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第七幕 転生歌姫と王都大祭
第七幕 20 『武神杯〜予選開始』
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武神杯大闘技会、その予選開始の時間が刻一刻と迫っている。
予選と言えどもバトルロイヤル形式の戦いは非常に迫力があり、ある意味では本戦より見応えがあると言う人もいる。
当然観客も多く集まっており、予選の開始を今や遅しと待つ間にもその熱気は否が応でも高まる。
そして、ついに予選開始の時間がやってきた。
舞台に拡声魔道具を持った司会らしき女性が上がる。
『皆様!大変長らくお待たせしました!これより武神杯大闘技会、予選を開始いたします!!』
ワァーーッ!!!
お姉さんの宣言に大きな歓声が上がり、会場中に熱気が渦巻く。
『それでは早速第1試合を始めましょう!選手の皆さんは舞台にお上がりください!』
観客席の最前列から十数人ほどの選手たちが舞台へと上がっていく。
『さて、皆さんの準備が整うまでルールの説明をしましょう。今大会は過去最多の総勢324名もの方にご参加頂いてます!』
ここ数年は毎年参加人数が増えていて過去最多を更新し続けているらしい。
『しかし!本戦に進めるのは僅かに16名!予選はバトルロイヤル形式で一気に決着を付けることになりますので…1試合あたり約20名による熱い戦いが繰り広げられる事になります!』
お姉さんが身振り手振りを交えて観客たちを盛り上げる。
『ルールは単純明快!とにかく最後まで生き残った選手が本戦進出となります!武器防具に制限はありませんし、魔道具も持ち込み可…ただし、ある一定以上の魔力や特殊な効果を持つものは無効化されるものもありますのでご注意を!』
…う~ん、『隠者のローブ』はそれ程魔力を必要としないはずだし、たぶん大丈夫だと思う。
この辺の基準は公開されてないんだよね…
魔道具持ち込んでもいいけど、無効化されてもそれは自己責任ってことで。
『致命ダメージを負ったり、失神などで戦闘継続不可と判定された場合は自動的に舞台の外に弾き出されて敗北となります。また、舞台から落ちても失格になりますのでご注意くださいね。』
相手を打倒する以外にも、場外負けを狙っても良いというわけだ。
『さあ、そろそろ選手の皆さんの準備が整ったようです。早速第1試合を開始いたしましょう!』
ワァーーーッ!!
再び歓声が上がった。
『それでは…武神杯大闘技会予選第1試合、始めっ!!』
お姉さんの合図によって舞台上の選手たちが一斉に行動を開始する!
手近な選手に対戦を挑む者、それを迎え撃つ者。
一先ず距離を取って様子を見ようとする者。
対戦者同士の隙を付いて死角から襲いかかる者。
様々な思惑が絡み合い、舞台上ではバトルロイヤルならではの大混戦が繰り広げられる。
しかしそれも長くは続かない。
あっという間に人数が半分以下まで減ったところでどの選手も迂闊には動かなくなった。
早々に敗北してしまった選手たちは舞台の外で、ある者は悔しげに、ある者は諦めの表情で生き残った者たちの戦いを見守っている。
中には未だ気を失ったままの者もいた。
舞台上に残っている選手たちを見ると…
残ったのは8人。
著しく突出した力を持った強者はいないようだ。
これまでの動きを見ても実力に大きな差はないと思う。
それは彼らも分かっているようで、故に膠着状態になっているのだろう。
迂闊に動けば集中攻撃を受けるかもしれない…
あるいはこちらから仕掛ければ誰か乗ってくれる者がいるかもしれない…
そう言った静かな心理戦が展開されていることだろう。
しばらくそうした緊張感漂う膠着状態が続き、観客も固唾をのんで次の動きを見逃すまいと見守っていたが…
しかし、しびれを切らした選手の一人が動いたことによって一気に事態が動く!
最初に動いた一人が、近くにいた別の…どうやら女性選手のようだが、彼女に攻撃を仕掛ける。
それに呼応して他の選手二人も彼女に向かって行く。
しかし、3人から狙われた彼女は無理に迎え撃つような真似はしないで、舞台いっぱいを使ってその場から素早く退避した。
(…良い判断だね)
そうなると今度は攻撃を仕掛けた3人によって、そのまま三つ巴となるのだが…先ず最初に攻撃を仕掛けた人が態勢を切り替える前に、残りの二人が同時に攻撃を仕掛けて早々に仕留める。
次いでそのまま一対一の戦いに移行…と思ったところで、最初に狙われた女性選手がいつの間にか転進し、隙を突いて二人を纏めて屠る!
更に、その勢いのまま様子を窺っていた別の一人に一気に肉薄してこれを仕留める!
これで残りは4人となった。
「…巧いね。集団戦…と言うか乱戦に慣れている感じ」
「そうですね。それに最初の攻撃も…あれは誘い出してましたね」
オズマの言うとおり、視線や僅かな身体の動きでわざと自分に攻撃を仕掛けるように仕向けたんだと思う。
比較的小柄で女性ということもあって誘い出しやすかったのかもしれない。
「うん…。父さんとかカイトなんかとは別種の強さがあるみたい。トリッキーと言うか、何をしでかすか分からないと言うか…ケイトリンに似てるね」
「ああ、確かに…」
「…そうですか?」
「うん。ああ言うタイプはなるべく相手にしたくないねぇ…」
「え~と、それは褒め言葉って思っておいて良いんですかね…?」
「もちろん。護衛として頼もしいしね」
「へへ…そう言ってもらえるのは嬉しいですね~」
と、そんな話をしているうちに決着がついたみたいだ。
残ったのはやはりあの女性だった。
『そこまで!!第1試合の勝者は…イリーナ選手です!さあ、皆さん!本戦出場を果たした最初の選手である彼女に盛大な拍手を!』
ワァーーーッ!!!
司会のお姉さんが勝者を宣言すると、大きな声援と盛大な拍手が会場を満たした。
彼女は手を上げてそれに応える。
ショートカットの黒髪に切れ長の瞳を持つ彼女はカッコイイ系のお姉様って感じだ。
実際に若い女の子らしき黄色い声援があちこちから上がっていた。
「ほらほら、やっぱり女性選手はスゴイ人気ですよ!カティア様もそんな無粋なローブは外したほうが良いですって」
「まあまあ…私は戦いで魅せることにするよ」
『さあ、どんどん行きましょう!続いて第2試合です!選手の皆さんは舞台にお上がりください!』
次は第2試合、あのラウルさんが登場する。
さて、どんな戦いを見せてくれるのか…とても楽しみだね。
予選と言えどもバトルロイヤル形式の戦いは非常に迫力があり、ある意味では本戦より見応えがあると言う人もいる。
当然観客も多く集まっており、予選の開始を今や遅しと待つ間にもその熱気は否が応でも高まる。
そして、ついに予選開始の時間がやってきた。
舞台に拡声魔道具を持った司会らしき女性が上がる。
『皆様!大変長らくお待たせしました!これより武神杯大闘技会、予選を開始いたします!!』
ワァーーッ!!!
お姉さんの宣言に大きな歓声が上がり、会場中に熱気が渦巻く。
『それでは早速第1試合を始めましょう!選手の皆さんは舞台にお上がりください!』
観客席の最前列から十数人ほどの選手たちが舞台へと上がっていく。
『さて、皆さんの準備が整うまでルールの説明をしましょう。今大会は過去最多の総勢324名もの方にご参加頂いてます!』
ここ数年は毎年参加人数が増えていて過去最多を更新し続けているらしい。
『しかし!本戦に進めるのは僅かに16名!予選はバトルロイヤル形式で一気に決着を付けることになりますので…1試合あたり約20名による熱い戦いが繰り広げられる事になります!』
お姉さんが身振り手振りを交えて観客たちを盛り上げる。
『ルールは単純明快!とにかく最後まで生き残った選手が本戦進出となります!武器防具に制限はありませんし、魔道具も持ち込み可…ただし、ある一定以上の魔力や特殊な効果を持つものは無効化されるものもありますのでご注意を!』
…う~ん、『隠者のローブ』はそれ程魔力を必要としないはずだし、たぶん大丈夫だと思う。
この辺の基準は公開されてないんだよね…
魔道具持ち込んでもいいけど、無効化されてもそれは自己責任ってことで。
『致命ダメージを負ったり、失神などで戦闘継続不可と判定された場合は自動的に舞台の外に弾き出されて敗北となります。また、舞台から落ちても失格になりますのでご注意くださいね。』
相手を打倒する以外にも、場外負けを狙っても良いというわけだ。
『さあ、そろそろ選手の皆さんの準備が整ったようです。早速第1試合を開始いたしましょう!』
ワァーーーッ!!
再び歓声が上がった。
『それでは…武神杯大闘技会予選第1試合、始めっ!!』
お姉さんの合図によって舞台上の選手たちが一斉に行動を開始する!
手近な選手に対戦を挑む者、それを迎え撃つ者。
一先ず距離を取って様子を見ようとする者。
対戦者同士の隙を付いて死角から襲いかかる者。
様々な思惑が絡み合い、舞台上ではバトルロイヤルならではの大混戦が繰り広げられる。
しかしそれも長くは続かない。
あっという間に人数が半分以下まで減ったところでどの選手も迂闊には動かなくなった。
早々に敗北してしまった選手たちは舞台の外で、ある者は悔しげに、ある者は諦めの表情で生き残った者たちの戦いを見守っている。
中には未だ気を失ったままの者もいた。
舞台上に残っている選手たちを見ると…
残ったのは8人。
著しく突出した力を持った強者はいないようだ。
これまでの動きを見ても実力に大きな差はないと思う。
それは彼らも分かっているようで、故に膠着状態になっているのだろう。
迂闊に動けば集中攻撃を受けるかもしれない…
あるいはこちらから仕掛ければ誰か乗ってくれる者がいるかもしれない…
そう言った静かな心理戦が展開されていることだろう。
しばらくそうした緊張感漂う膠着状態が続き、観客も固唾をのんで次の動きを見逃すまいと見守っていたが…
しかし、しびれを切らした選手の一人が動いたことによって一気に事態が動く!
最初に動いた一人が、近くにいた別の…どうやら女性選手のようだが、彼女に攻撃を仕掛ける。
それに呼応して他の選手二人も彼女に向かって行く。
しかし、3人から狙われた彼女は無理に迎え撃つような真似はしないで、舞台いっぱいを使ってその場から素早く退避した。
(…良い判断だね)
そうなると今度は攻撃を仕掛けた3人によって、そのまま三つ巴となるのだが…先ず最初に攻撃を仕掛けた人が態勢を切り替える前に、残りの二人が同時に攻撃を仕掛けて早々に仕留める。
次いでそのまま一対一の戦いに移行…と思ったところで、最初に狙われた女性選手がいつの間にか転進し、隙を突いて二人を纏めて屠る!
更に、その勢いのまま様子を窺っていた別の一人に一気に肉薄してこれを仕留める!
これで残りは4人となった。
「…巧いね。集団戦…と言うか乱戦に慣れている感じ」
「そうですね。それに最初の攻撃も…あれは誘い出してましたね」
オズマの言うとおり、視線や僅かな身体の動きでわざと自分に攻撃を仕掛けるように仕向けたんだと思う。
比較的小柄で女性ということもあって誘い出しやすかったのかもしれない。
「うん…。父さんとかカイトなんかとは別種の強さがあるみたい。トリッキーと言うか、何をしでかすか分からないと言うか…ケイトリンに似てるね」
「ああ、確かに…」
「…そうですか?」
「うん。ああ言うタイプはなるべく相手にしたくないねぇ…」
「え~と、それは褒め言葉って思っておいて良いんですかね…?」
「もちろん。護衛として頼もしいしね」
「へへ…そう言ってもらえるのは嬉しいですね~」
と、そんな話をしているうちに決着がついたみたいだ。
残ったのはやはりあの女性だった。
『そこまで!!第1試合の勝者は…イリーナ選手です!さあ、皆さん!本戦出場を果たした最初の選手である彼女に盛大な拍手を!』
ワァーーーッ!!!
司会のお姉さんが勝者を宣言すると、大きな声援と盛大な拍手が会場を満たした。
彼女は手を上げてそれに応える。
ショートカットの黒髪に切れ長の瞳を持つ彼女はカッコイイ系のお姉様って感じだ。
実際に若い女の子らしき黄色い声援があちこちから上がっていた。
「ほらほら、やっぱり女性選手はスゴイ人気ですよ!カティア様もそんな無粋なローブは外したほうが良いですって」
「まあまあ…私は戦いで魅せることにするよ」
『さあ、どんどん行きましょう!続いて第2試合です!選手の皆さんは舞台にお上がりください!』
次は第2試合、あのラウルさんが登場する。
さて、どんな戦いを見せてくれるのか…とても楽しみだね。
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