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第15話 再び

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 目を開けるとそこには天井があった

 おれはベッドの上で横たわっていた。どうやらまた気を失っていたようだ。

 「ようやくお目覚めか」

 声の方に目をやるとそこには金色の髪を靡かせた女性がこちらを見下ろしていた。

 「あんたは確か、最強の剣士様?」

 「失礼だな。私にもリズベルというちゃんとした名前がある。まさか一日に二度も会うことになるとはな、不死身の一般兵殿」

 意趣返しと言わんばかなりにおれの元二つなを口にする。

 「もう俺は兵士ではない」

 「ふっ、そうだったな。ラムダという名にどこかで聞き覚えがあったのでな。あの後少し調べさせてもらったんだよ」

 「あんたみたいな人に名前を覚えてもらえてるとは光栄だな」

 そこでふとシアがいないことに気づく。あたりを見渡すがシアの影はない。

 「安心しろ。獣人の娘なら無事だ。別室で安静にしてもらっている」

 「感謝する」

 シアを逃がすための一か八かの賭けだったがどうやら成功したようだ。最もシアがあれほど強いとは驚いたが。

 「教会で起こった出来事は全て把握している」

 「?」

 リズベルの発言に俺が頭に疑問符を浮かべるとリズベルは机の上にあるクリスタルの結晶を手に取る。

 「これだ。言ったであろう?お守りだと」

 それは俺が別れ際にリズベルからもらったクリスタルの結晶だった
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