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第8話 真偽の証明
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「そんな…」
真偽の結果にシアが信じれないという表情で呆然と立ち尽くす。
「ちょっと待ってくれ! 何かの間違いだッ」
俺は慌ててシアとギーモアの間に割って入る。
「神に偽りは通用しません」
シスター・ルシェロが平然とした態度で言う。
そんなはずはない。シアの隷属期間はもうすぐで終了するはずだった。それを捨ててまで飼い主の殺害に関与するだろうか。それどころか自分までも死ぬところだったんだぞ。
何か釈然としない思いが胸の中に立ち込める。
「ラムダさんは助けた人が罪を犯していたと知り動揺しているのでしょう。話はあとでゆっくり聞きます。さっ、ラムダさんもお手を……」
ギーモアが俺の腕をつかもうと手を伸ばす。
嫌な予感が脳裏をよぎる。
俺はシアの手を強引につかみ教会の出口に向けて全力で走り出す。
「逃がしませんよ。 『監獄の鎖』」
ギーモアがそう言うと地面から鎖が出現しこちらに向かって進んでくる。
速い。追いつかれるッ――。
「ぐッ」
出現した鎖が俺の体にまとわりつき拘束されドンっという音とともに地面に倒れこむ。
「くそっ! ライズ」
鎖を引きちぎろうといつものようにリミッターを外そうとする。
しかし。
「なんでッ」
魔法の言葉を発してもなぜか魔法が発動しない。
「その鎖は魔力封じの鎖。どんな魔法であろうと行使することはできませんよ」
ギーモアがそう言いながらコツコツとゆっくりとした足取りでこちらに歩いてくる。
冷や汗が背筋を伝う。
今まで不審に思っていたことがふと頭をよぎる。
森の浅い場所で出るはずもない狂暴な猛虎。
貴族であるデウス・ハングリッドが森で依頼をこなしていたこと。
豪華絢爛の教会。
貴族からの多くの献金をいただく神父。
そして、シアの手の甲に信じ難いGuiltyの文字。
恐らくこれは貴族がらみの何か。
それに俺とシアは巻き込まれたのだろう。
「逃げろシア! これは罠だ!」
何が何やらわからないといった表情のシアはハッとした顔をし出口に向かい走る。
「すぐ助けを呼んできます!」
「無駄ですよ。”止まりなさい” シアさん」
ギーモアがそういうとシアの足がピタリッと止まる。
「真偽の証明には2つの効果があります」
ギーモアがにやりとした笑みでいう。
「1つ目は嘘偽りの回答、もしくわ沈黙をした場合、手のひらにGuiltyという文字が浮かび上がる。そして2つ目は、Guiltyと刻まれたものは術師のいうことに逆らえない」
何が人のいい神父様だ。とんだペテン師やろうじゃねぇか。
「聞いてくれシスター・ルシェロ! 俺たちはやっていない! 嵌められたんだ!」
俺は最後の頼みの綱であるシスター・ルシェロに向かい必死に叫ぶ。
「真偽の証明は神からの信託。故に上位の聖職者しか使えませんし、誰であろうと結果を偽ることはできません。Guiltyと結果が出た以上、シアさんは裁かれなければなりません。もちろんあなたもギーモア様に真偽の証明をしてもらい身の潔白を示すべきです」
そうだ。真偽の証明は術者であろうと結果を捻じ曲げることはできないはず。
何かカラクリがある。魔法の能力を捻じ曲げるほどの力。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
真偽の証明は神からの信託のはず。
――神。
まさか。
いや、治癒の神がいるなら他の神がいてもおかしなことではない。
そして、もし真偽の証明の結果を捻じ曲げられるのだとしたら。
まずい。
ライズが使えない今、治癒の神から与えられた能力も意味をなさない。
打開策を見つけようと思考を巡らせるが時は待ってはくれない。
俺の目前にギーモアが迫りくる。
真偽の結果にシアが信じれないという表情で呆然と立ち尽くす。
「ちょっと待ってくれ! 何かの間違いだッ」
俺は慌ててシアとギーモアの間に割って入る。
「神に偽りは通用しません」
シスター・ルシェロが平然とした態度で言う。
そんなはずはない。シアの隷属期間はもうすぐで終了するはずだった。それを捨ててまで飼い主の殺害に関与するだろうか。それどころか自分までも死ぬところだったんだぞ。
何か釈然としない思いが胸の中に立ち込める。
「ラムダさんは助けた人が罪を犯していたと知り動揺しているのでしょう。話はあとでゆっくり聞きます。さっ、ラムダさんもお手を……」
ギーモアが俺の腕をつかもうと手を伸ばす。
嫌な予感が脳裏をよぎる。
俺はシアの手を強引につかみ教会の出口に向けて全力で走り出す。
「逃がしませんよ。 『監獄の鎖』」
ギーモアがそう言うと地面から鎖が出現しこちらに向かって進んでくる。
速い。追いつかれるッ――。
「ぐッ」
出現した鎖が俺の体にまとわりつき拘束されドンっという音とともに地面に倒れこむ。
「くそっ! ライズ」
鎖を引きちぎろうといつものようにリミッターを外そうとする。
しかし。
「なんでッ」
魔法の言葉を発してもなぜか魔法が発動しない。
「その鎖は魔力封じの鎖。どんな魔法であろうと行使することはできませんよ」
ギーモアがそう言いながらコツコツとゆっくりとした足取りでこちらに歩いてくる。
冷や汗が背筋を伝う。
今まで不審に思っていたことがふと頭をよぎる。
森の浅い場所で出るはずもない狂暴な猛虎。
貴族であるデウス・ハングリッドが森で依頼をこなしていたこと。
豪華絢爛の教会。
貴族からの多くの献金をいただく神父。
そして、シアの手の甲に信じ難いGuiltyの文字。
恐らくこれは貴族がらみの何か。
それに俺とシアは巻き込まれたのだろう。
「逃げろシア! これは罠だ!」
何が何やらわからないといった表情のシアはハッとした顔をし出口に向かい走る。
「すぐ助けを呼んできます!」
「無駄ですよ。”止まりなさい” シアさん」
ギーモアがそういうとシアの足がピタリッと止まる。
「真偽の証明には2つの効果があります」
ギーモアがにやりとした笑みでいう。
「1つ目は嘘偽りの回答、もしくわ沈黙をした場合、手のひらにGuiltyという文字が浮かび上がる。そして2つ目は、Guiltyと刻まれたものは術師のいうことに逆らえない」
何が人のいい神父様だ。とんだペテン師やろうじゃねぇか。
「聞いてくれシスター・ルシェロ! 俺たちはやっていない! 嵌められたんだ!」
俺は最後の頼みの綱であるシスター・ルシェロに向かい必死に叫ぶ。
「真偽の証明は神からの信託。故に上位の聖職者しか使えませんし、誰であろうと結果を偽ることはできません。Guiltyと結果が出た以上、シアさんは裁かれなければなりません。もちろんあなたもギーモア様に真偽の証明をしてもらい身の潔白を示すべきです」
そうだ。真偽の証明は術者であろうと結果を捻じ曲げることはできないはず。
何かカラクリがある。魔法の能力を捻じ曲げるほどの力。
考えろ。
考えろ。
考えろ。
真偽の証明は神からの信託のはず。
――神。
まさか。
いや、治癒の神がいるなら他の神がいてもおかしなことではない。
そして、もし真偽の証明の結果を捻じ曲げられるのだとしたら。
まずい。
ライズが使えない今、治癒の神から与えられた能力も意味をなさない。
打開策を見つけようと思考を巡らせるが時は待ってはくれない。
俺の目前にギーモアが迫りくる。
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