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第16話 ケーニヒスゲマインシャフトにて
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王立冒険者仲介ギルド・ケーニヒスゲマインシャフト。
それがこのギルドの正式な名称であると今しがたベルリオーネさんから聞いた。
改めて入り口に出て両開きの立派なドアの上を見ると、立派な金属製の銘板が掲げてあった。
重厚な金属板で彫り物が施されたそれを見る限り、王立と名付けられる理由がよく分かる。
先ほどのシュヴァルツが去ってからもギルド内のホールはざわついていたが、10分も達つと元の賑わいを取り戻した。
ベルリオーネさんは焦った表情の中にも冷静さを失わないという絶妙な表情でまず俺にケガはないかとか体の具合を気遣ってくれた。
俺は特にないと言うと、一安心したのか、まず手早く手続きを済ませると言って彼女はホテルのフロントのような感じのギルドの受付へと向かって行った。
じっくりと経緯について話もしたいということで、ベルリオーネさんがまずギルドでの登録受付を済ませてくれた後、俺たちはギルド施設内にあるカフェで一息つくことになった。
登録後は施設内の酒場やカフェが街中のそれらよりも格安で利用できるという。
生協とか共済、か〇ぽの宿の保養施設みたいな感じだ。
それから堰を切ったようにベルリオーネさんはかなり心配そうな表情を俺に向けてきた。
「申し訳ございません、スドウ様!本当にお怪我はありませんか!?」
「ああ、それはさっき言ったように大丈夫」
「よかった!!てっきりあの女に精神操作されたのかと思って!」
精神操作?
やっぱりあの黒魔女何か精神を操ることをするタイプなのか?
「私と別れてからどうしてあの女と遭遇したのですか!?」
「ベルリオーネさんと別れた後、自力でこのギルドのある地区まで歩いてきて、ここを探していたら変な黒ずくめの同い年くらいの少女に背後から刃物を突き付けられた」
「俺はそのまま路地裏のガラの悪い地区の酒場の前まで連行されて、そこであの全身真っ黒の魔女みたいな女と出会ったんです」
「何でも俺に自分のとこへ来いとか言ってきて・・・・」
「そうだったのですか・・・・。あの女は気に入った相手を自分好みに、いや、自分の仲間にするためには非合法な手段も使うことで有名ですから」
「あの女はシュヴァルツ。私と同じ女王陛下直属の冒険者グループを率いている第一級魔導士です」
「さっきベルリオーネさんはあの女に妙に遠慮していた感じだったが、あの人ベルリオーネさんの先輩なのか?」
ベルリオーネさんは一呼吸おいてやや暗い表情で答えた。
「そうです。私は第一級魔導士の試験に合格してまだ半年。あの人は私の先輩でして、既に5年の実績のある魔導士なんです」
俺はあの黒魔女についてベルリオーネさんに聞くが、なぜかベルリオーネさんは話を詰まらせて黒魔女のことを詳しく語ろうとしない。
自分の先輩であること。
高圧的で苦手な人。
他のグループの有力なメンバーをある種性的なことも含めて篭絡して自分の者にする人ということだけを言うのみだった。
何かあるのだろうか?
さっきまでの緊張感が少し落ち着いてきたのでベルリオーネさんはここでまずコーヒーを頼んだ。
俺もブラックを頼む。
「他に何か言っていなかったですか?」
「俺が勇者クラスで私のとこへ来いとか、そのために私の奴隷になれ的な、とにかく無礼千万なことを言っていたよ、あの姉ちゃん。一蹴してやったけどな」
「そ、それでシュヴァルツはあなたの道具袋の中から出てきたのはどうゆうことですか?」
俺はその経緯を説明すると、ベルリオーネさんは信じられないという表情のままコーヒーを飲むのも忘れて俺に質問攻めをしてきた。
一体どのようにしてあのシュヴァルツの攻撃魔法を潜り抜けて袋に捕獲できたのかということを特に詳しく聞いてきた。
俺が剛柔流をたしなんでいたこととか、普通から離れた発想が必要と言うと、彼女の唖然とした表情はしばらく続いていた。
俺がシュヴァルツにまがいなりにも勝ったことにかなり興味を持っている感じだ。
それにしてもさっきの黒魔女。
教主様って言っていたが、一体誰の事だ?
ベルリオーネさんが言うにあの黒魔女も女王様の部下らしいが、なんかあの女が言っていた教主様って女王様とは別人のことを指している気がしてならなかった。
気のせいならいいんだが・・・・。
俺はブラックにサトウキビから生成されたシュガーを入れてかき混ぜた後、芳醇な香りを鼻腔で楽しみながら口に含んだ。
口に広がるほど良い酸味と苦みが、周囲の人々の上品な会話やベルリオーネさんの安堵の表情とともに、先ほどまでの緊張感を溶かしてくれる気がした。
それがこのギルドの正式な名称であると今しがたベルリオーネさんから聞いた。
改めて入り口に出て両開きの立派なドアの上を見ると、立派な金属製の銘板が掲げてあった。
重厚な金属板で彫り物が施されたそれを見る限り、王立と名付けられる理由がよく分かる。
先ほどのシュヴァルツが去ってからもギルド内のホールはざわついていたが、10分も達つと元の賑わいを取り戻した。
ベルリオーネさんは焦った表情の中にも冷静さを失わないという絶妙な表情でまず俺にケガはないかとか体の具合を気遣ってくれた。
俺は特にないと言うと、一安心したのか、まず手早く手続きを済ませると言って彼女はホテルのフロントのような感じのギルドの受付へと向かって行った。
じっくりと経緯について話もしたいということで、ベルリオーネさんがまずギルドでの登録受付を済ませてくれた後、俺たちはギルド施設内にあるカフェで一息つくことになった。
登録後は施設内の酒場やカフェが街中のそれらよりも格安で利用できるという。
生協とか共済、か〇ぽの宿の保養施設みたいな感じだ。
それから堰を切ったようにベルリオーネさんはかなり心配そうな表情を俺に向けてきた。
「申し訳ございません、スドウ様!本当にお怪我はありませんか!?」
「ああ、それはさっき言ったように大丈夫」
「よかった!!てっきりあの女に精神操作されたのかと思って!」
精神操作?
やっぱりあの黒魔女何か精神を操ることをするタイプなのか?
「私と別れてからどうしてあの女と遭遇したのですか!?」
「ベルリオーネさんと別れた後、自力でこのギルドのある地区まで歩いてきて、ここを探していたら変な黒ずくめの同い年くらいの少女に背後から刃物を突き付けられた」
「俺はそのまま路地裏のガラの悪い地区の酒場の前まで連行されて、そこであの全身真っ黒の魔女みたいな女と出会ったんです」
「何でも俺に自分のとこへ来いとか言ってきて・・・・」
「そうだったのですか・・・・。あの女は気に入った相手を自分好みに、いや、自分の仲間にするためには非合法な手段も使うことで有名ですから」
「あの女はシュヴァルツ。私と同じ女王陛下直属の冒険者グループを率いている第一級魔導士です」
「さっきベルリオーネさんはあの女に妙に遠慮していた感じだったが、あの人ベルリオーネさんの先輩なのか?」
ベルリオーネさんは一呼吸おいてやや暗い表情で答えた。
「そうです。私は第一級魔導士の試験に合格してまだ半年。あの人は私の先輩でして、既に5年の実績のある魔導士なんです」
俺はあの黒魔女についてベルリオーネさんに聞くが、なぜかベルリオーネさんは話を詰まらせて黒魔女のことを詳しく語ろうとしない。
自分の先輩であること。
高圧的で苦手な人。
他のグループの有力なメンバーをある種性的なことも含めて篭絡して自分の者にする人ということだけを言うのみだった。
何かあるのだろうか?
さっきまでの緊張感が少し落ち着いてきたのでベルリオーネさんはここでまずコーヒーを頼んだ。
俺もブラックを頼む。
「他に何か言っていなかったですか?」
「俺が勇者クラスで私のとこへ来いとか、そのために私の奴隷になれ的な、とにかく無礼千万なことを言っていたよ、あの姉ちゃん。一蹴してやったけどな」
「そ、それでシュヴァルツはあなたの道具袋の中から出てきたのはどうゆうことですか?」
俺はその経緯を説明すると、ベルリオーネさんは信じられないという表情のままコーヒーを飲むのも忘れて俺に質問攻めをしてきた。
一体どのようにしてあのシュヴァルツの攻撃魔法を潜り抜けて袋に捕獲できたのかということを特に詳しく聞いてきた。
俺が剛柔流をたしなんでいたこととか、普通から離れた発想が必要と言うと、彼女の唖然とした表情はしばらく続いていた。
俺がシュヴァルツにまがいなりにも勝ったことにかなり興味を持っている感じだ。
それにしてもさっきの黒魔女。
教主様って言っていたが、一体誰の事だ?
ベルリオーネさんが言うにあの黒魔女も女王様の部下らしいが、なんかあの女が言っていた教主様って女王様とは別人のことを指している気がしてならなかった。
気のせいならいいんだが・・・・。
俺はブラックにサトウキビから生成されたシュガーを入れてかき混ぜた後、芳醇な香りを鼻腔で楽しみながら口に含んだ。
口に広がるほど良い酸味と苦みが、周囲の人々の上品な会話やベルリオーネさんの安堵の表情とともに、先ほどまでの緊張感を溶かしてくれる気がした。
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