隣国が戦を仕掛けてきたので返り討ちにし、人質として三国の王女を貰い受けました

しろねこ。

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第124話 自分の役目

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 ティタン達は転移魔法にてヴァルファルに入った後は馬を操り、皇宮の正門を目指していた。

「リオン様達は大丈夫でしょうか」
 ティタンの馬に乗せてもらっているミューズは、心配そうな声をあげた。

「大丈夫だ。リオンは俺よりも頭がいいし、要領もいい。キールが行くまで保つだろう」
 ティタンは器用な手綱さばきを見せながら、安心させるように言葉がけをする。

 自分なんかよりも努力家で頭の回転も早い弟だ、窮地に陥っても何とか打開策を見つけるだろうという、リオンに対して絶大な信頼を寄せていた。

「こちらもなかなかハードだがな。何とか耐えてくれよ」
 敵の数が一番多いのはティタン達の進行先だろう。

 本気で正面突破をするつもりはないが、堂々と攻め入る姿勢を見せれば注目はこちらに集まる、そうすれば兵の注意もよりこちらに向けさせることが出来ると踏んでいた。

 大人数で街中を駆けていくが、止められるものは居ない。

「リオン様達のおかげで全体的な警備は手薄ですね」
 ルドが時折剣を振るい、帝国兵を薙ぎ払う。

 契約魔法にて命令され、ティタン達を止めようとしにくるものはセシルとミューズ、そして治癒師達が解除魔法を唱える。

 優れた回復魔法の使い手が多い為、悲鳴を上げるものは少ないようだ。





 到着すると皇宮の正門は大勢の兵で埋め尽くされていた。

 その中心には見慣れた人物がいる、ティタン自体は対峙するのは初めてだが。

「なんかがっかり。大した顔ぶれじゃないわね」
 真っ向からそう言われ、ティタン以外はカチンとくる。

「失礼な物言いだな」
 ライカは歯をむき出しにして威嚇をした。

「これならやっぱり王太子様達の方がよかったわ。力は強いらしいから手駒にしてやってもいいけれど、侍らすなら美形よね。そこのあなたとか」

「お断りします」
 ルドも嫌悪をむき出しにして睨みつける。

「残念。では殺してから従わせてあげるわ」
 そういうとルビアは群衆達に命ずる。

「さぁ、あいつらを殺しなさい! 多少の傷は構わないわ、後でどうとでもなるのだから!」
 一斉に襲い掛かる人の群れに、思わずミューズの足がすくむ。

「大丈夫だ、俺を信じろ」
 そう言うとティタンは大剣を持ち、軍勢の中に単身突っ込んでいく。

「ティタン様!」
 すぐさまルドとライカが後に続く。

 ルド達以外の兵士も後に続こうとするが、セシルに止められる。
「無茶はする! 複数で固まり、確実に敵を討ち取るんだ。相手はアンデッドの群れだ、殺すのを躊躇うな!」
 遅いくる敵の殆どが最早生きた人ではないと瞬時に判断した。

 肌の色が明らかに違うからだ。

 血の通わない土気色の肌に、虚ろに窪んだ眼窩、亡くなってから相当時間が経っているだろう。

 セシルがミューズと自分に防御壁を張り、周囲に指示を出す。

「確実に動きを止めるまで油断するなよ、足止めでも構わない、あのルビアを討ち取ればこいつらは止まる。第一隊はティタン様達の援護を、第二、第三隊は周囲の敵の殲滅、第四隊は治癒師の警護だ。第五、第六隊は戦況を見て各隊の援護。治癒師達は戦況を見て回復魔法を唱えよ」
 セシルはミューズを守りつつも周囲を見ながら指示を飛ばしていく。

「治癒師よ、第三隊の補助に入れ! 第五隊、深追いするな! 死んだり気持ちが弱ればあのルビアに操られ、あちらの戦力にされる。必ず僕達は勝てる、ティタン様を、アドガルムを信じろ!」
 普段あまり強い口調を出さないセシルがこうも大声を張り上げるとは。

 近くで見ていたミューズは驚いてしまった。

「ティタン様は戦いに入り込むと周囲に指示を飛ばせなくなるので、主に僕が指示を出させてもらってます。ルドやライカからも許可は得ていますから」
 直接戦うわけではないけれど、セシルは後方故に良く周囲が見えていた。

「皆に認めてもらうまでは長かったですが、こう見えて僕偉い方なんですよ。だから僕に逆らえば治癒師からの回復もないし、病気の治療も行わないし、苦い薬しか飲ませないので、段々と騎士の人たちもわかってくれるようになりました。仲良くなれて嬉しいです」

(それって脅しでは?)
 要するに回復してもらいたくばセシルのいう事を聞けという事だろう。

「その分自分の言葉一つで誰かの命を担う事になるので、圧が凄いですけどね」
 セシルは苦笑し、防御壁を張りながら、自身も魔法を放つ。

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