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本編 魔族のギーディは裏切らない
四話
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ギーディたちの旅は続いた。
いくつも町を過ぎ、時間をかけて到着した闘技場のあるこの街に、魔王の手先ではないかと疑わしい人物がチームを組んでトーナメントに出場していると知った。ナナルたちは、すぐさま容疑者を捕らえ尋問してしまいたかったが、金に目がくらんだトーナメントの運営者に邪魔をされた。
でっぷりと肥え太った中年の男は、脂ぎった顔に歪んだ笑みを浮かべて「困るんですよねぇ」と言った。
「あなた達が魔王をどうにかしたいのは、わたくしどももよぉくわかるんですよ」
でもねぇと、わざとらしくため息をついて、男はギーディたちを値踏みする。治癒師ジャムを除いた八人は、見た目からして腕に覚えがある者ばかりだ。
「こちらとしても支援者様から多大な金銭をいただいておりますのでねぇ。今更始まったトーナメントを中止になんてできないんですよ。もう、件のチームは優勝候補として注目を浴びておりますし」
そして、男はあれこれと文句をつけ、最終的にナナルたちにトーナメントへ出場するよう言ってきた。腕の立つ冒険者が飛び入りで参加すれば、さぞ盛り上がるだろう。ギーディにも、それは容易に想像できた。ギーディの隣に立つノグリーが、今にも運営者につばを吐きかけそうなほど顔をしかめている。
じゃあ、と口を開いたのは討伐隊の剣士ムーだった。
「僕らがそのお祭り騒ぎに参加して、ちょっとしたいざこざで他チームと揉めても、文句は言わないんだね?」
「そうですねぇ、揉めるのであれば…ぜひ試合中にしていただきたいものですねぇ」
「へぇ…。ナナル、参加しよう」
「楽しそうだし、あたしも賛成ーっ!」
「ムー、イルティエ、お前らな……」
ナナルが額を抑えてため息をついた。ムーに同調した弓使いイルティエは、やろうやろうと前向きに言うが、魔道士ケイとミレナはあまり乗り気には思えない。ノグリーは不機嫌に顔を歪め、スーダはおろおろと流れを見守り、ジャムは我関せずの顔で窓の外を見ていた。
もめる討伐隊に「お決まりになりましたらご連絡ください」と言って運営者は去っていった。
「気に入らん」
好き勝手に騒ぐ若者連中に向かって、唸るように言ったノグリーだが、意外にもそこへジャムが口を出した。
「ノグリーは、どうしてそんなに嫌なの?」
「俺たちが金儲けのための道具にされるんだぞ」
「でも、金儲けって別に変なことじゃないわ」
「…あいつらは、人の生死を娯楽にしてるんだ!」
「じゃあ私が出る」
きっぱりと言い切ったジャムに、全員がぎょっとした。
普段の戦闘で、彼女が戦うことはない。言い合いをしていたノグリーも顔を強張らせ、彼女をじっと見た。
「ジャム、おまえ何を言ってるんだ…」
「チームを組むならギーディとケイ、あとはノグリーかムーがいいって思ってたんだけど、それならムーに頼もうかな」
「えっ? で、でも、ジャムって戦えるの…?」
突然名を出されたギーディもケイもムーも驚きにうろたえたが、ジャムはけろりとした顔をしている。そんな彼女にムーが疑いの眼差しを向けるのも普段を知っているからこそ仕方のないものだ。
ムーの言葉にジャムは大きくため息をついて、ちょいちょいと彼を近くへ呼んだ。呼ばれるがままにとことこ近寄ってきたムーだったが、ほんのわずかな一瞬で、彼は床に投げ飛ばされた。
全員が硬直した。
ナナルと同じくらいムーも強い。いくら仲間だからとはいえ、いくら隙があったからとはいえ、そうそう簡単に投げられるような剣士ではない。
「体術くらいできないとね」
そう言ってチャーミングに笑ったが、誰も笑顔は返せなかった。もちろんギーディも。
討伐隊は二チームに分かれてトーナメントへ参加することになった。
剣士ナナル率いる、魔道士ミレナ、弓使いイルティエ、戦士ノグリー。
治癒師ジャム率いる、剣士ムー、魔道士ケイ、そして魔剣士ギーディ。
弓使いスーダだけ非参加で見学だ。
トーナメント参加が決定してから、八人はそれぞれのチームで特訓を始めた。
ジャムの提案した特訓は、なかなか厳しいものだった。ムーとケイ、ギーディはその内容に思わず口元を引きつらせたが、有無を言わせない彼女の無敵の笑顔に負けた。ナナルチームの動きはギーディにはわからないが、毎晩ナナルは宿に戻ってくると泥のように眠っているのでおそらくこちらと大差ない。
「治癒師って、場合によってはさっさと殺されちゃうのよ」
特訓が一段落ついてからの休憩中、なぜ戦えるのかを問うたムーに、ジャムは前述のような返事をした。
「私のお師匠は戦争治癒兵で、全体の三分の一程度を担当していたらしいの。お師匠は、仲間内で一番暗殺者に狙われたって笑ってた」
優秀な治癒師の存在は、激しい戦場において、一発逆転のキーマンだった。どんなに殺しても、死人が死ぬ寸前で生き返っては意味がない。治癒士にはそれが可能であった。
そして、治癒は万人ができることではない。限られた素質ある人間が、苦しい修行に耐えてようやくその才能は開花する。彼らを殺してしまえば、後釜はそう簡単にやってこない。
ジャムの師匠が無事に生き残ったのは、ある種の奇跡なのだ。
事情を聞き出そうとしたムーは、なんとも申し訳無さそうに眉を下げていた。
治癒師は、その強さに関わらず治癒師であるというだけで捕縛されることが多い。かつて治癒師の家族を拉致し、国のために力を使うことを強要し、ついには気分ひとつで惨殺した歴史もある。
「それに、治癒って言ったって使う人間も含めて万能じゃないからさ、失敗することだってある。力が足りなかったり、間に合わなくて助けられなかった人の家族とかに、治癒師はすごい罵られるの。たまに、お前が死ねー! って襲ってくる人もいる」
淡々と語るジャムの顔に悲壮感はなかった。
ギーディにはそれがなんとも不思議だった。
「…ジャムってさ、治癒の力を持ってたこと、嫌じゃないの?」
「全然」
ケイの質問に、ジャムはきっぱりと答えた。どこか晴れ晴れとした笑顔さえ浮かべていて、ギーディはなんとなく合点がいった。彼女の「力」と、ギーディの「魔族」は種類こそ違えど同じものなのだ。
だから、辛い修行を乗り越えて治癒師になった彼女は、治癒師であることをやめない。存分に力を使えるように自衛手段だって手に入れた。
惜しみない努力の上に、「治癒師ジャム」は存在している。
黙って話しを聞いていたケイのジャムはすごいんだなという呟きに、ギーディは内心で深く同意した。
二つのチームは順調にトーナメントを勝ち進み、そして対戦することとなった。
どうやら決勝で容疑者チームと当たるように運営者が仕組んだようだ。飛び入りの討伐隊チームはどちらも登場時から他チームを圧倒する力で観客を魅了した。運営者は正しくそこに目をつけた。容疑者チームを倒したら速やかに棄権するつもりだったナナルたちは苦い顔をした。
討伐隊チーム同士の試合は凄まじい勢いでチケットが売れたらしい。
国では勇者と言われる凄腕剣士、体術士も顔負けの強さを誇る治癒師、他のメンバーもおそろしく強い。街の絵師たちはこぞって彼らを描き、そのどれもが笑えるほど売れた。あまりの経済効果に街の領主まで出てきて「お抱えにならないか?」と打診してきたときには、全員が頭を抱えた。
試合前日、どちらかが棄権したらどうだという意見が出たが、それにはジャムとムーとイルティエ、そしてノグリーもが大反対した。
「最初と意見が違うぞ」
ナナルの恨めしそうな目に、ノグリーはふんと鼻を鳴らした。
「わざと負けるのは矜持に関わる」
「……はぁ」
そんな矜持捨てたほうが絶対にいい。ギーディはそう思ったが相変わらず黙っていた。
明日のためにテーブルに並べられた料理に手をつけながら、どうやって自分は負けようかと、ギーディはぼんやり考えていた。それを打ち破ったのは、弓使いイルティエの一言だ。
「それにこんなタイミングでなきゃ、あたしたちって戦えないし」
「そうそう! 僕、一度でいいからナナルやみんなとやってみたかったんだ」
「私もノグリーと戦ってみたいのよね」
「俺は手加減しないぞ、ジャム」
なるほど、とギーディは思った。
確かに、彼らは強い冒険者だ。記憶に間違いがなければ、確か全員が超級程度だったはず。乗り気な四人にあるのは、強者と手合わせしたいという純粋な願望。
ギーディは、自分はどうだろうと我が身を振り返った。戦ってみたいか、戦いたくないか。答えはすぐに出た。──戦ってみたい。一緒に行動する彼らに対峙し、経験も技術も勘も、持ちうる限りのすべてを使って、戦いたい。
嫌われ者のギーディにとって修行の相手は野生動物で、時々ギルド長のハイネが指導してくれるばかりだった。まともな手合わせなどしたことがない。
「…あんたも意外とやる気なんだな」
隣に座っていたケイにぽつりと言われ、ギーディはハッとした。
ケイはギーディをちらりと見てから「いいんじゃない」とだけ言った。いつもどおり、返事はしなかった。
準備運動を終え、控室で待機していたギーディは、自分がどこか浮足立っていることに気付いていた。ジャムにはすぐ気付かれて笑われ、ムーは鼻息荒く「勝つぞ!」とギーディの背中を乱暴に叩いた。痛かった。
ナナルたちの動きは、旅の最中一緒に戦っているので、もちろんある程度は把握している。だが、これは普段の戦いではない。ギーディは今回、ナナルたちの背中を守るのではなく、剣を向け、また向けられる。
彼らはどんなふうに戦うのだろう。
まるでプレゼント箱を開ける前の子どものようだった。
「……なあ」
「……」
「あんたは、誰と一番戦ってみたいんだ?」
隣に腰掛けたケイが、ギーディにたずねた。ジャムとムーが興味深げにギーディを見る。なんだか、妙な期待をされている気がした。だが、質問に答えなければ。真面目なギーディは、戦う四人をそれぞれ思い浮かべた。
剣士ナナル、弓使いイルティエ、魔道士ミレナ、戦士ノグリー。
正直に言えば、全員と一騎打ちしてみたい。だが、あえて一人を選ぶとしたら。
「……ナナルだな」
「わかる!」
「やっぱりあんたもムーも剣士だから?」
「そりゃそうだろう! あいつ、めちゃくちゃ強いし!」
「ふうん。あんたもそう思うんだ?」
「ああ、ナナルは強い」
魔剣士である以上、まったく同じ土俵というわけではないが、やはり同じ武器を使うものとして興味があった。旅のはじめから、魔獣と戦うナナルの強さに驚くことが多々あった。迷いのない剣筋や、意外と思える動きからの反撃やサポート。確かに彼は、リーダー足り得る腕前の剣士であった。
ムーはわかるわかるとギーディに同意して、魔剣士の肩をバシバシと叩いた。
控室を出る間際、今回は見学のスーダがギーディのそばへとことこと寄ってきた。どうしたのかと目を向けると、「楽しんでね」とギーディの肩を叩いた。ムーと比べれば全然痛くなかった。
熱狂する観客の声援や野次の中、ギーディは剣を抜く。顔を上げると、ナナルとノグリーを前衛にした四人が同じように構えていた。
隣に立つムーと、後ろで杖を持つケイ。そして、一番前のジャムの背中。ギーディの胸はどきどきしていた。
試合は高らかなファンファーレとともに始まった。
近接戦闘の五人が一斉に地を蹴った。魔道士ミレナが風を起こし土埃を上げるが、ケイがバリアで阻止する。戦士ノグリーが大きな体躯に似合わぬ速度で走りジャムへ飛びかかり、小柄な治癒師はそれを迷わず受ける。弓使いイルティエは魔矢を放ち、ムーがそれを次々と斬り払う。
ギーディは、振り下ろされるナナルの剣を、同じく剣を持って迎え撃った。ナナルの青い目と、ギーディの赤い目が合う。高い音を響かせながらぶつかりあう剣と剣、柄を握るギーディの手にまで伝わる重い振動。
火山竜を仕留めた剣士の、容赦ない攻め手に、ギーディはたまらない高揚を感じた。
向かい合うナナルの目に、嫌悪や殺意はひとかけらも無かった。ギーディの一挙手一投足を絶対に見逃すまいと、ただそれだけしかなかった。ギーディは彼が、ギーディを一人の魔剣士として認めているのだと、唐突に理解した。
瞬間、脳が沸騰するような興奮を味わった。
互いに、全力を持って戦う相手なのだと思っている。それだけのことに、胸が震えた。
ナナルの剣を弾いて足払いを仕掛けるが、すぐさま避けられ、待っていたとばかりに突進され、襲いくる剣を受けては押し返し、魔法を飛ばすが剣で撃ち落とされ、斬りかかってくる剣をまた受けて、ギーディはナナルと戦った。うるさいだけの観客の声も、他の仲間の様子も、ギーディの中からどんどん見えなくなっていった。
ナナルの剣にだけ集中し、──夢中になっていた。
空を裂き、舞い上がる土埃をかいくぐり、繰り返される激しい剣戟の中、自分の手足が驚くほどなめらかに動くのを、ギーディは感じていた。
楽しくてたまらなかった。
ギーディがすることをナナルは即座に理解し、ナナルがすることをギーディも理解した。どれだけ剣を合わせても決着はつかないのではないか。でも、できることならずっと、ずっと戦っていたい。
楽しい。楽しい!
「お前…!」
ナナルがなにかに驚き、目をみはった。
その時、闘技場を揺るがす爆音と振動に全員が動きを止めた。
ハッとした八人はすぐさま武器をおさめ、顔を見合わせてから走り出した。十中八九、疑惑のかかっているやつらが動いたのだ。事前に、不測の事態が置きた際は試合がどんな状況だろうと中断すると決めていた。
ギーディを含めた全員が、半端に終わった試合へ名残惜しそうな、悔しそうな顔だった。ギーディは気付いた瞬間、吹き出しそうになってしまったが、真面目な状況なので必死に我慢して皆に続いた。
見学していたスーダと合流し、すでに下調べのついている場所へ踏み込むと、運営者の男が容疑者に殺されかかっていた。討伐隊は統率の取れた動きによって、手際よく男を救出。容疑者も無事捕縛した。
結局、容疑者は白。
私事で揉めていた運営者が流したたちの悪いデマであったことが発覚した。ナナルたちは速やかに領主へ報告し、その後のことは知らぬまま、街を出た。熱狂の渦に盛り上がる街では、道行く誰もが討伐隊に声をかけてくるので、領主館へ行くのも一苦労だったのだ。
目立たないような馬車とローブで身元を隠し、そそくさと一行は脱出した。そうして、街から随分離れたところでフードを脱いだ。
「あぁー、疲れた!」
「もお最悪! 試合で消費した矢の補充できなかったんだけど!」
「イルティエはかなり大盤振る舞いしてたな」
「だってみんなと戦えるなんてチャンス、滅多にないし」
荷台で伸びをした剣士ムーの隣で、弓使いイルティエが退屈そうに口を尖らせる。
御者台では御者をつとめる戦士ノグリーがイルティエに同意し、頷いていた。
「見世物にされるのはもうごめんだが、手合わせは面白かったな」
「次は俺も入れて!」
弓使いスーダが慌てて声を上げ、一同はみな顔を綻ばせた。
ギーディもひとり、荷台の隅に座って試合のことを思い出す。楽しかった、と今でも感じる。まだ少し胸が跳ねているような気がする。
それはギーディに限らない。おそらく、他の全員そうなのだろう。興奮冷めやらぬと言ったように、各自で試合の振り返りを始めていた。あの攻撃はどうだった、反撃に意表を突かれた、腕が上がった等々、馬車には和やかな雰囲気が満ちていた。
国王に持たされた己の剣を抱え、ギーディは目を閉じた。
通り過ぎていく風と、討伐隊の声と、車輪が地面を走る音、荷台の揺れ。そういったものが、試合を思い出すにつれ遠のいていく。つい数時間前の高揚が今も鮮やかに蘇る。張り詰めた緊張感がとんでもなく心地よく、叶うならいつまでも打ち合っていたかった。
ふと、ギーディは目を開けた。
顔を上げるとナナルと目が合い、少し驚いた。ナナルも驚いたようで、少し口元を強張らせて、彼はギーディから気まずげに視線を外した。
ギーディはナナルと試合について話してみたかったが、ひどく楽しかっただけにためらった。もし、ナナルに嫌な顔をされたら、あの時の喜びが汚されてしまう。
確かに互いを認めあっていた戦いを思い、ギーディは生まれてはじめて「俺が魔族じゃなかったら」と思い、落ち込んだのだった。
いくつも町を過ぎ、時間をかけて到着した闘技場のあるこの街に、魔王の手先ではないかと疑わしい人物がチームを組んでトーナメントに出場していると知った。ナナルたちは、すぐさま容疑者を捕らえ尋問してしまいたかったが、金に目がくらんだトーナメントの運営者に邪魔をされた。
でっぷりと肥え太った中年の男は、脂ぎった顔に歪んだ笑みを浮かべて「困るんですよねぇ」と言った。
「あなた達が魔王をどうにかしたいのは、わたくしどももよぉくわかるんですよ」
でもねぇと、わざとらしくため息をついて、男はギーディたちを値踏みする。治癒師ジャムを除いた八人は、見た目からして腕に覚えがある者ばかりだ。
「こちらとしても支援者様から多大な金銭をいただいておりますのでねぇ。今更始まったトーナメントを中止になんてできないんですよ。もう、件のチームは優勝候補として注目を浴びておりますし」
そして、男はあれこれと文句をつけ、最終的にナナルたちにトーナメントへ出場するよう言ってきた。腕の立つ冒険者が飛び入りで参加すれば、さぞ盛り上がるだろう。ギーディにも、それは容易に想像できた。ギーディの隣に立つノグリーが、今にも運営者につばを吐きかけそうなほど顔をしかめている。
じゃあ、と口を開いたのは討伐隊の剣士ムーだった。
「僕らがそのお祭り騒ぎに参加して、ちょっとしたいざこざで他チームと揉めても、文句は言わないんだね?」
「そうですねぇ、揉めるのであれば…ぜひ試合中にしていただきたいものですねぇ」
「へぇ…。ナナル、参加しよう」
「楽しそうだし、あたしも賛成ーっ!」
「ムー、イルティエ、お前らな……」
ナナルが額を抑えてため息をついた。ムーに同調した弓使いイルティエは、やろうやろうと前向きに言うが、魔道士ケイとミレナはあまり乗り気には思えない。ノグリーは不機嫌に顔を歪め、スーダはおろおろと流れを見守り、ジャムは我関せずの顔で窓の外を見ていた。
もめる討伐隊に「お決まりになりましたらご連絡ください」と言って運営者は去っていった。
「気に入らん」
好き勝手に騒ぐ若者連中に向かって、唸るように言ったノグリーだが、意外にもそこへジャムが口を出した。
「ノグリーは、どうしてそんなに嫌なの?」
「俺たちが金儲けのための道具にされるんだぞ」
「でも、金儲けって別に変なことじゃないわ」
「…あいつらは、人の生死を娯楽にしてるんだ!」
「じゃあ私が出る」
きっぱりと言い切ったジャムに、全員がぎょっとした。
普段の戦闘で、彼女が戦うことはない。言い合いをしていたノグリーも顔を強張らせ、彼女をじっと見た。
「ジャム、おまえ何を言ってるんだ…」
「チームを組むならギーディとケイ、あとはノグリーかムーがいいって思ってたんだけど、それならムーに頼もうかな」
「えっ? で、でも、ジャムって戦えるの…?」
突然名を出されたギーディもケイもムーも驚きにうろたえたが、ジャムはけろりとした顔をしている。そんな彼女にムーが疑いの眼差しを向けるのも普段を知っているからこそ仕方のないものだ。
ムーの言葉にジャムは大きくため息をついて、ちょいちょいと彼を近くへ呼んだ。呼ばれるがままにとことこ近寄ってきたムーだったが、ほんのわずかな一瞬で、彼は床に投げ飛ばされた。
全員が硬直した。
ナナルと同じくらいムーも強い。いくら仲間だからとはいえ、いくら隙があったからとはいえ、そうそう簡単に投げられるような剣士ではない。
「体術くらいできないとね」
そう言ってチャーミングに笑ったが、誰も笑顔は返せなかった。もちろんギーディも。
討伐隊は二チームに分かれてトーナメントへ参加することになった。
剣士ナナル率いる、魔道士ミレナ、弓使いイルティエ、戦士ノグリー。
治癒師ジャム率いる、剣士ムー、魔道士ケイ、そして魔剣士ギーディ。
弓使いスーダだけ非参加で見学だ。
トーナメント参加が決定してから、八人はそれぞれのチームで特訓を始めた。
ジャムの提案した特訓は、なかなか厳しいものだった。ムーとケイ、ギーディはその内容に思わず口元を引きつらせたが、有無を言わせない彼女の無敵の笑顔に負けた。ナナルチームの動きはギーディにはわからないが、毎晩ナナルは宿に戻ってくると泥のように眠っているのでおそらくこちらと大差ない。
「治癒師って、場合によってはさっさと殺されちゃうのよ」
特訓が一段落ついてからの休憩中、なぜ戦えるのかを問うたムーに、ジャムは前述のような返事をした。
「私のお師匠は戦争治癒兵で、全体の三分の一程度を担当していたらしいの。お師匠は、仲間内で一番暗殺者に狙われたって笑ってた」
優秀な治癒師の存在は、激しい戦場において、一発逆転のキーマンだった。どんなに殺しても、死人が死ぬ寸前で生き返っては意味がない。治癒士にはそれが可能であった。
そして、治癒は万人ができることではない。限られた素質ある人間が、苦しい修行に耐えてようやくその才能は開花する。彼らを殺してしまえば、後釜はそう簡単にやってこない。
ジャムの師匠が無事に生き残ったのは、ある種の奇跡なのだ。
事情を聞き出そうとしたムーは、なんとも申し訳無さそうに眉を下げていた。
治癒師は、その強さに関わらず治癒師であるというだけで捕縛されることが多い。かつて治癒師の家族を拉致し、国のために力を使うことを強要し、ついには気分ひとつで惨殺した歴史もある。
「それに、治癒って言ったって使う人間も含めて万能じゃないからさ、失敗することだってある。力が足りなかったり、間に合わなくて助けられなかった人の家族とかに、治癒師はすごい罵られるの。たまに、お前が死ねー! って襲ってくる人もいる」
淡々と語るジャムの顔に悲壮感はなかった。
ギーディにはそれがなんとも不思議だった。
「…ジャムってさ、治癒の力を持ってたこと、嫌じゃないの?」
「全然」
ケイの質問に、ジャムはきっぱりと答えた。どこか晴れ晴れとした笑顔さえ浮かべていて、ギーディはなんとなく合点がいった。彼女の「力」と、ギーディの「魔族」は種類こそ違えど同じものなのだ。
だから、辛い修行を乗り越えて治癒師になった彼女は、治癒師であることをやめない。存分に力を使えるように自衛手段だって手に入れた。
惜しみない努力の上に、「治癒師ジャム」は存在している。
黙って話しを聞いていたケイのジャムはすごいんだなという呟きに、ギーディは内心で深く同意した。
二つのチームは順調にトーナメントを勝ち進み、そして対戦することとなった。
どうやら決勝で容疑者チームと当たるように運営者が仕組んだようだ。飛び入りの討伐隊チームはどちらも登場時から他チームを圧倒する力で観客を魅了した。運営者は正しくそこに目をつけた。容疑者チームを倒したら速やかに棄権するつもりだったナナルたちは苦い顔をした。
討伐隊チーム同士の試合は凄まじい勢いでチケットが売れたらしい。
国では勇者と言われる凄腕剣士、体術士も顔負けの強さを誇る治癒師、他のメンバーもおそろしく強い。街の絵師たちはこぞって彼らを描き、そのどれもが笑えるほど売れた。あまりの経済効果に街の領主まで出てきて「お抱えにならないか?」と打診してきたときには、全員が頭を抱えた。
試合前日、どちらかが棄権したらどうだという意見が出たが、それにはジャムとムーとイルティエ、そしてノグリーもが大反対した。
「最初と意見が違うぞ」
ナナルの恨めしそうな目に、ノグリーはふんと鼻を鳴らした。
「わざと負けるのは矜持に関わる」
「……はぁ」
そんな矜持捨てたほうが絶対にいい。ギーディはそう思ったが相変わらず黙っていた。
明日のためにテーブルに並べられた料理に手をつけながら、どうやって自分は負けようかと、ギーディはぼんやり考えていた。それを打ち破ったのは、弓使いイルティエの一言だ。
「それにこんなタイミングでなきゃ、あたしたちって戦えないし」
「そうそう! 僕、一度でいいからナナルやみんなとやってみたかったんだ」
「私もノグリーと戦ってみたいのよね」
「俺は手加減しないぞ、ジャム」
なるほど、とギーディは思った。
確かに、彼らは強い冒険者だ。記憶に間違いがなければ、確か全員が超級程度だったはず。乗り気な四人にあるのは、強者と手合わせしたいという純粋な願望。
ギーディは、自分はどうだろうと我が身を振り返った。戦ってみたいか、戦いたくないか。答えはすぐに出た。──戦ってみたい。一緒に行動する彼らに対峙し、経験も技術も勘も、持ちうる限りのすべてを使って、戦いたい。
嫌われ者のギーディにとって修行の相手は野生動物で、時々ギルド長のハイネが指導してくれるばかりだった。まともな手合わせなどしたことがない。
「…あんたも意外とやる気なんだな」
隣に座っていたケイにぽつりと言われ、ギーディはハッとした。
ケイはギーディをちらりと見てから「いいんじゃない」とだけ言った。いつもどおり、返事はしなかった。
準備運動を終え、控室で待機していたギーディは、自分がどこか浮足立っていることに気付いていた。ジャムにはすぐ気付かれて笑われ、ムーは鼻息荒く「勝つぞ!」とギーディの背中を乱暴に叩いた。痛かった。
ナナルたちの動きは、旅の最中一緒に戦っているので、もちろんある程度は把握している。だが、これは普段の戦いではない。ギーディは今回、ナナルたちの背中を守るのではなく、剣を向け、また向けられる。
彼らはどんなふうに戦うのだろう。
まるでプレゼント箱を開ける前の子どものようだった。
「……なあ」
「……」
「あんたは、誰と一番戦ってみたいんだ?」
隣に腰掛けたケイが、ギーディにたずねた。ジャムとムーが興味深げにギーディを見る。なんだか、妙な期待をされている気がした。だが、質問に答えなければ。真面目なギーディは、戦う四人をそれぞれ思い浮かべた。
剣士ナナル、弓使いイルティエ、魔道士ミレナ、戦士ノグリー。
正直に言えば、全員と一騎打ちしてみたい。だが、あえて一人を選ぶとしたら。
「……ナナルだな」
「わかる!」
「やっぱりあんたもムーも剣士だから?」
「そりゃそうだろう! あいつ、めちゃくちゃ強いし!」
「ふうん。あんたもそう思うんだ?」
「ああ、ナナルは強い」
魔剣士である以上、まったく同じ土俵というわけではないが、やはり同じ武器を使うものとして興味があった。旅のはじめから、魔獣と戦うナナルの強さに驚くことが多々あった。迷いのない剣筋や、意外と思える動きからの反撃やサポート。確かに彼は、リーダー足り得る腕前の剣士であった。
ムーはわかるわかるとギーディに同意して、魔剣士の肩をバシバシと叩いた。
控室を出る間際、今回は見学のスーダがギーディのそばへとことこと寄ってきた。どうしたのかと目を向けると、「楽しんでね」とギーディの肩を叩いた。ムーと比べれば全然痛くなかった。
熱狂する観客の声援や野次の中、ギーディは剣を抜く。顔を上げると、ナナルとノグリーを前衛にした四人が同じように構えていた。
隣に立つムーと、後ろで杖を持つケイ。そして、一番前のジャムの背中。ギーディの胸はどきどきしていた。
試合は高らかなファンファーレとともに始まった。
近接戦闘の五人が一斉に地を蹴った。魔道士ミレナが風を起こし土埃を上げるが、ケイがバリアで阻止する。戦士ノグリーが大きな体躯に似合わぬ速度で走りジャムへ飛びかかり、小柄な治癒師はそれを迷わず受ける。弓使いイルティエは魔矢を放ち、ムーがそれを次々と斬り払う。
ギーディは、振り下ろされるナナルの剣を、同じく剣を持って迎え撃った。ナナルの青い目と、ギーディの赤い目が合う。高い音を響かせながらぶつかりあう剣と剣、柄を握るギーディの手にまで伝わる重い振動。
火山竜を仕留めた剣士の、容赦ない攻め手に、ギーディはたまらない高揚を感じた。
向かい合うナナルの目に、嫌悪や殺意はひとかけらも無かった。ギーディの一挙手一投足を絶対に見逃すまいと、ただそれだけしかなかった。ギーディは彼が、ギーディを一人の魔剣士として認めているのだと、唐突に理解した。
瞬間、脳が沸騰するような興奮を味わった。
互いに、全力を持って戦う相手なのだと思っている。それだけのことに、胸が震えた。
ナナルの剣を弾いて足払いを仕掛けるが、すぐさま避けられ、待っていたとばかりに突進され、襲いくる剣を受けては押し返し、魔法を飛ばすが剣で撃ち落とされ、斬りかかってくる剣をまた受けて、ギーディはナナルと戦った。うるさいだけの観客の声も、他の仲間の様子も、ギーディの中からどんどん見えなくなっていった。
ナナルの剣にだけ集中し、──夢中になっていた。
空を裂き、舞い上がる土埃をかいくぐり、繰り返される激しい剣戟の中、自分の手足が驚くほどなめらかに動くのを、ギーディは感じていた。
楽しくてたまらなかった。
ギーディがすることをナナルは即座に理解し、ナナルがすることをギーディも理解した。どれだけ剣を合わせても決着はつかないのではないか。でも、できることならずっと、ずっと戦っていたい。
楽しい。楽しい!
「お前…!」
ナナルがなにかに驚き、目をみはった。
その時、闘技場を揺るがす爆音と振動に全員が動きを止めた。
ハッとした八人はすぐさま武器をおさめ、顔を見合わせてから走り出した。十中八九、疑惑のかかっているやつらが動いたのだ。事前に、不測の事態が置きた際は試合がどんな状況だろうと中断すると決めていた。
ギーディを含めた全員が、半端に終わった試合へ名残惜しそうな、悔しそうな顔だった。ギーディは気付いた瞬間、吹き出しそうになってしまったが、真面目な状況なので必死に我慢して皆に続いた。
見学していたスーダと合流し、すでに下調べのついている場所へ踏み込むと、運営者の男が容疑者に殺されかかっていた。討伐隊は統率の取れた動きによって、手際よく男を救出。容疑者も無事捕縛した。
結局、容疑者は白。
私事で揉めていた運営者が流したたちの悪いデマであったことが発覚した。ナナルたちは速やかに領主へ報告し、その後のことは知らぬまま、街を出た。熱狂の渦に盛り上がる街では、道行く誰もが討伐隊に声をかけてくるので、領主館へ行くのも一苦労だったのだ。
目立たないような馬車とローブで身元を隠し、そそくさと一行は脱出した。そうして、街から随分離れたところでフードを脱いだ。
「あぁー、疲れた!」
「もお最悪! 試合で消費した矢の補充できなかったんだけど!」
「イルティエはかなり大盤振る舞いしてたな」
「だってみんなと戦えるなんてチャンス、滅多にないし」
荷台で伸びをした剣士ムーの隣で、弓使いイルティエが退屈そうに口を尖らせる。
御者台では御者をつとめる戦士ノグリーがイルティエに同意し、頷いていた。
「見世物にされるのはもうごめんだが、手合わせは面白かったな」
「次は俺も入れて!」
弓使いスーダが慌てて声を上げ、一同はみな顔を綻ばせた。
ギーディもひとり、荷台の隅に座って試合のことを思い出す。楽しかった、と今でも感じる。まだ少し胸が跳ねているような気がする。
それはギーディに限らない。おそらく、他の全員そうなのだろう。興奮冷めやらぬと言ったように、各自で試合の振り返りを始めていた。あの攻撃はどうだった、反撃に意表を突かれた、腕が上がった等々、馬車には和やかな雰囲気が満ちていた。
国王に持たされた己の剣を抱え、ギーディは目を閉じた。
通り過ぎていく風と、討伐隊の声と、車輪が地面を走る音、荷台の揺れ。そういったものが、試合を思い出すにつれ遠のいていく。つい数時間前の高揚が今も鮮やかに蘇る。張り詰めた緊張感がとんでもなく心地よく、叶うならいつまでも打ち合っていたかった。
ふと、ギーディは目を開けた。
顔を上げるとナナルと目が合い、少し驚いた。ナナルも驚いたようで、少し口元を強張らせて、彼はギーディから気まずげに視線を外した。
ギーディはナナルと試合について話してみたかったが、ひどく楽しかっただけにためらった。もし、ナナルに嫌な顔をされたら、あの時の喜びが汚されてしまう。
確かに互いを認めあっていた戦いを思い、ギーディは生まれてはじめて「俺が魔族じゃなかったら」と思い、落ち込んだのだった。
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