上 下
4 / 48
プロローグ

プロローグ④ 商業ギルドとの打ち合わせ

しおりを挟む
「ではダニエルよ、家の件はどうなったのだ?」

「はい、タイガ様のご希望に見合う家が見つかりました。学園まで徒歩10分で高齢の錬金術師が引退して田舎へ戻るので手放そうとしている物件でございます。タイガ様の予定があいていれば、明日の朝からその家へご案内できればと思っております。タイガ様のご都合はよろしいでしょうか?」

 明日は何も予定は入っていないし、早めに住む家は決めておきたいので

「ええ、明日は何も予定は入っておりませので、問題ありません」

「では明日の朝10時頃に、王宮へお迎えに参りますのでよろしくお願いします」

「ダニエル、家が決まればその費用は王家が全て負担するので請求をしてくれ」

 陛下が家の代金を負担するとか言い出したが、家の購入費用まで出してもらうのも気が引けるし、金には困っていないので

「陛下、それはいけません。自分で住む家くらいは自分で支払います。以前頂いた報奨もまだまだ十分に持っておりますので大丈夫でございます」

「いやいや、タイガには勝手にこの世界へ召喚をしてしまって、無理やり魔王討伐をお願いした挙げ句しばらくは人間にも戻れない期間もあり、いろいろ迷惑を掛けたのでこのくらいはさせてくれ」

「いや、こっちの世界で済むと決めたのは俺なので、そこまで甘えるわけには……」

 どっちが払うかで俺と王様で言い合いをしていたらダニエルが間に入ってきた。

「あの…… タイガ様の自宅の費用は全て商業ギルドで負担する予定でございます」

「「えっ?」」

「実はタイガ様が作られた下水やトイレについては最初の3年間は特許等の制度もなく、タイガ様へのお支払いが全くされておりませんでした。それらの特許料を考えましても、このくらいでは足りないくらいですので全て私共で負担させていただきます。また1階に店を開けられる際のお手伝いも商業ギルドで全てまかないますのでご安心ください」

「よろしいのでしょうか?」

「全く問題ございません。タイガ様が戻られるまでに教えて頂いた魔道具職人はそれぞれが、その技術だけで一生食べられるほどの利益を得ております。それらの職人から自主的に使用料が払われており、それらで現在魔道具職人の養成学校を建設して教育しております。魔法学園の卒業生で魔道具に興味あるものが数名学んでおり、タイガ様の技術を更に発展させた物の開発もできるよになりました。それらの貢献度を考えましても、家程度では全く帳消しにならないくらいの恩を得ております。タイガ様は向こうの世界へ戻られる時にそれらの費用は子供達の教育費用にとの事でしたが、その教育のおかげで商業ギルドは今まで以上に発展しておりますので、そのくらいはさせて頂きたく思います。また何か金銭的に必要な際にはいくらでも御用達いたします」

 家をくれるだけでなく、維持費等もいらないってそんなにしてもらって大丈夫なんだろうか? 少し心配にはなるが、今後も色々魔道具を開発してそれでしっかり儲けて貰えば大丈夫かな?

「そうか、ではダニエル、タイガの事はよろしく頼む」

「かしこまりました」

 陛下も納得したようなのでダニエルさんにお礼を言う

「ダニエルさん、ありがとうございます。この御礼はなにかまた魔道具開発でお返ししますね」

「それは我々にとっても願ったり叶ったりです。ところで、タイガ様の今後の商業ギルドでの窓口とランクはいかがいたしましょうか? もしも表立って出られたくないのであれば、どこかの商会と組むかご自分で商会を立ち上げて代表を誰か信頼できる者にお願いした方がよろしいでしょう」

「商会は将来は自分で立ち上げてみたいけど、学園に行っている間はヴァンサン商会を窓口でお願いしようと思っています。将来の事も話はしているのでうまく協力していこうと思います」

「ヴァンサン商会であれば宰相のご兄弟のご子息の商会ですので、商業ギルドとしてもなんら言うことはございません。今後とも商業ギルドをよろしくお願いします」

「それではみんなご苦労であった。くれぐれもタイガの事は秘密で頼む。今後は謎の冒険者タイーガと1年FクラスのFランク冒険者トラーオということでよいな」

「「「「はい」」」」

 打ち合わせも無事に終わり部屋へ戻ると、リリアーヌから

「湯浴みの準備が出来ております。お食事の前にどうでしょうか?」

 その誘いにまんまと乗ってしまい、風呂から上がるとそこにはドレスしか用意してなかった。誰を呼んでも来ないので仕方なくドレスをいそいそと着て、ソォーッとドアを開けるとそこには満面の笑みを浮かべてリリアーヌがデジカメを持って立っていた……

 しっかり写真を撮られて悶絶していると、すました声で

「アイテムボックスの服を着られたらどうしようかと思っていました」

「あぁ~ 忘れてたわ! ちくしょおおおおおお」












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

彼女の幸福

豆狸
恋愛
私の首は体に繋がっています。今は、まだ。

Legendary Saga Chronicle

一樹
ファンタジー
伝説の武器を蒐集し、世界各地を旅する少女レジナはその日、殺されそうになっていた転移者の少年カガリと出会った。 互いの利害が一致した二人は、共に旅をする。

ズボラ通販生活

ice
ファンタジー
西野桃(にしのもも)35歳の独身、オタクが神様のミスで異世界へ!貪欲に通販スキル、時間停止アイテムボックス容量無限、結界魔法…さらには、お金まで貰う。商人無双や!とか言いつつ、楽に、ゆるーく、商売をしていく。淋しい独身者、旦那という名の奴隷まで?!ズボラなオバサンが異世界に転移して好き勝手生活する!

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

魔法適性の無い魔法使い

雪咲響鬼
ファンタジー
生まれながらに、火、水、土、風、光、闇の6属性から最低1つ、最高で6つを持ちながら生まれる子供たち それは神かあ与えられた恩恵とされていた。 そんな世界でなんの属性も持たず生まれた男の子(ヒビキ)とすべての属性を持ち合わせて生まれた女の子(ユキ) そのふたりが出会ったのは運命か偶然か 魔法士を育成する学校に入学し、出会った仲間たちと魔法競技[ボールブレイク]の大会に出場したり、魔獣たちと戦ったりしながら成長していく

ストラグルガールズ

シャオえる
ファンタジー
 いつもと変わらぬ朝、ほんの少し寝坊をしたノエル。学校に行くのが面倒になってサボろうと考えた時、ふと道路の向かいにいた女の子と目が合った。その女の子との出会いから、ノエルの過去や未来が少しずつ、変わりはじめだした。

ちょっとエッチな執事の体調管理

mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。 住んでいるのはそこらへんのマンション。 変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。 「はぁ…疲れた」 連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。 (エレベーターのあるマンションに引っ越したい) そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。 「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」 「はい?どちら様で…?」 「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」 (あぁ…!) 今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。 「え、私当たったの?この私が?」 「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」 尿・便表現あり アダルトな表現あり

処理中です...