力を高めて詠唱を開始する。
『天より零れ落ちたる日の欠片は、神の気を纏て此処に集い光となれ。神威須らく魔を滅すべし。其は日の輪の如き華となって遍く天地を照らせ…』
詠唱の完了と共に、手をターゲットに向かって突き出し、最後の引き金を引く!
『[日輪華]っ!!』
バシュッ!!
先程と全く同じ光景が繰り返される。
小型の太陽が残っていたターゲットの一つを飲み込み、その光がおさまると、跡にはガラス化した小さなクレーターが残るのみだった。
(ま、また[日輪華]!?)
(先生たちより凄いんじゃないか?)
(特級魔法の大売り出しだな…)
(て言うか、これ以上なにを学ぶんだ?)
いやいや、学ぶことなんて幾らでもあるものだよ?
「カティアも使えるんだ!お揃いだねっ!」
「え?あ、ああ、そうだね?(お揃い…と言うのだろうか?)」
まあ、これでギャラリーの皆さんも満足したかな?
「これまた素晴らしかったですね……では、次は…ユーグくん」
「はい!…あれだけ見せつけられるとやりにくいな」
そうは言いつつも彼が使ったのは、上級の[天雷]だ。
素早く発動して正確に的に当てるのは中々の腕前だと思う。
[日輪華]程ではなかったが、十分に観客(?)を驚かせていた。
その後も何人か実技が行われていたが、突出していたのはやはり私達3人だった。
こうして試験二日目は終了した。
一日目、二日目ともに順調で、出来は悪くなさそうだ。
そう、確かな手応えを感じるのだった。
11
お気に入りに追加
348
あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!
みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した!
転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!!
前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。
とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。
森で調合師して暮らすこと!
ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが…
無理そうです……
更に隣で笑う幼なじみが気になります…
完結済みです。
なろう様にも掲載しています。
副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。
エピローグで完結です。
番外編になります。
※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~
くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】
その攻撃、収納する――――ッ!
【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。
理由は、マジックバッグを手に入れたから。
マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。
これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。

アラフォーおっさんの週末ダンジョン探検記
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
ある日、全世界の至る所にダンジョンと呼ばれる異空間が出現した。
そこには人外異形の生命体【魔物】が存在していた。
【魔物】を倒すと魔石を落とす。
魔石には膨大なエネルギーが秘められており、第五次産業革命が起こるほどの衝撃であった。
世は埋蔵金ならぬ、魔石を求めて日々各地のダンジョンを開発していった。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

伯爵令嬢の秘密の知識
シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる