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第107話 元諜報員①
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ウィグルの見てはいけなそうなものを見てしまって申し訳ない。
「好きな気持ちはわかるがな」
リオンは良い人だ。
第三王子として生まれ、慈しまれて育ってきた。
だが、生来の頭の良さと人の良さで、悪い貴族達に目をつけられる。
リオンを担ぎ上げて、王太子にしようと言う話も出ていた。
エリックは氷の王太子として容赦がなく、その点リオンは良くも悪くも非情ではない。
そんな騙そうという者達に囲まれて、一時期は人を信用出来なくなっていた。
立ち直れたのは家族、特にティタンのお陰だ。
悩み過ぎない性格だし、かつ兄として無償の愛情をくれる。
そして裏表なくリオンに接してくれた。
「リオンは頭が良くて凄いな」
と嫌味でもなく純粋に褒めてくれ、兄のその屈託のなさと揺るぎない家族の情はリオンを頑張らせるものとなった。
そしてリオンは虐げられる者の味方をするようになる。
カミュやサミュエルのような者を起用し、マオの事も大好きだ。
「自由に憧れているのかもしれないな」
自分達平民を重用してくれるのは、自身の重責に疲れているのかもしれない。
だが放り出す事はしないだろう。
王族として、そしてリオンには支える人がいてくれてるとわかっているから。
「優しすぎるあの人を俺が守らなくては」
カミュは王家の影と言われる諜報部隊にいた。
だが、異質な力はそこでも受け入れて貰えず、阻害されていた。
闇魔法に通ずるカミュの魔法は恐ろしいとされている。
「凄いな、そんな魔法もあるんだね」
そう言って、リオンの側に引き入れられた。
最初はこんな子どもに仕えるのか、といやいやではあったが、あくなき探求心と貪欲に知識の吸収をしようとするリオンに驚いた。
第三王子という地位ならそこまで頑張らなくてもいい生活を送れるはずなのに。
「僕は兄二人よりも才能もないし実力もない。もっと頑張らないと置いていかれるからね」
カミュから見たリオンは他二人に比べても遜色ない天才だ。
なのにそれでも努力をし、それを外に漏らさないようにして笑顔の仮面を被っていた。
いつしかこの人の応援をしないとという使命感が湧く。
自分と同じ孤独感を持つこの人を支えなくては思った。
「リオン様を支えると俺は誓ってるのです。だから大人しくしていてもらえませんか?」
このところ特に一所に居ようとしないマオの動向に困っていた。
「リオン様の政務を手伝うか、それか必ずウィグルを護衛につけて動いてください」
「ウィグルには別件を頼んでるです。ぼくはちょっとやることがあって、動いているです」
カミュの言葉を受けて尚、マオはまたどこかに行こうと歩み始める。
「あまり護衛もなくうろつかないで下さい。あなたはリオン様の妻で王子妃なのですから」
万が一何かあってリオンが悲しむようなことにならないようにマオも素行を気を付けて欲しい。
「だったら、カミュがついて来るです。ぼくがどこに行くか気になりません?」
「もちろん気になりますが、どちらに行くつもりですか?」
「カミュにとってはとても危険で辛いところです。下手したら命が無くなるかもしれないですね」
「はっ?」
そんな危険なところに一人で行こうとしてるのか。
「そんな危ないところにマオ様を行かせるわけにはいきません。リオン様にも報告しないと」
「リオン様には許可を取ってるですよ。ついていきたいと言われましたが、命の危険があるからと辞退してもらったです」
「本当に大丈夫なところですか?!」
ますます心配になるが、リオンが許可を出したと言われれば、引き止めることは難しい。
マオの行動を不当に止めれば、リオンに怒られてしまう。
それは嫌だ。
「監視もとい、護衛役ならばついてくるですよね?」
挑発するように言われ、カミュは眉間に皺を寄せつつ、頷いた。
いざとなれば影の中にマオを引き入れて守ればよいかと考える。
着いた場所はある意味命の危機に晒される場所であった。
「好きな気持ちはわかるがな」
リオンは良い人だ。
第三王子として生まれ、慈しまれて育ってきた。
だが、生来の頭の良さと人の良さで、悪い貴族達に目をつけられる。
リオンを担ぎ上げて、王太子にしようと言う話も出ていた。
エリックは氷の王太子として容赦がなく、その点リオンは良くも悪くも非情ではない。
そんな騙そうという者達に囲まれて、一時期は人を信用出来なくなっていた。
立ち直れたのは家族、特にティタンのお陰だ。
悩み過ぎない性格だし、かつ兄として無償の愛情をくれる。
そして裏表なくリオンに接してくれた。
「リオンは頭が良くて凄いな」
と嫌味でもなく純粋に褒めてくれ、兄のその屈託のなさと揺るぎない家族の情はリオンを頑張らせるものとなった。
そしてリオンは虐げられる者の味方をするようになる。
カミュやサミュエルのような者を起用し、マオの事も大好きだ。
「自由に憧れているのかもしれないな」
自分達平民を重用してくれるのは、自身の重責に疲れているのかもしれない。
だが放り出す事はしないだろう。
王族として、そしてリオンには支える人がいてくれてるとわかっているから。
「優しすぎるあの人を俺が守らなくては」
カミュは王家の影と言われる諜報部隊にいた。
だが、異質な力はそこでも受け入れて貰えず、阻害されていた。
闇魔法に通ずるカミュの魔法は恐ろしいとされている。
「凄いな、そんな魔法もあるんだね」
そう言って、リオンの側に引き入れられた。
最初はこんな子どもに仕えるのか、といやいやではあったが、あくなき探求心と貪欲に知識の吸収をしようとするリオンに驚いた。
第三王子という地位ならそこまで頑張らなくてもいい生活を送れるはずなのに。
「僕は兄二人よりも才能もないし実力もない。もっと頑張らないと置いていかれるからね」
カミュから見たリオンは他二人に比べても遜色ない天才だ。
なのにそれでも努力をし、それを外に漏らさないようにして笑顔の仮面を被っていた。
いつしかこの人の応援をしないとという使命感が湧く。
自分と同じ孤独感を持つこの人を支えなくては思った。
「リオン様を支えると俺は誓ってるのです。だから大人しくしていてもらえませんか?」
このところ特に一所に居ようとしないマオの動向に困っていた。
「リオン様の政務を手伝うか、それか必ずウィグルを護衛につけて動いてください」
「ウィグルには別件を頼んでるです。ぼくはちょっとやることがあって、動いているです」
カミュの言葉を受けて尚、マオはまたどこかに行こうと歩み始める。
「あまり護衛もなくうろつかないで下さい。あなたはリオン様の妻で王子妃なのですから」
万が一何かあってリオンが悲しむようなことにならないようにマオも素行を気を付けて欲しい。
「だったら、カミュがついて来るです。ぼくがどこに行くか気になりません?」
「もちろん気になりますが、どちらに行くつもりですか?」
「カミュにとってはとても危険で辛いところです。下手したら命が無くなるかもしれないですね」
「はっ?」
そんな危険なところに一人で行こうとしてるのか。
「そんな危ないところにマオ様を行かせるわけにはいきません。リオン様にも報告しないと」
「リオン様には許可を取ってるですよ。ついていきたいと言われましたが、命の危険があるからと辞退してもらったです」
「本当に大丈夫なところですか?!」
ますます心配になるが、リオンが許可を出したと言われれば、引き止めることは難しい。
マオの行動を不当に止めれば、リオンに怒られてしまう。
それは嫌だ。
「監視もとい、護衛役ならばついてくるですよね?」
挑発するように言われ、カミュは眉間に皺を寄せつつ、頷いた。
いざとなれば影の中にマオを引き入れて守ればよいかと考える。
着いた場所はある意味命の危機に晒される場所であった。
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