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第十八話 ホテル・カリフォルニャーで朝食を1

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第十八話 ホテル・カリフォルニャーで朝食を1

海の街シュワルツェでの待機休暇も残り二日となっていた。

シュワルツェの街に来て、今日は初めての雨模様となった朝を迎えた。

俺は”きょうは何処にも出掛けられないなぁ”と独り言ちていた。

そんな時......。

コンコン、コンコン

と部屋のドアノッカーを鳴らす音が聞こえてきたので、俺はドアを開け確認すると
そこにはスティサム商会の会頭ソフィアさんが笑顔で立っていた。

「おはようございます。 ライバックさん」

「あっ、おはようございます。 ソフィアさん」

思いがけない人物の登場に、俺は一瞬挨拶が遅れてしまった。

「ソフィアさんは、どうしてこちらに...?」

「外が雨模様なので、ライバックさんも暇してるかなぁと思いまして、朝食のお誘いに来ました」

「ありがとうございます。 朝食はまだ食べていないですよ」

「まぁ、じゃ~グッド・タイミングでしたね‼ では、一緒に行きましょうか」

ホテル三階のレストランに行く道すがら、俺はソフィアさんに話を聞いておく事にした。

「そう言えば、ソフィアさん達は何処のホテルに宿泊しているんですか?」

「あ~、私達もこのホテルに泊まっていますよ」

「結構、出入りしてましたけど。 顔を全く合わせませんでしたよね」

「私達は商談で外を飛び回っていますし、それに最上階の部屋は専用のエレベーターでしか出入り出来ませんし、しかも許可された人しか出入り出来ませんから」

「そうだったんですか。 えっ、じゃ~今日は...?」

「レイチェルさんに、出入りの許可を出して頂きました」

と、言って。 ソフィアさんは最上階専用のカードを見せてくれた。

(ん~。 俺の、許可は必要ないらしい)

その後は、ホテル三階のレストランで談笑しながら朝食を済ませた。

そしてこの日は、雨模様で外ではすることがないので俺とソフィアさんはホテルの地下にある”迷宮探索”という施設に遊びに行く事になった。

一の刻後ホテルのロビーで待ち合わせする事で、俺は一旦ソフィアさんと別れて部屋に戻り着替えをして置いた。


一の刻後......。

「お待たせました...?」

「いいえ、俺もいま降りて来たところですよ」

「ここまで俺はソフィアさんのスーツ姿しか見たことがてないので、いまのラフな格好のソフィアさんは凄く新鮮ですね」

「そうですか、似合いませんか...?」

「いいえ逆ですよ。 凄く似合っていて、可愛いですよ!」

「あ・り・が・と・う・ご・ざ・い・ま・す」

顔を、茹蛸のように真っ赤にして恥じらうソフィアさん。

(凄い美人さんだけど、仕草が可愛い)

<フェロモン・レジェンドに、バージョンアップしました。>
<フェロモン・レジェンドへの更新確認しました。 発動します。>
しばらく、出てこないと思っていたのに・・・ガクッ。

********

俺とソフィアさんは、ホテルの地下にある”迷宮探索”という施設にやって来た。

≪施設概要≫
一つ、「迷宮探索」とは、「討伐ダンジョン」ではありません。
一つ、「迷宮探索」とは、カップル、友人同士、家族連れで
    楽しむ所です。
一つ、「迷宮探索」とは、宝探しゲームとお化け屋敷を融合させた
    新しいタイプの、ダンジョン擬きです。
一つ、「迷宮探索」ないでの、◯◯◯行為は厳禁です。

「ライバックさん、なんか凄く楽しそうな施設みたいですね」
「ソフィアさんも、そう思います」

「ソフィアさんは、お化けとかは大丈夫ですか」
「あまり自信はありませんけど...」

「取敢えず、施設の中に入ってみましょうか」
「そうですね。 頑張りましょう‼」

施設のルートマップを確認しながら、俺とソフィアさんが宝探しを始めると
カップルや友達同士も何組か視野に入ってくる。

「ソフィアさん、この屋敷のお宝を探しに行ってみませんか」
「古びたお屋敷みたいですね」

ギギギ、ギ~ィと、屋敷の入口の扉を押し開ける。

「なんか、かび臭いです。 きゃ~...」
「どうかしました」

「蜘蛛の巣が、私の顔にくっ付いてしまって...」
「取りましょうか?」

「はい、お願いします」
「これで取れましたよ。 この奥の部屋に、行くように書いてありますね」

「ソフィアさん、足元に気を付けて下さいね」

バキ、バキッ......。

「ソフィアさん、大丈夫ですか?」
「えぇ、大丈夫よ」

「あそこの壁沿いにある本棚の所に、宝箱があるようですよ」
「何が入っているのか、楽しみですね」

二人で壁沿いの本棚に近寄り宝箱に手を掛けて蓋を開けてみる。

「わぁ~、綺麗なネックレスとイヤリングです」
「ではこれは、ソフィアさんに差し上げますね」

この後も、屋敷の中を探索して宝箱を二つ見つける事が出来た。

「流石にお化けは出てきませんね」
「それ、フ・ラ・グですよ...ライバックさん」

少し、声が震えているソフィアさん。

その時、冷たい風が後ろから吹いてきてソフィアさんが振り返る。

ギャ~ッ‼

がっちり俺の腰にしがみ付いたソフィアさん。
腰を抜かしてしまったようだ。

俺が振り返り確認すると、天井から長い髪の女性が顔中血だらけで逆さまに吊らされた状態でこちらを見ていた。

(もちろん人形です)

でも、結構リアルに再現されていた。

(レイチェルさんの趣味かな)

そして、俺は腰の抜けてしまったソフィアさんをお姫様抱っこして施設の外へ出ると最上階の自分の部屋に連れて行った。

「ソフィアさん、大丈夫ですか? いま飲物を用意しますからね」

ソフィアさんのオデコには冷たくひやしたタオルを当ててあげる。

「ライバックさん、済みません。 こんな事まで...」
「あ~、気にしないで下さい。 この前は、ソフィアさんにご馳走になりましたから」

俺はキッチンでホットココアを用意すると、ソファーの前にあるローテーブルの処へと運んで、ココア入ったマグカップをその上に置いてあげた。

すると、ソフィアさんが少し身体を起こしてマグカップを手に取った。

「あ~、温かくて甘くて美味しいです。 ほっとします」
「それは、良かった」

相当応えたようで、まだ元気が戻らないソフィアさんに俺は声を掛けた。

「この部屋で、しばらく休んでいって下さい」
「お言葉に甘えて、そうします」

そう言うと、ソフィアさんはソファーの上で横になり寝息を立てて寝てしまった。

ソファーの上でそのまま寝ていて風邪などを引いてしまうといけないので、俺は急いでベッドルームから毛布を持って来てソフィアさんの上に掛けてあげた。
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