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3 魔法学校の聖人候補
366 朝食を食べよう
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366
「リンゴだけでいいや……ごめん食堂の帰りに売店で買ってきてくれるかな」
同室のオーライリは手を弱々しくヒラヒラと振って、ベッドから起き上がろうともしない。
「ダメだってば!ちゃんと食べないと、体力だけじゃなく魔法力も回復しないって、昨日も先生に怒られたばっかりだよ。せめて食堂へは行こうよ。ね、サラダぐらい食べようよ。ゆで卵もパンもあるよ」
「食べたい?」
「え?」
「マヨネーズもトマトソースもバターもない。塩味ばっかりのあの野菜やパンが食べたいのかって聞いてるの!
ああ、メイロード・ソースがイスにしかないなんて知らなかった……私って恵まれ過ぎてたのね……」
オーライリはさめざめと泣き始めてしまった。
彼女の家はイスでも裕福なお家だったらしく、オーライリはとても美味しいものを食べて育ってきたそうだ。
特に革命的だったのが先ほども彼女が言っていた〝メイロード・ソース〟というもので、たくさんの種類があり、どれも野菜、肉、パンに合わせることで極上の味になると、ものすごく自慢げに教えてくれた。
私は田舎の山育ちなので、その〝メイロード・ソース〟というのも知らないし、そこまで学校の食堂がまずいとも思わないのだけれど、彼女のようにイス周辺からこの学校へ来た子たちは、みんな初日から絶望的な顔をして食堂に座っていた。
今年は特にイス周辺出身者が多かったこともあり、最初は不平不満の大合唱が起こり大食堂が騒然となったほどだ。
(他の地方の出身者は、みんな私みたいにキョトンとしていたけどね)
「初めて食べた時のこと、今でも覚えてる。あのふわふわのソース!酸味とコクが食欲を掻き立てるの。ああ、〝メイロード・ソース〟のマヨネーズがないゆで卵なんて食べたくないよぉ~」
どんなに不平不満を言ったところで、山中に孤立しているこの学校では、彼らの望む食事は手に入らなかった。
彼らは皆、ものすごく苦しそうに食事をし、さらに食欲をなくし、大食堂にもあまり姿を現さなくなってきている。
このところ、すっかり食欲をなくして少しのパンと果物だけを義務のように食べている私のルームメイトのオーライリも、入学式で最初に出会った頃の自信に満ちた優等生の面影はなく、なんだか最近は血色が悪い上、少し痩せてきている。貧血も度々起こしているし、毎日の授業もこのところ満足に受けられていない。
「ねぇ、オーライリ。せめて朝食はしっかり食べよう!
果物だけじゃダメだよ。ほら起きて!」
わたしは無理やりオーライリをベッドから引き剥がし、なんとか支度をさせた。
各寮には食堂もキッチンもあり、食材もある程度は無料で届けてもらえるのだが、自分たちで料理をする子は少ない。勉強だけでヘトヘトだし、大食堂で食べれば全くお金もかからないからだ。どうせ学校へ行くのだから、校内の食堂へ行く方が合理的ということもあり、既にそういう習慣がついてしまっている。
(まぁ、今日はお休みなんだけど、やっぱり自分で作るのは面倒だし、少しでも多く休んで魔法力の回復に当てて勉強したいしね)
私はだるそうなオーライリの背中を押して、なんとか大食堂までたどり着いた。
「あれ?なんだか今日は、いつもより人が多くない?」
わたしの言葉に、気だるげにオーライリが辺りを見渡す。
「そういえば、そうね。それになんだかいい香りがする……これ、バター、バターの香りじゃない!!」
いきなり目を輝かせたオーライリは、先ほどまでの気だるさが嘘のような早足で食堂の中へ駆けていく。
慌てて後を追って入った大食堂はレイアウトが一部変更されていた。
まず目についたのは今まではなかった大きなテーブル。そこには鮮やかで瑞々しい色とりどりのたくさんの野菜が並べられていた。今までと違い、切り方も野菜によって変えられ食べやすく整えられている。
それどころか、よく見ると生野菜だけでなく、茹でた野菜に複数の素材が何かで和えられたものなど、食欲を掻き立てる美味しそうな色合いの野菜中心の惣菜も、美しくテーブルに並んでいる。
どれも、今まで見たこともない美味しそうなものばかりだ。
「きゃー!ま、マヨネーズよ!卵と野菜のマヨネーズ和えだわ。美味しそう!!」
オーライリは大量のサラダを取りながら、興奮しきり。目が爛々と輝いている。
「見てよ!今まで酢と塩しかなかったのに、野菜を食べるソースがこんなにたくさん!ああ、どれにしよう!」
確かにオーライリの言う通り、サラダのテーブルには、柑橘系の爽やかドレッシング、とか、こってり木の実の濃厚ソース、香味野菜のノンオイルさっぱりソース、などと書かれた壺が何種類も並んでいる。
どれも初めて食べる味だが、どれも食べて見たいと思わせるドレッシングで、私もなんだかワクワクしてきた。
「こんなの、イスにもなかったわ!どうなってるのか知らないけど、うれしい!」
今にも踊り出しそうなオーライリをなんとか宥めて、メインの料理を取りに行くと〝フレンチ・トースト〟なるものがメニューにあった。
オーライリも初めて見たというそれは、ふわふわのパンのようで、バターのいい香りがした。
(ああ、バターってこんな香ばしい香りなのね)
私はこの時、初めてバターの香りを知った。イスの富裕層にはお馴染みの味、今ではイスに住むものなら普通に誰でも買えるものだそうだが、牛乳すら知らなかった私には、初めての食材だ。
もちろんコレを食べることにして席に着くと、オーライリはすぐさまたっぷり蜜のかかった〝フレンチ・トースト〟にかぶりつく。その飢えた小動物のような様子に、あっけにとられていると、今度は目を見開いて美味しいの連続。
私も一口食べてびっくりした。なんだろう、このとろんとした甘くてふわふわした食感は!
バターの濃厚な風味と塩気、それに甘い蜜をまとった、フワンフワンのバケット。
「これは美味しい、本当に美味しいね、オーライリ!」
オーライリはものすごく自慢げに頷いた後、すごい速さで平らげ、お代わりまでした。もちろん、私も。
そして、2人で楽しく朝食を食べながら、もうお昼を楽しみに待つ気分になっていた。
(こんな気分は、ここに来てから私も初めてだ。なんだろう、楽しみでワクワクする)
幸せな気分で席を立つと、オーライリが食堂の黒板に張り出された昼の食事メニューを見に走っていった。皆次の食事が気になるらしく帰り際に確認するので、黒板の前が渋滞している。
もちろん私も確認。
(ミックスコロッケ定食って何かな?楽しみ!)
オーライリも、周りの学生も、皆見たことのない笑顔だ。
朝からこの食欲なら、みんな早晩ちゃんと魔法力も回復するようになるだろう。
(いや、きっとそれ以上だわ。イスの子たちだけじゃない、私もこんなに楽しく食事をしたのは初めてだもの。
きっと食堂の料理人が変わったのね。ああ、美味しいご飯を考えてくれてありがとう。勉強頑張ります!)
私たちは、感謝を込めて厨房の奥を見つめながら、元気に大食堂を後にした。
「リンゴだけでいいや……ごめん食堂の帰りに売店で買ってきてくれるかな」
同室のオーライリは手を弱々しくヒラヒラと振って、ベッドから起き上がろうともしない。
「ダメだってば!ちゃんと食べないと、体力だけじゃなく魔法力も回復しないって、昨日も先生に怒られたばっかりだよ。せめて食堂へは行こうよ。ね、サラダぐらい食べようよ。ゆで卵もパンもあるよ」
「食べたい?」
「え?」
「マヨネーズもトマトソースもバターもない。塩味ばっかりのあの野菜やパンが食べたいのかって聞いてるの!
ああ、メイロード・ソースがイスにしかないなんて知らなかった……私って恵まれ過ぎてたのね……」
オーライリはさめざめと泣き始めてしまった。
彼女の家はイスでも裕福なお家だったらしく、オーライリはとても美味しいものを食べて育ってきたそうだ。
特に革命的だったのが先ほども彼女が言っていた〝メイロード・ソース〟というもので、たくさんの種類があり、どれも野菜、肉、パンに合わせることで極上の味になると、ものすごく自慢げに教えてくれた。
私は田舎の山育ちなので、その〝メイロード・ソース〟というのも知らないし、そこまで学校の食堂がまずいとも思わないのだけれど、彼女のようにイス周辺からこの学校へ来た子たちは、みんな初日から絶望的な顔をして食堂に座っていた。
今年は特にイス周辺出身者が多かったこともあり、最初は不平不満の大合唱が起こり大食堂が騒然となったほどだ。
(他の地方の出身者は、みんな私みたいにキョトンとしていたけどね)
「初めて食べた時のこと、今でも覚えてる。あのふわふわのソース!酸味とコクが食欲を掻き立てるの。ああ、〝メイロード・ソース〟のマヨネーズがないゆで卵なんて食べたくないよぉ~」
どんなに不平不満を言ったところで、山中に孤立しているこの学校では、彼らの望む食事は手に入らなかった。
彼らは皆、ものすごく苦しそうに食事をし、さらに食欲をなくし、大食堂にもあまり姿を現さなくなってきている。
このところ、すっかり食欲をなくして少しのパンと果物だけを義務のように食べている私のルームメイトのオーライリも、入学式で最初に出会った頃の自信に満ちた優等生の面影はなく、なんだか最近は血色が悪い上、少し痩せてきている。貧血も度々起こしているし、毎日の授業もこのところ満足に受けられていない。
「ねぇ、オーライリ。せめて朝食はしっかり食べよう!
果物だけじゃダメだよ。ほら起きて!」
わたしは無理やりオーライリをベッドから引き剥がし、なんとか支度をさせた。
各寮には食堂もキッチンもあり、食材もある程度は無料で届けてもらえるのだが、自分たちで料理をする子は少ない。勉強だけでヘトヘトだし、大食堂で食べれば全くお金もかからないからだ。どうせ学校へ行くのだから、校内の食堂へ行く方が合理的ということもあり、既にそういう習慣がついてしまっている。
(まぁ、今日はお休みなんだけど、やっぱり自分で作るのは面倒だし、少しでも多く休んで魔法力の回復に当てて勉強したいしね)
私はだるそうなオーライリの背中を押して、なんとか大食堂までたどり着いた。
「あれ?なんだか今日は、いつもより人が多くない?」
わたしの言葉に、気だるげにオーライリが辺りを見渡す。
「そういえば、そうね。それになんだかいい香りがする……これ、バター、バターの香りじゃない!!」
いきなり目を輝かせたオーライリは、先ほどまでの気だるさが嘘のような早足で食堂の中へ駆けていく。
慌てて後を追って入った大食堂はレイアウトが一部変更されていた。
まず目についたのは今まではなかった大きなテーブル。そこには鮮やかで瑞々しい色とりどりのたくさんの野菜が並べられていた。今までと違い、切り方も野菜によって変えられ食べやすく整えられている。
それどころか、よく見ると生野菜だけでなく、茹でた野菜に複数の素材が何かで和えられたものなど、食欲を掻き立てる美味しそうな色合いの野菜中心の惣菜も、美しくテーブルに並んでいる。
どれも、今まで見たこともない美味しそうなものばかりだ。
「きゃー!ま、マヨネーズよ!卵と野菜のマヨネーズ和えだわ。美味しそう!!」
オーライリは大量のサラダを取りながら、興奮しきり。目が爛々と輝いている。
「見てよ!今まで酢と塩しかなかったのに、野菜を食べるソースがこんなにたくさん!ああ、どれにしよう!」
確かにオーライリの言う通り、サラダのテーブルには、柑橘系の爽やかドレッシング、とか、こってり木の実の濃厚ソース、香味野菜のノンオイルさっぱりソース、などと書かれた壺が何種類も並んでいる。
どれも初めて食べる味だが、どれも食べて見たいと思わせるドレッシングで、私もなんだかワクワクしてきた。
「こんなの、イスにもなかったわ!どうなってるのか知らないけど、うれしい!」
今にも踊り出しそうなオーライリをなんとか宥めて、メインの料理を取りに行くと〝フレンチ・トースト〟なるものがメニューにあった。
オーライリも初めて見たというそれは、ふわふわのパンのようで、バターのいい香りがした。
(ああ、バターってこんな香ばしい香りなのね)
私はこの時、初めてバターの香りを知った。イスの富裕層にはお馴染みの味、今ではイスに住むものなら普通に誰でも買えるものだそうだが、牛乳すら知らなかった私には、初めての食材だ。
もちろんコレを食べることにして席に着くと、オーライリはすぐさまたっぷり蜜のかかった〝フレンチ・トースト〟にかぶりつく。その飢えた小動物のような様子に、あっけにとられていると、今度は目を見開いて美味しいの連続。
私も一口食べてびっくりした。なんだろう、このとろんとした甘くてふわふわした食感は!
バターの濃厚な風味と塩気、それに甘い蜜をまとった、フワンフワンのバケット。
「これは美味しい、本当に美味しいね、オーライリ!」
オーライリはものすごく自慢げに頷いた後、すごい速さで平らげ、お代わりまでした。もちろん、私も。
そして、2人で楽しく朝食を食べながら、もうお昼を楽しみに待つ気分になっていた。
(こんな気分は、ここに来てから私も初めてだ。なんだろう、楽しみでワクワクする)
幸せな気分で席を立つと、オーライリが食堂の黒板に張り出された昼の食事メニューを見に走っていった。皆次の食事が気になるらしく帰り際に確認するので、黒板の前が渋滞している。
もちろん私も確認。
(ミックスコロッケ定食って何かな?楽しみ!)
オーライリも、周りの学生も、皆見たことのない笑顔だ。
朝からこの食欲なら、みんな早晩ちゃんと魔法力も回復するようになるだろう。
(いや、きっとそれ以上だわ。イスの子たちだけじゃない、私もこんなに楽しく食事をしたのは初めてだもの。
きっと食堂の料理人が変わったのね。ああ、美味しいご飯を考えてくれてありがとう。勉強頑張ります!)
私たちは、感謝を込めて厨房の奥を見つめながら、元気に大食堂を後にした。
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