俺と幼馴染だけ、異世界の別の場所に転移したそうです

ふじ

文字の大きさ
上 下
46 / 52
第3章 勇者たちの行方

11.

しおりを挟む

健二郎達が特訓をしている間、
持田洋子を始め、治癒グループのメンバーは
姫様から洗脳を受けている状況だった。

「皆さまはを守るために達なのです。この国から出ようとする者がいれば。それが皆様の使なのです」

「「「「「我々は女神」」」」」

「そうです、達なのです」

「「「「「選ばれた女神」」」」」


正直宗教じみている。
もちろん治癒魔法の訓練など行ってないに等しい。


「近々我が国から抜けようと考えている者達がいるようです。女神様であるあなた達の加護など要らないというのです、、うぅ。。。」

「あぁ、姫様がそんなに悲しむことはございません。女神である我々が必ずや勇者達を守るとお誓いいたします」

「あぁ、女神様方、、、私共が不甲斐ないだけなのに、心を痛めてくださるなんてなんて心がお優しい方なのでしょう。。。」

「とんでもございませんわ、姫様が我々が女神であると教えていただかなければ、この力を使わずに人生を終えていたかもしれませんし。」

「皆様の美しく清らかな心は私めには眩しすぎるくらいですわ。私は少し休みますので、いつものようにの儀式をお願いいたしますね。皆様だけが頼りなのですから。」

「「「「「はい、姫様」」」」」

そういうと姫様は彼女らを部屋から出て行く。

女神と称えられていた彼女達は
自身は神聖なる身であるためこの姫様の居住区から外に出る時には姫様の許可が必要であり、適宜お清めの儀式を行うようにされていた。
お清めの儀式とは、姫様より与えられているを体から浴びて、かつ飲むことで心身ともに清められる儀式のことだ。

彼女らは姫様が出ていった後、お清めの儀式を行い、かつ個々に用意されている部屋に戻っていった。
姫様から、個々の女神の力が強いため普段は
複数人で固まることは避けるべきであると洗脳されているからだ。

持田洋子はじめ、治癒グループの5人はと思っている。
それは夜の時間に姫様が各部屋に個々に訪問し、女神の中でもあなたが最高峰だと洗脳しているためである。ただ、狙われる可能性もあるため他の女神と会う時には合わせるようにとしている。

自身は特別でありたいと思う彼女らの気持ちを逆手に取った、なんとも下劣な洗脳だった。

---------------

チョロいもんだ。
対して魅力がない女だからこそ、
安い言葉で容易く墜ちてくれた。
(どこから見ても女神からは程遠いけどねー)

姫様の皮を被ったカルチャは姫様の居住区に作った地下室へと入る。
もともと地下室などは無い。
カルチャが低俗魔人に作らせたものだ。
幸いこの姫様の居住区域は、姫様の許可がないと国王でさえ中に入れない仕組みとなっている。
ましてこの地下室はタハールによって防御呪文が施されており、カルチャのみ入ることが許されている。
(姫様に甘ちんな国王で良かったわー)
正直魔人族は家族というものはあれど、人間ほどの家族愛などは無い。戦いが始まれば弱き者は強き者の犠牲となる。それが全てだった。
に姫様に成り代わったカルチャは、初めにここで勤めているものを魔人に喰わせ、自身周辺を魔人のみとした。
お陰であの日から約7年ほどとなるが今だにバレてはいない。
(まぁ、1気づいているものがいるが、殺すには惜しい。。)
カルチャとしてはタハールであれば人間を魔人族としてする事も可能であると考えているため、その時には是非にともと思っていた。

カルチャは地下室に入る前に
本来の魔人の姿に戻る。
漆黒の輝きを持つしなやかな羽を背中からだす。
その羽を自身に巻きつけることにより繭の様になるのだ、その中でカルチャは魔人に戻る。
(人間の姫様ってなんであんなに外見にこだわるのか)
魔人の魅力はその魔力の質と量。
外見などはどうでも良い。
その魔力でどれだけ魔王様に使えることができるか、それだけ、それが全てなのだ。

カルチャが仕えるタハール様は、魔王様復活準備のために先陣を切ってご準備されているルーシュフェル様の側近だ。
その魔力は質と量ともに上級であり、元はであったことから、人間に対する薬、媚薬や麻薬を作っておられる方である。

この地下室にはタハール様との連絡を行うための祭壇がある。
必須では無いが、定期的にカルチャはタハールに報告をしているのだ。

「タハール様、カルチャでございます」
カルチャは祭壇前にて跪き、水晶に声をかける。

祭壇には水晶が置かれている。
これもタハールが開発した者だ。
この水晶によってタハールとカルチャはやりとりをしている。

〔カルチャか、ご苦労である〕
「いえ、お時間を取らせてしまい申し訳ございません」
〔さて、何かな〕
「タハール様より頂いた麻薬によっての人間の洗脳は可能であるという報告です」
〔ほう、それは良い報告だ。量や頻度などはどうだ?〕
「現在は5名ほどのものを選抜して麻薬漬けにしておりますが、少量でも効果が認められるため、と称して少量を適宜与えております。また口からだけではなく皮膚からの吸収も可能であると考えられます。追って詳細報告させていただきます」
〔皮膚からの吸収も可能であるか…であれば広範囲一斉での洗脳も可能になるな。新たな気づきだ〕
「良かったでございます」
〔カルチャよ、何か困ったことはないか〕
「はい、タハール様にお伺いしたい事がございます」
〔なんだ、申してみよ〕
「はい。タハール様より頂いたこの言葉の魔力ですが、召喚された者の中には効いてないと見受けられる者がおります。いかがいたしましょうか」
〔それは殺す殺さないの話かな?〕
「いえ、必要であればタハール様へ献上し、実験台としての利用を考えております」
〔なるほどな…たしかに言葉の魔力が効かない者が出てくるとなると今後の魔王侵攻に影響があるかもしれぬ。要注意すると共に必要ならばをお前に任せよう〕
「畏まりました」
〔あと洗脳に関しては第二段階への進行を許可する、追って麻薬を送ろう〕
「許可頂きまして有難き幸せ。引き続き作戦を進めてまいります」

タハールが水晶に映らなくなった。

(水晶越しからでもタハール様の魔力は素晴らしい)
タハール様を越すルーシュフェル様の魔力どれほどになるのでしょう。
考えただけで全身がゾクゾクする。
(あぁ、タハール様、ルーシュフェル様にこの体を捧げられるのであれば、私は本望です)

元々カルチャは魔人として持つ魔力の素質は無いに等しく、奴隷として売り渡されるところをタハールの実験台として買い取られた。
体への実験は周りから恐れらるものではあったが、カルチャとしては自分が必要とされているという感覚が心地よかったのだ。
かつ、言葉の魔力は魔力の質が合わないと使えない力となっており、体内の魔力がゼロに等しかったカルチャの体は言葉の魔力が馴染みやすかったのだ。

《カルチャ、お前は選ばれたのだ---》

この言葉をタハール様より頂いた際にカルチャの心は決まった。
(この人のためなら私は命をさし出そう)
タハールからすれば、私はただの駒。
必要でなれば真っ先に切られてしまう存在。
それでも今は必要としてくれている。
この作戦はが任されているのだ。

(第2段階の許可がおりた。さて動くとするかな…)


カルチャは元の姫様の姿に戻り顔を触る。
(うん、顔問題なし)

外はすでに夜になっていた。
魔人としては夜の方が負の魔力が強くなるため快適だが、若い姫様の体は正直だ。
だが、カルチャの機嫌はすこぶる良かった。
(今日は良い日だ、自身の部屋で生き血でも啜ろうか)


自身の部屋で休んでいると
低級魔人からの報告をうける。
「カルチャ様、洗脳被験者の1人が逃げ出しました。」
彼女はカルチャがワイングラスで生き血を楽しんでいるタイミングでテーブルの下に跪き報告した。

「逃げ出しただと!?
どういうことだ!麻薬はどうした!!」
カルチャは思わずワイングラスを握り壊す。

「そ、それが…」
低級魔人が答えにどもる。
「もう良い」
カルチャが左腕を横に振った。

低級魔人の首から上がいつのまにか床に落ちている。
彼女はもう答えることができない。
首と体が離れており答えられないのだ。

「本来ならお前らに行かせるところだが、今の私は機嫌がいい。直々に迎えに行くとしようか…」

カルチャは急いで城へ向かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...