俺と幼馴染だけ、異世界の別の場所に転移したそうです

ふじ

文字の大きさ
上 下
15 / 52
第2章 俺と幼馴染と異世界

5.

しおりを挟む

森の中を結構歩いた気がする。

その中で俺たちは情報共有を行なっていた。
っても、俺が勝手に情報もらってばっかだったけどな。

悠理の話では
*予知夢の中で、異世界へ飛んだ俺は魔王に殺されて死ぬらしい。
それを阻止するため、女神にお願いし俺と悠理だけ別の場所に転移させてもらった。
また魔王討伐には向かないよう、冒険者として過ごすことを悠理は希望している。
*他のクラスメイトたちはリービッヒ国に召喚されているはず。
 元気かどうかはわからない、生きているかもわからない。
*本来ならオウガマヤ国が勇者召喚に成功し魔王討伐を果たすのだが
リービッヒ国が先に勇者を召喚してしまい、
魔王vs人間の最悪な未来へと進んでいるらしい。(悠理経由の女神情報)
*転移された段階でそれぞれステータスというものがつくらしい。
「ステータスオープン」というだけで
iPadのような画面が目の前に出てきて確認できる。
俺は《召喚士》というものだった。
悠理は《暗殺者》らしい。
スキルは鍛えれば使えるものも増えていき、
上級のスキルも使えるようになるらしい。(悠理経由の女神情報)
消費する際にはMPを消費するので減り具合に注意。
*スキルと同時に、魔術も付与されている。
これもレベル上げが必要なものらしい。
手っ取り早くは魔女もしくは魔術師に師としてついて貰うのが1番のようだ。
こちらはHPを消費するようだ。これも注意だな。
*お金に関しては多少女神からふんだくった(?)らしい。
使い方までは聞くのを忘れたようだ。

まぁ、こんなもんだろうか。。

正直、クラスメイト達の行方が分からないのは心が痛む。
どこかで生きているかもと思って生きていくしかない。
無事、王様達の召喚で召喚されてればいいけど。。。

俺には転移の時に悠理に
クラスメイト全員を助け欲しいなど言えはしなかった。

悠理も悠理で辛かったのだ。
基本的には、予知夢での出来事は起こること前提で話が進む。
その未来を少しでも変えようとすれば
どこでどんな変動が起こるか分からないからだ。
だからこそ今までは気をつけて
状況が変わったらいいな。の程度だった。

それを俺が死ぬという予知夢を変えるために2人もの人間の
転移先を変えたのだ。女神を使って。
正直、どこでどんな変動が起こっても仕方がない状況で
俺らは生き抜いていくしかない。

悠理は初めから分かっていたのだ。
だからこそ、俺は悠理の行動に応えていかなければならない。
生きていかなければならないのだ。

ただーーーーー

(悠理の話を聞く限り、こんなにも女神が良くしてくれ事なんてあるのか?
もしかして悠理は女神と取引でもしたんじゃなかろうか)

俺の中には一抹の不安が芽生えてしまった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コンパスが正しい方角を示していると信じて俺たちは進むが
森の中だからこの方向があっているのかの確認が取れずにいた。

そう、迷っていたのだ!

(そもそも異世界でコンパスって役に立つのか?
せめて、森から外れて草原とかに出れたら何か変わるのかも)


ふと、静かな森の中でその音は聞こえてきた。

パカラッ、パカラッ、パカラッ、、、

ーーーーこの音は、もしかして!!

「悠理、こっちだ!!」
「まって、真司……!!」

俺は音のする方へ走っていく。

少し走ったとことで俺たちは草原に出た。
どうやら、森を抜けたらしい、、、

ヒヒヒーーーーン
「うわぁぁ!!」

俺が急に飛び出してしまったため馬が驚いてしまったようだ。
俺も思わず尻餅をついてしまった。

「おい、あぶねぇじゃねーか、お前!!」

「す、すみません」

驚いていたのは馬車を引いていた馬のようだ。

悠理が後を追いかけてきた。
「真司、急に走るなんて…」

「お前らこんなところで何してんだ。
ここは商人が行商に使うために利用する道だぞ」

おれは、尻餅の痛みとおっさんの威圧感で
完全に萎縮してしまった。

「私たちは森深くの村から来た身でして
こういった通りなどであると知らなかったのです。
急に飛び出してしまいすみませんでした。」
悠理が咄嗟の機転を利かせて答える。
ナイスだ悠理!

「だから、お前ら変てこりんな服装してるのか、
まぁ盗賊ではなさそうだから見逃してやるが次からは気をつけろよ!」

「あ、あの、ご迷惑をおかけした上で申し訳ないのですが、
私たちは冒険者になるべくオウガマヤ国を目指しています。
オウガマヤ国へいく道を教えていただけないでしょうか…。」

「ほう、2人とも冒険者になるのか?」
「その予定です」
悠理が仁王立ちで答える。

おっさんは、ふーん。そうかぁ。と言うと、
悠理を見定めした後に俺を見た。

「お嬢ちゃんは合格だろうが、そこの腰抜けは落ちるだろうな」
鼻で笑ってそう応えた。

「なんだと……」
俺は尻餅の痛みが引いてきたので起き上がる。
なんとも失礼なおっさんだ。

「これでも俺は冒険者を兼ねた行商を生業としている。多少人を見る目は持ってると自負しているんだがなぁ」

「だとしても、私たちは生きていく力が欲しいのです。
そのためにオウガマヤ国へ行きたいのです。
どうが助けてくださいませんか」

少し間を置き、おっさんが答えた。

「元々この先のオウガマヤ国へいく予定だから仕方なく乗せてやる。
入国審査もあるだろうし、運ぶのは国門までだがな。
おい腰抜け坊主、お嬢ちゃんの熱意に感謝しろよ?」

「「あ、ありがとうございます!!」」

ちょっと納得いかないが、
たしかにこういう場面での悠理の咄嗟の対応はすごかった。
情けねーおれ。

おじさんにお辞儀をして、荷台にのっかる。

「俺の名前はアルシュだ」

「俺はシンジと言います」
「私はユーリです」

「んじゃ、落ちないようにしっかり掴まってろよ」

そういうと馬車は再び走り出した。

アルシュさん曰く、オウガマヤ国まで馬車で約3時間らしい。

歩いていたら今日中についていたのか
分からないほどのようだ。

納得はしてないが、オウガマヤ国までの移動が短縮されたのは、俺たちにとって幸運な事だった。
荷台の端っこに体操座りで座る俺たち。

「ふふっ」
悠理が小さく笑う。

「なんだよ、何かおかしいことでもあったか?」

「さっきの尻餅のついた真司、面白かったなーって」

「悠理、お前なー」
ちょっとバカにされたので、
こずいてやろうと上半身を起き上がらせる。

ガタンッ。
大きな石につまずいたのか、荷台が揺れた。

思わず俺の態勢が崩れる。

「す、すまん」

俺の態勢が悠理に覆いかぶさる体制になってしまった。

((は、はずかしいーーーー////))

「お前ら大丈夫かー??」
アルシュが聞いてくる。

「だ、大丈夫です!」
悠理が答える。

「ここら辺ちょっと道が荒れてるから、気をつけておけよ」
アルシュが助言をくれた。

「そ、そうします!」
丁寧に対応しているようで、上からの覆いかぶさる態勢である俺はわかる。
悠理の顔が真っ赤であることに。

(悠理はそういった感情に鈍感だと思っていたけど…もしかして…?)

俺はこんなタイミングにもかかわらず
多少のあらん妄想をしてしまいそうになった。

「真司、本当に落ちることになりそうだから、はやく態勢戻して」
悠理の言葉で目が覚めた。

はい、すみませんでした。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

スコップ1つで異世界征服

葦元狐雪
ファンタジー
超健康生活を送っているニートの戸賀勇希の元へ、ある日突然赤い手紙が届く。 その中には、誰も知らないゲームが記録されている謎のUSBメモリ。 怪しいと思いながらも、戸賀勇希は夢中でそのゲームをクリアするが、何者かの手によってPCの中に引き込まれてしまい...... ※グロテスクにチェックを入れるのを忘れていました。申し訳ありません。 ※クズな主人公が試行錯誤しながら現状を打開していく成長もののストーリーです。 ※ヒロインが死ぬ? 大丈夫、死にません。 ※矛盾点などがないよう配慮しているつもりですが、もしありましたら申し訳ございません。すぐに修正いたします。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない

一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。 クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。 さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。 両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。 ……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。 それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。 皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。 ※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?

火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…? 24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...