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第2章
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ここが広場か…っと警備兵が多いな?
ん?
………居た。あのクソ副団長。ほぅ、あいつが要か?
広場は後回しにするか…と来ると狙うはあいつの奥方だな。
がさっ
「き!?」
ごちゅっ
っと危ねぇ危ねぇ…後ろから来るとは思わなかった。
咄嗟に頭を潰しちまったな…ちっ、匂いが広まる前に一時退散だなこりゃ。
が、この鎧は使えそうだな…ふむ、良い事思い付いた…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さてと、ここがあいつの屋敷か?いや、今は領主だから館か?
警備は門の前に4人、塀の上は有刺鉄線か…
クククッ…監獄だなこりゃあ。いい舞台だ!
しかし有刺鉄線ね…いい趣味してんなあいつ。この世界にゃそうそう見かけねぇぞ?
ま、舞台は整えないと…な!
「おい!其処のお前!此処は所属じゃないだろ!持ち場に戻れ!」
「いえ!至急御報告したい事がございまして!」
「何だ!」
「いえ!奥方様にと承っております!」
「奥方様に…だと?」
ん?何か不味い事言ったか?
「何故それを知っている!?怪しい奴め、ひっ捕らえろ!!」
あちゃーそういう事か…てかさ?
「俺一人に4人って馬鹿か?」
「何を!?」
「お前らみたいな羽虫が何匹集まっても意味無ぇつってんの」
「!?貴様っ!!」
二人が斬りかかり残り塀の上の二人は弩を構える。
「死ねい!!この賊が!!」
「うおおおおっ!!!」
後に叫んだ方が右から袈裟懸けに斬り込んで来た。その後ろを最初に叫んだ男が随伴する。
ふぅん?人相手なら有効だな…
人相手ならな?
俺はメイスを腰から抜き放つと全力で振り抜いた。
そう、技術もクソもない。力任せの一撃だ。
「もらっ!??」
「なぁっ!?」
ぼちゃんっ!
そんな水袋が潰れる様な音と共に斬りかかって来た男の上半身が爆ぜ、周りに臓腑を撒き散らす。
後ろから随伴していた男は驚き、一瞬固まるも直ぐに斬りかかって来た。
塀の上の二人も弩を蔓を引き終わったのかその光景を見て慌てて撃ち込んで来た。
が、遅い上にタイミングが悪い。
「おっさん、ドンマイ!」
「何を!?」
ドシュッドシュッ!!
「ぐあああっ!!!」
「「た、隊長!?」」
「ぐ、早く蔓を引き絞れ!」
「はっ!」
タフいね隊長さん?けど
「待つわけ無いだろ?」
キュキュンッ
「へ?」
「は?」
ドンッ!
「げぇっ!?」
「な、何だこれ!?」
塀の上の二人は胸の真ん中から剣を生やして信じられないという顔のまま口元と胸元を朱に染めながら其処から落ちた。
「貴様!?」
「はい時間切れー」
「貴様、その剣は!」
「あ?この投げた剣の事か?」
「それはまさか!?」
「あぁ、そうだよ。さっき殺した奴と最初に頭を潰した奴の二人分の剣だ」
「貴様何て事を!!」
は?何言ってんの?ンなモン利用できそうだから利用したんだが?
「騎士の誇りを…国の誇りを何だと思っている!!」
はぁ?人の事無実で殺しといて誇りだぁ?
ごしゃっ
「ぶげぇっ!?」
「誇りだと?てめぇらの誇りか?そんなモン馬の糞以下の何の役にも立たない口上の事か?」
「ぎ、ぎざま!!」
っとついイラッとして鼻を蹴り潰しちまったな。
話し辛いし聞き辛いから治すか、顔だけ。
「回復魔法 リバース 部分指定・顔面の負傷部。ただし神経系は直さず痛めたままで」
チリンッ
鈴の様な音と共に隊長の顔が治る。見かけは。しかし神経系は切れたままだ。
だから痛みは引かない。
「貴様何をした!?何故痛みが引かない!?」
「あん?治したのが見た目だけだからだろ?」
「貴様ぁぁ!!」
「あんま五月蝿いとさ?殺すよ?別に脳さえ有れば情報は幾らでも引き出せるんだから?」
「なっ!?」
おーおー、盛大に顔を引き攣らせてんなぁ。
ま、殺したく無いんじゃなくて殺したらつまらないからだけど。
「で?喋る?死ぬ?」
「ぐっ!?」
立ち上がろうとしたから蹴り倒す。無様だな。
さてと、多分こいつは喋らないから誰か別のやつを…
「話せば助けてくれるか!?」
「あ゛?」
「話せば!助けてくれるのか!?」
わーお…ここまで堕ちたか、騎士団。都合が良いから構わんけど…
「じゃ聞くわ。奥方は何処?」
「この屋敷の奥の部屋に…」
「子供は?」
「いない」
「そうか」
「じゃあ…」
キンッ
シュラッ
俺が刀を抜くと隊長は盛大に顔を引き攣らせた。
「何でだ!?話したじゃ無いか!?」
「まあな、けど顔見たろ?」
「話さない!話さないか…」
「ま、諦めて死ねよ?」
ヒュッ
「ら゛っ!?」
プシュッ
びちゃびちゃっ!!
…どちゃっ
隊長は首が飛んでから暫く噴水になっていたが、やがてバランスを崩しその血溜まりに伏した。
やっぱ殺るならこうでなくちゃな?こうしねぇと興奮しねぇもんな!
さてと奥方の場所に行きますかね?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「奥様!不審者でずっ!?」
ヒュンッ
ごしゃっ!
ぶちゅっ!
五月蝿えメイドだな…壁のシミになってろっつーの!
これで何匹目だ?ったく蛆虫みてぇに次から次へと鬱陶しい。
お?あの部屋か?どれどれ
コンコン
「奥様!お開け下さい!賊です!お守りしますので館から出ましょう!」
「!?何ですって!?待って!すぐに開けるわ!!」
ちょろっ!ちょろすぎだろ!?
ガチャ!
「開けたわ゛っ!?」
「はい今晩わー。じゃ、お出掛けしますか」
「何ですか!?貴女は!?」
「ん?浮気相手?」
「正直に言えば…もがっ!?」
「五月蝿いから黙ろうねー」
本当五月蝿えな。メイドも五月蝿けりゃ主人もか?
ま、丁度下着とかあって口を塞げたからいいだろう。自分の下着だ。汚いとは思わんだろ?
さあ!次は仲間を呼んで増やしますか!!
「あははははははははははははははははっ!!!」
夜空には月が出て、俺の笑い声は赤くなった館と夜空に溶け込んだ。
ん?
………居た。あのクソ副団長。ほぅ、あいつが要か?
広場は後回しにするか…と来ると狙うはあいつの奥方だな。
がさっ
「き!?」
ごちゅっ
っと危ねぇ危ねぇ…後ろから来るとは思わなかった。
咄嗟に頭を潰しちまったな…ちっ、匂いが広まる前に一時退散だなこりゃ。
が、この鎧は使えそうだな…ふむ、良い事思い付いた…
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
さてと、ここがあいつの屋敷か?いや、今は領主だから館か?
警備は門の前に4人、塀の上は有刺鉄線か…
クククッ…監獄だなこりゃあ。いい舞台だ!
しかし有刺鉄線ね…いい趣味してんなあいつ。この世界にゃそうそう見かけねぇぞ?
ま、舞台は整えないと…な!
「おい!其処のお前!此処は所属じゃないだろ!持ち場に戻れ!」
「いえ!至急御報告したい事がございまして!」
「何だ!」
「いえ!奥方様にと承っております!」
「奥方様に…だと?」
ん?何か不味い事言ったか?
「何故それを知っている!?怪しい奴め、ひっ捕らえろ!!」
あちゃーそういう事か…てかさ?
「俺一人に4人って馬鹿か?」
「何を!?」
「お前らみたいな羽虫が何匹集まっても意味無ぇつってんの」
「!?貴様っ!!」
二人が斬りかかり残り塀の上の二人は弩を構える。
「死ねい!!この賊が!!」
「うおおおおっ!!!」
後に叫んだ方が右から袈裟懸けに斬り込んで来た。その後ろを最初に叫んだ男が随伴する。
ふぅん?人相手なら有効だな…
人相手ならな?
俺はメイスを腰から抜き放つと全力で振り抜いた。
そう、技術もクソもない。力任せの一撃だ。
「もらっ!??」
「なぁっ!?」
ぼちゃんっ!
そんな水袋が潰れる様な音と共に斬りかかって来た男の上半身が爆ぜ、周りに臓腑を撒き散らす。
後ろから随伴していた男は驚き、一瞬固まるも直ぐに斬りかかって来た。
塀の上の二人も弩を蔓を引き終わったのかその光景を見て慌てて撃ち込んで来た。
が、遅い上にタイミングが悪い。
「おっさん、ドンマイ!」
「何を!?」
ドシュッドシュッ!!
「ぐあああっ!!!」
「「た、隊長!?」」
「ぐ、早く蔓を引き絞れ!」
「はっ!」
タフいね隊長さん?けど
「待つわけ無いだろ?」
キュキュンッ
「へ?」
「は?」
ドンッ!
「げぇっ!?」
「な、何だこれ!?」
塀の上の二人は胸の真ん中から剣を生やして信じられないという顔のまま口元と胸元を朱に染めながら其処から落ちた。
「貴様!?」
「はい時間切れー」
「貴様、その剣は!」
「あ?この投げた剣の事か?」
「それはまさか!?」
「あぁ、そうだよ。さっき殺した奴と最初に頭を潰した奴の二人分の剣だ」
「貴様何て事を!!」
は?何言ってんの?ンなモン利用できそうだから利用したんだが?
「騎士の誇りを…国の誇りを何だと思っている!!」
はぁ?人の事無実で殺しといて誇りだぁ?
ごしゃっ
「ぶげぇっ!?」
「誇りだと?てめぇらの誇りか?そんなモン馬の糞以下の何の役にも立たない口上の事か?」
「ぎ、ぎざま!!」
っとついイラッとして鼻を蹴り潰しちまったな。
話し辛いし聞き辛いから治すか、顔だけ。
「回復魔法 リバース 部分指定・顔面の負傷部。ただし神経系は直さず痛めたままで」
チリンッ
鈴の様な音と共に隊長の顔が治る。見かけは。しかし神経系は切れたままだ。
だから痛みは引かない。
「貴様何をした!?何故痛みが引かない!?」
「あん?治したのが見た目だけだからだろ?」
「貴様ぁぁ!!」
「あんま五月蝿いとさ?殺すよ?別に脳さえ有れば情報は幾らでも引き出せるんだから?」
「なっ!?」
おーおー、盛大に顔を引き攣らせてんなぁ。
ま、殺したく無いんじゃなくて殺したらつまらないからだけど。
「で?喋る?死ぬ?」
「ぐっ!?」
立ち上がろうとしたから蹴り倒す。無様だな。
さてと、多分こいつは喋らないから誰か別のやつを…
「話せば助けてくれるか!?」
「あ゛?」
「話せば!助けてくれるのか!?」
わーお…ここまで堕ちたか、騎士団。都合が良いから構わんけど…
「じゃ聞くわ。奥方は何処?」
「この屋敷の奥の部屋に…」
「子供は?」
「いない」
「そうか」
「じゃあ…」
キンッ
シュラッ
俺が刀を抜くと隊長は盛大に顔を引き攣らせた。
「何でだ!?話したじゃ無いか!?」
「まあな、けど顔見たろ?」
「話さない!話さないか…」
「ま、諦めて死ねよ?」
ヒュッ
「ら゛っ!?」
プシュッ
びちゃびちゃっ!!
…どちゃっ
隊長は首が飛んでから暫く噴水になっていたが、やがてバランスを崩しその血溜まりに伏した。
やっぱ殺るならこうでなくちゃな?こうしねぇと興奮しねぇもんな!
さてと奥方の場所に行きますかね?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「奥様!不審者でずっ!?」
ヒュンッ
ごしゃっ!
ぶちゅっ!
五月蝿えメイドだな…壁のシミになってろっつーの!
これで何匹目だ?ったく蛆虫みてぇに次から次へと鬱陶しい。
お?あの部屋か?どれどれ
コンコン
「奥様!お開け下さい!賊です!お守りしますので館から出ましょう!」
「!?何ですって!?待って!すぐに開けるわ!!」
ちょろっ!ちょろすぎだろ!?
ガチャ!
「開けたわ゛っ!?」
「はい今晩わー。じゃ、お出掛けしますか」
「何ですか!?貴女は!?」
「ん?浮気相手?」
「正直に言えば…もがっ!?」
「五月蝿いから黙ろうねー」
本当五月蝿えな。メイドも五月蝿けりゃ主人もか?
ま、丁度下着とかあって口を塞げたからいいだろう。自分の下着だ。汚いとは思わんだろ?
さあ!次は仲間を呼んで増やしますか!!
「あははははははははははははははははっ!!!」
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