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真相究明
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「マルクス伯。そこまで自信があるのならば、私はこちらの証拠を提示します」
オスカーは一つの魔石を取り出す。
招待客の中に、アシッドの名前を見つけた時から準備していた。
「こちら王家の秘術です。我ら護衛騎士だけが使える特別な魔法で、物の記憶を魔石に刻むものとなります。これにはあの時の、店の記憶が刻まれています」
ライカが別な魔石を用意した。
証拠として先程のやり取りを既に記憶させていた。
周囲の人に頼み、壁側を開けてもらう。
ライカが魔法を唱えると、先程のオスカーとアシッドのやり取りが映る。
「このような映像が移ります。改竄などは出来ず、こちらは裁判でも使われる正当なものとなります。不用意に使えば我ら護衛騎士といえど、重罰は免れません。命を賭けての使用となります」
ライカはエリックを呼びに行った際、事前に許可を得ていた。
そのためこの場で使用したのだ。
「ティタン様が何故仔細を知っていたか、疑問に思いませんでしたか?既に許可を得て映像に残していました。裁判の可能性も考慮していましたので」
オスカーは魔力を通し、あの日、あの時の映像を映した。
白い髪の毛先をピンクに染め、化粧をしたオスカーが映った。
「派手、だな……」
「お褒め頂き嬉しいですわ」
ぼそっと呟いたルアネドの言葉に、オスカーは明るく返す。
メィリィは、隣国の国王に対するオスカーの言葉遣いにぎょっとしたが、ルアネドは特に何も言わず映像を見ている。
そもそも、隣国の国王に何故このような映像を見せているのだろうか。
メィリィは羞恥と罪悪感が入り混じって、動悸が激しくなる。
映像にはアシッドが入店する様子が、はっきりと映っている。
様々なやり取りの後、メィリィはドレスと共に引っ張られ転びそうになった。
そこをオスカーが助ける。
出会いの追憶、懐かしい。
状況はオスカーの話と酷似しており、
嘘をついているのは明らかにアシッドだとわかった。
「奥方の為とはいえ、このような場で偽りの証言をし、陥れようとした事は大いに罪だ。アシッド=マルクス伯を連れて行け」
エリックの言葉に直ぐ衛兵が動く。
マルクスはただ悔しそうに呻いた。
メィリィを睨みつける視線は、立ちふさがったオスカーで阻まれる。
「今後もメィリィ嬢への無礼な態度は許さない。私が、俺が守るのだから」
騎士としてではなく、一人の男としてだ。
「ルアネド国王陛下、とんだ茶番にお付き合い頂きありがとうございます」
オスカーは大事な来賓に頭を下げた。
「なかなか見ものであった。面白い魔法だ、あのような出会いで婚約に至ったのだな」
「?」
ルアネドの言葉に、メィリィは疑問符が浮かぶ。
なぜパルス国の国王がそのような事を、自分達の婚約を知っているのか。
護衛騎士であるオスカーが親睦を深めるためとはいえ、そのような世間話までしたのだろうか?
ちらちらと皆がお互いを見ている、誰が切り出すのか、というようなそんな雰囲気だ。
まぁ自分であろうと、オスカーがメィリィと目線を合わす。
「こちらのルアネド国王陛下なんだけどね、実はアタシの従兄弟なの」
「えっ?」
「話はおおよそ聞いている。こちらのオスカー…いや、従兄弟のオズワルドが大変世話になった」
あまりの内容と緊張感に、メィリィは目の前が真っ白になった。
オスカーは一つの魔石を取り出す。
招待客の中に、アシッドの名前を見つけた時から準備していた。
「こちら王家の秘術です。我ら護衛騎士だけが使える特別な魔法で、物の記憶を魔石に刻むものとなります。これにはあの時の、店の記憶が刻まれています」
ライカが別な魔石を用意した。
証拠として先程のやり取りを既に記憶させていた。
周囲の人に頼み、壁側を開けてもらう。
ライカが魔法を唱えると、先程のオスカーとアシッドのやり取りが映る。
「このような映像が移ります。改竄などは出来ず、こちらは裁判でも使われる正当なものとなります。不用意に使えば我ら護衛騎士といえど、重罰は免れません。命を賭けての使用となります」
ライカはエリックを呼びに行った際、事前に許可を得ていた。
そのためこの場で使用したのだ。
「ティタン様が何故仔細を知っていたか、疑問に思いませんでしたか?既に許可を得て映像に残していました。裁判の可能性も考慮していましたので」
オスカーは魔力を通し、あの日、あの時の映像を映した。
白い髪の毛先をピンクに染め、化粧をしたオスカーが映った。
「派手、だな……」
「お褒め頂き嬉しいですわ」
ぼそっと呟いたルアネドの言葉に、オスカーは明るく返す。
メィリィは、隣国の国王に対するオスカーの言葉遣いにぎょっとしたが、ルアネドは特に何も言わず映像を見ている。
そもそも、隣国の国王に何故このような映像を見せているのだろうか。
メィリィは羞恥と罪悪感が入り混じって、動悸が激しくなる。
映像にはアシッドが入店する様子が、はっきりと映っている。
様々なやり取りの後、メィリィはドレスと共に引っ張られ転びそうになった。
そこをオスカーが助ける。
出会いの追憶、懐かしい。
状況はオスカーの話と酷似しており、
嘘をついているのは明らかにアシッドだとわかった。
「奥方の為とはいえ、このような場で偽りの証言をし、陥れようとした事は大いに罪だ。アシッド=マルクス伯を連れて行け」
エリックの言葉に直ぐ衛兵が動く。
マルクスはただ悔しそうに呻いた。
メィリィを睨みつける視線は、立ちふさがったオスカーで阻まれる。
「今後もメィリィ嬢への無礼な態度は許さない。私が、俺が守るのだから」
騎士としてではなく、一人の男としてだ。
「ルアネド国王陛下、とんだ茶番にお付き合い頂きありがとうございます」
オスカーは大事な来賓に頭を下げた。
「なかなか見ものであった。面白い魔法だ、あのような出会いで婚約に至ったのだな」
「?」
ルアネドの言葉に、メィリィは疑問符が浮かぶ。
なぜパルス国の国王がそのような事を、自分達の婚約を知っているのか。
護衛騎士であるオスカーが親睦を深めるためとはいえ、そのような世間話までしたのだろうか?
ちらちらと皆がお互いを見ている、誰が切り出すのか、というようなそんな雰囲気だ。
まぁ自分であろうと、オスカーがメィリィと目線を合わす。
「こちらのルアネド国王陛下なんだけどね、実はアタシの従兄弟なの」
「えっ?」
「話はおおよそ聞いている。こちらのオスカー…いや、従兄弟のオズワルドが大変世話になった」
あまりの内容と緊張感に、メィリィは目の前が真っ白になった。
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