137 / 683
第六幕 転生歌姫の王都デビュー
第六幕 21 『受験勉強』
しおりを挟む
翌朝、私はミーティアとマリーシャ、ケイトリンと共に王城に向かう。
本日の予定は…お勉強だ。
国立アクサレナ高等学園の過去何年か分の試験問題を手配してもらったので、それを見て試験対策を行うのだ。
自分が現時点でどの程度問題を解くことができて、どこを重点的に勉強すれば良いのか。
それが確認できれば、効率的な勉強の計画と、講師の手配をしてもらえるという事だ。
題して、『カティア姫絶対合格プロジェクト』だ!
……そこまでしてもらって合格できなかったらどうしよ。
「カティア様、私はこれから他の任務があるので別の護衛と交代しますね。あ、ミーティアちゃん、ママはこれからお勉強だから、クラーナ様のところに遊びに行こうか?私が送っていくよ」
「うん!わかった!ママ、がんばってね!」
「うん、ありがと。クラーナと仲良くね」
「では、カティア様、また明日!お勉強頑張ってくださいね~」
「ケイトリンもありがとう。また明日よろしくね」
私の部屋の前まで来ると、ケイトリンはそう言ってミーティアと一緒に去っていった。
代わりに別の男性騎士が護衛として部屋の前に立つらしい。
…?
この前は城内では護衛なんて付かなかったけど…
…まあ、いいか。
立場的に別に不思議でもないし。
普通はそういうものなんだろう。
「それではカティア様、こちらが宰相閣下が手配して下さった、過去5年分の試験問題になります」
そう言ってマリーシャが紙の束を渡してくれる。
結構な分量があるなぁ…
「ありがとう、マリーシャ。どれどれ…うわ~、結構問題数がありそうだね…」
「教科にもよりますが…大体設問は50前後くらいでしょうか。選択問題、記述問題…あとは論述問題など、満遍なくありますね」
「ふむふむ…それで、教科は…文学、歴史学、政治・経済学、地理学、数学、自然科学、神学、魔法学、武術そして…教養かぁ」
「はい。その中から6教科選択ですが…教養は必須ですね」
「はぁ…一番心配なのが必須なのか。まあ、それは良いとして、あと私が出来そうなのは…」
文学:前世で言うところの国語だね。図書館通いで割と文学には親しんでるし、そこそこ行けそうな気がする。
歴史学:これはそのまんまだね。やっぱり図書館で歴史書とかも読んでるので、これも行けるんじゃないかな?
政治・経済学:う~ん…パス!…と、言いたいところだけど。これから一番必要なのはこれだよねぇ…立場的に。
地理学:社会科の地理だね。職業柄そこそこ詳しいので、これはアリかな?
数学:前世の【俺】の得意分野だね。これは受けておこう。
自然科学:理科だね。化学とか物理じゃなくて『理科』ね。これも前世の得意分野だ。受けましょう。
神学:これ神代語だね。ぱっと見行けそう。よし、これも受けよう。
魔法学:学院主席の姉さんの薫陶を受けてるからね。まあまあ自信あり。実技試験もあるらしい。よし、貰った!
武術:剣でも槍でも弓でも…実技がものを言う。これも自信あり。
教養:…必須なので受けなきゃいけないんだけど。礼儀作法全般だね。しかもこれ、実技だったり…。む?音楽もここになるんだ…歌とかでもいいのかな?それなら得意なんだけど。
「う~ん…この中からなら、数学、自然科学、神学、魔法学、武術、教養かな?」
「完全に6教科選択して受ける、でも良いのですが…全教科試験を受けて点数が良いものから6教科合計という事もできますよ」
「あ、そうなんだ…じゃあそうしようかな。重点的に対策するのは6教科にして、試験は念のため全教科受ける、ということにしようか」
「はい、私もそれがよろしいかと存じます」
少しでも確率は上げないとだね。
という事で、先ずは去年の数学と自然科学の問題を解いてみる。
一番自信がある教科がどの程度できるか見てみることにしたのだ。
試験は1教科2時間とのこと。
結構長丁場だけど、1問当たりに使える時間は2分ちょっと。
記述問題や論述問題は時間かかるし、決して時間的な余裕があるわけではないだろう。
試験時間が長いから、全教科受けるとなると…1日3~4教科で3日間かけてやるらしい。
なかなかハードだね。
しかし…こう言った試験対策は前世で随分やったけど、こんなところで【俺】の経験が生きるとはなぁ…
そんなこんなで早速問題を解いてみたのだが、流石に得意教科というだけあって1教科1時間ほどで全問回答することができた。
数学の問題は四則演算程度…なんてことはなく、関数、数列、行列、確率、素因数分解、幾何学などなど…微分積分なんかは無かったが、前世で言うところの高校までに習うことは出る感じだった。
自然科学は理科…小学校からせいぜい中学校程度の簡単な力学くらいまでか。
数学と比べて偏ってる気がするけど…魔法があることの影響なのかなぁ…?
回答を書き終わった答案用紙をマリーシャに渡して採点してもらう。
しばらくしてから、どうやら採点が終わったようだ。
「…ど、どうかな?」
ちょっとドキドキして聞いてみる。
感触は悪くなかったけど…
「…カティア様、正直私は驚きました」
「え?…ダメだった?」
「逆ですよ。両方とも満点です。カティア様が博識というのは聞いておりましたが…ここまででいらっしゃるとは。感服いたしました」
ほっ。
自信あるって豪語しちゃったから、もしダメだったら凹んでいたところだよ。
しかし、満点とは…結構覚えているものだね。
というか、私の記憶力が優秀だから、【俺】のものも含めて過去の記憶を引き出すのがスムーズにできるような気がする。
「2教科満点なら、他がよっぽど点が取れない限り合格は問題ないと思います」
え、そうなの?
あ~…確かレティが『あなた』なら大丈夫って言っていたけど、そういう事だったのかな?
「でも、せっかくなら他の教科もいい点数が取りたいね」
「はい。良い心がけかと存じます。やはり王族として注目されるかと思いますので、良い成績であるのに越したことはないでしょう」
そだね…おバカで注目はされたくないもんね。
やっぱり当初の計画通り、しっかり勉強はしておこう。
そして、お昼を挟んで他の教科もやってみる。
流石に全部やるほどの時間はないので、神学と魔法学だけ。
神学は神代語や神々の伝承などに関する知識を問うもの。
魔法学は魔法語やそれを組み合わせた詠唱に関する理論、魔法の発展の歴史などに関する問題だった。
さて、それらの結果はどうだったかというと…
「こちらも素晴らしいですね。満点とはいきませんでしたが、それに近いです」
「お~、良かったよ。合格するだけなら問題なさそうだね。とは言え…確実にするためには繰り返し問題を解くのと、間違ったところはしっかり出来るようにしておかないとね。あとはどれだけ高得点を目指せるか…他の教科も見てみないと」
「はい。私があれこれ言わずともやるべきことをご理解されているご様子ですし、私も安心しました」
もちろん油断大敵ではあるけれど、まだ時間もあるしコツコツやっていけばきっと合格をモノにできるだろう。
本日の予定は…お勉強だ。
国立アクサレナ高等学園の過去何年か分の試験問題を手配してもらったので、それを見て試験対策を行うのだ。
自分が現時点でどの程度問題を解くことができて、どこを重点的に勉強すれば良いのか。
それが確認できれば、効率的な勉強の計画と、講師の手配をしてもらえるという事だ。
題して、『カティア姫絶対合格プロジェクト』だ!
……そこまでしてもらって合格できなかったらどうしよ。
「カティア様、私はこれから他の任務があるので別の護衛と交代しますね。あ、ミーティアちゃん、ママはこれからお勉強だから、クラーナ様のところに遊びに行こうか?私が送っていくよ」
「うん!わかった!ママ、がんばってね!」
「うん、ありがと。クラーナと仲良くね」
「では、カティア様、また明日!お勉強頑張ってくださいね~」
「ケイトリンもありがとう。また明日よろしくね」
私の部屋の前まで来ると、ケイトリンはそう言ってミーティアと一緒に去っていった。
代わりに別の男性騎士が護衛として部屋の前に立つらしい。
…?
この前は城内では護衛なんて付かなかったけど…
…まあ、いいか。
立場的に別に不思議でもないし。
普通はそういうものなんだろう。
「それではカティア様、こちらが宰相閣下が手配して下さった、過去5年分の試験問題になります」
そう言ってマリーシャが紙の束を渡してくれる。
結構な分量があるなぁ…
「ありがとう、マリーシャ。どれどれ…うわ~、結構問題数がありそうだね…」
「教科にもよりますが…大体設問は50前後くらいでしょうか。選択問題、記述問題…あとは論述問題など、満遍なくありますね」
「ふむふむ…それで、教科は…文学、歴史学、政治・経済学、地理学、数学、自然科学、神学、魔法学、武術そして…教養かぁ」
「はい。その中から6教科選択ですが…教養は必須ですね」
「はぁ…一番心配なのが必須なのか。まあ、それは良いとして、あと私が出来そうなのは…」
文学:前世で言うところの国語だね。図書館通いで割と文学には親しんでるし、そこそこ行けそうな気がする。
歴史学:これはそのまんまだね。やっぱり図書館で歴史書とかも読んでるので、これも行けるんじゃないかな?
政治・経済学:う~ん…パス!…と、言いたいところだけど。これから一番必要なのはこれだよねぇ…立場的に。
地理学:社会科の地理だね。職業柄そこそこ詳しいので、これはアリかな?
数学:前世の【俺】の得意分野だね。これは受けておこう。
自然科学:理科だね。化学とか物理じゃなくて『理科』ね。これも前世の得意分野だ。受けましょう。
神学:これ神代語だね。ぱっと見行けそう。よし、これも受けよう。
魔法学:学院主席の姉さんの薫陶を受けてるからね。まあまあ自信あり。実技試験もあるらしい。よし、貰った!
武術:剣でも槍でも弓でも…実技がものを言う。これも自信あり。
教養:…必須なので受けなきゃいけないんだけど。礼儀作法全般だね。しかもこれ、実技だったり…。む?音楽もここになるんだ…歌とかでもいいのかな?それなら得意なんだけど。
「う~ん…この中からなら、数学、自然科学、神学、魔法学、武術、教養かな?」
「完全に6教科選択して受ける、でも良いのですが…全教科試験を受けて点数が良いものから6教科合計という事もできますよ」
「あ、そうなんだ…じゃあそうしようかな。重点的に対策するのは6教科にして、試験は念のため全教科受ける、ということにしようか」
「はい、私もそれがよろしいかと存じます」
少しでも確率は上げないとだね。
という事で、先ずは去年の数学と自然科学の問題を解いてみる。
一番自信がある教科がどの程度できるか見てみることにしたのだ。
試験は1教科2時間とのこと。
結構長丁場だけど、1問当たりに使える時間は2分ちょっと。
記述問題や論述問題は時間かかるし、決して時間的な余裕があるわけではないだろう。
試験時間が長いから、全教科受けるとなると…1日3~4教科で3日間かけてやるらしい。
なかなかハードだね。
しかし…こう言った試験対策は前世で随分やったけど、こんなところで【俺】の経験が生きるとはなぁ…
そんなこんなで早速問題を解いてみたのだが、流石に得意教科というだけあって1教科1時間ほどで全問回答することができた。
数学の問題は四則演算程度…なんてことはなく、関数、数列、行列、確率、素因数分解、幾何学などなど…微分積分なんかは無かったが、前世で言うところの高校までに習うことは出る感じだった。
自然科学は理科…小学校からせいぜい中学校程度の簡単な力学くらいまでか。
数学と比べて偏ってる気がするけど…魔法があることの影響なのかなぁ…?
回答を書き終わった答案用紙をマリーシャに渡して採点してもらう。
しばらくしてから、どうやら採点が終わったようだ。
「…ど、どうかな?」
ちょっとドキドキして聞いてみる。
感触は悪くなかったけど…
「…カティア様、正直私は驚きました」
「え?…ダメだった?」
「逆ですよ。両方とも満点です。カティア様が博識というのは聞いておりましたが…ここまででいらっしゃるとは。感服いたしました」
ほっ。
自信あるって豪語しちゃったから、もしダメだったら凹んでいたところだよ。
しかし、満点とは…結構覚えているものだね。
というか、私の記憶力が優秀だから、【俺】のものも含めて過去の記憶を引き出すのがスムーズにできるような気がする。
「2教科満点なら、他がよっぽど点が取れない限り合格は問題ないと思います」
え、そうなの?
あ~…確かレティが『あなた』なら大丈夫って言っていたけど、そういう事だったのかな?
「でも、せっかくなら他の教科もいい点数が取りたいね」
「はい。良い心がけかと存じます。やはり王族として注目されるかと思いますので、良い成績であるのに越したことはないでしょう」
そだね…おバカで注目はされたくないもんね。
やっぱり当初の計画通り、しっかり勉強はしておこう。
そして、お昼を挟んで他の教科もやってみる。
流石に全部やるほどの時間はないので、神学と魔法学だけ。
神学は神代語や神々の伝承などに関する知識を問うもの。
魔法学は魔法語やそれを組み合わせた詠唱に関する理論、魔法の発展の歴史などに関する問題だった。
さて、それらの結果はどうだったかというと…
「こちらも素晴らしいですね。満点とはいきませんでしたが、それに近いです」
「お~、良かったよ。合格するだけなら問題なさそうだね。とは言え…確実にするためには繰り返し問題を解くのと、間違ったところはしっかり出来るようにしておかないとね。あとはどれだけ高得点を目指せるか…他の教科も見てみないと」
「はい。私があれこれ言わずともやるべきことをご理解されているご様子ですし、私も安心しました」
もちろん油断大敵ではあるけれど、まだ時間もあるしコツコツやっていけばきっと合格をモノにできるだろう。
11
お気に入りに追加
344
あなたにおすすめの小説
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
【完結】いせてつ 〜TS転生令嬢レティシアの異世界鉄道開拓記〜
O.T.I
ファンタジー
レティシア=モーリスは転生者である。
しかし、前世の鉄道オタク(乗り鉄)の記憶を持っているのに、この世界には鉄道が無いと絶望していた。
…無いんだったら私が作る!
そう決意する彼女は如何にして異世界に鉄道を普及させるのか、その半生を綴る。
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
私って何者なの
根鳥 泰造
ファンタジー
記憶を無くし、魔物の森で倒れていたミラ。テレパシーで支援するセージと共に、冒険者となり、仲間を増やし、剣や魔法の修行をして、最強チームを作り上げる。
そして、国王に気に入られ、魔王討伐の任を受けるのだが、記憶が蘇って……。
とある異世界で語り継がれる美少女勇者ミラの物語。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる