18 / 70
第18話 期待の人材
しおりを挟む
「ローシュ様にも生徒会長にも何も言われておりません。つまりエカテリーナ様は仕事をすることはないという事ですわ。フロル様、失礼します。昼食を取る時間が無くなってしまうので」
ペイルがフロルを無視するようにずかずかと歩き。私もその後をついていく。
追いすがろうとするフロルをポエットが牽制し、私達は昼食の席に急いだ。
「身勝手なものね。自分では助けないのに自分は助けてもらおうという事かしら?」
ペイルもここ数日共に過ごすうちに、ローシュがおかしいという事に気づいてくれた。
それも相まって余計に怒りを露わにしている。
「でもこの状態の私が行っても足手まといになってしまうのではないかしら。生徒会の仕事って、難しいのでしょう?」
「以前のローシュ様はエカテリーナ様の手を借りて行なっていましたから、相当大変だとは思います。ですが、今のエカテリーナ様は記憶もないのですから、あのような理不尽な言葉を聞かなくていいのですよ……今度はローシュ様が頑張らないといけない場面でしょう」
手を借りるというか丸投げでしたわ。少しでも目を通していたらこのような苦労はしなかったでしょうけれど、そうではなかったようね。
まぁその内に慣れてくるでしょう。何事も自らの手で行えば覚えられますわ。
私だって最初は手探りでしたし。
「ローシュ様の発言もですが、先程のフロルという女生徒の発言も気になります。いくら学園が身分を問わずに話せるからと言って、礼儀を無視していいわけではありません。しかも生徒会にもローシュ様にも無関係なのにあのようにエカテリーナ様に口出しをしてきて。実に腹立たしいのです」
ペイルは実に私の心情を慮ってくれる。
言葉にしてその思いを伝えてくれるのは存外嬉しいわ。
「生徒会はともかく、ローシュ様とは無関係ではないんじゃない? だってローシュ様とお話をしているようだし。きっとお友達なのでしょうね」
思うところがあるのでそう発言すると、リヴィオとポエットが表情を硬くした。
彼らは元を辿れば王家に仕えるものだから、ローシュの素行について報告する義務がある。
(今までの私の世話をしないは一応の理由付けがあった。でも、もしもさっきの彼女がローシュに近づく女狐ならば、後々大変なことになるわよ)
多分二人はすぐにあの女の調査・報告をするだろう。
(命の恩人で、しかもその事がきっかけで記憶を失った私を放置し、浮気をしていたなんてなったら、王家の評判はだいぶ落ちるものね)
二人には悪いけれど、帰ったらお父様にも話してこちらでも調査をしてもらおう。
いい婚約解消材料が飛び込んできてくれて嬉しいわ。
ペイルがフロルを無視するようにずかずかと歩き。私もその後をついていく。
追いすがろうとするフロルをポエットが牽制し、私達は昼食の席に急いだ。
「身勝手なものね。自分では助けないのに自分は助けてもらおうという事かしら?」
ペイルもここ数日共に過ごすうちに、ローシュがおかしいという事に気づいてくれた。
それも相まって余計に怒りを露わにしている。
「でもこの状態の私が行っても足手まといになってしまうのではないかしら。生徒会の仕事って、難しいのでしょう?」
「以前のローシュ様はエカテリーナ様の手を借りて行なっていましたから、相当大変だとは思います。ですが、今のエカテリーナ様は記憶もないのですから、あのような理不尽な言葉を聞かなくていいのですよ……今度はローシュ様が頑張らないといけない場面でしょう」
手を借りるというか丸投げでしたわ。少しでも目を通していたらこのような苦労はしなかったでしょうけれど、そうではなかったようね。
まぁその内に慣れてくるでしょう。何事も自らの手で行えば覚えられますわ。
私だって最初は手探りでしたし。
「ローシュ様の発言もですが、先程のフロルという女生徒の発言も気になります。いくら学園が身分を問わずに話せるからと言って、礼儀を無視していいわけではありません。しかも生徒会にもローシュ様にも無関係なのにあのようにエカテリーナ様に口出しをしてきて。実に腹立たしいのです」
ペイルは実に私の心情を慮ってくれる。
言葉にしてその思いを伝えてくれるのは存外嬉しいわ。
「生徒会はともかく、ローシュ様とは無関係ではないんじゃない? だってローシュ様とお話をしているようだし。きっとお友達なのでしょうね」
思うところがあるのでそう発言すると、リヴィオとポエットが表情を硬くした。
彼らは元を辿れば王家に仕えるものだから、ローシュの素行について報告する義務がある。
(今までの私の世話をしないは一応の理由付けがあった。でも、もしもさっきの彼女がローシュに近づく女狐ならば、後々大変なことになるわよ)
多分二人はすぐにあの女の調査・報告をするだろう。
(命の恩人で、しかもその事がきっかけで記憶を失った私を放置し、浮気をしていたなんてなったら、王家の評判はだいぶ落ちるものね)
二人には悪いけれど、帰ったらお父様にも話してこちらでも調査をしてもらおう。
いい婚約解消材料が飛び込んできてくれて嬉しいわ。
18
お気に入りに追加
756
あなたにおすすめの小説
拝啓、婚約者様。ごきげんよう。そしてさようなら
みおな
恋愛
子爵令嬢のクロエ・ルーベンスは今日も《おひとり様》で夜会に参加する。
公爵家を継ぐ予定の婚約者がいながら、だ。
クロエの婚約者、クライヴ・コンラッド公爵令息は、婚約が決まった時から一度も婚約者としての義務を果たしていない。
クライヴは、ずっと義妹のファンティーヌを優先するからだ。
「ファンティーヌが熱を出したから、出かけられない」
「ファンティーヌが行きたいと言っているから、エスコートは出来ない」
「ファンティーヌが」
「ファンティーヌが」
だからクロエは、学園卒業式のパーティーで顔を合わせたクライヴに、にっこりと微笑んで伝える。
「私のことはお気になさらず」
不遇な王妃は国王の愛を望まない
ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝ある時、クラウン王国の国王カルロスの元に、自ら命を絶った王妃アリーヤの訃報が届く。王妃アリーヤを冷遇しておきながら嘆く国王カルロスに皆は不思議がる。なにせ国王カルロスは幼馴染の側妃ベリンダを寵愛し、政略結婚の為に他国アメジスト王国から輿入れした不遇の王女アリーヤには見向きもしない。はたから見れば哀れな王妃アリーヤだが、実は他に愛する人がいる王妃アリーヤにもその方が都合が良いとも。彼女が真に望むのは愛する人と共に居られる些細な幸せ。ある時、自国に囚われの身である愛する人の訃報を受け取る王妃アリーヤは絶望に駆られるも……。主人公の舞台は途中から変わります。
※設定などは独自の世界観で、あくまでもご都合主義。断罪あり。ハピエン🩷
※稚拙ながらも投稿初日からHOTランキング(2024.11.21)に入れて頂き、ありがとうございます🙂 今回初めて最高ランキング5位(11/23)✨ まさに感無量です🥲
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜
みおな
恋愛
大好きだった人。
一目惚れだった。だから、あの人が婚約者になって、本当に嬉しかった。
なのに、私の友人と愛を交わしていたなんて。
もう誰も信じられない。
2度目の人生は好きにやらせていただきます
みおな
恋愛
公爵令嬢アリスティアは、婚約者であるエリックに学園の卒業パーティーで冤罪で婚約破棄を言い渡され、そのまま処刑された。
そして目覚めた時、アリスティアは学園入学前に戻っていた。
今度こそは幸せになりたいと、アリスティアは婚約回避を目指すことにする。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる