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第26話 告白の返事
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「わかりました」
はっきりと聞こえたその返事に思わず顔を上げると、リヴィオの大きくて硬い手が私の顔に触れた。
優しい表情と肌の触れ合いに思わず言葉を失い、顔が火照る。
「この傷の責任も取らせてもらいます」
その言葉に私は少し悲しくなるが、次の行動で倒れそうになる。
リヴィオが私を抱きしめてくれた!
理解が追いつきそうにない……なんて心地良いのかしら。
どうしたらいいかわからず、棒立ちになってしまう。顔が沸騰したように熱いの、触らなくてもわかるわ。
絶対に真っ赤よ。
「今度はこのような傷を負わせません。体も、そして心も。ローシュ様のように、あなたを粗末に扱うようなことは致しません」
密着する感覚に息が止まりそうだ。
嬉しすぎる。
そして耳元でそっと囁かれた。
「あなたに初めて会った時からお慕いしておりました」
その後リヴィオはいかに私を愛しているかを語ってくれて、ずっとローシュが私を大事にしない事に対して憤っていたと話してくれる。
しかし、それでもローシュはリヴィオの主で、命令には従わなくてはならなかった。
王家の命令もあり、乳兄弟でもある為、ローシュを守らねばというのはあったが年々辛かったそうだ。
「怪我をしたエカテリーナ様を見て、思ったのです。俺は何をしているんだろうと」
自分勝手に私をを振り回すローシュに、とうとう愛想が尽きたのだと教えてくれる。
そんな反発心をローシュは察したためか、小言を嫌って積極的にリヴィオを私の元に派遣していたらしい。
怪我の功名で私はリヴィオと話す機会が増え、それに伴いこうして満足できる結果になって良かった。
(ずっと頑張ってきてよかったわ)
想いが報われて、胸が温かくなる。
部屋にいたはずのポエットはいつの間にか消えていた、本当に気が利く優秀な子ね。
私とリヴィオは婚約を交わし、その事をすぐに皆に報告したわ。
王家や親しい友人、そして学園にも話は広まった。
中には勘ぐるものもいたが、カルロス様がお祝いを大体的に行なってくれたので、文句を言うものは居なかったわ。
「おめでとう。俺が言える立場ではないが、今度こそ幸せになって欲しい」
元婚約者の兄で、王太子であるカルロス様に祝福の言葉を頂いたのだ。
この状況で何かを言うものがいたら逆に凄い。
そしてローシュはというと、すっかりと落ち着いて……という事もなく、いまだに色々な事に追われていて忙しいそうよ。
「エカテリーナという婚約者がいなくなったのだから、もっとしっかりしなさい」
侯爵令嬢で且つ希少な魔女を自ら切り捨てたのだから、ローシュは自力で頑張らなくてはならなくなった。
今まで私がしてきた手助けがない分外部に頼みたかったようだけど、婚約者だから踏み込めた部分もあり、他のものに頼むには難しいところがある。
そして記憶喪失の婚約者を捨てたという事で、彼の株はだいぶ落ちている。
私とリヴィオは彼の側に寄る事はなかったけれど、それでも話は耳に入ってくるわ。
(いい気味だわ)
内心でほくそ笑み、彼の悪い話を聞くと胸がすく思いだ。
性格が悪いと言われても、陥れた人を心配するほどの優しい性格だったら、そもそも婚約解消を画策しないわよ。
そうして彼が堕ちていくのに反比例して、私達は評価は上昇したわ。
私が今まで支えていたから、ローシュは卒なくこなせていたと皆がわかり始めたのだ。
彼自身の能力はそこまで高くない。普通の貴族ならともかく、王族としてはやや劣るところなので、皆失望しただろう。
この件で王位継承権も失ったし、風当たりも厳しくなってどんどん生きづらくなるのは確かになった。
そして今まで注目されていなかったリヴィオの方は評価がうなぎ登りだ。
リヴィオの献身ぷりは皆が見ていたし、ローシュに命令されて動いてたのも見ているから不貞も疑われない。
リヴィオは主が虐げる女性を身を挺して守る、健気な男性として映っていたそうだ。
中にはリヴィオの魅力に気づき、私が記憶喪失だからという理由だけで、追い落とそうというものもでたが、
「俺はエカテリーナ様一筋なので」
と、きっぱりはっきりと断ってくれて、私は歓喜しますますリヴィオを大好きになったわ。
ずっと欲しかったの。
誠実で私だけを見てくれる、素敵なナイトが。
私は自分で言うのもあれだけど、身分も容姿も家族にも恵まれている。
そして生まれつき魔法も使えて、物理的にも強い。
でも本当は守って欲しかった。
物語のお姫様のように体を張って守って欲しい、優しく心に寄り添ってくれる人が欲しいと思っていたの。
でも実際は私がローシュを助けることしかなくて、精神的にも肉体的にも守られる事がなくて……その点でもうんざりしていたわ。
だから、今の生活は幸せなの。
誰も私を頼らず、寧ろ頼らせてくれる。
(このまま記憶喪失でもいいかもしれない)
王子妃になるのだからと気を張っていたあの頃に戻るのに、躊躇いが生まれてきた。
だって、今周囲にいる皆はそのような事を気にしていない。
ならばもう少しだけこの幸せな生活にひたらせて貰おう。
例え束の間の平穏だとしても。
はっきりと聞こえたその返事に思わず顔を上げると、リヴィオの大きくて硬い手が私の顔に触れた。
優しい表情と肌の触れ合いに思わず言葉を失い、顔が火照る。
「この傷の責任も取らせてもらいます」
その言葉に私は少し悲しくなるが、次の行動で倒れそうになる。
リヴィオが私を抱きしめてくれた!
理解が追いつきそうにない……なんて心地良いのかしら。
どうしたらいいかわからず、棒立ちになってしまう。顔が沸騰したように熱いの、触らなくてもわかるわ。
絶対に真っ赤よ。
「今度はこのような傷を負わせません。体も、そして心も。ローシュ様のように、あなたを粗末に扱うようなことは致しません」
密着する感覚に息が止まりそうだ。
嬉しすぎる。
そして耳元でそっと囁かれた。
「あなたに初めて会った時からお慕いしておりました」
その後リヴィオはいかに私を愛しているかを語ってくれて、ずっとローシュが私を大事にしない事に対して憤っていたと話してくれる。
しかし、それでもローシュはリヴィオの主で、命令には従わなくてはならなかった。
王家の命令もあり、乳兄弟でもある為、ローシュを守らねばというのはあったが年々辛かったそうだ。
「怪我をしたエカテリーナ様を見て、思ったのです。俺は何をしているんだろうと」
自分勝手に私をを振り回すローシュに、とうとう愛想が尽きたのだと教えてくれる。
そんな反発心をローシュは察したためか、小言を嫌って積極的にリヴィオを私の元に派遣していたらしい。
怪我の功名で私はリヴィオと話す機会が増え、それに伴いこうして満足できる結果になって良かった。
(ずっと頑張ってきてよかったわ)
想いが報われて、胸が温かくなる。
部屋にいたはずのポエットはいつの間にか消えていた、本当に気が利く優秀な子ね。
私とリヴィオは婚約を交わし、その事をすぐに皆に報告したわ。
王家や親しい友人、そして学園にも話は広まった。
中には勘ぐるものもいたが、カルロス様がお祝いを大体的に行なってくれたので、文句を言うものは居なかったわ。
「おめでとう。俺が言える立場ではないが、今度こそ幸せになって欲しい」
元婚約者の兄で、王太子であるカルロス様に祝福の言葉を頂いたのだ。
この状況で何かを言うものがいたら逆に凄い。
そしてローシュはというと、すっかりと落ち着いて……という事もなく、いまだに色々な事に追われていて忙しいそうよ。
「エカテリーナという婚約者がいなくなったのだから、もっとしっかりしなさい」
侯爵令嬢で且つ希少な魔女を自ら切り捨てたのだから、ローシュは自力で頑張らなくてはならなくなった。
今まで私がしてきた手助けがない分外部に頼みたかったようだけど、婚約者だから踏み込めた部分もあり、他のものに頼むには難しいところがある。
そして記憶喪失の婚約者を捨てたという事で、彼の株はだいぶ落ちている。
私とリヴィオは彼の側に寄る事はなかったけれど、それでも話は耳に入ってくるわ。
(いい気味だわ)
内心でほくそ笑み、彼の悪い話を聞くと胸がすく思いだ。
性格が悪いと言われても、陥れた人を心配するほどの優しい性格だったら、そもそも婚約解消を画策しないわよ。
そうして彼が堕ちていくのに反比例して、私達は評価は上昇したわ。
私が今まで支えていたから、ローシュは卒なくこなせていたと皆がわかり始めたのだ。
彼自身の能力はそこまで高くない。普通の貴族ならともかく、王族としてはやや劣るところなので、皆失望しただろう。
この件で王位継承権も失ったし、風当たりも厳しくなってどんどん生きづらくなるのは確かになった。
そして今まで注目されていなかったリヴィオの方は評価がうなぎ登りだ。
リヴィオの献身ぷりは皆が見ていたし、ローシュに命令されて動いてたのも見ているから不貞も疑われない。
リヴィオは主が虐げる女性を身を挺して守る、健気な男性として映っていたそうだ。
中にはリヴィオの魅力に気づき、私が記憶喪失だからという理由だけで、追い落とそうというものもでたが、
「俺はエカテリーナ様一筋なので」
と、きっぱりはっきりと断ってくれて、私は歓喜しますますリヴィオを大好きになったわ。
ずっと欲しかったの。
誠実で私だけを見てくれる、素敵なナイトが。
私は自分で言うのもあれだけど、身分も容姿も家族にも恵まれている。
そして生まれつき魔法も使えて、物理的にも強い。
でも本当は守って欲しかった。
物語のお姫様のように体を張って守って欲しい、優しく心に寄り添ってくれる人が欲しいと思っていたの。
でも実際は私がローシュを助けることしかなくて、精神的にも肉体的にも守られる事がなくて……その点でもうんざりしていたわ。
だから、今の生活は幸せなの。
誰も私を頼らず、寧ろ頼らせてくれる。
(このまま記憶喪失でもいいかもしれない)
王子妃になるのだからと気を張っていたあの頃に戻るのに、躊躇いが生まれてきた。
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