騎士様は一直線!

コトイアオイ

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1.うちの弟が世界一可愛い件

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 光を浴びて美しく波打つ金色の髪、長いまつ毛から覗く双眸はアメジストのように鮮やかな色彩を放っている。その微笑みはまさに天使。



何が言いたいか?それは、うちの弟が世界一可愛いってことよ!



「おはよう、レオン!今日も可愛いわ~」



朝日よ、グッジョブ!貴方のおかげで私のレオンが倍可愛い。ほとばしる愛のままに、弟のレオンの頬におはようのキスをする。



「ん…おはよ、姉さん」



寝起きでぼんやりしたレオンも最っ高…。あぁ至福。レオンの姉に生まれて良かった。



姉弟というか、レオンは正確に言うと父の第一夫人の息子で、第二夫人を母に持つ私とは異母弟という関係だ。このリコリス公国では一夫多妻制が続いているのだが、うちは母親間も仲が良い。ただ、母親が違うので私の容貌はレオンとは少し違う。レオンは金髪のふんわり天パだが、私は同じ金髪でもストレートヘアで藍色の瞳を持つ。



その弟も今年で16歳になった。私は彼より3歳年上の19歳で、昨年騎士学校を卒業した。私が騎士学校に通う間に、弟は飛び級でリコリス中央学園を卒業していた。この学園は、リコリス公国でトップレベルの学校だと呼び名も高い学園で、それを飛び級ともなると相当珍しい。さすがは私の弟だわ、完璧過ぎる。


ちなみに、レオンが学校に行っている間に、彼が変な女や悪どい同級生に騙されないか心配だと言ったら、「それはこっちのセリフだよ」とにっこり天使スマイルだった。うん、私の心配までしてくれるなんて…何て可愛い子だ!



 女のくせに騎士?と親戚からもよく言われたが、その度に鋭い眼光と時には剣を抜いて黙らせた。剣をちらつかせた相手からは「お前、騎士道って言葉知ってる?」と震え声で訴えられた。



敢えて言わせて頂く。私にとっての騎士道適用範囲は弟から弟、すなわちレオンだけだ。



 親戚の一部はともかく、元々我が家が武闘派の一族だったこともあってか、両親はむしろ大喜びだった。


「自分の道は自分で切り開く!これぞ我が家訓!」


父はそう力強く宣言し、母アンヌはぐっと拳を握り林檎を粉砕した。


「そうよ!困った時は粉砕しなさい!」


「はい!父上、母上、ありがとうございます!」


基本脳筋一家なので、細かい説明はいらなかった。冷静なレオンが「粉砕できないものもあるよね」と呟いたものの、彼の実母のレナーテは「楽しいから良いのよ」と微笑んでいた。



家族の応援もあり騎士学校を首席で合格した私には、実はリコリス公国王家の近衛騎士団入団の推薦状が届いていた。



もちろん、秒で断った。



名誉より何よりレオンが優先されるからだ。同期や教師らは私の反応を見て、やっぱりな…と、どこか疲れた顔で笑っていた。



「うん、分かってた…。お前が騎士団に入っても弟に何かあったら…それこそ秒で役目放棄するよな」



ようやく、彼らも私のことを分かってくれたのだ。私は近衛騎士団の件を苦労することなく円満解決したのだった。
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