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第22話 反撃開始
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九首の水蛇ヒュドラ。
全身を覆うその鱗は魔力を拒絶し魔法を断つ。
九つある首にはそれぞれが意思をそれぞれが命を持っていた。
ヒュドラの心臓は九つ。頭部の中心あたりに心臓を持ち討伐する方法はすべての首を胴体から切り離すほかない。
しかし、首の数が最後の一つになった瞬間、恐ろしい濃度の毒霧を吐き近づくことを許さない。そして、霧が晴れたときには九つの首全てが再生し振り出しに戻されてしまう。
魔法に耐性を持つことから近距離の攻撃を強いられるが水流のブレスがそれを拒む。
Aランクと言われれば納得せざるを得ない魔物であった。
救いなのは俺とシアが機動力があり物理攻撃メインだったということ。
そして、
「神童一刀流、第一剣技――”乱桜”」
シャルルのジョブが魔法メインの後衛職ではなく”剣士”だったということ。
「ギュウララララララララララ」
鞘から抜刀された刀は滑らかな軌道を描き九首の水蛇の首を断ち切った。
その剣術は芸術だった。剣をみればその人となりがなんとなくだがわかる。その剣に才能はない――凡人の剣。だがとてつもない技量がそこにはあった。血の滲むような努力を続け勝ち取った剣。
才能は努力では手に入らないが技量は努力で補うことができる。ただその剣は才能と技量を併せ持つ姉の姿をどうしようもないまま思い出させてしまう。
「やるな」
「あんたもね。それにシアちゃんの素早さ。はっきり言ってあのこの動きは異常だわ。どこで拾ってきたのよあんな子」
シアはヒュドラの周りを縦横無尽に駆け巡り注意を引き付けてくれている。九つの頭に対し胴体からしっぽまでは一本。そのアンバランスな体は思ったよりも動きが鈍いようだった。
すでに俺が2つの首をシャルルが5つの首を斬り残りは3つ。
「いける」
そう確信したときヒュドラの残り3つの首が俺とシャルルの方を向く。
「シャルルさん!ご主人様!避けてください」
シアが叫ぶと同時に九首の水蛇の口が膨らむ。
3つの水流の玉がこちらに向かって飛んでくる。
俺とシャルルは体をひねりそれを間一髪のところでかわすことができた。
しかし、
「きゃっ」
シアの悲鳴が聞こえる。そちらを向くと九首の水蛇の尻尾がシアを吹き飛ばしている光景が目に入ってきた。
「ちっ」
俺とシャルルに注意を向け全く無警戒だった尻尾で一番厄介なシアへの攻撃。さすがはAランク、ただでは倒されてくれない。
九首の水蛇の口が再び膨らむ。壁にたたきつけられたシアに向け追い打ちのブレスを吐こうと準備を開始していた。
間に合わない。
いや、間に合わせる。
ライズ――三重掛け――出力8倍。
「はぁあああああああッ」
俺は全力の速度で九首の水蛇の元へと駆け出した。
全身を覆うその鱗は魔力を拒絶し魔法を断つ。
九つある首にはそれぞれが意思をそれぞれが命を持っていた。
ヒュドラの心臓は九つ。頭部の中心あたりに心臓を持ち討伐する方法はすべての首を胴体から切り離すほかない。
しかし、首の数が最後の一つになった瞬間、恐ろしい濃度の毒霧を吐き近づくことを許さない。そして、霧が晴れたときには九つの首全てが再生し振り出しに戻されてしまう。
魔法に耐性を持つことから近距離の攻撃を強いられるが水流のブレスがそれを拒む。
Aランクと言われれば納得せざるを得ない魔物であった。
救いなのは俺とシアが機動力があり物理攻撃メインだったということ。
そして、
「神童一刀流、第一剣技――”乱桜”」
シャルルのジョブが魔法メインの後衛職ではなく”剣士”だったということ。
「ギュウララララララララララ」
鞘から抜刀された刀は滑らかな軌道を描き九首の水蛇の首を断ち切った。
その剣術は芸術だった。剣をみればその人となりがなんとなくだがわかる。その剣に才能はない――凡人の剣。だがとてつもない技量がそこにはあった。血の滲むような努力を続け勝ち取った剣。
才能は努力では手に入らないが技量は努力で補うことができる。ただその剣は才能と技量を併せ持つ姉の姿をどうしようもないまま思い出させてしまう。
「やるな」
「あんたもね。それにシアちゃんの素早さ。はっきり言ってあのこの動きは異常だわ。どこで拾ってきたのよあんな子」
シアはヒュドラの周りを縦横無尽に駆け巡り注意を引き付けてくれている。九つの頭に対し胴体からしっぽまでは一本。そのアンバランスな体は思ったよりも動きが鈍いようだった。
すでに俺が2つの首をシャルルが5つの首を斬り残りは3つ。
「いける」
そう確信したときヒュドラの残り3つの首が俺とシャルルの方を向く。
「シャルルさん!ご主人様!避けてください」
シアが叫ぶと同時に九首の水蛇の口が膨らむ。
3つの水流の玉がこちらに向かって飛んでくる。
俺とシャルルは体をひねりそれを間一髪のところでかわすことができた。
しかし、
「きゃっ」
シアの悲鳴が聞こえる。そちらを向くと九首の水蛇の尻尾がシアを吹き飛ばしている光景が目に入ってきた。
「ちっ」
俺とシャルルに注意を向け全く無警戒だった尻尾で一番厄介なシアへの攻撃。さすがはAランク、ただでは倒されてくれない。
九首の水蛇の口が再び膨らむ。壁にたたきつけられたシアに向け追い打ちのブレスを吐こうと準備を開始していた。
間に合わない。
いや、間に合わせる。
ライズ――三重掛け――出力8倍。
「はぁあああああああッ」
俺は全力の速度で九首の水蛇の元へと駆け出した。
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