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第113話 決断
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久方ぶりの全体会議だ。
今後の方針が決まったようで、アルフレッド国王は重臣、及び王子達を招集する。
「陛下、それではいかがなさいましょう?」
宰相ヒューイの言葉にアルフレッドは静かに、そしてしっかりと宣言する。
「ヴァルファル帝国に直接乗り込み、奇襲をかける。軍勢の数が違いすぎるからな」
帝国は数々の国と民族を従わせている、傘下も多く巨大な国だ。
どう考えても戦力はあちらの方が有利、数多の軍勢に攻め入ってこられてはこちらの負けは必至だろう。
「まずは偵察隊からの資料を見て欲しい」
ぐるりと囲むように作られた城壁があり、城塞には空からの奇襲に備え弩砲が設置されている。
中に入るには検問を通る必要があるが、こちらもまた強固そうなものだ。
身元の確認はより厳重になされており、
「ロキの用意した転移陣にてアドガルムから兵を送るのだが、一度に全員行けるわけではない。だから最初はリオンに先陣を切るのを任せ、この転移陣を張るための魔道具をヴァルファル帝国のどこかに置いて欲しい」
「わかりました」
にこやかな笑顔でリオンは了承し、直ぐ様場所を考える。
なるべくなら皇帝の側、出来れば居城が理想だが、それは高望みし過ぎだ。
持っていけて市街地までか。
市街地の地図を見ながら転移陣を開けそうな場所を探す。
「危険な役目だが、大丈夫か?」
「勿論。このような大役を任せて頂けるということは、僕の事を信用してくれているからでしょう? では期待に 応えなくては」
リオンが攪乱を行い、転移陣を用いて兄達に攻め入ってもらうのが一番効率がいいだろう。
悔しいがリオンの魔法は決定打にかける。
短期で一気攻め落とすのなら、兄二人に任せた方が確実だ。
それに先陣を切り、万が一が敵に見つかって命を落としたとしても、第三王子の自分が一番命の価値が低い。
危険だが、大切なこの仕事をどうにか全うして兄達の役に立ちたい。
「マオ。残って待っててもいいよ。美味しいお菓子を買ってきてあげるからね」
ちょっとそこまで行くだけ、という雰囲気でマオに声をかけた。
(できればマオには残っておいて欲しいのだけど)
今度こそ死んでしまうかもしれないという、内心の怯えなど出さないように気をつけ、あえていつもの調子を意識する。
だがマオにそんな事は通用するはずがない。
不謹慎に思えるその言動の中にある、リオンの本当の意図などすぐわかる。
「美味しいお菓子ならぼくも一緒に見に行って買うのです。リオン様のセンスには任せておけませんから」
マオをアドガルムに残る気はない。
「手厳しい言葉だね」
あっさりと断られ、苦笑しながらもどこか嬉しそうだ。
「じゃあ僕と一緒に行こう。迷子にならないように側にいてね」
優しい言葉はもう置いていくなど言わないという気持ちが含まれている。
「わかってるです、ずっと一緒です」
猫のようにリオンにすり寄った。
どこであってもマオはリオンに付いていくのをためらわないといった様子だ。
その様子にアルフレッドは心が痛む。
願わくば皆揃っての帰還を祈るしかなかった。
「リオンを頼んだぞ」
リオンの側近に視線を向ければ、皆アルフレッドに敬礼をし、カミュが代表で口を開いた。
「必ずやリオン様をお守りします、この命に代えましても」
決意を述べるカミュに、リオンは柔らかく声を掛ける。
「カミュ、サミュエル、ウィグル。皆ありがとう、そしてよろしくね。これが終わったらしばらく皆で羽を伸ばそう、美味しいもの食べたり、ゆっくりお昼寝したり。だからなんとしても勝って帰ってくるよ」
にこやかな笑顔の裏には必ず帰ってくるぞという誓いを秘めている。
「リオン様のご命令ならば何としても勝ちますよ」
カミュの言葉に二人も頷いた。
「お待ちください」
突然の声に皆が驚き、その声の主に更に驚いた。
今後の方針が決まったようで、アルフレッド国王は重臣、及び王子達を招集する。
「陛下、それではいかがなさいましょう?」
宰相ヒューイの言葉にアルフレッドは静かに、そしてしっかりと宣言する。
「ヴァルファル帝国に直接乗り込み、奇襲をかける。軍勢の数が違いすぎるからな」
帝国は数々の国と民族を従わせている、傘下も多く巨大な国だ。
どう考えても戦力はあちらの方が有利、数多の軍勢に攻め入ってこられてはこちらの負けは必至だろう。
「まずは偵察隊からの資料を見て欲しい」
ぐるりと囲むように作られた城壁があり、城塞には空からの奇襲に備え弩砲が設置されている。
中に入るには検問を通る必要があるが、こちらもまた強固そうなものだ。
身元の確認はより厳重になされており、
「ロキの用意した転移陣にてアドガルムから兵を送るのだが、一度に全員行けるわけではない。だから最初はリオンに先陣を切るのを任せ、この転移陣を張るための魔道具をヴァルファル帝国のどこかに置いて欲しい」
「わかりました」
にこやかな笑顔でリオンは了承し、直ぐ様場所を考える。
なるべくなら皇帝の側、出来れば居城が理想だが、それは高望みし過ぎだ。
持っていけて市街地までか。
市街地の地図を見ながら転移陣を開けそうな場所を探す。
「危険な役目だが、大丈夫か?」
「勿論。このような大役を任せて頂けるということは、僕の事を信用してくれているからでしょう? では期待に 応えなくては」
リオンが攪乱を行い、転移陣を用いて兄達に攻め入ってもらうのが一番効率がいいだろう。
悔しいがリオンの魔法は決定打にかける。
短期で一気攻め落とすのなら、兄二人に任せた方が確実だ。
それに先陣を切り、万が一が敵に見つかって命を落としたとしても、第三王子の自分が一番命の価値が低い。
危険だが、大切なこの仕事をどうにか全うして兄達の役に立ちたい。
「マオ。残って待っててもいいよ。美味しいお菓子を買ってきてあげるからね」
ちょっとそこまで行くだけ、という雰囲気でマオに声をかけた。
(できればマオには残っておいて欲しいのだけど)
今度こそ死んでしまうかもしれないという、内心の怯えなど出さないように気をつけ、あえていつもの調子を意識する。
だがマオにそんな事は通用するはずがない。
不謹慎に思えるその言動の中にある、リオンの本当の意図などすぐわかる。
「美味しいお菓子ならぼくも一緒に見に行って買うのです。リオン様のセンスには任せておけませんから」
マオをアドガルムに残る気はない。
「手厳しい言葉だね」
あっさりと断られ、苦笑しながらもどこか嬉しそうだ。
「じゃあ僕と一緒に行こう。迷子にならないように側にいてね」
優しい言葉はもう置いていくなど言わないという気持ちが含まれている。
「わかってるです、ずっと一緒です」
猫のようにリオンにすり寄った。
どこであってもマオはリオンに付いていくのをためらわないといった様子だ。
その様子にアルフレッドは心が痛む。
願わくば皆揃っての帰還を祈るしかなかった。
「リオンを頼んだぞ」
リオンの側近に視線を向ければ、皆アルフレッドに敬礼をし、カミュが代表で口を開いた。
「必ずやリオン様をお守りします、この命に代えましても」
決意を述べるカミュに、リオンは柔らかく声を掛ける。
「カミュ、サミュエル、ウィグル。皆ありがとう、そしてよろしくね。これが終わったらしばらく皆で羽を伸ばそう、美味しいもの食べたり、ゆっくりお昼寝したり。だからなんとしても勝って帰ってくるよ」
にこやかな笑顔の裏には必ず帰ってくるぞという誓いを秘めている。
「リオン様のご命令ならば何としても勝ちますよ」
カミュの言葉に二人も頷いた。
「お待ちください」
突然の声に皆が驚き、その声の主に更に驚いた。
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