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第三章 魔王城
十一.身も心も結ばれる喜び(前) Sideレオンハルト※
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「レオ、そんなところ汚いよっ……」
「ショウに汚いところなどありませんから、ご心配なく」
「だって、風呂もまだだし……汗もかいてるからっ」
衣服を全部脱がせて、一糸纏わぬ姿で可愛らしく懇願する様はとても煽情的で、わたしの理性などすぐに吹き飛ばしてしまいそうなほどの破壊力を放っている。そんな姿で顔を赤らめ瞳に涙を滲ませて、どれだけわたしを煽っているのか分かっているのだろうか……。
太腿を撫で擦り、足を開かせて魅惑的な臍に舌を這わせると、風呂に入っていないから汚いと言う。ショウの体に汚いところなど存在していないけれど、本人が気になると言うのならその愁いを晴らすのは当然のことで、わたしはすぐさま浄化の魔法を掛ける。
「浄化を施しましたから、もう大丈夫ですね?」
再びその小さな窪みにそっと舌を伸ばす。浅く小さな窪みには舌の先も入らないけれど皮膚が薄いためなのか、ショウは気持ちよさそうな声を上げている。指で優しく窪みを刺激するとくすぐったいから止めて欲しいと言うけれど、揺れている腰を見れば快感を拾っていることは一目瞭然であり、わたしの目を楽しませる。鼻先をそこに差し込んで思いっきり息を吸い込む。ほんのり甘いような独特な香りがわたしの鼻腔を擽る。
「そ、そんなところの匂いなんて嗅ぐなよっ」
本当にショウは奥ゆかしくて愛おしい。本来であれば浄化などする前に全身の匂いを嗅いで、舌で味わいたいと思っているけれど、そんなことを口にすれば嫌われてしまうかもしれない。先ほどまで香っていた汗の匂いはわたしの興奮を高める材料の一つだったのだが、今日は『初めての上書き』なのだから、ショウの嫌がることは極力したくない。名残惜しいけれど、もう一度だけ深く息を吸い込んで愛しい臍の窪みから顔を上げる。
「ショウ、わたしは貴方の全身を隈なく愛したいと思っております。わたしは貴方限定ではありますが、どうやら変態なのだと思うのです……。どうしても嫌な時は教えて頂きたいのですが、どうかこんなわたしを受け入れて頂けませんでしょうか?」
優しい彼が断るとは露ほど思ってもいないのにそう訊ねるわたしの何と愚かで計算高い事か。案の定顔を赤らめながらも、小さく頷いて下さった。
「へ、変態って……。でも、嫌だって言ったら止めてくれるんだよな?」
「勿論です。愛するショウの嫌がることはわたしの本意ではありませんから」
「分かった。いちいち過剰に反応するのはやめる……。俺は初心者だから、正直なところ何が正解なのかも分からないし……」
「お任せください‼ わたしも初心者ではございますが、この不肖レオンハルトが、あらゆる指南書から得た知識でショウを快感の渦へとお導き致します‼」
ショウと出会ってから興味を持ち得た知識で、何度も脳内シミュレーションしてきた成果を今こそ発揮するのだ。
「指南書って……。ちょっと意気込みが凄すぎて怖いけど、お手柔らかにお願いします?」
なぜか語尾が疑問形ではあったけれど、わたしに任せて頂けることになったからには、全身を蕩けるほど愛撫したいと思う。そして初めての上書きが出来たならば、今後も幸せな性生活を送ることが出来るだろう。
腰の下にクッションを挟んで、足を拡げたところに顔を埋めると慌てたように制止が入る。
「ちょ、そんなことしなくって良いから……!」
それでもわたしはここに舌を這わせたいし、彼の出した物を味わいたいと思っているので、どうしても譲りたくない。
「ショウのここをわたしの舌で可愛がりたいのですが、ダメでしょうか?」
先ほどショウがしていたように上目遣いでお伺いを立てると、一瞬声を詰まらせてはいたけれど、渋々了承を得ることが出来た。
「っ‼ 恥ずかしいから本当は嫌だけど、レオはそんなところ、な、舐めるの、嫌じゃないの?」
「嫌だなんてことは絶対有り得ません‼ ショウの全身どこでも口付けて舌を這わせることが出来ると自信をもって言えます!」
本心からそう言っているけれど、つい力強くそう宣言してしまった。
「――そんな自信満々で言うことじゃないとは思うけど、レオが嫌じゃないんだったら……。良いよ? でも、イクってなったら口を離してね?」
ショウがわたしの咥内で吐精したら、それをしっかり味わってから飲み込みたいと思っていることを伝えたら、きっと口淫自体を拒まれてしまうからここは素直に頷くべきところだろう。望みどおりにすればいいだけなのだから、問題はないだろう。
「分かりました。では、ここを可愛がらせてくださいね?」
「……うん」
恥ずかしいからか、手近にあったクッションを抱えてそこに顔を押し付けている。愛らしい顔が隠れてしまうのは些か不満ではあるけれど、奥ゆかしいショウの精一杯の譲歩だと思えばその仕草も愛しく思えるのだから面白い。
見えていないことを良いことにそっと匂いを堪能する。浄化のせいでそれほど匂いは強くはないけれど、ほんのりとショウの雄の香りがする。
ゴクリと喉を慣らして、ゆっくりと口付ける。先端には朝露の様にキラキラと美しい雫が滲んでいて、そっと舌で舐め上げると僅かに糸を引いておりとてもいやらしい。僅かな塩味がわたしの舌を楽しませる。
「あ、んぅっ、ううん……」
ショウの愛らしい性器に舌を伸ばす。わたしのモノと違い、うっすらと桃色のソレはととても神秘的で、健気に立ち上がり小刻みにフルフルと震えている。そんな姿をずっと眺めているのも良いが、あまりにも何もせずに見詰めていれば、彼に不信感を与えてしまうことになりかねない。そうなればここに口付けることは疎か、行為自体拒まれてしまいかねない。裏の筋を撫でられると気持ちが良いと指南書に記してあった通り、わたし自身を慰める時も擦り上げれば強い快感がもたらされた。ショウは幸いなことにわたしと同じ男性であるから、わたしが気持ちが良いと思う部分を重点的に攻めれば満足していただけるのではないだろうか。
また、指南書にはこうも記してあった。口淫の手順の一つとして、陰嚢側から亀頭に向かって裏筋を舐め上げると良いと記されていて、舌の動きや刺激に強弱を付けると尚良しとあったのを思い出す。どれほど脳内でシミュレーションを重ねたところで、実物を前にしてしまえば計画などあってないようなものだが。
初めは舌全体を使ってゆっくりねっとりと舐め上げた。突然の刺激に驚いたのかショウの腰が僅かに跳ね、愛らしい声が漏れ聞こえた。何度か繰り返すと、気持ちが良いらしくゆるゆると腰が揺れ出した。
「やっ……あ、あぁっ……」
このわたしがショウに快感を与えていると思うと、愚息は痛いほど張りつめているけれど、もっともっと快感を与えたいと思ってしまう。
舌先を尖らせて強めの力で裏筋を舐め上げて、小さく可愛らしい口をハクハクとさせている先端を口に含んだ。涙を流すように美しい雫を溢していたそこは、口に含んだ途端膨らみを増してわたしが望んでいた彼の精液が口に吐き出された。
「……うっ‼ あああああっ‼」
吐精の際には声掛けをするから、口を離すようにということだったけれど、間に合わなかったようだ。快感に震えている隙に、搾り取るように残りを吸い上げ、出すように言われる前に咀嚼して飲み込んだ。ショウの雄の香りがわたしを幸福にさせてくれる。
自分の汚いものとは違い、仄かに甘い香りを含んでいるそれは、不快感など微塵も感じさせず、一滴も無駄にしたくないと思わせるほど甘美であった。もちろん自分のものなど口にしたことはないし、ショウ以外のものを口にしたいとも思わないが、自慰の時に発せられた匂いから精液の匂いくらいは知っている。
自分から吐き出された時は汚くて不愉快なものだと思っていたのに、ショウのものとなると見方が変わるのだなと思うと、自分の彼への執着具合に呆れてしまう。
「レオっ‼ ごめん、間に合わなかった……。すぐに出してっ!」
「飲み込みましたので大丈夫ですよ」
「なっ!? の、飲んだの!?」
「はい。とっても美味しかったです」
「信じられない……。あんなものを飲むなんて……。しかも、お、美味しいなんて訳ないじゃないか‼」
呼吸が整って落ち着きを取り戻し我に返った彼は、すぐに吐き出すように言ったけれど、既にわたしの体内に飲み込まれた後なのだからそれは無理な相談だった。彼の望みは、達するときに口を離すようにということであって、出した物を口にするなということではなかったのだから、何も悪いことなどしていない。
恥ずかしがって怒っている姿は可愛らしいけれど、快感に蕩ける顔をもっと見たいわたしは行為を続けさせてもらうことにした。陰嚢にも舌を這わして、中の球体の物を咥内で転がすと甘い吐息が漏れ聞こえる。下生えが薄いからか、この部分には一切の毛がなく柔らかい感触をじっくり味わうことが出来た。その後は、後孔と陰嚢の間の少し筋のある部分を撫でながら、後孔に指を這わせる。クルクルと縁を撫でると小さく慎ましやかな蕾がヒクヒクと震え出した。ショウの右足を肩に掛けてそこがよく見えるようすると、躊躇することなく顔を寄せる。そうするとまたもやショウから制止の声が掛かった。
「もしかして、そこを舐めようとしてる?」
「はい。わたしを受け入れて下さるこの慎ましやかな蕾を十分に解して開花させなければなりませんので、舌で愛撫したいと思っております」
素直にこれからすることを伝えたつもりなのだが、ショウは信じられないものでも見たように固まってしまった。
「ショウ、どうかしましたか?」
心配になって声を掛けると、ハッとした表情を浮かべてから慌てたように拒絶の意思を口にした。
「そんなところ、な、舐めなくて良いから! 第一そこは汚いし……。この間みたいに潤滑剤で解してくれたら十分だからさ‼」
必死な様子でそう言うショウの言うことを聞いてあげたい気もするけれど、今回のこの行為は、『初めての上書き』なのだ。デロデロに蕩けるほど甘やかして結ばれる筈だった初めてのやり直し行為なのだから、わたしにも譲れないものはある。
「ショウ、貴方の体に汚いところなどございませんよ。先ほど浄化を施しましたし、浄化などしなくてもわたしは貴方の体のどの部分にでも口付けすることが出来ます」
「いや、汚いだろ!」
「初めての上書きをさせてくださるのですよね? わたしはここをわたしの口付けで花咲かせたいのです……。どうしてもダメでしょうか?」
卑怯だとは思うが、ショウはおねだりに弱い傾向があることに気付いてしまったから、わざと悲し気な表情で弱弱しくお願いをしてみた。
「……。そんなに、してみたいのか?」
「はい……。わたしを受け入れてくださる蕾に敬意を払って慈しみたいのです」
あと一押しだろうか。
「慈しみたいって……」
「初めては苦痛もなく幸せなものにしたかったので、指南書で後孔への愛撫も学び実践したいと思っていたのですが……。ショウが嫌だと言うのに無理やりは良くなかったですね……」
「……。レオは、嫌じゃないのか? そこはあくまで排泄器官な訳だけど……」
よし、ここまでくればもう受け入れて頂いたも同義だ。
「嫌なんてことがある訳ないじゃないですか‼ わたしは心からショウのことを愛しておりますから、貴方のためならどんなことでも出来ます」
「でも、そんなところを舐めるのってかなりアブノーマルだと思うんだけど……」
「アブノーマル?」
「あ~、普通じゃないってことだよ」
「後孔を舐めるのは普通じゃないと仰りたい?」
「うん。だってやっぱり汚いし……」
「指南書には、普通のことと記されておりますから、こちらの世界では決してアブノーマルではございませんよ?」
元の世界と違うと言えば受け入れてくれるかもしれないと畳み掛ける。
「……。本当に普通のことなのか?」
「はい‼」
「恥ずかしいから本当は嫌だけど、それが普通だって言うなら、慣れないとだよね……」
「少し試してみませんか? とっても気持ちが良いと聞きますから、気に入っていただけるのではないでしょうか」
「……分かった」
これで思う存分愛でることが出来ると、心の中で拳を天に突き出して喜びの雄叫びを上げる。欲を出せば、わたしの顔の上に座っていただきたいとか、それこそ彼の言葉を借りるならばアブノーマルなことをしたいけれど、それは追々――。
「では……」
後孔にそっと指を這わせ、皺を伸ばすとそこに口を付ける。わざと聞こえるようにチュッとリップ音を立てて彼の羞恥心を煽った。
「ショウに汚いところなどありませんから、ご心配なく」
「だって、風呂もまだだし……汗もかいてるからっ」
衣服を全部脱がせて、一糸纏わぬ姿で可愛らしく懇願する様はとても煽情的で、わたしの理性などすぐに吹き飛ばしてしまいそうなほどの破壊力を放っている。そんな姿で顔を赤らめ瞳に涙を滲ませて、どれだけわたしを煽っているのか分かっているのだろうか……。
太腿を撫で擦り、足を開かせて魅惑的な臍に舌を這わせると、風呂に入っていないから汚いと言う。ショウの体に汚いところなど存在していないけれど、本人が気になると言うのならその愁いを晴らすのは当然のことで、わたしはすぐさま浄化の魔法を掛ける。
「浄化を施しましたから、もう大丈夫ですね?」
再びその小さな窪みにそっと舌を伸ばす。浅く小さな窪みには舌の先も入らないけれど皮膚が薄いためなのか、ショウは気持ちよさそうな声を上げている。指で優しく窪みを刺激するとくすぐったいから止めて欲しいと言うけれど、揺れている腰を見れば快感を拾っていることは一目瞭然であり、わたしの目を楽しませる。鼻先をそこに差し込んで思いっきり息を吸い込む。ほんのり甘いような独特な香りがわたしの鼻腔を擽る。
「そ、そんなところの匂いなんて嗅ぐなよっ」
本当にショウは奥ゆかしくて愛おしい。本来であれば浄化などする前に全身の匂いを嗅いで、舌で味わいたいと思っているけれど、そんなことを口にすれば嫌われてしまうかもしれない。先ほどまで香っていた汗の匂いはわたしの興奮を高める材料の一つだったのだが、今日は『初めての上書き』なのだから、ショウの嫌がることは極力したくない。名残惜しいけれど、もう一度だけ深く息を吸い込んで愛しい臍の窪みから顔を上げる。
「ショウ、わたしは貴方の全身を隈なく愛したいと思っております。わたしは貴方限定ではありますが、どうやら変態なのだと思うのです……。どうしても嫌な時は教えて頂きたいのですが、どうかこんなわたしを受け入れて頂けませんでしょうか?」
優しい彼が断るとは露ほど思ってもいないのにそう訊ねるわたしの何と愚かで計算高い事か。案の定顔を赤らめながらも、小さく頷いて下さった。
「へ、変態って……。でも、嫌だって言ったら止めてくれるんだよな?」
「勿論です。愛するショウの嫌がることはわたしの本意ではありませんから」
「分かった。いちいち過剰に反応するのはやめる……。俺は初心者だから、正直なところ何が正解なのかも分からないし……」
「お任せください‼ わたしも初心者ではございますが、この不肖レオンハルトが、あらゆる指南書から得た知識でショウを快感の渦へとお導き致します‼」
ショウと出会ってから興味を持ち得た知識で、何度も脳内シミュレーションしてきた成果を今こそ発揮するのだ。
「指南書って……。ちょっと意気込みが凄すぎて怖いけど、お手柔らかにお願いします?」
なぜか語尾が疑問形ではあったけれど、わたしに任せて頂けることになったからには、全身を蕩けるほど愛撫したいと思う。そして初めての上書きが出来たならば、今後も幸せな性生活を送ることが出来るだろう。
腰の下にクッションを挟んで、足を拡げたところに顔を埋めると慌てたように制止が入る。
「ちょ、そんなことしなくって良いから……!」
それでもわたしはここに舌を這わせたいし、彼の出した物を味わいたいと思っているので、どうしても譲りたくない。
「ショウのここをわたしの舌で可愛がりたいのですが、ダメでしょうか?」
先ほどショウがしていたように上目遣いでお伺いを立てると、一瞬声を詰まらせてはいたけれど、渋々了承を得ることが出来た。
「っ‼ 恥ずかしいから本当は嫌だけど、レオはそんなところ、な、舐めるの、嫌じゃないの?」
「嫌だなんてことは絶対有り得ません‼ ショウの全身どこでも口付けて舌を這わせることが出来ると自信をもって言えます!」
本心からそう言っているけれど、つい力強くそう宣言してしまった。
「――そんな自信満々で言うことじゃないとは思うけど、レオが嫌じゃないんだったら……。良いよ? でも、イクってなったら口を離してね?」
ショウがわたしの咥内で吐精したら、それをしっかり味わってから飲み込みたいと思っていることを伝えたら、きっと口淫自体を拒まれてしまうからここは素直に頷くべきところだろう。望みどおりにすればいいだけなのだから、問題はないだろう。
「分かりました。では、ここを可愛がらせてくださいね?」
「……うん」
恥ずかしいからか、手近にあったクッションを抱えてそこに顔を押し付けている。愛らしい顔が隠れてしまうのは些か不満ではあるけれど、奥ゆかしいショウの精一杯の譲歩だと思えばその仕草も愛しく思えるのだから面白い。
見えていないことを良いことにそっと匂いを堪能する。浄化のせいでそれほど匂いは強くはないけれど、ほんのりとショウの雄の香りがする。
ゴクリと喉を慣らして、ゆっくりと口付ける。先端には朝露の様にキラキラと美しい雫が滲んでいて、そっと舌で舐め上げると僅かに糸を引いておりとてもいやらしい。僅かな塩味がわたしの舌を楽しませる。
「あ、んぅっ、ううん……」
ショウの愛らしい性器に舌を伸ばす。わたしのモノと違い、うっすらと桃色のソレはととても神秘的で、健気に立ち上がり小刻みにフルフルと震えている。そんな姿をずっと眺めているのも良いが、あまりにも何もせずに見詰めていれば、彼に不信感を与えてしまうことになりかねない。そうなればここに口付けることは疎か、行為自体拒まれてしまいかねない。裏の筋を撫でられると気持ちが良いと指南書に記してあった通り、わたし自身を慰める時も擦り上げれば強い快感がもたらされた。ショウは幸いなことにわたしと同じ男性であるから、わたしが気持ちが良いと思う部分を重点的に攻めれば満足していただけるのではないだろうか。
また、指南書にはこうも記してあった。口淫の手順の一つとして、陰嚢側から亀頭に向かって裏筋を舐め上げると良いと記されていて、舌の動きや刺激に強弱を付けると尚良しとあったのを思い出す。どれほど脳内でシミュレーションを重ねたところで、実物を前にしてしまえば計画などあってないようなものだが。
初めは舌全体を使ってゆっくりねっとりと舐め上げた。突然の刺激に驚いたのかショウの腰が僅かに跳ね、愛らしい声が漏れ聞こえた。何度か繰り返すと、気持ちが良いらしくゆるゆると腰が揺れ出した。
「やっ……あ、あぁっ……」
このわたしがショウに快感を与えていると思うと、愚息は痛いほど張りつめているけれど、もっともっと快感を与えたいと思ってしまう。
舌先を尖らせて強めの力で裏筋を舐め上げて、小さく可愛らしい口をハクハクとさせている先端を口に含んだ。涙を流すように美しい雫を溢していたそこは、口に含んだ途端膨らみを増してわたしが望んでいた彼の精液が口に吐き出された。
「……うっ‼ あああああっ‼」
吐精の際には声掛けをするから、口を離すようにということだったけれど、間に合わなかったようだ。快感に震えている隙に、搾り取るように残りを吸い上げ、出すように言われる前に咀嚼して飲み込んだ。ショウの雄の香りがわたしを幸福にさせてくれる。
自分の汚いものとは違い、仄かに甘い香りを含んでいるそれは、不快感など微塵も感じさせず、一滴も無駄にしたくないと思わせるほど甘美であった。もちろん自分のものなど口にしたことはないし、ショウ以外のものを口にしたいとも思わないが、自慰の時に発せられた匂いから精液の匂いくらいは知っている。
自分から吐き出された時は汚くて不愉快なものだと思っていたのに、ショウのものとなると見方が変わるのだなと思うと、自分の彼への執着具合に呆れてしまう。
「レオっ‼ ごめん、間に合わなかった……。すぐに出してっ!」
「飲み込みましたので大丈夫ですよ」
「なっ!? の、飲んだの!?」
「はい。とっても美味しかったです」
「信じられない……。あんなものを飲むなんて……。しかも、お、美味しいなんて訳ないじゃないか‼」
呼吸が整って落ち着きを取り戻し我に返った彼は、すぐに吐き出すように言ったけれど、既にわたしの体内に飲み込まれた後なのだからそれは無理な相談だった。彼の望みは、達するときに口を離すようにということであって、出した物を口にするなということではなかったのだから、何も悪いことなどしていない。
恥ずかしがって怒っている姿は可愛らしいけれど、快感に蕩ける顔をもっと見たいわたしは行為を続けさせてもらうことにした。陰嚢にも舌を這わして、中の球体の物を咥内で転がすと甘い吐息が漏れ聞こえる。下生えが薄いからか、この部分には一切の毛がなく柔らかい感触をじっくり味わうことが出来た。その後は、後孔と陰嚢の間の少し筋のある部分を撫でながら、後孔に指を這わせる。クルクルと縁を撫でると小さく慎ましやかな蕾がヒクヒクと震え出した。ショウの右足を肩に掛けてそこがよく見えるようすると、躊躇することなく顔を寄せる。そうするとまたもやショウから制止の声が掛かった。
「もしかして、そこを舐めようとしてる?」
「はい。わたしを受け入れて下さるこの慎ましやかな蕾を十分に解して開花させなければなりませんので、舌で愛撫したいと思っております」
素直にこれからすることを伝えたつもりなのだが、ショウは信じられないものでも見たように固まってしまった。
「ショウ、どうかしましたか?」
心配になって声を掛けると、ハッとした表情を浮かべてから慌てたように拒絶の意思を口にした。
「そんなところ、な、舐めなくて良いから! 第一そこは汚いし……。この間みたいに潤滑剤で解してくれたら十分だからさ‼」
必死な様子でそう言うショウの言うことを聞いてあげたい気もするけれど、今回のこの行為は、『初めての上書き』なのだ。デロデロに蕩けるほど甘やかして結ばれる筈だった初めてのやり直し行為なのだから、わたしにも譲れないものはある。
「ショウ、貴方の体に汚いところなどございませんよ。先ほど浄化を施しましたし、浄化などしなくてもわたしは貴方の体のどの部分にでも口付けすることが出来ます」
「いや、汚いだろ!」
「初めての上書きをさせてくださるのですよね? わたしはここをわたしの口付けで花咲かせたいのです……。どうしてもダメでしょうか?」
卑怯だとは思うが、ショウはおねだりに弱い傾向があることに気付いてしまったから、わざと悲し気な表情で弱弱しくお願いをしてみた。
「……。そんなに、してみたいのか?」
「はい……。わたしを受け入れてくださる蕾に敬意を払って慈しみたいのです」
あと一押しだろうか。
「慈しみたいって……」
「初めては苦痛もなく幸せなものにしたかったので、指南書で後孔への愛撫も学び実践したいと思っていたのですが……。ショウが嫌だと言うのに無理やりは良くなかったですね……」
「……。レオは、嫌じゃないのか? そこはあくまで排泄器官な訳だけど……」
よし、ここまでくればもう受け入れて頂いたも同義だ。
「嫌なんてことがある訳ないじゃないですか‼ わたしは心からショウのことを愛しておりますから、貴方のためならどんなことでも出来ます」
「でも、そんなところを舐めるのってかなりアブノーマルだと思うんだけど……」
「アブノーマル?」
「あ~、普通じゃないってことだよ」
「後孔を舐めるのは普通じゃないと仰りたい?」
「うん。だってやっぱり汚いし……」
「指南書には、普通のことと記されておりますから、こちらの世界では決してアブノーマルではございませんよ?」
元の世界と違うと言えば受け入れてくれるかもしれないと畳み掛ける。
「……。本当に普通のことなのか?」
「はい‼」
「恥ずかしいから本当は嫌だけど、それが普通だって言うなら、慣れないとだよね……」
「少し試してみませんか? とっても気持ちが良いと聞きますから、気に入っていただけるのではないでしょうか」
「……分かった」
これで思う存分愛でることが出来ると、心の中で拳を天に突き出して喜びの雄叫びを上げる。欲を出せば、わたしの顔の上に座っていただきたいとか、それこそ彼の言葉を借りるならばアブノーマルなことをしたいけれど、それは追々――。
「では……」
後孔にそっと指を這わせ、皺を伸ばすとそこに口を付ける。わざと聞こえるようにチュッとリップ音を立てて彼の羞恥心を煽った。
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