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三日後

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手筈が整い、数少ない使用人たちの殆どはミューズに着いてきてくれるとなった。
家族との別れを惜しみながら、出発時刻となる。
馬車が次々と到着し、皆それぞれに乗り込む。

護衛の騎士たちもいるため、大所帯だ。
皆が乗り込むのを見たあと、ミューズも馬車に案内される。中から扉が開き現れたのはティタンだ。

「ティタン!わざわざ来てくれたの?」
「向こうで待ちきれなくて来てしまった、3日は長いな」
ギュッと両手を握り、早く向かいたいと車内へエスコートする。

車内にて二人きり、外装は他の馬車と変わりないが内装はとても力が入っている。
長旅で疲れないようふかふかのクッションが敷き詰められていた。

当然のようにミューズの隣にティタンが座ると御者に目配せする。
いよいよリンドールを離れるのだ。

見送りに来るものは誰も来なかったがいっそ清々しい気持ちになった。
寝る間も惜しんで働いたのだ、充分やりきったと思う。今更後悔はない。新たな生活に心踊ってしまう。

「そういえば宰相殿は?」
「私がここを旅立って一週間くらいで過労で倒れる演技をしてもらいますわ。二人で分けてたものを一人でやるんだもの、体への負担は本当でしょう」

一週間も経てばミューズは確実にリンドールを離れているため、ほとぼりが冷めた頃に騒ぎが起きるだろう。

「父の主治医にも話を通してあります。レナン様も充分過ぎるほど働きました」
宰相であるレナンは現在27才。15才の頃から王宮に務め始め、今では宰相となった努力家だ。

ひょろりとしていてミューズより背は高いが細い。長い銀髪をひとくくりにし、目の下には常に隈がある。

5年前からミューズとともに政治をきりもりしてきたいわば戦友だ。幸せになって欲しい。

「今にも倒れそうな顔をしてましたからね、今回のパーティに出席するためさらに無茶をさせてしまいました」
国王の代わりを務めてきたのだ。早くのびのびとしてもらいたい。

「今後は大臣が国王代理を受け持つのでしょうが、今までサボってきたのです。私やレナン様のようにはいかないでしょう」
時折来て予算に口出す以外何もしてこなかった大臣にあの量をこなせるとは思えない。

「ミューズの祖国だ、けしてひどいことにはしないよ。それにあの兄上だ。もう手は打っているだろう」

リオンと長話をしていたのも気にかかる。

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