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~■■■による報告書2~
しおりを挟むマーディル暦2029年、01、04
【天使】研究報告書、第五九〇
・【天使の呪い】とは、天使の燃焼により焼け残った灰が、自らの意思で不可思議な現象を生じさせるものである。
・不可思議な現象とは、灰が人を襲う(謎の怪死等)、人型に具現化し動き出すといったもの。
・【養製天使】とは、【天使の呪い】を使用し、擬似的に天使化した存在である。
・同時に、灰と化しても生き続けるという【天使の呪い】の副作用により、【養製天使】は本来の人格とは別の人格(【天使の呪い】が被験者の体内にて人格を持ったとされる)が生み出されることが判明。
・ 【天使の呪い】により作り出された人格を【天使人格】と呼称。
今後は【天使人格】の研究が必要とされる。
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マーディル暦2029年、07、04
【天使】研究報告書、第六〇〇
【天使人格】について
・【天使人格】は人と差異のない知能を持つが、例外なく凶悪性があり、人への破滅衝動を持っている。
・会話は可能である。しかし虚言や暴言、脅迫、妄想といった発言が殆どであり、話し合いは不可能と断定。
・【天使人格】は一個人につき、一つの人格しか出現しない。
・【天使人格】には性別や年齢的な概念は無いと思われるが、口調は各々個性が見られる。なお、被験者の性別・年齢による影響は無い。
・大戦時、旧国家による強襲事件の起こった村で同様の報告あり。
旧国家が使用した【天使の呪い】で形成された爆薬の被弾により、死亡したと思われた村民三十七名が蘇生し、破壊行為を始めたという目撃証言があった。
ちなみに、その破壊行為が村壊滅の直接的な原因と思われる。
・よって上記事件は【天使人格】による人格入替が原因のものとする。
~~中略~~
・【天使人格】は、被験者の死を切っ掛けにその肉体を奪い、【天使人格】として蘇生することが可能とされる。これを【天使人格化】と呼称。
・また【天使人格】は、被験者を何らかの形で殺めることが可能と推測される。
【養製天使】の原因不明であった幻覚・幻聴障害、意識の混濁等と関連性があると思われる。
恐らく過去の文献に記されていた【不可思議な現象による怪死】とはこのことを示すと思われる。
・【養製天使】の人格入替は【不可思議な現象による怪死】が原因で起きたものと推測される。
なお、【養製天使】百二十名中、完全に【天使人格化】した被験者は九十六名、【天使人格】を宿している被験者は二十名、四名は不明である。
・強襲事件の資料、今回の【養製天使】の実験結果から、【天使の呪い】に感染した人間の【天使化】率は100%であり、【天使人格化】率は80%である。(2029年07、04現在)
なお【天使人格化】した場合、【養製天使】被験者人格の復活率は0である。
・結論として、【養製天使】の実験は完全な失敗。
【養製天使】を例外なく処分対象とする。
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