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本編
待ち合わせ
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「よし、これでいっか」
翌朝、私は鏡の前でポーズを取っていた。
連絡手段がないので、待ち合わせ場所に行かない訳にはいかず…約束通り相澤君のお家に行く事にした。
いくら相澤君が強引でちょっと変態さんでも、ご家族の前で悪さはできないだろう。今日はもう一度よく話し合って、この変な関係をなかった事にしてもらわなくちゃ。
鏡に映る私は、白いオフショルダーのミニワンピに、ショート丈の白いレースのソックス。これにピンクベージュのトレンチコートを羽織り、キャメルのショートブーツを履く予定。
持ってる服の中で一番大人っぽい服にしてみた。相澤君って大人っぽい雰囲気だもんね、隣に立った時に私だけ子供っぽくて笑われるのはごめんだ。
べ…別に相澤君の元カノに‘お子様’って言われたのを気にしてる訳じゃないもんね。
由妃ちゃんが載ってるファッション誌を見ながら、ゆるく毛先を巻いて、メイクもちょっとだけして…うん、なかなかいいんじゃない?
あとは伊織にバレないように家を出るだけ。
音を立てないようにそぉ~っとドアを開ける。
「よし、今のうちに…」
「なぁ~にが‘今のうちに’?」
「ぎゃっ!!!」
後ろから急に声をかけられて思わず叫んでしまう。
「コソコソして、相当後ろめたい事でもあるの?」
「い…伊織…。おはよう。えっと、何でもないよ。じゃあ私、急いでるから…」
そのまま通り過ぎようとした所、腕を掴まれてしまう。
「どこ行くの?」
「ちょっと友達に会いに…」
うん、嘘はついてない。
「友達って伊村さん?」
「ち…違う人。」
「誰?」
「誰って…誰でもいいでしょ?」
「言えない様な相手なのかよっ?!」
伊織の声が荒くなり、私はビクッと肩を揺らす。
「ちょ~っとぉ、朝からウルサイわよぉ!伊織もいい加減お姉ちゃん離れしなさいっ。そういうのシスコンって言うのよ?」
廊下に声が響いていたようで、お母さんが寝室から顔を出した。
「母さん!シスコンとかじゃなくて美優がっ…!」
「あー、ウルサイッ!美優、伊織はほっといていいから行きなさい。待ち合わせに遅刻しちゃうわよ」
「あ、うん。行ってきます!」
思わぬ母の助け船に、私は急いで玄関へ向かう。
「あっ!美優っ!」
伊織の怒った声が後ろから聞こえたけど無視だ。
ごめん、伊織。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
家を出て、駅に向かう途中にある洋菓子屋さんに寄り手土産を買う。相澤君のお家が何人家族かわからないから、とりあえず8個入りのフルーツゼリーにした。
9時50分。
待ち合わせの10分前に駅に着くと、遠目から解るくらいイケメンオーラを放つ相澤君の姿…。
周りには相澤君をチラチラ見ている女の子達が大勢いて、とてもじゃないけれど、この雰囲気の中相澤君に声をかけられない。
どうしようかと迷っていると、直ぐに相澤君が私に気付き駆け寄って来る。
「美優っ。良かった。来てくれないかと思った」
「おはよう。一応約束したし…。連絡先知らなかったから…その、変更も出来なかったし」
「ふふ、そっか。来てくれてありがとう。後で連絡先も交換しようね」
「う…うん」
ヤバい。私服姿の相澤君、めちゃくちゃカッコいい。黒いスキニーパンツに、ゆるっとしたシルエットのグレーのパーカー、黒のトレンチコートをサラリと羽織っており、シンプルなのにすごくオシャレ。
「ねぇ、美優。早く俺の家行こう?そんな格好の美優を皆に見せたくない」
「え…そんなに私の格好おかしかったかな…?」
やっぱり大人っぽい雰囲気は私に似合わなかったのかな…と不安になる。
相澤君はハァとため息を一つ、私をギュッと抱き締める。
「違う、逆だよ。美優が可愛すぎて皆に見せたくないの」
「ちょっ…人前で抱き締めないで…」
こういうスキンシップ、相澤君にとっては何でもない事かもしれないけど、私にとってはハードルが高すぎる。
「うん、じゃあお家でね。行こう」
「え?あ…」
自然と指を絡められ、恋人繋ぎで手を引かれる。
相澤君と一緒にいるとペースが乱されっぱなし。
ずっとドキドキしちゃうのはどうしてかな…。
翌朝、私は鏡の前でポーズを取っていた。
連絡手段がないので、待ち合わせ場所に行かない訳にはいかず…約束通り相澤君のお家に行く事にした。
いくら相澤君が強引でちょっと変態さんでも、ご家族の前で悪さはできないだろう。今日はもう一度よく話し合って、この変な関係をなかった事にしてもらわなくちゃ。
鏡に映る私は、白いオフショルダーのミニワンピに、ショート丈の白いレースのソックス。これにピンクベージュのトレンチコートを羽織り、キャメルのショートブーツを履く予定。
持ってる服の中で一番大人っぽい服にしてみた。相澤君って大人っぽい雰囲気だもんね、隣に立った時に私だけ子供っぽくて笑われるのはごめんだ。
べ…別に相澤君の元カノに‘お子様’って言われたのを気にしてる訳じゃないもんね。
由妃ちゃんが載ってるファッション誌を見ながら、ゆるく毛先を巻いて、メイクもちょっとだけして…うん、なかなかいいんじゃない?
あとは伊織にバレないように家を出るだけ。
音を立てないようにそぉ~っとドアを開ける。
「よし、今のうちに…」
「なぁ~にが‘今のうちに’?」
「ぎゃっ!!!」
後ろから急に声をかけられて思わず叫んでしまう。
「コソコソして、相当後ろめたい事でもあるの?」
「い…伊織…。おはよう。えっと、何でもないよ。じゃあ私、急いでるから…」
そのまま通り過ぎようとした所、腕を掴まれてしまう。
「どこ行くの?」
「ちょっと友達に会いに…」
うん、嘘はついてない。
「友達って伊村さん?」
「ち…違う人。」
「誰?」
「誰って…誰でもいいでしょ?」
「言えない様な相手なのかよっ?!」
伊織の声が荒くなり、私はビクッと肩を揺らす。
「ちょ~っとぉ、朝からウルサイわよぉ!伊織もいい加減お姉ちゃん離れしなさいっ。そういうのシスコンって言うのよ?」
廊下に声が響いていたようで、お母さんが寝室から顔を出した。
「母さん!シスコンとかじゃなくて美優がっ…!」
「あー、ウルサイッ!美優、伊織はほっといていいから行きなさい。待ち合わせに遅刻しちゃうわよ」
「あ、うん。行ってきます!」
思わぬ母の助け船に、私は急いで玄関へ向かう。
「あっ!美優っ!」
伊織の怒った声が後ろから聞こえたけど無視だ。
ごめん、伊織。
ーーーーーーーーーーーーーー・・・
家を出て、駅に向かう途中にある洋菓子屋さんに寄り手土産を買う。相澤君のお家が何人家族かわからないから、とりあえず8個入りのフルーツゼリーにした。
9時50分。
待ち合わせの10分前に駅に着くと、遠目から解るくらいイケメンオーラを放つ相澤君の姿…。
周りには相澤君をチラチラ見ている女の子達が大勢いて、とてもじゃないけれど、この雰囲気の中相澤君に声をかけられない。
どうしようかと迷っていると、直ぐに相澤君が私に気付き駆け寄って来る。
「美優っ。良かった。来てくれないかと思った」
「おはよう。一応約束したし…。連絡先知らなかったから…その、変更も出来なかったし」
「ふふ、そっか。来てくれてありがとう。後で連絡先も交換しようね」
「う…うん」
ヤバい。私服姿の相澤君、めちゃくちゃカッコいい。黒いスキニーパンツに、ゆるっとしたシルエットのグレーのパーカー、黒のトレンチコートをサラリと羽織っており、シンプルなのにすごくオシャレ。
「ねぇ、美優。早く俺の家行こう?そんな格好の美優を皆に見せたくない」
「え…そんなに私の格好おかしかったかな…?」
やっぱり大人っぽい雰囲気は私に似合わなかったのかな…と不安になる。
相澤君はハァとため息を一つ、私をギュッと抱き締める。
「違う、逆だよ。美優が可愛すぎて皆に見せたくないの」
「ちょっ…人前で抱き締めないで…」
こういうスキンシップ、相澤君にとっては何でもない事かもしれないけど、私にとってはハードルが高すぎる。
「うん、じゃあお家でね。行こう」
「え?あ…」
自然と指を絡められ、恋人繋ぎで手を引かれる。
相澤君と一緒にいるとペースが乱されっぱなし。
ずっとドキドキしちゃうのはどうしてかな…。
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