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第七幕 転生歌姫と王都大祭
第七幕 15 『武神祭〜三日目のつづき』
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ちょっとトラブルがあったが、引き続き祭を楽しむ。
露店で色々と買食いしたので、今度はそれ以外のお店や大道芸などを見て回る。
ロウエンさんみたいなジャグラーだったり、様々な楽器の演奏や踊り、動物を意のままに操って芸をさせたり…中には劇をやってたりして多くの人を集めていた。
「やっぱ同業者としては気になるものなの?規模は全然違うけどさ」
「ん~、気になると言うか…懐かしいなって感じ。私達の原点だしね。あとはやっぱり参考になるし、ウチのメンバーも色々と見て回ってるんじゃないかな。どういうものがウケてるのか、とかね」
「へえ~…」
「逆に、エーデルワイスは彼らにとっても目標になってるのではないですか?励みになってると思いますわよ」
「そうかな…?そうだとしたら嬉しいね」
私達を目標にしてくれる人達がいるのであれば、こちらこそ励みになるものだと思った。
「…ねえねえ、あそこの人集りは何かな?」
レティが指し示す方を見ると確かに人集りが。
何らかの催し物をやってるのだと思うけど、すごく盛り上がっているみたい。
「ここからではよく見えませんわね…」
「じゃあ行ってみようか!」
何をやっているのか気になった私達が、人混みを掻き分けて進んだその先には…
「さぁさぁっ!次の挑戦者はいないのか!?この俺、ラウルに勝てれば金貨一枚!挑戦料は銀貨一枚だ!」
見るからに鍛え上げられた肉体を持つ男がギャラリーに向って叫ぶ。
男の前には二本の棒が突き出たテーブルのようなものがおいてあった。
「ああ、なるほど…腕相撲か」
「へえ~、面白そうだね」
それに、あの人…見掛け倒しではなく、かなり強者の雰囲気を感じる。
やがて一人の挑戦者が名乗りを上げた。
挑戦者は筋骨隆々の大男で、対する男…ラウルさんと比べてもかなりの体格差がある。
「お、あんたが挑戦するんだな」
「おうよ!賞金はいただきだぜ!」
大男は自信満々のようだ。
ギャラリーも、体格差のある大男が勝つと予想する声が多いようだ。
二人はテーブル上でガッチリと手を握り、もう片方の手で突き出た棒を掴み、対戦の準備を行う。
レフェリーらしき人が、握りあった二人の手に自分の手を添えながらお互い力を抜くように指示し、準備が整ったところで開始の合図をする!
「レディー……ファイッ!!」
レフェリーの合図とともに二人が一気に力を解き放つ!
そして、ほんの一瞬で決着がついた!
勝ったのはラウルさんだった。
…やっぱりね。
おおーっ!!
予想を覆す結果にギャラリーが沸き立つ。
これは盛り上がるね!
「さあ、お次はどいつだ!?俺もかなり連戦してるしチャンスかもしれないぞ!!」
と、ラウルはギャラリーを煽って次なる挑戦者を求める。
すると彼は、ギャラリーの最前列で観戦していた私達に気が付いて値踏みするように眺めたあと、声をかけてきた。
「ほぅ…お嬢ちゃんたち、なかなか強そうじゃないか」
その言葉を聞いたギャラリーは、男と私達を見比べ唖然とし…そして爆笑が巻き起こった。
「おいおいおい…マジか、ラウルさんよ。こんな細っこい嬢ちゃんたちが強いだなんて…」
どうやら知り合いらしい人がギャラリーを代表してツッコミを入れる。
まあ、見た目だけ見ればそうなるよね。
「あん?何がだ?その嬢ちゃんたち…そっちの黒髪の二人はさっきの大男なんかよりもずっと強いと思うぞ?」
へぇ…
見た目で侮らないあたり、私の感覚は正しかったのだろうね。
「どうだ?俺と対戦しないか?」
と聞いてくる。
どうしようかな…と思っていると、ルシェーラが先に答えた。
「面白そうですわ!私やってみます。銀貨一枚でしたわよね…はい、どうぞ」
「おお!やってくれるか!毎度あり!…こいつは腕がなるぜ」
この娘、こう言うの好きだよねぇ…
思ってもみなかった挑戦者の登場に、ギャラリーはこれまでにないくらい盛り上がる。
さて、どう見るか…
体格差はさっきの対戦並みにある。
だが、ルシェーラはああ見えて槍戦斧をブンブン振り回すくらいの腕力の持ち主だ。
私の見立てでは純粋な腕力勝負であれば互角ではないかと見ている。
あとは瞬発力とか、拮抗した場合は持続力も必要になってくるが…最終的には腕相撲に慣れているであろうラウルさんの方が有利ではないかと思う。
「う~ん…ルシェーラちゃん、大丈夫かな?」
「いい勝負になると思うよ」
「そうなの?私はそう言うのよく分からないからなぁ…」
まぁ、レティは戦い慣れてるわけではないからね。
私が分析している間に準備は進み、あとは開始の合図を待つのみだ。
「二人とも準備オーケーですね?では……レディー!ファイッ!!」
合図とともに、グッ!!と二人の力が込められた。
今度は一瞬では決着がつかず勝負は持久戦となったことで、ギャラリーは驚き呆気にとられ…次いで大きな歓声が上がった!
「凄えぞ!嬢ちゃん!頑張れ!!」
「おい、ラウル!負けたら情けねえぞ!」
やんややんやの大喝采で大いに盛り上がる。
「ルシェーラちゃん!頑張れ~!」
レティも声を張り上げて応援する。
勝負は一進一退の攻防を見せ、なかなか決着が付かない熱い戦いにギャラリーの興奮は最高潮となる。
「やっぱりやるな!!だが、負けねえぜ!!」
「くっ!あなたも…!!やりますわね!」
勝負は全くの互角に見えたが、徐々にルシェーラが押し込まれ始めてきた…!
そして…ラウルさんがダメ押しする!!
「これで終わりだ!!」
そして……
「そこまで!勝者ラウル!!」
わあーーーっ!!!
レフェリーの宣言に、これまでで一番の大歓声が上がった。
…そしてヤジも飛ぶ。
「てめーラウル!少しは手加減しろー!」
「可愛い娘いじめてんじゃねぇ!!」
「うっせえ!めちゃめちゃ強えんだよ、この嬢ちゃん!シャレにならねえっての!」
「おつかれ~、惜しかったね」
「うう~、悔しいですわ…あの人、やっぱり強いですわ」
「そうだね…多分冒険者だとすればAランクでもおかしくなさそうに見えるよ」
と、私達の会話が聞こえたのか、ラウルさんがまた話しかけてくる。
「おう、そうだぜ。俺はAランク冒険者だ。それにしても嬢ちゃん、強かったぜ」
「いえ、完敗ですわ…」
「なに、殆ど互角だったさ。それに実戦で戦ったらどうか分からんしな…あんた、武神杯には出ないのか?」
「私は出ませんわ」
「そうか…残念だ。そっちの嬢ちゃんは?あんたも只者じゃなさそうだが…」
「あ、私は出場予定です」
「「え?」」
「そうか!こいつは楽しみだな。…ここで前哨戦やってくか?」
と、私にも腕相撲勝負の誘いをかけてくるが…
「ん~…いや、遠慮しておきます」
ちょっと目立ってきてるし、身バレしないとも限らないからこれ以上はやめておこう。
「そうか。まあ、楽しみは後にとっとくか…じゃあな!」
そして私達は、未だ興奮冷めやらぬ観客を背にしてその場を立ち去るのだった。
「カティア、武神杯でるの?」
「うん、参加手続きしてるよ。父様の許可も貰ってるし」
「まあ、陛下ならありえるのかな…」
「私も申し込めば良かったですわ…」
ルシェーラは…閣下は許してくれそうだけど、リュシアンさんがどうかな…
「また来年があるよ」
「そうですわね…今年はカティアさんの応援をしますわ」
「私も~。これは楽しみが増えたよ。カティア、頑張ってね」
「うん、応援よろしくね。…じゃあ、次はどこに行こうか?」
そして私達はまた祭を楽しむために街を散策するのであった。
露店で色々と買食いしたので、今度はそれ以外のお店や大道芸などを見て回る。
ロウエンさんみたいなジャグラーだったり、様々な楽器の演奏や踊り、動物を意のままに操って芸をさせたり…中には劇をやってたりして多くの人を集めていた。
「やっぱ同業者としては気になるものなの?規模は全然違うけどさ」
「ん~、気になると言うか…懐かしいなって感じ。私達の原点だしね。あとはやっぱり参考になるし、ウチのメンバーも色々と見て回ってるんじゃないかな。どういうものがウケてるのか、とかね」
「へえ~…」
「逆に、エーデルワイスは彼らにとっても目標になってるのではないですか?励みになってると思いますわよ」
「そうかな…?そうだとしたら嬉しいね」
私達を目標にしてくれる人達がいるのであれば、こちらこそ励みになるものだと思った。
「…ねえねえ、あそこの人集りは何かな?」
レティが指し示す方を見ると確かに人集りが。
何らかの催し物をやってるのだと思うけど、すごく盛り上がっているみたい。
「ここからではよく見えませんわね…」
「じゃあ行ってみようか!」
何をやっているのか気になった私達が、人混みを掻き分けて進んだその先には…
「さぁさぁっ!次の挑戦者はいないのか!?この俺、ラウルに勝てれば金貨一枚!挑戦料は銀貨一枚だ!」
見るからに鍛え上げられた肉体を持つ男がギャラリーに向って叫ぶ。
男の前には二本の棒が突き出たテーブルのようなものがおいてあった。
「ああ、なるほど…腕相撲か」
「へえ~、面白そうだね」
それに、あの人…見掛け倒しではなく、かなり強者の雰囲気を感じる。
やがて一人の挑戦者が名乗りを上げた。
挑戦者は筋骨隆々の大男で、対する男…ラウルさんと比べてもかなりの体格差がある。
「お、あんたが挑戦するんだな」
「おうよ!賞金はいただきだぜ!」
大男は自信満々のようだ。
ギャラリーも、体格差のある大男が勝つと予想する声が多いようだ。
二人はテーブル上でガッチリと手を握り、もう片方の手で突き出た棒を掴み、対戦の準備を行う。
レフェリーらしき人が、握りあった二人の手に自分の手を添えながらお互い力を抜くように指示し、準備が整ったところで開始の合図をする!
「レディー……ファイッ!!」
レフェリーの合図とともに二人が一気に力を解き放つ!
そして、ほんの一瞬で決着がついた!
勝ったのはラウルさんだった。
…やっぱりね。
おおーっ!!
予想を覆す結果にギャラリーが沸き立つ。
これは盛り上がるね!
「さあ、お次はどいつだ!?俺もかなり連戦してるしチャンスかもしれないぞ!!」
と、ラウルはギャラリーを煽って次なる挑戦者を求める。
すると彼は、ギャラリーの最前列で観戦していた私達に気が付いて値踏みするように眺めたあと、声をかけてきた。
「ほぅ…お嬢ちゃんたち、なかなか強そうじゃないか」
その言葉を聞いたギャラリーは、男と私達を見比べ唖然とし…そして爆笑が巻き起こった。
「おいおいおい…マジか、ラウルさんよ。こんな細っこい嬢ちゃんたちが強いだなんて…」
どうやら知り合いらしい人がギャラリーを代表してツッコミを入れる。
まあ、見た目だけ見ればそうなるよね。
「あん?何がだ?その嬢ちゃんたち…そっちの黒髪の二人はさっきの大男なんかよりもずっと強いと思うぞ?」
へぇ…
見た目で侮らないあたり、私の感覚は正しかったのだろうね。
「どうだ?俺と対戦しないか?」
と聞いてくる。
どうしようかな…と思っていると、ルシェーラが先に答えた。
「面白そうですわ!私やってみます。銀貨一枚でしたわよね…はい、どうぞ」
「おお!やってくれるか!毎度あり!…こいつは腕がなるぜ」
この娘、こう言うの好きだよねぇ…
思ってもみなかった挑戦者の登場に、ギャラリーはこれまでにないくらい盛り上がる。
さて、どう見るか…
体格差はさっきの対戦並みにある。
だが、ルシェーラはああ見えて槍戦斧をブンブン振り回すくらいの腕力の持ち主だ。
私の見立てでは純粋な腕力勝負であれば互角ではないかと見ている。
あとは瞬発力とか、拮抗した場合は持続力も必要になってくるが…最終的には腕相撲に慣れているであろうラウルさんの方が有利ではないかと思う。
「う~ん…ルシェーラちゃん、大丈夫かな?」
「いい勝負になると思うよ」
「そうなの?私はそう言うのよく分からないからなぁ…」
まぁ、レティは戦い慣れてるわけではないからね。
私が分析している間に準備は進み、あとは開始の合図を待つのみだ。
「二人とも準備オーケーですね?では……レディー!ファイッ!!」
合図とともに、グッ!!と二人の力が込められた。
今度は一瞬では決着がつかず勝負は持久戦となったことで、ギャラリーは驚き呆気にとられ…次いで大きな歓声が上がった!
「凄えぞ!嬢ちゃん!頑張れ!!」
「おい、ラウル!負けたら情けねえぞ!」
やんややんやの大喝采で大いに盛り上がる。
「ルシェーラちゃん!頑張れ~!」
レティも声を張り上げて応援する。
勝負は一進一退の攻防を見せ、なかなか決着が付かない熱い戦いにギャラリーの興奮は最高潮となる。
「やっぱりやるな!!だが、負けねえぜ!!」
「くっ!あなたも…!!やりますわね!」
勝負は全くの互角に見えたが、徐々にルシェーラが押し込まれ始めてきた…!
そして…ラウルさんがダメ押しする!!
「これで終わりだ!!」
そして……
「そこまで!勝者ラウル!!」
わあーーーっ!!!
レフェリーの宣言に、これまでで一番の大歓声が上がった。
…そしてヤジも飛ぶ。
「てめーラウル!少しは手加減しろー!」
「可愛い娘いじめてんじゃねぇ!!」
「うっせえ!めちゃめちゃ強えんだよ、この嬢ちゃん!シャレにならねえっての!」
「おつかれ~、惜しかったね」
「うう~、悔しいですわ…あの人、やっぱり強いですわ」
「そうだね…多分冒険者だとすればAランクでもおかしくなさそうに見えるよ」
と、私達の会話が聞こえたのか、ラウルさんがまた話しかけてくる。
「おう、そうだぜ。俺はAランク冒険者だ。それにしても嬢ちゃん、強かったぜ」
「いえ、完敗ですわ…」
「なに、殆ど互角だったさ。それに実戦で戦ったらどうか分からんしな…あんた、武神杯には出ないのか?」
「私は出ませんわ」
「そうか…残念だ。そっちの嬢ちゃんは?あんたも只者じゃなさそうだが…」
「あ、私は出場予定です」
「「え?」」
「そうか!こいつは楽しみだな。…ここで前哨戦やってくか?」
と、私にも腕相撲勝負の誘いをかけてくるが…
「ん~…いや、遠慮しておきます」
ちょっと目立ってきてるし、身バレしないとも限らないからこれ以上はやめておこう。
「そうか。まあ、楽しみは後にとっとくか…じゃあな!」
そして私達は、未だ興奮冷めやらぬ観客を背にしてその場を立ち去るのだった。
「カティア、武神杯でるの?」
「うん、参加手続きしてるよ。父様の許可も貰ってるし」
「まあ、陛下ならありえるのかな…」
「私も申し込めば良かったですわ…」
ルシェーラは…閣下は許してくれそうだけど、リュシアンさんがどうかな…
「また来年があるよ」
「そうですわね…今年はカティアさんの応援をしますわ」
「私も~。これは楽しみが増えたよ。カティア、頑張ってね」
「うん、応援よろしくね。…じゃあ、次はどこに行こうか?」
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