【本編完結】婚約者を守ろうとしたら寧ろ盾にされました。腹が立ったので記憶を失ったふりをして婚約解消を目指します。

しろねこ。

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第18話 期待の人材

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「ローシュ様にも生徒会長にも何も言われておりません。つまりエカテリーナ様は仕事をすることはないという事ですわ。フロル様、失礼します。昼食を取る時間が無くなってしまうので」
 ペイルがフロルを無視するようにずかずかと歩き。私もその後をついていく。

 追いすがろうとするフロルをポエットが牽制し、私達は昼食の席に急いだ。

「身勝手なものね。自分では助けないのに自分は助けてもらおうという事かしら?」
 ペイルもここ数日共に過ごすうちに、ローシュがおかしいという事に気づいてくれた。

 それも相まって余計に怒りを露わにしている。

「でもこの状態の私が行っても足手まといになってしまうのではないかしら。生徒会の仕事って、難しいのでしょう?」

「以前のローシュ様はエカテリーナ様の手を借りて行なっていましたから、相当大変だとは思います。ですが、今のエカテリーナ様は記憶もないのですから、あのような理不尽な言葉を聞かなくていいのですよ……今度はローシュ様が頑張らないといけない場面でしょう」
 手を借りるというか丸投げでしたわ。少しでも目を通していたらこのような苦労はしなかったでしょうけれど、そうではなかったようね。

 まぁその内に慣れてくるでしょう。何事も自らの手で行えば覚えられますわ。

 私だって最初は手探りでしたし。

「ローシュ様の発言もですが、先程のフロルという女生徒の発言も気になります。いくら学園が身分を問わずに話せるからと言って、礼儀を無視していいわけではありません。しかも生徒会にもローシュ様にも無関係なのにあのようにエカテリーナ様に口出しをしてきて。実に腹立たしいのです」
 ペイルは実に私の心情を慮ってくれる。
 言葉にしてその思いを伝えてくれるのは存外嬉しいわ。

「生徒会はともかく、ローシュ様とは無関係ではないんじゃない? だってローシュ様とお話をしているようだし。きっとお友達なのでしょうね」
 思うところがあるのでそう発言すると、リヴィオとポエットが表情を硬くした。

 彼らは元を辿れば王家に仕えるものだから、ローシュの素行について報告する義務がある。

(今までの私の世話をしないは一応の理由付けがあった。でも、もしもさっきの彼女がローシュに近づく女狐ならば、後々大変なことになるわよ)
 多分二人はすぐにあの女の調査・報告をするだろう。

(命の恩人で、しかもその事がきっかけで記憶を失った私を放置し、浮気をしていたなんてなったら、王家の評判はだいぶ落ちるものね)
 二人には悪いけれど、帰ったらお父様にも話してこちらでも調査をしてもらおう。

 いい婚約解消材料が飛び込んできてくれて嬉しいわ。
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