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借金が増えた!
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アンリエッタは美人で有能だ。
ソロに慣れていたロキだが、アンリエッタのサポートは正直有り難かった。
攻撃魔法をさり気なく使ってくれるし、必要以上に前にも出ない。
あくまでサポーターだ。
何より厄介な能力持ちのロキを侮蔑することも不気味がることもない。
端的に言って、いい女性だ。
ロキとて出来ればこのまま隣にいてもらいたい。
「では今から行くぞ」
今日が終わる前に決着をつけよう。
「道案内を頼むぞ」
「ロキ様?!」
アンリエッタを抱え、ロキはふわりと飛ぶ。
風魔法による飛行術だ。
「俺はその婚約者の家を知らない。だからアンリに教えてもらえないとつけないんだ」
転移魔法は一度行ったことがある場所にしか使えない。
「今、アンリって……」
愛称で呼ばれ、顔が真っ赤になる。
アンリエッタはびっくりして言葉が出ないようだ。
それでも振るえる指で方角を指してくれた。
直ぐ様ロキはその元婚約者の家を目指す。
「俺の名はロキ!借金を返しに来たぞ!」
一際大きい屋敷を煌々と照らし、ロキは大声で呼びかけた。
風魔法による拡声術でロキの声は屋敷中に響き渡る。
「何だ一体……」
聞き覚えのない声に屋敷の主は飛び起きた。
「旦那様大変です! 上空に変な男がいて」
「今行く」
こんな夜中に騒ぐなど、ろくな男ではない。
「貴様は侯爵か。用があったのは息子の方なんだがな」
「誰だお前は?」
「こちらのアンリエッタ嬢に助けられたものだ」
「アンリエッタ?」
ロキは庭に降り立った、その腕にはアンリエッタを抱いている。
「お久しぶりです、公爵様……」
ロキはアンリエッタを降ろそうとしないため、恥ずかしながらもそのまま挨拶をする。
「アンリエッタか。久しぶりだな」
息子の元婚約者が見知らぬ男の腕にいるのを、複雑な気持ちで見つめる。
以前より女性らしくなり、輝きを増したのは気のせいか?
「アンリエッタ!!」
屋敷の方からイザークの声がした。
「貴様、アンリエッタを離せ! 彼女は俺の婚約者で」
「炎よ」
駆け寄ろうとしたイザークの前に炎の壁が出来る。
「アンリは俺様の恋人だ。許可なく近寄るな、燃やすぞ。呼び捨ても許さん」
「風に炎?! なんて魔法使いだ!」
侯爵はロキが次々と生み出す魔法に驚く。
それだけではない、空にある光もこの男の魔法だ。
「これをやる。これで借金は帳消しだろう」
紫色の高密度の魔石、そしてダンジョンで手に入れたレア素材とレアアイテム、それら全てを侯爵のもとへと置いた。
「これは……」
見たこともない量のお宝だ。
「人生ニ回分は過ごせるぞ、これでアンリを追い回すのは止めろ」
完全に返済できたはずだ。
「ロキ様、お時間が……」
そっとアンリエッタが耳打ちをする。
もうすぐ今日が終わる、時間切れだ。
「教えてくれてありがとう」
彼女を腕から下ろすことなく、再びロキは空へと浮かび上がった。
親密な様子にイザークは歯軋りをする。
「戻ってこい! アンリエッタ!」
「呼び捨てにするなと言っただろうが!」
ロキの怒声と共に魔力が放たれ、屋敷とその後ろの街が破壊された。
「「あっ…」」
「暫し、また借金生活だ」
幸いけが人は出なかったため、壊した建物の弁済でいいと国の偉い人から言われた。
というかあんなに簡単に街を壊せる魔法使いを拘束するなど、出来ない。
何かあっても取り押さえすら出来ないと考え、それならお金だけ送ってもらえればとなった。
「私が管理しますので、頑張っていきましょう」
寄り添うアンリエッタの肩を抱き、ロキは次なるダンジョンへと向かう。
「今日使えるのは草魔法か……森の方にでも行くか」
植物に魔力を通し念じるだけで、自由自在に動かす事が出来るものだ。
「今日もよろしくな、アンリ」
「はい!」
ロキは借金返済からまだまだ逃げられない。
ソロに慣れていたロキだが、アンリエッタのサポートは正直有り難かった。
攻撃魔法をさり気なく使ってくれるし、必要以上に前にも出ない。
あくまでサポーターだ。
何より厄介な能力持ちのロキを侮蔑することも不気味がることもない。
端的に言って、いい女性だ。
ロキとて出来ればこのまま隣にいてもらいたい。
「では今から行くぞ」
今日が終わる前に決着をつけよう。
「道案内を頼むぞ」
「ロキ様?!」
アンリエッタを抱え、ロキはふわりと飛ぶ。
風魔法による飛行術だ。
「俺はその婚約者の家を知らない。だからアンリに教えてもらえないとつけないんだ」
転移魔法は一度行ったことがある場所にしか使えない。
「今、アンリって……」
愛称で呼ばれ、顔が真っ赤になる。
アンリエッタはびっくりして言葉が出ないようだ。
それでも振るえる指で方角を指してくれた。
直ぐ様ロキはその元婚約者の家を目指す。
「俺の名はロキ!借金を返しに来たぞ!」
一際大きい屋敷を煌々と照らし、ロキは大声で呼びかけた。
風魔法による拡声術でロキの声は屋敷中に響き渡る。
「何だ一体……」
聞き覚えのない声に屋敷の主は飛び起きた。
「旦那様大変です! 上空に変な男がいて」
「今行く」
こんな夜中に騒ぐなど、ろくな男ではない。
「貴様は侯爵か。用があったのは息子の方なんだがな」
「誰だお前は?」
「こちらのアンリエッタ嬢に助けられたものだ」
「アンリエッタ?」
ロキは庭に降り立った、その腕にはアンリエッタを抱いている。
「お久しぶりです、公爵様……」
ロキはアンリエッタを降ろそうとしないため、恥ずかしながらもそのまま挨拶をする。
「アンリエッタか。久しぶりだな」
息子の元婚約者が見知らぬ男の腕にいるのを、複雑な気持ちで見つめる。
以前より女性らしくなり、輝きを増したのは気のせいか?
「アンリエッタ!!」
屋敷の方からイザークの声がした。
「貴様、アンリエッタを離せ! 彼女は俺の婚約者で」
「炎よ」
駆け寄ろうとしたイザークの前に炎の壁が出来る。
「アンリは俺様の恋人だ。許可なく近寄るな、燃やすぞ。呼び捨ても許さん」
「風に炎?! なんて魔法使いだ!」
侯爵はロキが次々と生み出す魔法に驚く。
それだけではない、空にある光もこの男の魔法だ。
「これをやる。これで借金は帳消しだろう」
紫色の高密度の魔石、そしてダンジョンで手に入れたレア素材とレアアイテム、それら全てを侯爵のもとへと置いた。
「これは……」
見たこともない量のお宝だ。
「人生ニ回分は過ごせるぞ、これでアンリを追い回すのは止めろ」
完全に返済できたはずだ。
「ロキ様、お時間が……」
そっとアンリエッタが耳打ちをする。
もうすぐ今日が終わる、時間切れだ。
「教えてくれてありがとう」
彼女を腕から下ろすことなく、再びロキは空へと浮かび上がった。
親密な様子にイザークは歯軋りをする。
「戻ってこい! アンリエッタ!」
「呼び捨てにするなと言っただろうが!」
ロキの怒声と共に魔力が放たれ、屋敷とその後ろの街が破壊された。
「「あっ…」」
「暫し、また借金生活だ」
幸いけが人は出なかったため、壊した建物の弁済でいいと国の偉い人から言われた。
というかあんなに簡単に街を壊せる魔法使いを拘束するなど、出来ない。
何かあっても取り押さえすら出来ないと考え、それならお金だけ送ってもらえればとなった。
「私が管理しますので、頑張っていきましょう」
寄り添うアンリエッタの肩を抱き、ロキは次なるダンジョンへと向かう。
「今日使えるのは草魔法か……森の方にでも行くか」
植物に魔力を通し念じるだけで、自由自在に動かす事が出来るものだ。
「今日もよろしくな、アンリ」
「はい!」
ロキは借金返済からまだまだ逃げられない。
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