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第23話 勝利
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塔の内部はかなり簡素な造りだった。
部分的に石造りだが、突貫工事で出来たのか木やホロ布で覆われているところも多く正直安っぽい造りだ。
「ベルリオーネさん、最上階ってもうすぐか?」
「おそらく次の階でしょう。それほど強いモンスターはいないと思いますが油断せずに」
俺を先頭に階段を駆け上がる。
しんがりにはスコットさんがいて後ろから駆け上がってくるスケルトンとぐちゃぐちゃのスライムなのか溶解液に目玉をつけたようなのへハルバートを突き、マブクロから取り出した小さな液体入りの透明瓶を投げつけた。
モンスターの一団の中のスケルトン一匹の顔面に命中した瞬間、激しい炎が巻き起こり、のたうち回りながら階段を転げ落ちていく魔物の一団。
俺たちは走って階段を駆け上が、素早くその場を離れる。
ガラスのない窓がそこら中に空いていて密室ではないとはいえ黒煙で一酸化炭素中毒になりそう。
吸っていると不快な頭痛に発展する耐えがたい臭いだ。
最上階。
そこにはちんけな椅子に座った、それでいて不釣り合いなほど巨体のオークがいた。
副官らしき派手な装飾の鎧で着飾ったゴブリン1匹がこちらを見るなり襲い掛かってくる。
動きは素早い!
「きゃひゃはひゃはははははは!!!!!!!」
天井が高く広々とした指揮官の専用室と言った感じの最上階の壁を奇声を発しながら三角飛びの要領で左右に飛び回り、こちらの集中力が散らされる。
そいつはいつの間にか俺の背後頭上を取ってきた!
「スドウ様危ない!!ラングザームツァイト!!」
ベルリオーネさんの金属杖からほどばしる灰色の光がゴブリンに命中し、そいつの動きがスローモーションのように遅くなった。
俺は振り返り、両手に持った両刃刃渡り25センチほどの短剣2本を俺の両肩付近に背後から突き立てようとしていたゴブリンの口めがけて得物の青白い刃を刺した。
得意げな表情から絶望に焦る表情が2秒ほどの間に俺の視界に映った。
頭を俺の愛刀にぶち抜かれたゴブ公は短剣を力なく落とし動かなくなった。
「ガー!!!!!!ガー!!!!!!」
身長3メートルくらいの巨大オークが荒れ狂い始めた。
他に先着者はいない。
俺たち3名のみで片付ける。
意味不明なわめき声を言うのみで当然話は通じない。
考える間もなく俺たちは攻撃に出る。
俺は剣で突き刺したゴブ公の屍をオークに投げつける。
「ぐじゃあああああ!!!!!」
耳障りなわめき声の後、巨大オークは得物の棘付きこん棒で投げつけられたゴブリンの屍をかっ飛ばした。
石の壁に叩きつけられたゴブリンの後頭部から脳みそがぶちまけられてただの肉塊になった。
「射抜け、ブリッツプファイル!!!」
金属製の杖の宝玉が光り輝いてまぶしい閃光の矢を30本以上出現させて放った。
20数本くらいの矢をオークは気合で吹き飛ばしたが、8本ほどがオークの胴体に突き刺さり、青い色の血が噴き出す。
痛みで手負いの狂犬のごとく巨大な棘付き棍棒でそこら中を力任せに振り回すオーク。
端っこに飾ってあった甲冑が3つ、棍棒の風を切る音とともに派手な音を立ててグシャグシャにひしゃげて吹き飛んでいく。
それなりの値が付きそうなものだったのでがっかりする。
「こんんおおおおおおおお、豚肉ダルマがアアアアアアアア!!!!!!!」
狂戦士のごとくハルバートで棍棒と切り結ぶスコット。
その隙に俺はオークの背後にまわり、マブクロから煙幕弾を取り出した。
それを床に投げつける。
立ち上る白い煙にオークがパニックを起こしているうちに俺は愛刀でオークの脊髄付近を刺した。
「グオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
野獣の叫び声を上げた後、そいつはすさまじい量の血反吐を吐いてうつ伏せに倒れた。
見るからにバケモノそのもの故に殺害の罪悪感は全くない。
狩猟で獲物を打ち倒したときの爽快感そのものがあった。
「ふーっ、何とか倒せたか・・・」
「おめでとうございます、スドウ様!!」
「やるな、スドウ!!」
あっけのない戦いと言えばそうだった。
今回で一番簡単とはいえ、難なく魔法の使い方から基本的な戦い方まで一応は覚えたつもりだ。
現実にいるときに色んな動画を見たりして格闘とか武道の動画を見ていたことや、本で得た知識も役立った気がする。
不思議と戦いにためらいや違和感は感じなかった。
現実にいるときから世界情勢に関心を持ってその手の動画を漁りまくっていた。
兵士が身につけている小型カメラに映される実際の戦場での撃ち合いの動画をよく見ていたので、何となく雰囲気は同じだったのが頭によぎる。
俺は倒した巨大オークとゴブリンの死体をチェックする。
仕留めた敵が確実に死んでいるかどうか確認するのは当然であると赤い正義のヒーローの動画で習った。
それからマブクロの類を所持しているか確認した。
約300キロの収納量を持つのを持っていた。
金貨は重量にして3キロ。
回復系アイテムはあったが、レアアイテムや目立った金目の物はなかった。
どういうわけか黒色火薬製の爆薬も5キロほど持っていた。
俺たちはそれらを回収し、塔の屋上に行って下で戦っているみんなに大将を討ち取ったことを大声で叫んだ。
下の階から俺の叫び声に呼応して勝利の雄叫びが上がっていく。
下を見下ろすと魔物どもが動揺して森の方へと逃げ出していくのが見える。
武器や防具を投げ捨てて逃げる魔物が複数見えた。
最もここで遭遇した魔物はあまり価値のあるアイテムや武器を持っていない。
放置しておけばいくさを陰から見ている転売目的の中古業者みたいな連中が勝手に回収していく。
ベルリオーネさんにギルドで教わったが、城下町でもたまにやっている蚤市で売られている武器防具アイテムなどはそれら冒険者が回収し損ねたり元から欠陥がある品物など価値のない物が大半なのでそういうところで物は買ってはならないとアドバイスされた。
そういったところで見かけたような連中がどこからか湧き出し、我先にとモンスターどもが捨てていったくたびれた剣や兜を即座に回収していくのが見えた。
こうして俺の初陣は成功裏に終わった。
部分的に石造りだが、突貫工事で出来たのか木やホロ布で覆われているところも多く正直安っぽい造りだ。
「ベルリオーネさん、最上階ってもうすぐか?」
「おそらく次の階でしょう。それほど強いモンスターはいないと思いますが油断せずに」
俺を先頭に階段を駆け上がる。
しんがりにはスコットさんがいて後ろから駆け上がってくるスケルトンとぐちゃぐちゃのスライムなのか溶解液に目玉をつけたようなのへハルバートを突き、マブクロから取り出した小さな液体入りの透明瓶を投げつけた。
モンスターの一団の中のスケルトン一匹の顔面に命中した瞬間、激しい炎が巻き起こり、のたうち回りながら階段を転げ落ちていく魔物の一団。
俺たちは走って階段を駆け上が、素早くその場を離れる。
ガラスのない窓がそこら中に空いていて密室ではないとはいえ黒煙で一酸化炭素中毒になりそう。
吸っていると不快な頭痛に発展する耐えがたい臭いだ。
最上階。
そこにはちんけな椅子に座った、それでいて不釣り合いなほど巨体のオークがいた。
副官らしき派手な装飾の鎧で着飾ったゴブリン1匹がこちらを見るなり襲い掛かってくる。
動きは素早い!
「きゃひゃはひゃはははははは!!!!!!!」
天井が高く広々とした指揮官の専用室と言った感じの最上階の壁を奇声を発しながら三角飛びの要領で左右に飛び回り、こちらの集中力が散らされる。
そいつはいつの間にか俺の背後頭上を取ってきた!
「スドウ様危ない!!ラングザームツァイト!!」
ベルリオーネさんの金属杖からほどばしる灰色の光がゴブリンに命中し、そいつの動きがスローモーションのように遅くなった。
俺は振り返り、両手に持った両刃刃渡り25センチほどの短剣2本を俺の両肩付近に背後から突き立てようとしていたゴブリンの口めがけて得物の青白い刃を刺した。
得意げな表情から絶望に焦る表情が2秒ほどの間に俺の視界に映った。
頭を俺の愛刀にぶち抜かれたゴブ公は短剣を力なく落とし動かなくなった。
「ガー!!!!!!ガー!!!!!!」
身長3メートルくらいの巨大オークが荒れ狂い始めた。
他に先着者はいない。
俺たち3名のみで片付ける。
意味不明なわめき声を言うのみで当然話は通じない。
考える間もなく俺たちは攻撃に出る。
俺は剣で突き刺したゴブ公の屍をオークに投げつける。
「ぐじゃあああああ!!!!!」
耳障りなわめき声の後、巨大オークは得物の棘付きこん棒で投げつけられたゴブリンの屍をかっ飛ばした。
石の壁に叩きつけられたゴブリンの後頭部から脳みそがぶちまけられてただの肉塊になった。
「射抜け、ブリッツプファイル!!!」
金属製の杖の宝玉が光り輝いてまぶしい閃光の矢を30本以上出現させて放った。
20数本くらいの矢をオークは気合で吹き飛ばしたが、8本ほどがオークの胴体に突き刺さり、青い色の血が噴き出す。
痛みで手負いの狂犬のごとく巨大な棘付き棍棒でそこら中を力任せに振り回すオーク。
端っこに飾ってあった甲冑が3つ、棍棒の風を切る音とともに派手な音を立ててグシャグシャにひしゃげて吹き飛んでいく。
それなりの値が付きそうなものだったのでがっかりする。
「こんんおおおおおおおお、豚肉ダルマがアアアアアアアア!!!!!!!」
狂戦士のごとくハルバートで棍棒と切り結ぶスコット。
その隙に俺はオークの背後にまわり、マブクロから煙幕弾を取り出した。
それを床に投げつける。
立ち上る白い煙にオークがパニックを起こしているうちに俺は愛刀でオークの脊髄付近を刺した。
「グオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
野獣の叫び声を上げた後、そいつはすさまじい量の血反吐を吐いてうつ伏せに倒れた。
見るからにバケモノそのもの故に殺害の罪悪感は全くない。
狩猟で獲物を打ち倒したときの爽快感そのものがあった。
「ふーっ、何とか倒せたか・・・」
「おめでとうございます、スドウ様!!」
「やるな、スドウ!!」
あっけのない戦いと言えばそうだった。
今回で一番簡単とはいえ、難なく魔法の使い方から基本的な戦い方まで一応は覚えたつもりだ。
現実にいるときに色んな動画を見たりして格闘とか武道の動画を見ていたことや、本で得た知識も役立った気がする。
不思議と戦いにためらいや違和感は感じなかった。
現実にいるときから世界情勢に関心を持ってその手の動画を漁りまくっていた。
兵士が身につけている小型カメラに映される実際の戦場での撃ち合いの動画をよく見ていたので、何となく雰囲気は同じだったのが頭によぎる。
俺は倒した巨大オークとゴブリンの死体をチェックする。
仕留めた敵が確実に死んでいるかどうか確認するのは当然であると赤い正義のヒーローの動画で習った。
それからマブクロの類を所持しているか確認した。
約300キロの収納量を持つのを持っていた。
金貨は重量にして3キロ。
回復系アイテムはあったが、レアアイテムや目立った金目の物はなかった。
どういうわけか黒色火薬製の爆薬も5キロほど持っていた。
俺たちはそれらを回収し、塔の屋上に行って下で戦っているみんなに大将を討ち取ったことを大声で叫んだ。
下の階から俺の叫び声に呼応して勝利の雄叫びが上がっていく。
下を見下ろすと魔物どもが動揺して森の方へと逃げ出していくのが見える。
武器や防具を投げ捨てて逃げる魔物が複数見えた。
最もここで遭遇した魔物はあまり価値のあるアイテムや武器を持っていない。
放置しておけばいくさを陰から見ている転売目的の中古業者みたいな連中が勝手に回収していく。
ベルリオーネさんにギルドで教わったが、城下町でもたまにやっている蚤市で売られている武器防具アイテムなどはそれら冒険者が回収し損ねたり元から欠陥がある品物など価値のない物が大半なのでそういうところで物は買ってはならないとアドバイスされた。
そういったところで見かけたような連中がどこからか湧き出し、我先にとモンスターどもが捨てていったくたびれた剣や兜を即座に回収していくのが見えた。
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