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一人称

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「最近ユウトが『おれ』って言うようになったのよねー。早いわあ、もう赤ちゃんじゃないのねって思って成長が身に沁みたわ」

「あー、ユウトくん今五歳だっけ?」

「そうそう。タイキの時も『おれ』に変わった瞬間があったんだけどさ、下の子まで『おれ』が始まると、もううちに赤ちゃんはいないんだって思ってすごく寂しくなるわね」

「わかるー。保育園ではお友達に合わせて『おれ』で、私の前では『ぼく』って言ってるのを見るとなおさら成長を感じるわ。もう社会性を身に付け始めてるんだって驚くわよね」

「子供のうちから社会ってあるわよね」


「うち……。小学生二年生になった途端、まさきが『わし』って言うようになったんだけど」


「え」

「え?」

「いやあの、最近読み始めた漫画の影響みたいなのよね。敵キャラがそういう口調なもんだから。時々うつっちゃうみたいなのよね。『わしのじゃい!』とか」

「……一気におじいちゃんね。成長っていうか……老成してるわね」

「個性、よね」

「う、うん……」
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