2 / 12
1.うちの弟が世界一可愛い件
しおりを挟む
光を浴びて美しく波打つ金色の髪、長いまつ毛から覗く双眸はアメジストのように鮮やかな色彩を放っている。その微笑みはまさに天使。
何が言いたいか?それは、うちの弟が世界一可愛いってことよ!
「おはよう、レオン!今日も可愛いわ~」
朝日よ、グッジョブ!貴方のおかげで私のレオンが倍可愛い。ほとばしる愛のままに、弟のレオンの頬におはようのキスをする。
「ん…おはよ、姉さん」
寝起きでぼんやりしたレオンも最っ高…。あぁ至福。レオンの姉に生まれて良かった。
姉弟というか、レオンは正確に言うと父の第一夫人の息子で、第二夫人を母に持つ私とは異母弟という関係だ。このリコリス公国では一夫多妻制が続いているのだが、うちは母親間も仲が良い。ただ、母親が違うので私の容貌はレオンとは少し違う。レオンは金髪のふんわり天パだが、私は同じ金髪でもストレートヘアで藍色の瞳を持つ。
その弟も今年で16歳になった。私は彼より3歳年上の19歳で、昨年騎士学校を卒業した。私が騎士学校に通う間に、弟は飛び級でリコリス中央学園を卒業していた。この学園は、リコリス公国でトップレベルの学校だと呼び名も高い学園で、それを飛び級ともなると相当珍しい。さすがは私の弟だわ、完璧過ぎる。
ちなみに、レオンが学校に行っている間に、彼が変な女や悪どい同級生に騙されないか心配だと言ったら、「それはこっちのセリフだよ」とにっこり天使スマイルだった。うん、私の心配までしてくれるなんて…何て可愛い子だ!
女のくせに騎士?と親戚からもよく言われたが、その度に鋭い眼光と時には剣を抜いて黙らせた。剣をちらつかせた相手からは「お前、騎士道って言葉知ってる?」と震え声で訴えられた。
敢えて言わせて頂く。私にとっての騎士道適用範囲は弟から弟、すなわちレオンだけだ。
親戚の一部はともかく、元々我が家が武闘派の一族だったこともあってか、両親はむしろ大喜びだった。
「自分の道は自分で切り開く!これぞ我が家訓!」
父はそう力強く宣言し、母アンヌはぐっと拳を握り林檎を粉砕した。
「そうよ!困った時は粉砕しなさい!」
「はい!父上、母上、ありがとうございます!」
基本脳筋一家なので、細かい説明はいらなかった。冷静なレオンが「粉砕できないものもあるよね」と呟いたものの、彼の実母のレナーテは「楽しいから良いのよ」と微笑んでいた。
家族の応援もあり騎士学校を首席で合格した私には、実はリコリス公国王家の近衛騎士団入団の推薦状が届いていた。
もちろん、秒で断った。
名誉より何よりレオンが優先されるからだ。同期や教師らは私の反応を見て、やっぱりな…と、どこか疲れた顔で笑っていた。
「うん、分かってた…。お前が騎士団に入っても弟に何かあったら…それこそ秒で役目放棄するよな」
ようやく、彼らも私のことを分かってくれたのだ。私は近衛騎士団の件を苦労することなく円満解決したのだった。
何が言いたいか?それは、うちの弟が世界一可愛いってことよ!
「おはよう、レオン!今日も可愛いわ~」
朝日よ、グッジョブ!貴方のおかげで私のレオンが倍可愛い。ほとばしる愛のままに、弟のレオンの頬におはようのキスをする。
「ん…おはよ、姉さん」
寝起きでぼんやりしたレオンも最っ高…。あぁ至福。レオンの姉に生まれて良かった。
姉弟というか、レオンは正確に言うと父の第一夫人の息子で、第二夫人を母に持つ私とは異母弟という関係だ。このリコリス公国では一夫多妻制が続いているのだが、うちは母親間も仲が良い。ただ、母親が違うので私の容貌はレオンとは少し違う。レオンは金髪のふんわり天パだが、私は同じ金髪でもストレートヘアで藍色の瞳を持つ。
その弟も今年で16歳になった。私は彼より3歳年上の19歳で、昨年騎士学校を卒業した。私が騎士学校に通う間に、弟は飛び級でリコリス中央学園を卒業していた。この学園は、リコリス公国でトップレベルの学校だと呼び名も高い学園で、それを飛び級ともなると相当珍しい。さすがは私の弟だわ、完璧過ぎる。
ちなみに、レオンが学校に行っている間に、彼が変な女や悪どい同級生に騙されないか心配だと言ったら、「それはこっちのセリフだよ」とにっこり天使スマイルだった。うん、私の心配までしてくれるなんて…何て可愛い子だ!
女のくせに騎士?と親戚からもよく言われたが、その度に鋭い眼光と時には剣を抜いて黙らせた。剣をちらつかせた相手からは「お前、騎士道って言葉知ってる?」と震え声で訴えられた。
敢えて言わせて頂く。私にとっての騎士道適用範囲は弟から弟、すなわちレオンだけだ。
親戚の一部はともかく、元々我が家が武闘派の一族だったこともあってか、両親はむしろ大喜びだった。
「自分の道は自分で切り開く!これぞ我が家訓!」
父はそう力強く宣言し、母アンヌはぐっと拳を握り林檎を粉砕した。
「そうよ!困った時は粉砕しなさい!」
「はい!父上、母上、ありがとうございます!」
基本脳筋一家なので、細かい説明はいらなかった。冷静なレオンが「粉砕できないものもあるよね」と呟いたものの、彼の実母のレナーテは「楽しいから良いのよ」と微笑んでいた。
家族の応援もあり騎士学校を首席で合格した私には、実はリコリス公国王家の近衛騎士団入団の推薦状が届いていた。
もちろん、秒で断った。
名誉より何よりレオンが優先されるからだ。同期や教師らは私の反応を見て、やっぱりな…と、どこか疲れた顔で笑っていた。
「うん、分かってた…。お前が騎士団に入っても弟に何かあったら…それこそ秒で役目放棄するよな」
ようやく、彼らも私のことを分かってくれたのだ。私は近衛騎士団の件を苦労することなく円満解決したのだった。
0
お気に入りに追加
92
あなたにおすすめの小説
溺愛プロデュース〜年下彼の誘惑〜
氷萌
恋愛
30歳を迎えた私は彼氏もいない地味なOL。
そんな私が、突然、人気モデルに?
陰気な私が光り輝く外の世界に飛び出す
シンデレラ・ストーリー
恋もオシャレも興味なし:日陰女子
綺咲 由凪《きさき ゆいな》
30歳:独身
ハイスペックモデル:太陽男子
鳴瀬 然《なるせ ぜん》
26歳:イケてるメンズ
甘く優しい年下の彼。
仕事も恋愛もハイスペック。
けれど実は
甘いのは仕事だけで――――
婚約破棄を目指して
haruhana
恋愛
伯爵令嬢リーナには、幼い頃に親同士が決めた婚約者アレンがいる。美しいアレンはシスコンなのか?と疑わしいほど溺愛する血の繋がらない妹エリーヌがいて、いつもデートを邪魔され、どっちが婚約者なんだかと思うほどのイチャイチャぶりに、私の立場って一体?と悩み、婚約破棄したいなぁと思い始めるのでした。
愛しの婚約者は王女様に付きっきりですので、私は私で好きにさせてもらいます。
梅雨の人
恋愛
私にはイザックという愛しの婚約者様がいる。
ある日イザックは、隣国の王女が私たちの学園へ通う間のお世話係を任されることになった。
え?イザックの婚約者って私でした。よね…?
二人の仲睦まじい様子を見聞きするたびに、私の心は折れてしまいました。
ええ、バッキバキに。
もういいですよね。あとは好きにさせていただきます。
Sランクの年下旦那様は如何でしょうか?
キミノ
恋愛
職場と自宅を往復するだけの枯れた生活を送っていた白石亜子(27)は、
帰宅途中に見知らぬイケメンの大谷匠に求婚される。
二日酔いで目覚めた亜子は、記憶の無いまま彼の妻になっていた。
彼は日本でもトップの大企業の御曹司で・・・。
無邪気に笑ったと思えば、大人の色気で翻弄してくる匠。戸惑いながらもお互いを知り、仲を深める日々を過ごしていた。
このまま、私は彼と生きていくんだ。
そう思っていた。
彼の心に住み付いて離れない存在を知るまでは。
「どうしようもなく好きだった人がいたんだ」
報われない想いを隠し切れない背中を見て、私はどうしたらいいの?
代わりでもいい。
それでも一緒にいられるなら。
そう思っていたけれど、そう思っていたかったけれど。
Sランクの年下旦那様に本気で愛されたいの。
―――――――――――――――
ページを捲ってみてください。
貴女の心にズンとくる重い愛を届けます。
【Sランクの男は如何でしょうか?】シリーズの匠編です。
女嫌いな伯爵令息と下着屋の甘やかな初恋
春浦ディスコ
恋愛
オートクチュールの女性下着専門店で働くサラ・ベルクナーは、日々仕事に精を出していた。
ある日、お得意先のサントロ伯爵家のご令嬢に下着を届けると、弟であるフィリップ・サントロに出会う。聞いていた通りの金髪碧眼の麗しい容姿。女嫌いという話通りに、そっけない態度を取られるが……。
最低な出会いから必死に挽回しようとするフィリップと若い時から働き詰めのサラが少しずつ距離を縮める純愛物語。
フィリップに誘われて、庶民のサラは上流階級の世界に足を踏み入れるーーーー。
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
逃した番は他国に嫁ぐ
基本二度寝
恋愛
「番が現れたら、婚約を解消してほしい」
婚約者との茶会。
和やかな会話が落ち着いた所で、改まって座を正した王太子ヴェロージオは婚約者の公爵令嬢グリシアにそう願った。
獣人の血が交じるこの国で、番というものの存在の大きさは誰しも理解している。
だから、グリシアも頷いた。
「はい。わかりました。お互いどちらかが番と出会えたら円満に婚約解消をしましょう!」
グリシアに答えに満足したはずなのだが、ヴェロージオの心に沸き上がる感情。
こちらの希望を受け入れられたはずのに…、何故か、もやっとした気持ちになった。
「優秀すぎて鼻につく」と婚約破棄された公爵令嬢は弟殿下に独占される
杓子ねこ
恋愛
公爵令嬢ソフィア・ファビアスは完璧な淑女だった。
婚約者のギルバートよりはるかに優秀なことを隠し、いずれ夫となり国王となるギルバートを立て、常に控えめにふるまっていた。
にもかかわらず、ある日、婚約破棄を宣言される。
「お前が陰で俺を嘲笑っているのはわかっている! お前のような偏屈な女は、婚約破棄だ!」
どうやらギルバートは男爵令嬢エミリーから真実の愛を吹き込まれたらしい。
事を荒立てまいとするソフィアの態度にギルバートは「申し開きもしない」とさらに激昂するが、そこへ第二王子のルイスが現れる。
「では、ソフィア嬢を俺にください」
ルイスはソフィアを抱きしめ、「やっと手に入れた、愛しい人」と囁き始め……?
※ヒーローがだいぶ暗躍します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる