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6.究極の一撃

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「まあ、感想くれてありがとうね。それはお礼を言っとくよ」
 身構える俺とエディスに無頓着に、魔王はそう言った。
 そして、
「これはもういいや」
 そうつぶやくと、彼の『作品』――人間の少女を素材に作られた怪物――に向けて指をすっと振った。

 ぐちゃっ、という身の毛もよだつ音がして、怪物は潰れてただの肉塊になった。
 そしてそのまま泡を出しながら消失していく。
 あたりに血の嫌な匂いが漂った。

「エディス、戦闘開始だ!」
「はい!」

撃滅の光アナイアレイト・ライト!」
 まずは挨拶代わりに、最も得意とする攻撃魔法を放つ。
 光の矢が連続で魔王を打つ。

「……」
 魔王は、平然として立っていた。
 というより、何やら困ったような表情をしていた。
 それは、まるで。
 あまりにおそまつな技を見せられて、コメントに困るとでも言ったような表情。

「ダイチ! 最終奥義を!」
 エディスが俺の名を呼ぶ。
 魔王を倒すにはそれしかないと考えたのだろう。
「分かった、頼む!」
 俺は『宝石』のエネルギーのロックを解除する。

 俺は、魔王を倒すために、6つの宝石を託されていた。
 宝石に込められているのは、この世界全体の魔力12年分。
 1年後から13年後までの12年分の世界全体の未来の魔力を、前借りして6つの宝石に分割して預かっているのだ。

 先程の巨人を倒すのに、一つの宝石の魔力を完全に消費した。世界の魔力2年分だ。
 そして。

(出し惜しんでる場合じゃない!残りの宝石5つのエネルギーを、一撃につぎ込む!)
 俺はそう決断した。
 5つの宝石のロックが解除され、いつでもエネルギーを引き出せる状態になる。

 俺の背後で、エディスの作り出した光の玉が巨大化して、
「ハーッ!」
 エディスの気合とともに魔王に向かって射出される!
 今だ。

暴 君 的 加 速ティラニカル・アクセラレート!)

 この異世界全体の10年分の魔力が、光球を加速し、極限の威力を生み出す!
 命中の瞬間、俺は標的の幾重にも張り巡らされた防御魔法が砕け散った音を聞いた。

 光に白く染まった世界が、元の色を取り戻す。
 魔王の姿は見えない。
 魔王のいたあたりに、魔王の下半身らしきものが落ちていた。

(俺たちは勝ったのか?)
 だが、俺はなにか不吉な違和感を感じていた。
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