【短編if】聖女はそっちなんだから俺に構うな!

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【省吾が聖人で田辺さんがおまけだったらIF】④

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◇◇◇

 一か月くらいお城でこの世界のことを教わって、いよいよ街に出ることになった。うちに付いていてくれたメイドのミルさんの恋人さんが、街の役場で働いているらしくって、困ったことがあったら訪ねるようにって教えてくれた。ミルさんは人族なんだけど、恋人さんはウサギの獣人なんだって! そんなの用がなくても見に行くしかなくない? ハア……。異世界、尊いわぁ――。

 この一か月のお城生活の間、うちは望まないって言ったのに、何枚もお見合いの釣書ってやつが届いてうんざりだった。謁見の時に国王様の横にいた宰相さんの息子とか、騎士団長の息子とか――。お城のどっかでうちのことを見掛けた貴族が、自分や自分の息子の嫁にって言ってくれたらしくって、いつの間にかうちの存在が広まってたんだよねぇ。何か、うちってこの世界の女性の平均身長より小さいんだけど、それが庇護欲をそそるんだって。ロリコンか!? この世界では十六歳って結婚適齢期らしいけどさ、うちからしたらまだまだ高校生な訳で、結婚とか考える様な歳じゃないんだよね。勿論、日本の法律で女子は結婚出来ることになってるけどさ、一般的には早すぎるから。モロ未成年だしね!

 最初の頃は届いた釣書を、受ける気は無くても目を通すだけはしてたんだよね。でもだんだんうんざりしてきちゃって、途中からは放置することにした。

 ある日、勉強の息抜きで庭を歩いていたら、宰相のおじさんに捉まっちゃって、めっちゃ息子を薦められたのには辟易した――。次期宰相で、侯爵家の長男だから贅沢な暮らしをさせてあげるって言われてもさ――。宝石もドレスもそこまで興味ないし、うちは好きになった人と結婚したいから、こうやってごり押しで進めてくるような出会いは嫌だなって思う。断っても退いてくれなくて、どうしようかと困り果ててたら、たまたま通りかかった勇者のディー様がおっぱらってくれた。そのおかげで無事に部屋に戻ることが出来たけど、息子本人じゃなくって親父が必死になるってどうなの?
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