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6.川辺にて
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「僕は、待ってる」
カトカが水浴びをしている間、僕はどこか離れた所で待っている、ということを伝えたくて、そう言った。
だって年頃の女の子が水浴びしてるのを近距離でガン見してるわけにもいかない。
まあ、すでに結構彼女の裸は見たけど、それでもだ。
「水、浴びないの?」
カトカが無表情に、僕に聞いた。
何ていうか、基本的には無表情なんだな、この子。
「僕はいい。濡れたくない」
そう答えると、
「時間かかる。けど、分かった」
カトカはそう答えた。
何が、「時間かかる」なのかと少し疑問に思った。
カトカが服を脱ぎ始めたので、僕は目を背けた。
そうしたら、
「モリタカはなぜカトカを見ない?」
そうカトカは聞く。
「僕がカトカを見る、カトカは恥ずかしい、そうだろ?」
僕はカトカに背を向けて、少し大きな声で言った。
「恥ずかしくない」
カトカはそんな事を言う。
そんな事があるのだろうか。
まあ、さんざん彼女の裸は見ちゃったわけだけど、それでも。
まあとにかく、カトカが水浴びをしてる間、僕は律儀にカトカに背中を向けていた。
川のせせらぎに交じる、カトカが水を浴びる音は僕の性的妄想をたくましくしたので、嬉しいような辛いようなそんな時間だった。
「水浴び、終わった」
カトカの声が聞こえた。
「帰るの?」
カトカの方を見ずに聞く。
「まだ。モリタカの、魔法を解いてから」
「どうやるの?」
「モリタカは濡れたくないの?」
「ああ」
「じゃあ、もう少し待つ」
「そう」
僕はため息を付いた。
もどかしい時間はもう少し続くみたいだ。
背後でカトカが僕から数歩離れていったのが分かった。
「カトカ、何するの」
「踊る」
僕の質問にカトカは簡潔に答える。
たんっ、たんっと、カトカの裸足の足が地面にステップを踏むのが分かった。
「モリタカは、カトカを見てもいいよ」
「……うん」
僕は曖昧に返事するが、すぐにカトカの方を見ることはしなかった。
けど、好奇心が僕の中に沸き立ってきた。
裸を見たい欲は抑えていたんだけど、それにどんな踊りを踊っているのか知りたい好奇心が加わって、僕は抗えなくなった。
こっそりと振り返る。
カトカはその時は僕の方に背を向けていた。
腕をぶんぶん振り回したり、脚を高く上げたり、軽くジャンプしたりとあまり踊りらしくない踊りだった。
好き勝手に体を動かしているだけという印象。
洗練された踊りでは全然なかったけど、それだけに彼女の体の美しさが際立ってみてた。
決してグラビアアイドルのような体じゃない。
小柄な上に腕も、脚も、胴も細めで、男性の理想とする女性の体からはずいぶん遠いかも知れない。
でも僕には、その個性がとても魅力的なものに思えた。
そんな事を考えていたら、カトカがくるっと体を半回転させて、こちらを向いた。
目が合って、気まずく感じた僕は慌ててカトカに背を向ける。
その刹那、カトカがすこし上機嫌そうな表情だった気がした。
カトカはこちらに歩み寄ってくる。
「ええと……」
「魔法、解かなきゃ」
意味のあることを言えない僕に、カトカがそう言った。
「どうやるの」
「モリタカは、カトカに、したいことをする」
カトカは僕がドキッとするようなことを言った。
そんなことを言われたら、性的欲求を満たすことしか思いつかない。
カトカはそういう意味で言っているのだろうか。
確認したいけど、”セックスする”に該当するこの国の言葉を知らない。
「していいの?」
曖昧な言い方になる。
「いいよ」
カトカはあっさりそう答える。
確認は、取れた……んだよな?
僕はまず周囲に他人がいないかを確認する。
幸いと言っていいかどうか、目に見える範囲には僕ら以外誰もいないようだった。
僕は、カトカの方を向いた。
カトカは優しい目で僕を見ている。
「魔法を解かないと、モリタカは困るよ」
カトカが言った。
「今からする、すると、魔法、解ける?」
「そう」
カトカは簡潔に答えて、僕のズボンに手をかけようとする。
僕は止めようかと迷って、止めなかった。
僕はズボンを脱がされてしまった。
「どんなふうに、する?」
僕はカトカのその声を聞いて、天にも登るような心地になったけど、同時になにか釈然としないものも感じた。
僕にかかっている魔法とは何なのか。
どうしてセックスをするとその魔法が解けるのか。
けど、自分が好きな女の子にセックスをしようと言われて、まともな思考力が働くわけもなかった。
僕はカトカに誘われるままに、愛の行為に突入した。
そんな僕の初体験は、幸せの甘さの中にも、どうしてこうなったか分からないという、苦味にも似た味が混ざっていた。
行為を終えて。
僕は魔法が解けたような気は全然しなかった。
そもそも魔法にかかっていた気がしてなかったのだから当然かも知れない。
カトカに質問しなければと思って、見るとカトカはすこし寂しそうな表情をしていた。
カトカが水浴びをしている間、僕はどこか離れた所で待っている、ということを伝えたくて、そう言った。
だって年頃の女の子が水浴びしてるのを近距離でガン見してるわけにもいかない。
まあ、すでに結構彼女の裸は見たけど、それでもだ。
「水、浴びないの?」
カトカが無表情に、僕に聞いた。
何ていうか、基本的には無表情なんだな、この子。
「僕はいい。濡れたくない」
そう答えると、
「時間かかる。けど、分かった」
カトカはそう答えた。
何が、「時間かかる」なのかと少し疑問に思った。
カトカが服を脱ぎ始めたので、僕は目を背けた。
そうしたら、
「モリタカはなぜカトカを見ない?」
そうカトカは聞く。
「僕がカトカを見る、カトカは恥ずかしい、そうだろ?」
僕はカトカに背を向けて、少し大きな声で言った。
「恥ずかしくない」
カトカはそんな事を言う。
そんな事があるのだろうか。
まあ、さんざん彼女の裸は見ちゃったわけだけど、それでも。
まあとにかく、カトカが水浴びをしてる間、僕は律儀にカトカに背中を向けていた。
川のせせらぎに交じる、カトカが水を浴びる音は僕の性的妄想をたくましくしたので、嬉しいような辛いようなそんな時間だった。
「水浴び、終わった」
カトカの声が聞こえた。
「帰るの?」
カトカの方を見ずに聞く。
「まだ。モリタカの、魔法を解いてから」
「どうやるの?」
「モリタカは濡れたくないの?」
「ああ」
「じゃあ、もう少し待つ」
「そう」
僕はため息を付いた。
もどかしい時間はもう少し続くみたいだ。
背後でカトカが僕から数歩離れていったのが分かった。
「カトカ、何するの」
「踊る」
僕の質問にカトカは簡潔に答える。
たんっ、たんっと、カトカの裸足の足が地面にステップを踏むのが分かった。
「モリタカは、カトカを見てもいいよ」
「……うん」
僕は曖昧に返事するが、すぐにカトカの方を見ることはしなかった。
けど、好奇心が僕の中に沸き立ってきた。
裸を見たい欲は抑えていたんだけど、それにどんな踊りを踊っているのか知りたい好奇心が加わって、僕は抗えなくなった。
こっそりと振り返る。
カトカはその時は僕の方に背を向けていた。
腕をぶんぶん振り回したり、脚を高く上げたり、軽くジャンプしたりとあまり踊りらしくない踊りだった。
好き勝手に体を動かしているだけという印象。
洗練された踊りでは全然なかったけど、それだけに彼女の体の美しさが際立ってみてた。
決してグラビアアイドルのような体じゃない。
小柄な上に腕も、脚も、胴も細めで、男性の理想とする女性の体からはずいぶん遠いかも知れない。
でも僕には、その個性がとても魅力的なものに思えた。
そんな事を考えていたら、カトカがくるっと体を半回転させて、こちらを向いた。
目が合って、気まずく感じた僕は慌ててカトカに背を向ける。
その刹那、カトカがすこし上機嫌そうな表情だった気がした。
カトカはこちらに歩み寄ってくる。
「ええと……」
「魔法、解かなきゃ」
意味のあることを言えない僕に、カトカがそう言った。
「どうやるの」
「モリタカは、カトカに、したいことをする」
カトカは僕がドキッとするようなことを言った。
そんなことを言われたら、性的欲求を満たすことしか思いつかない。
カトカはそういう意味で言っているのだろうか。
確認したいけど、”セックスする”に該当するこの国の言葉を知らない。
「していいの?」
曖昧な言い方になる。
「いいよ」
カトカはあっさりそう答える。
確認は、取れた……んだよな?
僕はまず周囲に他人がいないかを確認する。
幸いと言っていいかどうか、目に見える範囲には僕ら以外誰もいないようだった。
僕は、カトカの方を向いた。
カトカは優しい目で僕を見ている。
「魔法を解かないと、モリタカは困るよ」
カトカが言った。
「今からする、すると、魔法、解ける?」
「そう」
カトカは簡潔に答えて、僕のズボンに手をかけようとする。
僕は止めようかと迷って、止めなかった。
僕はズボンを脱がされてしまった。
「どんなふうに、する?」
僕はカトカのその声を聞いて、天にも登るような心地になったけど、同時になにか釈然としないものも感じた。
僕にかかっている魔法とは何なのか。
どうしてセックスをするとその魔法が解けるのか。
けど、自分が好きな女の子にセックスをしようと言われて、まともな思考力が働くわけもなかった。
僕はカトカに誘われるままに、愛の行為に突入した。
そんな僕の初体験は、幸せの甘さの中にも、どうしてこうなったか分からないという、苦味にも似た味が混ざっていた。
行為を終えて。
僕は魔法が解けたような気は全然しなかった。
そもそも魔法にかかっていた気がしてなかったのだから当然かも知れない。
カトカに質問しなければと思って、見るとカトカはすこし寂しそうな表情をしていた。
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