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第一篇 ~銀弾でも貫かれない父娘の狼~
跋文
しおりを挟むこうして、アーサガ・トルトと娘のナスカは、新たな気持ちで再び旅へと向かっていきました。
そんな親子は後に『銀弾の父子』と呼ばれるようになり、王国中で有名な狩人となりました。
けれど、親子の名が歴史に残ることはありませんでした。
後に一部の人々が、
「争いの醜い爪痕の証拠として遺すべきだ」
「兵器とは言え全てを処分するのは文明を後退させる不当な行為だ」
と言って、兵器の回収活動に異を唱え始めたからです。
間もなくして不当な兵器回収は禁止となり、狩人も廃止となりました。
そのため親子について語る者もいなくなってしまったのです。
けれど、親子は狩人を止めた後もいつまでも幸せだったとのことです。
その後、彼らがどうなったのか。
歴史書に載っている王国についてと、歴史書には載っていない親子のその後を、少しだけ教えます。
アドレーヌ暦0014年――
アドレーヌ王国初代国王フルト・シー・リンクスが王位を退位。
代わりに甥(アドレーヌの息子)リュース・クタ・リンクスが王位を継承し、第2代国王となる。
リュースが退位するまでの60年間、大きな争いもなく王国は着実に繁栄していった。
アドレーヌ暦0024年――
アーサガ・トルトは悪化した脚の怪我を理由に狩人を引退。
その後、湯治のため移り住んだ南方の山間で、娘ナスカと共に温泉宿を開く。
同時期、トイラ・ハイリがアドレーヌ王国・平和維持軍―アドレーヌの目―(通称アマゾナイト軍)第11番隊長昇格を辞退し、アマゾナイト軍も辞職する。
その後の彼女はアーサガを追うようにして、山間の宿で暮らしていたと言う。
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