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第39話 手にしたからには(リヴィオ視点)
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「私と結婚して欲しいの」
とうとうエカテリーナ様の熱意に押される形で承諾してしまった。
いや、断る度に悲しそうな顔をされるのが堪えたのが大きい。
俺では不釣り合いだと話し、何度もお断りしたのだが、何度も「あなたがいい」話されれば絆されるものだ。
それに大事なエカテリーナ様の顔に傷を付けてしまった事や、ローシュを諫めきれなかった負い目もある。
元より慕っていた相手からの告白に心が揺らがないわけもなく、ふらりと傾いた事が幸いしたのか災いとなったのか……エカテリーナ様との婚約を承諾し、長年の思いを告白をしたその時から、世界は一変した。
意外と多くの方から祝福を頂けて、そしてカルロス様からも盛大なお祝いを頂く事になる。
これは王家もこの婚約に賛成しているというパフォーマンスの為だ。
(国王陛下は了承したのだろうか?)
どうにも国王陛下とカルロス様の考えには齟齬があるように感じられた。
国王陛下は最後まで婚約解消に難色を示していたが、カルロス様は寧ろこうして力を貸してくれる。
ここまで話が大きくなっては、今更陛下が何を言おうと撤回は出来ない。
おかげで間に入ろうとする者が大幅に減った。
感謝してもし足りない。
ここまでして頂いたのだから何が何でも俺は俺の姫を幸せにしなくては。
例え辛い事があろうと、今後は以前以上に頑張らないとと改めて誓う。
うだつの上がらない子爵家次男から、侯爵家の一人として知識と教養を身につけるようにと言われる。
今はまだ侯爵家で一緒に過ごしているが、将来的には近くに別世帯を持ち、エカテリーナ様のお兄様を手助けするようにと命じられた。
大切な妹と離れて暮らすのを良しとしない侯爵家の面々の強い希望が感じられ、何だか親離れをしていないようで、些か気恥ずかしいが気持ちはわかる。
今までが危険に所に居過ぎたのだから、これからは守ってあげたいという望みがあるのだ。
侯爵様がこぼしていた、魔法なぞ使えなければと。
「あのような力があったから、エカテリーナは望まぬ婚約をさせられ、人も殺めさせられた」
本当ならば娘には普通の幸せを掴んで欲しかったと。
なまじ魔法なんて使えたから、能力の低い第二王子の婚約者につけられ、護衛の代わりに襲撃者から守らなければならない役割を担わされた。
人を殺して平気なわけではない。
王家には言わなかったが、最初に人を殺めてしまった後、エカテリーナ様は数日寝込むほどのショックを受けていたそうだ。
そこからエカテリーナ様は表情を殺す事が増え、ローシュの婚約者を完璧に務めようとますます努力したそうだ。
「自分の心を守るためだろうな。第二王子の婚約者だから、彼を守るために命を奪う事になっても仕方がないと」
侯爵様の話に涙が出そうだ。
そうだ、普通の少女が人を傷つけて、命を奪って平気でいられるわけがない。
常に落ち着いた態度と表情をしていたために、そういう所も気付かせては貰えなかった。
だがこれからはもっとエカテリーナ様に近づく機会が増える、素直に胸の内を明かして欲しい。
楽しい事、嬉しい事以外にも寂しい事や悲しい事も共有していきたい、そう願っている。
そういう関係を築けるように、そしてエカテリーナ様が話をしやすい環境を作れるように俺も思いを口に出して伝えていこう。
俺はローシュとは違い後ろ盾も地位もない。資産だって、今まで働いていた賃金くらいしかない。そんなものはブルックリン侯爵家からしたら微々たる金額だろう。
自分のどこのエカテリーナ様が惚れてくれたのは未だにわからないが、誠実に彼女に向き合っていく事しか出来ない。
そして剣の腕で彼女を守っていく。
今の彼女は戦う術を身につけていない、今度あのような襲撃があれば次こそ命を落としてしまう可能性が高い。
俺はローシュと違う、戦う術を持っている。
守られるのではなく、彼女を守っていきたい。もう側は離れない。
とうとうエカテリーナ様の熱意に押される形で承諾してしまった。
いや、断る度に悲しそうな顔をされるのが堪えたのが大きい。
俺では不釣り合いだと話し、何度もお断りしたのだが、何度も「あなたがいい」話されれば絆されるものだ。
それに大事なエカテリーナ様の顔に傷を付けてしまった事や、ローシュを諫めきれなかった負い目もある。
元より慕っていた相手からの告白に心が揺らがないわけもなく、ふらりと傾いた事が幸いしたのか災いとなったのか……エカテリーナ様との婚約を承諾し、長年の思いを告白をしたその時から、世界は一変した。
意外と多くの方から祝福を頂けて、そしてカルロス様からも盛大なお祝いを頂く事になる。
これは王家もこの婚約に賛成しているというパフォーマンスの為だ。
(国王陛下は了承したのだろうか?)
どうにも国王陛下とカルロス様の考えには齟齬があるように感じられた。
国王陛下は最後まで婚約解消に難色を示していたが、カルロス様は寧ろこうして力を貸してくれる。
ここまで話が大きくなっては、今更陛下が何を言おうと撤回は出来ない。
おかげで間に入ろうとする者が大幅に減った。
感謝してもし足りない。
ここまでして頂いたのだから何が何でも俺は俺の姫を幸せにしなくては。
例え辛い事があろうと、今後は以前以上に頑張らないとと改めて誓う。
うだつの上がらない子爵家次男から、侯爵家の一人として知識と教養を身につけるようにと言われる。
今はまだ侯爵家で一緒に過ごしているが、将来的には近くに別世帯を持ち、エカテリーナ様のお兄様を手助けするようにと命じられた。
大切な妹と離れて暮らすのを良しとしない侯爵家の面々の強い希望が感じられ、何だか親離れをしていないようで、些か気恥ずかしいが気持ちはわかる。
今までが危険に所に居過ぎたのだから、これからは守ってあげたいという望みがあるのだ。
侯爵様がこぼしていた、魔法なぞ使えなければと。
「あのような力があったから、エカテリーナは望まぬ婚約をさせられ、人も殺めさせられた」
本当ならば娘には普通の幸せを掴んで欲しかったと。
なまじ魔法なんて使えたから、能力の低い第二王子の婚約者につけられ、護衛の代わりに襲撃者から守らなければならない役割を担わされた。
人を殺して平気なわけではない。
王家には言わなかったが、最初に人を殺めてしまった後、エカテリーナ様は数日寝込むほどのショックを受けていたそうだ。
そこからエカテリーナ様は表情を殺す事が増え、ローシュの婚約者を完璧に務めようとますます努力したそうだ。
「自分の心を守るためだろうな。第二王子の婚約者だから、彼を守るために命を奪う事になっても仕方がないと」
侯爵様の話に涙が出そうだ。
そうだ、普通の少女が人を傷つけて、命を奪って平気でいられるわけがない。
常に落ち着いた態度と表情をしていたために、そういう所も気付かせては貰えなかった。
だがこれからはもっとエカテリーナ様に近づく機会が増える、素直に胸の内を明かして欲しい。
楽しい事、嬉しい事以外にも寂しい事や悲しい事も共有していきたい、そう願っている。
そういう関係を築けるように、そしてエカテリーナ様が話をしやすい環境を作れるように俺も思いを口に出して伝えていこう。
俺はローシュとは違い後ろ盾も地位もない。資産だって、今まで働いていた賃金くらいしかない。そんなものはブルックリン侯爵家からしたら微々たる金額だろう。
自分のどこのエカテリーナ様が惚れてくれたのは未だにわからないが、誠実に彼女に向き合っていく事しか出来ない。
そして剣の腕で彼女を守っていく。
今の彼女は戦う術を身につけていない、今度あのような襲撃があれば次こそ命を落としてしまう可能性が高い。
俺はローシュと違う、戦う術を持っている。
守られるのではなく、彼女を守っていきたい。もう側は離れない。
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