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第三章 魔王城
【閑話】同級生の戯れ
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腰の痛みでいつもより早い時間に目が覚めた俺は、水でも飲もうと簡易キッチンに向かった。その途中でリビングで寛ぐ田辺さんに気が付いて挨拶をした。
「田辺さんおはよう」
「北川おはよう。早起きだね」
「そう言う田辺さんの方が早起きだよね?」
「あははっ。神殿では毎日早朝にお祈りしてたから、何か起きちゃうんだよね」
「早起きが習慣って、健康によさそうだね」
「そうかもねぇ。それよりも、ねえねえ北川、彼ピと順調そうじゃ~ん♪」
「彼ピって……。揶揄うのはやめてよ」
「え~っ!? 目の前に生BLが転がってるのに、放置しろって言うの?」
「その生BLっていうのもちょっとやめて欲しいかな……。この世界では一応同性同士の恋愛も認められてるみたいだし……」
「まあねぇ。おかげさまで街なんかに寄ったら、色々楽しいシチュエーションとか、美味しいカップルとか見れるし、ほんとこの世界魔王さえいなければ楽しいのになぁ」
「確かに、魔王討伐とかなかったらファンタジーでちょっと楽しいかも。まあ、俺は旅に出なかったら妖精王の加護も受けることがなかっただろうから、魔法も使えないただのモブで終了だっただろうけどね」
「まだ自分のことモブとか言ってんの? たまたまうちは聖女だったけど、北川だってこうやって一緒に旅することになったし、王子様に見初められて婚約までしちゃって? れっきとしたヒロインだと思うんだけどぉ?」
「ちょっと、俺は男なんだから、ヒロインとかやめてよ……」
「うふふっ。北川は男の子だけど、実際はめっちゃ美人だったし、全然ヒロインの素質有りよ! 今はモブがヒロインになる話も流行ってるしねww」
「マジ勘弁してよ。ってか、朝から随分ご機嫌だね?」
「そりゃあ、起き抜けにこんな色っぽいオーラ出してる北川見ちゃったらねぇ?」
「はっ!?」
「気付いてないのぉ? 昨夜はお楽しみでしたねって感じだよ~ww」
「――」
「まあ揶揄うのはこの辺にして、腰痛いんでしょ? 治療してあげるから、ここに横になって!」
「――」
「そんな顔しないのっ! 揶揄うのは終わりって言ったでしょ? わたしの治癒の凄さ知ってるでしょ? 任せなさいって」
「でも、時間経っちゃってるけど大丈夫なの?」
「腰痛くらいなら多少時間が経ってても平気だよ! あんまり時間が経って欲しくないのは大怪我だね。衛生面も心配だし、繋がるとこ繋がりにくくなるからさ」
「そっか。治癒にも色々あるって言ってたもんね。じゃあ、お手数ですが宜しくお願いします」
「何で敬語っww」
「いや、一応頼む側だし?」
「ふふっ。北川って結構面白いね。クラスでもそんな感じで行けば良かったのに」
「……ちょっと同級生が苦手で」
「まあ、北川には北川の理由があるだろうし、うちも学校では腐女子ってこと隠してたから、人のこと言えないか! そしたら、今から治癒掛けるね」
「よろしく」
「ちょっと温かく感じるでしょ? 地球での遠赤外線治療をイメージしてるの」
「確かに温かい」
「もう少しで終わるからリラックスしといてね」
「そんなに短時間で終わるんだね」
「まあね。怪我とか命に関わるものの治療とかって一刻を争うし、漫画とかの魔法みたいに一瞬って訳にはいかないから、なるべく早くイメージして治すように訓練したんだ」
「田辺さんはすごいね」
「でしょ? もっと褒めてくれても良いんだよ?」
「ほんと田辺さんはすごいと思うよ。しっかり努力して治癒を自分の力にしたんだから」
「――そんな真面目な顔で褒められたら、逆に恥ずかしいんだけど」
「でも本心だから、ちゃんと伝えたくて。あんまりこうやって二人で話すことって普段ないしさ。ずっと伝えたかったんだ」
「マジでどうしちゃったの北川!? もしかしてうちに惚れた?」
「いや、それはないんだけど」
「即答かいっww」
「冗談でもそういうこと言うのはレオに悪いからさ……」
「はいはい。ご馳走様でした~。ほら治療終わったけどどう? まだ痛い?」
「ちょっと立ってみるね。うわっ、すごい! 本当に痛くない! 田辺さんありがとう」
「いいよいいよ~。また事後で腰痛いとかあったら遠慮なく言ってね~♪ あの王子様お堅く見えてムッツリそうだし? ラノベなんかの王子に有りがちな絶倫なのかもだしぃww」
「せっかくの感謝の気持ちがその一言で台無しだよ……」
「あははっ。真面目な話ばっかりじゃ息が詰まっちゃうし。たまには良いじゃん」
「まあ、腰治してくれてありがとう。今日の移動もこれで問題なく出来そうだよ」
「腰痛いままで、敵と遭遇したら大変だし、治って良かったよ。それじゃ、元気になったことだし、朝ごはん宜しく! うちはメイクしてくるわ」
田辺さんはそう笑って立ち上がると、俺に朝食の支度を押し付けて部屋に戻って行った。
「田辺さんおはよう」
「北川おはよう。早起きだね」
「そう言う田辺さんの方が早起きだよね?」
「あははっ。神殿では毎日早朝にお祈りしてたから、何か起きちゃうんだよね」
「早起きが習慣って、健康によさそうだね」
「そうかもねぇ。それよりも、ねえねえ北川、彼ピと順調そうじゃ~ん♪」
「彼ピって……。揶揄うのはやめてよ」
「え~っ!? 目の前に生BLが転がってるのに、放置しろって言うの?」
「その生BLっていうのもちょっとやめて欲しいかな……。この世界では一応同性同士の恋愛も認められてるみたいだし……」
「まあねぇ。おかげさまで街なんかに寄ったら、色々楽しいシチュエーションとか、美味しいカップルとか見れるし、ほんとこの世界魔王さえいなければ楽しいのになぁ」
「確かに、魔王討伐とかなかったらファンタジーでちょっと楽しいかも。まあ、俺は旅に出なかったら妖精王の加護も受けることがなかっただろうから、魔法も使えないただのモブで終了だっただろうけどね」
「まだ自分のことモブとか言ってんの? たまたまうちは聖女だったけど、北川だってこうやって一緒に旅することになったし、王子様に見初められて婚約までしちゃって? れっきとしたヒロインだと思うんだけどぉ?」
「ちょっと、俺は男なんだから、ヒロインとかやめてよ……」
「うふふっ。北川は男の子だけど、実際はめっちゃ美人だったし、全然ヒロインの素質有りよ! 今はモブがヒロインになる話も流行ってるしねww」
「マジ勘弁してよ。ってか、朝から随分ご機嫌だね?」
「そりゃあ、起き抜けにこんな色っぽいオーラ出してる北川見ちゃったらねぇ?」
「はっ!?」
「気付いてないのぉ? 昨夜はお楽しみでしたねって感じだよ~ww」
「――」
「まあ揶揄うのはこの辺にして、腰痛いんでしょ? 治療してあげるから、ここに横になって!」
「――」
「そんな顔しないのっ! 揶揄うのは終わりって言ったでしょ? わたしの治癒の凄さ知ってるでしょ? 任せなさいって」
「でも、時間経っちゃってるけど大丈夫なの?」
「腰痛くらいなら多少時間が経ってても平気だよ! あんまり時間が経って欲しくないのは大怪我だね。衛生面も心配だし、繋がるとこ繋がりにくくなるからさ」
「そっか。治癒にも色々あるって言ってたもんね。じゃあ、お手数ですが宜しくお願いします」
「何で敬語っww」
「いや、一応頼む側だし?」
「ふふっ。北川って結構面白いね。クラスでもそんな感じで行けば良かったのに」
「……ちょっと同級生が苦手で」
「まあ、北川には北川の理由があるだろうし、うちも学校では腐女子ってこと隠してたから、人のこと言えないか! そしたら、今から治癒掛けるね」
「よろしく」
「ちょっと温かく感じるでしょ? 地球での遠赤外線治療をイメージしてるの」
「確かに温かい」
「もう少しで終わるからリラックスしといてね」
「そんなに短時間で終わるんだね」
「まあね。怪我とか命に関わるものの治療とかって一刻を争うし、漫画とかの魔法みたいに一瞬って訳にはいかないから、なるべく早くイメージして治すように訓練したんだ」
「田辺さんはすごいね」
「でしょ? もっと褒めてくれても良いんだよ?」
「ほんと田辺さんはすごいと思うよ。しっかり努力して治癒を自分の力にしたんだから」
「――そんな真面目な顔で褒められたら、逆に恥ずかしいんだけど」
「でも本心だから、ちゃんと伝えたくて。あんまりこうやって二人で話すことって普段ないしさ。ずっと伝えたかったんだ」
「マジでどうしちゃったの北川!? もしかしてうちに惚れた?」
「いや、それはないんだけど」
「即答かいっww」
「冗談でもそういうこと言うのはレオに悪いからさ……」
「はいはい。ご馳走様でした~。ほら治療終わったけどどう? まだ痛い?」
「ちょっと立ってみるね。うわっ、すごい! 本当に痛くない! 田辺さんありがとう」
「いいよいいよ~。また事後で腰痛いとかあったら遠慮なく言ってね~♪ あの王子様お堅く見えてムッツリそうだし? ラノベなんかの王子に有りがちな絶倫なのかもだしぃww」
「せっかくの感謝の気持ちがその一言で台無しだよ……」
「あははっ。真面目な話ばっかりじゃ息が詰まっちゃうし。たまには良いじゃん」
「まあ、腰治してくれてありがとう。今日の移動もこれで問題なく出来そうだよ」
「腰痛いままで、敵と遭遇したら大変だし、治って良かったよ。それじゃ、元気になったことだし、朝ごはん宜しく! うちはメイクしてくるわ」
田辺さんはそう笑って立ち上がると、俺に朝食の支度を押し付けて部屋に戻って行った。
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可愛いな〜とは思ってたケド…今回のお話を読んで、ウィンの余りの可愛いさに1人で悶えてしまいました\(//∇//)\
可愛いが過ぎる!!
ウィンたん、か・わ・い・い〜(*≧∀≦*)
みこ様
『みこたんあいやと。ウィンたん、かわいいうれちい』
『ウィンたん、みこたんだいちゅき』
感想ありがとうございます(*^^*)
ウィンをかわいいと言っていただけて感無量です( *´艸`)
私もこっそり癒し系だなって思っているので、嬉しいです(笑)
今後とも宜しくお願いします(*^^*)
ワンコな王子にタジタジな押しに弱いショウゴ君可愛いです///
1点だけ「位置」が全部「くらい置」になっているようのでお手数ですが修正お願いしますm(_ _)m
ちびちょ様
感想ありがとうございます(*^^*)
ショウゴが可愛いと言ってもらえて嬉しいです☆
『位置』が『くらい値』になっている(; Д)゚ ゚
パソコンで、『位』を『くらい』に自動置き換えしたことがあるので、その時かも……(;´Д⊂)
教えてくださってありがとうございます♪
修正いたしました!
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ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします♪
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