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第4章 猫の楽園を作るにゃ

神の眷属を売り払おうとするやつにはお仕置きだにゃ

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 ちょうど3人も集まっており、さっきのお礼を分けていた。

「1人33万で残り1万は今からみんなで飯でも食うか?」

「そうだな、あれが猫神ならあと2900万だぜ!」

 そんな会話を聞きながらライトのスイッチを消し、本棚の上で光る。今回は念話ではなく音声パターンで脅す。

「おぬしらかあああ、わしのだいじな、こどもたちを、ぬすんだのはあああああ」

 ゆっくりとした低い声で話しかける。

「なに? マジ?」

「本当の神様?」

「おぬしらかああああ?」

「ヒィイイイ! すみませんでした」

「あやまればすむとおもったのかああああ」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

「ぜったいに、ゆるさない」

 そう言って3人を連れて転移した。
 転移先は山の中にある洞窟で、時間がある時に掘っておいて、中には強面の異世界の魔物を土魔法で作った像を並べており、それらが3人を囲むように並んでいた。

「えっ?」

「ここどこ?」

「マンションにいたよな?」

「ここはかみのせかいの、はざまである、おぬしたちはかみのこどもをぬすんだのでばつをあたえよう」

「ヒィイイ!」

「こやつらにくわせてもよいの」

 ゴブリンの像を下から光らせる。

「なんだ? この生き物は……」

「やめてください。なんでもしますから」

 その次にはオークのような物を見せたりして脅すと、もう3人とも、言葉が出ないようだった。

「よいな、さいごのチャンスをあたえる。もらったかねはかえせ、そしてあのじんじゃのてつだいをするのだ。もしもやらなかったらおぬしらぜんいんこやつらのえさになるからな」

「「「はい」」」

「すぐに返してきます。だから食べないでください」

「よいな、あのじんじゃのどうぶつをかってにもっていくとてんばつがあたることをひろめよ」

「はい、必ず広めますから、どうか許してください」

「ずっといているからな」

「「「ははあぁぁ」」」

 3人共土下座で謝ってきたので許すことにしてマンションの部屋へ転移した。

「戻ったああああ」

「わすれるでないぞ」

「「「ははあぁぁ」」」

 再度のジャンピング土下座を受けて俺は家に戻った。

 *******************

 3人組はとにかくすぐにでも返さなとと思い、お金を封筒に戻し車で及川のところに向かい、着いたと同時にインターホンを鳴らした。

「お前らか? 俺も話があったんだちょっと待ってくれ」

 玄関に及川が出ると賢治が分厚い封筒を震える手で差し出し

「こ、これ返します。そして残りもいりません。では失礼します」

 そう言って封筒を及川に押し付けるとさっさと車に戻っていった。
 封筒を押し付けられた及川は腑に落ちない顔をしながらも、猫神との約束の金銭の授受が無くなったで少しホッとした。

 翌日の早朝から及川は神社へ向かい、水筒に遊水地の水を汲み、それをもってお百度参りをして神社へ結構な額のお賽銭を奉納してお参りして帰って行った。帰るとすぐに娘の良美に飲ませる生活を続けていった。
 最初は半信半疑だった及川も1週間を過ぎたあたりからだんだん娘の様子が変わっていくのを感じていた。今まで動くことのなかった足の指が動きだし、その後は少しだけど足を動かせるようになっていった。

 お参りを始めて1ヶ月後には譲渡会が開催されて、約束どおりにブッチと同じくらいのメス猫のノンを引き取って大切に育ててくれているようだった。その頃には良美も杖を使って歩けるようになっていたが、医者からは信じられないから調べさせて欲しいと言われたらしいが、娘の負担になることは絶対にさせないと言って普通の検診だけしかさせていないようだった。

 及川はグッズやキャラクターものを作っている会社を起業しており、うまく利用していけば面白い商売ができると思っていた。

 メイたちを攫った3人組はあれから毎日神社で掃除をしたり、バイトをしては差し入れをしたりしていて、最初はビクビクしていたみたいだが、先輩格のマミやトモの話を聞いてちゃんと猫や犬たちを丁寧に扱えばなんら問題ないし、むしろ以前のような生活よりも張り合いがでて充実しているという話を聞いて安心して通うようになった。

 もちろん神社で変な事をする人がいればすぐに自分の体験を話して絶対に神社に迷惑をかけるな、動物たちをいじめるなと諭している。だんだん話が大きくなって、自分たちは助かったが、助からずに不幸になった人間も沢山いるから絶対にしてはいけないという話になっていた。

 いや? そこまで俺はしてないよ?




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