上 下
14 / 44

第14話 追撃

しおりを挟む
ようやく表通りへ戻って来れた。

さて、ベルリオーネさんの言ってたギルドはと・・・。

すると、俺の背後から猛烈な勢いで追いかけてくる何かを感じた。

「・・・・待ちなさい・・・・・」

例の露出度の多いビキニアーマが表通りへ出る路地入り口手前で目の前に立ちふさがった。

「あんた、キョトンとして戦意喪失したんじゃなかったのか?」

「・・・ミス・シュヴァルツ様を返せ!!!!!」

「返してほしけりゃ金貨を払え」

俺はハッタリをまたかます。

さっきまでの無表情とは異なり、主人を捕虜にされたせいかこの少女明らかに焦っている。

「・・・金を払えなどという要求を拒否する・・・・」

「覚悟!!!」

少女は脇差くらいの刃渡りを持つ腰のショートソードを抜いて襲い掛かってきた。

俺は買ったばかりの剣を抜いて少女の剣と切り結んだ。

そして、力任せに前蹴りをかまして突き飛ばす。

「ぐっ!!!!!」

後ずさりする少女。

だがゴミ箱に激突する前に踏ん張りやがった。

スピードはかなり速いが、狭い路地ゆえにその機動力を生かし切れていない。

俺は魔法が封じてあるという触れ込みの剣から攻撃魔法を出そうと考えた。

えっと。

剣から魔法を出すのってどうやって使うんだっけ?

まだベルリオーネさんから使い方を指南されていないから正直どうすりゃいいか分からん。

アークティスクリンゲには氷属性の魔法が封じてあるって言うからその属性の魔法だろうが・・・。

とりあえず我流でやってみる。

「アークティスクリンゲ、唸れ!!」

適当に叫ぶ。

すると、刀身から吹雪と氷の針が生成され、目の前の少女へと襲い掛かった。

「くっ!?」

少女は狭い路地の両サイドの建物の壁を蹴って上空を左右に飛びかうように移動して俺の攻撃をギリギリかわしたが、部分的に吹雪で足の部分が凍り付いた。

「それはなかなかの魔剣。どこでそんなものを・・・?」

「今日買ったばっかりだ」

軽く適当に唱えただけである程度の吹雪とかが出るか。

ただ、これが全力なのかはわからん。

「ならば私も手加減はしない」

「魔の深淵よりいでよ!!」

シュヴァルツと同じ闇属性の攻撃魔法か!?

マズいな。

狭くて隠れる場所がない。

剣から出る魔法じゃまだあの攻撃魔法には対抗できないだろう。

どうする?

魔力は俺にも多少はあるのだろうが・・・?

どう使えば?

“魔法は人を自由にするものです。一つのことにとらわれてはいけません”

ベルリオーネさんはそんなことを言っていた。

ならば自分の心のおもむくままに頭に描(えが)こう、自分のイメージする魔法を。

目の前の敵を征伐する方法、その手段として魔力を発動したい。

頭の中でストーブに点火する映像が昔の記憶から引き出された。

古くてレバーを下げるだけでは点火せず、マッチで直接点火するのをばあちゃんちでやった記憶をふと思い出したからだ。

すると、何か頭の中心が熱くなってくる。

この頭の中心のもやもやが多分魔力かな。

幼稚園の時初めて補助輪なしで自転車に乗る直前と同じような感じがする。

ではまずこの魔力を・・・・・。

そう言えば・・・・。

俺は後ろの女の腰についている魔力貯蓄用の印籠、正式な名は聞き忘れた、の一つに意識を集中し、一気に魔力がいっぱいになるイメージを浮かべた。

すると、少女の腰の印籠?がだんだん赤く光り始めた。

だが、少女は両手に攻撃魔法を放つために意識を集中して気づいていない。

俺はそのまま印籠に魔力を限界を超えるまで一気に送り込むようイメージを集中した。

「死ね!!デュンケルハイトヴェっなっっっ!!!!!」

彼女があの黒魔女と同じ魔法を放つ直前に少女の腰の印籠が爆ぜた。

ドギュゴオオオオオオオオッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

すさまじい地響きとともに印籠は破裂した。

俺はすぐに後ろを向いてそのまま表通りに走った。

後ろは振り返らない。

どのみちあの衝撃では防御ができても大ダメージは必死であろう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻がエロくて死にそうです

菅野鵜野
大衆娯楽
うだつの上がらないサラリーマンの士郎。だが、一つだけ自慢がある。 美しい妻、美佐子だ。同じ会社の上司にして、できる女で、日本人離れしたプロポーションを持つ。 こんな素敵な人が自分のようなフツーの男を選んだのには訳がある。 それは…… 限度を知らない性欲モンスターを妻に持つ男の日常

特殊スキル持ちの低ランク冒険者の少年は、勇者パーティーから追い出される際に散々罵しった癖に能力が惜しくなって戻れって…頭は大丈夫か?

アノマロカリス
ファンタジー
少年テイトは特殊スキルの持ち主だった。 どんなスキルかというと…? 本人でも把握出来ない程に多いスキルなのだが、パーティーでは大して役には立たなかった。 パーティーで役立つスキルといえば、【獲得経験値数○倍】という物だった。 だが、このスキルには欠点が有り…テイトに経験値がほとんど入らない代わりに、メンバーには大量に作用するという物だった。 テイトの村で育った子供達で冒険者になり、パーティーを組んで活躍し、更にはリーダーが国王陛下に認められて勇者の称号を得た。 勇者パーティーは、活躍の場を広げて有名になる一方…レベルやランクがいつまでも低いテイトを疎ましく思っていた。 そしてリーダーは、テイトをパーティーから追い出した。 ところが…勇者パーティーはのちに後悔する事になる。 テイトのスキルの【獲得経験値数○倍】の本当の効果を… 8月5日0:30… HOTランキング3位に浮上しました。 8月5日5:00… HOTランキング2位になりました! 8月5日13:00… HOTランキング1位になりました(๑╹ω╹๑ ) 皆様の応援のおかげです(つД`)ノ

幼なじみ三人が勇者に魅了されちゃって寝盗られるんだけど数年後勇者が死んで正気に戻った幼なじみ達がめちゃくちゃ後悔する話

妄想屋さん
ファンタジー
『元彼?冗談でしょ?僕はもうあんなのもうどうでもいいよ!』 『ええ、アタシはあなたに愛して欲しい。あんなゴミもう知らないわ!』 『ええ!そうですとも!だから早く私にも――』  大切な三人の仲間を勇者に〈魅了〉で奪い取られて絶望した主人公と、〈魅了〉から解放されて今までの自分たちの行いに絶望するヒロイン達の話。

[完結済み]男女比1対99の貞操観念が逆転した世界での日常が狂いまくっている件

森 拓也
キャラ文芸
俺、緒方 悟(おがた さとる)は意識を取り戻したら男女比1対99の貞操観念が逆転した世界にいた。そこでは男が稀少であり、何よりも尊重されていて、俺も例外ではなかった。 学校の中も、男子生徒が数人しかいないからまるで雰囲気が違う。廊下を歩いてても、女子たちの声だけが聞こえてくる。まるで別の世界みたいに。 そんな中でも俺の周りには優しいな女子たちがたくさんいる。特に、幼馴染の美羽はずっと俺のことを気にかけてくれているみたいで……

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】

墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。 主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。 異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……? 召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。 明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

英雄になった夫が妻子と帰還するそうです

白野佑奈
恋愛
初夜もなく戦場へ向かった夫。それから5年。 愛する彼の為に必死に留守を守ってきたけれど、戦場で『英雄』になった彼には、すでに妻子がいて、王命により離婚することに。 好きだからこそ王命に従うしかない。大人しく離縁して、実家の領地で暮らすことになったのに。 今、目の前にいる人は誰なのだろう? ヤンデレ激愛系ヒーローと、周囲に翻弄される流され系ヒロインです。 珍しくもちょっとだけ切ない系を目指してみました(恥) ざまぁが少々キツイので、※がついています。苦手な方はご注意下さい。

処理中です...