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婚約話
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両家は全く違う雰囲気だった。
集まった場所はアドガルムの王城だ。
「まさか国王夫妻どころか、王女方もいらっしゃるとは。とても華やかですね。私のところは男ばかりで、陛下のところは麗しい美姫ばかり、羨ましいです」
リュシフェルの言葉にアレックスも答える。
「いえいえ、リュシフェル殿のところも頼りになる男性ばかりで羨ましい。この前のパーティ以来、エレオノーラはすっかりレナード殿の虜で、早く場を設けろと煩くて」
「お父様、あまりそのような話をされると恥ずかしいわ」
とはいうものの声には恥ずかしさなど感じられず、殺気しか感じられない。
エレオノーラの怒りの気配を察して、リュシフェルは話題を変える。
「エレオノーラ様、本当に我が愚息でよろしいのですか?もっといい方もいらっしゃると思うのですが」
最後の確認だ。
何度も婚約の打診の書簡を読み直したがやはり間違いはなかった。
では最後、もう一度だけと直接聞いてみる。
「わたくしはレナード様がいいのです。むしろわたくしにレナード様は勿体ないかとは思うのですが、どうしても夫婦になりたくて。ぜひスフォリア家の方々にご了承を頂きたくて皆様に来ていただいたのです。警備の都合上呼び立ててしまってすみません」
間違いではなかったのだと、レナードは驚いた。
ついエレオノーラを凝視してしまうと、ふわりと微笑みかけられる。
レナードの顔は一瞬にして沸騰してしまった。
「構いませんよ。こういう機会がなければ王城に来る機会もありませんから。では早速契約書を擦り合わせていきますか?」
「そうだな。だが、それは俺達でしよう。婚約の届だけ書いてもらえたら、しばし話をさせてあげたいからな」
初心なレナードと熱い視線を送るエレオノーラをちらりと見る。
「エレオノーラ、ティアシーア、リオーネ。スフォリア家のご令息方をぜひ中庭へと案内して差し上げろ。きれいな花が咲いている、ゆっくりとお茶でもして来い」
「畏まりました」
五人は場所を移動し、中庭に来た。
侍女たちがお茶を用意し。皆の従者が後ろに付き従う。
「またこうして会えて嬉しいです、レナード」
「そうですね、エレオノーラ様」
こんな早くとは思ってなかったが。
レナードは視線をエレオノーラの妹たちへと移す。
上の妹、ティアシーアは薄紫の髪をし、黄緑色の目をした長身の美女だ。
顔の系統はエレオノーラとはまた違う。
先ほど立った所を見た感じだと。恐らくレナードより背が高い。
確か騎士として訓練に参加していると聞いていて、先のパーティでも鎧を纏っていた。
今日は何やら落ち着かないようでそわそわしている。
下の妹リオーネは微笑みを絶やさず、常ににこにこしている。
とても小柄で、可愛らしい雰囲気だ。
青い髪をふんわりと結い上げ、緑色の瞳はエレオノーラと同じだ。
時折見せる表情や仕草はエレオノーラを蜂起させる。
「皆さん美人ばかりで、花々が霞むほど眩いですね。ティアシーア様のドレス姿も珍しいです、とても似合っておりますよ」
緊張をほぐすためか、ミカエルがティアシーアに話しかけた。
「ありがとうございます……」
しどろもどろになりつつも小さくお礼を言う。
「ありがとうございます。ティアシーア姉様はミカエル様達に会えることを楽しみにしていて、気合を入れてドレスを着たのですわ」
リオーネが補足して伝える。
「私たちのためですか?」
それを聞いたミカエルは嬉しそうだ。
「騎士姿も捨てがたいですが、着飾ったこちらの衣装も素晴らしいです。ティアシーア様は何を着てもお似合いだ」
「私の事を知ってくださっていたのですか?」
嬉しさと驚愕で、ティアシーアは泣きそうになっている。
「ずっと素敵な方だと思っていました。こうして縁続きになればお会いすることも増えるでしょう、とても嬉しいです」
すらすらとそんな台詞が出てくるなんて、我が弟ながらたらしだなと思った。
自分もせっかくなのだから、エレオノーラに気の利いた言葉でも送りたい。
「あの、エレオノーラ様」
「何でしょう?」
期待に満ちた目だ。
何といえば喜んでくれるか、懸命に考える。
「その、少し一緒に散歩をしませんか? とても綺麗なので」
言って後悔する。
ここはエレオノーラの家だ、ようするにこの中庭も嫌というほど見てるだろう。
彼女にとって見慣れたところを見て、何が楽しいのだろうかと自分の失敗を悟る。
しかし、エレオノーラの表情は輝いた。
「ぜひ喜んで、わたくしがご案内します」
エレオノーラが立ち上がり、レナードの手を引いた。
(良かった、対応合っていた)
花や緑が好きなレナードは楽しく、自然体でエレオノーラの話を聞くことが出来た。
さりげなく手を握られていたことも気づかぬままに。
両片想いなティアシーアとミカエルは楽しく談笑をする。
言葉に詰まるティアシーアを、時折リオーネがフォローして、場を盛り上げていった。
「頑張ったのだから、ご褒美頂戴ね」
と、何故かティアシーアの従者フゥにお使いを頼んだりしていたが。
ともあれ、婚約は無事に成立した。
集まった場所はアドガルムの王城だ。
「まさか国王夫妻どころか、王女方もいらっしゃるとは。とても華やかですね。私のところは男ばかりで、陛下のところは麗しい美姫ばかり、羨ましいです」
リュシフェルの言葉にアレックスも答える。
「いえいえ、リュシフェル殿のところも頼りになる男性ばかりで羨ましい。この前のパーティ以来、エレオノーラはすっかりレナード殿の虜で、早く場を設けろと煩くて」
「お父様、あまりそのような話をされると恥ずかしいわ」
とはいうものの声には恥ずかしさなど感じられず、殺気しか感じられない。
エレオノーラの怒りの気配を察して、リュシフェルは話題を変える。
「エレオノーラ様、本当に我が愚息でよろしいのですか?もっといい方もいらっしゃると思うのですが」
最後の確認だ。
何度も婚約の打診の書簡を読み直したがやはり間違いはなかった。
では最後、もう一度だけと直接聞いてみる。
「わたくしはレナード様がいいのです。むしろわたくしにレナード様は勿体ないかとは思うのですが、どうしても夫婦になりたくて。ぜひスフォリア家の方々にご了承を頂きたくて皆様に来ていただいたのです。警備の都合上呼び立ててしまってすみません」
間違いではなかったのだと、レナードは驚いた。
ついエレオノーラを凝視してしまうと、ふわりと微笑みかけられる。
レナードの顔は一瞬にして沸騰してしまった。
「構いませんよ。こういう機会がなければ王城に来る機会もありませんから。では早速契約書を擦り合わせていきますか?」
「そうだな。だが、それは俺達でしよう。婚約の届だけ書いてもらえたら、しばし話をさせてあげたいからな」
初心なレナードと熱い視線を送るエレオノーラをちらりと見る。
「エレオノーラ、ティアシーア、リオーネ。スフォリア家のご令息方をぜひ中庭へと案内して差し上げろ。きれいな花が咲いている、ゆっくりとお茶でもして来い」
「畏まりました」
五人は場所を移動し、中庭に来た。
侍女たちがお茶を用意し。皆の従者が後ろに付き従う。
「またこうして会えて嬉しいです、レナード」
「そうですね、エレオノーラ様」
こんな早くとは思ってなかったが。
レナードは視線をエレオノーラの妹たちへと移す。
上の妹、ティアシーアは薄紫の髪をし、黄緑色の目をした長身の美女だ。
顔の系統はエレオノーラとはまた違う。
先ほど立った所を見た感じだと。恐らくレナードより背が高い。
確か騎士として訓練に参加していると聞いていて、先のパーティでも鎧を纏っていた。
今日は何やら落ち着かないようでそわそわしている。
下の妹リオーネは微笑みを絶やさず、常ににこにこしている。
とても小柄で、可愛らしい雰囲気だ。
青い髪をふんわりと結い上げ、緑色の瞳はエレオノーラと同じだ。
時折見せる表情や仕草はエレオノーラを蜂起させる。
「皆さん美人ばかりで、花々が霞むほど眩いですね。ティアシーア様のドレス姿も珍しいです、とても似合っておりますよ」
緊張をほぐすためか、ミカエルがティアシーアに話しかけた。
「ありがとうございます……」
しどろもどろになりつつも小さくお礼を言う。
「ありがとうございます。ティアシーア姉様はミカエル様達に会えることを楽しみにしていて、気合を入れてドレスを着たのですわ」
リオーネが補足して伝える。
「私たちのためですか?」
それを聞いたミカエルは嬉しそうだ。
「騎士姿も捨てがたいですが、着飾ったこちらの衣装も素晴らしいです。ティアシーア様は何を着てもお似合いだ」
「私の事を知ってくださっていたのですか?」
嬉しさと驚愕で、ティアシーアは泣きそうになっている。
「ずっと素敵な方だと思っていました。こうして縁続きになればお会いすることも増えるでしょう、とても嬉しいです」
すらすらとそんな台詞が出てくるなんて、我が弟ながらたらしだなと思った。
自分もせっかくなのだから、エレオノーラに気の利いた言葉でも送りたい。
「あの、エレオノーラ様」
「何でしょう?」
期待に満ちた目だ。
何といえば喜んでくれるか、懸命に考える。
「その、少し一緒に散歩をしませんか? とても綺麗なので」
言って後悔する。
ここはエレオノーラの家だ、ようするにこの中庭も嫌というほど見てるだろう。
彼女にとって見慣れたところを見て、何が楽しいのだろうかと自分の失敗を悟る。
しかし、エレオノーラの表情は輝いた。
「ぜひ喜んで、わたくしがご案内します」
エレオノーラが立ち上がり、レナードの手を引いた。
(良かった、対応合っていた)
花や緑が好きなレナードは楽しく、自然体でエレオノーラの話を聞くことが出来た。
さりげなく手を握られていたことも気づかぬままに。
両片想いなティアシーアとミカエルは楽しく談笑をする。
言葉に詰まるティアシーアを、時折リオーネがフォローして、場を盛り上げていった。
「頑張ったのだから、ご褒美頂戴ね」
と、何故かティアシーアの従者フゥにお使いを頼んだりしていたが。
ともあれ、婚約は無事に成立した。
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