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~とある少年の日記 2~
しおりを挟むマーディル暦2020年、10、07
物心ついたときから、その少年はその家にいた。
男性と女性と三人暮らしの何処にでもいる農家だ。
でも、この二人は少年の親ではなかった。
その二人が少年の遠い親戚である。というのはここ最近になってから知った。
少年は親戚に嫌われているわけではない。
でも、愛されているわけでもなかった。
家の中は冷めた会話と、寂しい食卓と、つまらない毎日ばかりだと少年は言っていた。
その家で、少年は笑みを浮かべられなかったようだった。
でも、笑顔を忘れたわけでもなかった。
少年には物心ついた頃からの友達がいたからだ。
そう、それが僕だ。
年齢も同じだったから、直ぐに仲良くなった。
僕の父さんと母さんも、彼にはとても親身になってくれた。
彼のおじさんおばさん以上に、まるで自分の子供のように世話を掛けていた。
今日も彼は退屈な家から僕の家に遊びに来た。
朝からの大きな声をとがめたけれど、彼は聞かない。
それどころか、鞄から弁当やら地図やら色んな道具やらを出して見せて。
すごく嬉しそうで楽しそうな顔で冒険にいこうってはしゃいでいた。
同じ村の中だってのに、よくそんなに夢中になれるよなと思う。
でも、彼の笑顔を僕は絶対に忘れられない。
最近の彼はとにかく明るくて、とんでもないことを考える前にしてしまう。
けれど、本当はすごく真面目で、よく考えてたりする。
そしてすごく夢がでかいんだ。ロマンチスト? と父さんは言っていた。
僕とはまったく正反対なんだ。
彼はいつも僕の考えつかないことをする。
とてもドキドキして、大変で、わくわくして、楽しい。
だから、嫌いじゃない。
むしろ好きだ。
少年と僕は、兄弟であり、家族であり、そしてこの世界でたった一人の親友だ。
僕が今日、こうして日記に書こうと思ったのは、少年へのこの気持ちを書き残しておきたかったからだ。
ありがとう、僕の友達。
ありがとう、僕の兄弟。
ありがとう、僕の家族。
ずっとずっと、君と親友でいられたら、僕はたいくつもなくて、楽しくて、幸せだろうな。
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