上 下
9 / 13

第9話 仲良し

しおりを挟む
「これは、もう無理かもしれませんね」

「そう」
ケイトの言葉を聞いて残念に思うが仕方ない。

確かに背中一面にこのようになってしまっては、普通では落ちないだろう。

「替えのドレスは持ってきていたわよね、そちらを出して頂戴」

「畏まりました」
ケイトはすぐさま、荷物を広げる。

「申し訳ございません、ディアナ様。必ず弁償いたしますので」
可哀想そうな程に顔色を悪くし、震える彼女に微笑みかける。

「いいのですよ。それよりもキャシー様のドレス無事に綺麗になりましたね。会場に戻られては? 誰かといたようですし」
キャシーは顔を横に振る。

「ディアナ様にこんな無礼をしたのですから戻れません。それにアリス様なら事情をご説明すればわかってくれると思います」

「アリス様と一緒だったのですか?」

「えぇ。飲み物を持って待っててほしいと言われ、控室に行かれたはずです。そう言えばお会いしませんでしたね?」
身だしなみを整えたいと言っていたから、てっきり侍女たちの部屋にいのだと思った。

「すれ違いかしら?」
でもこれでシリウスはアリスと結ばれるだろう。

その後は二人に近づかなければ大丈夫だ。

元より仲睦まじい様子を見たくはないから、避け続けるつもりでいるが。

「ともかく、わたくしの事は気になさらずにどうか楽しんでいらして」

「ディアナ様を一人ここにおいて楽しむなんてできませんわ」

「いいのよ。わたくし本当は茶会にいたくなかったのだから」
ディアナは悲しそうに笑う。

「今回の茶会でシリウス様の婚約者が決まります、おそらくアリス様が選ばれるでしょう。わたくし、その場面を見たくないの」

「私がその機会を奪ったからですか?」
キャシーは泣きそうになっていた。

どうやらキャシーも二人が婚約者候補だとは知っていたようだ。

「いいえ、寧ろ恩人よ。万が一シリウス様の婚約者になったとしても、わたくしでは殿下支えられなかったから」
ディアナはため息をつく。

「シリウス様を支える度量も頭脳もないわたくしでは、きっと迷惑をかけていた。だからならなくて正解なのよ、キャシー様にお礼をしたいくらいだわ」

「そうはいわれましても、やはり悪いです」

「そんなに言うならばキャシー様、お詫びの印にわたくしの友達になってくださいな。それでこの件は不問にしましょう」
ディアナはキャシーとお話をしてみたかった。

彼女はとても博識で、学力テストの順位でいつも上位に居て気になっていた。

「お友達に? いいのですか?」

「勿論よ」
キャシーも嬉しそうにしているし、言ってみて良かったとディアナも笑顔になる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

頑張らない政略結婚

ひろか
恋愛
「これは政略結婚だ。私は君を愛することはないし、触れる気もない」 結婚式の直前、夫となるセルシオ様からの言葉です。 好きにしろと、君も愛人をつくれと。君も、もって言いましたわ。 ええ、好きにしますわ、私も愛する人を想い続けますわ! 五話完結、毎日更新

愛と浮気と報復と

よーこ
恋愛
婚約中の幼馴染が浮気した。 絶対に許さない。酷い目に合わせてやる。 どんな理由があったとしても関係ない。 だって、わたしは傷ついたのだから。 ※R15は必要ないだろうけど念のため。

(完結)夫に殺された公爵令嬢のさっくり復讐劇(全5話)

青空一夏
恋愛
 自分に自信が持てない私は夫を容姿だけで選んでしまう。彼は結婚する前までは優しかったが、結婚した途端に冷たくなったヒューゴ様。  私に笑いかけない。話しかけてくる言葉もない。蔑む眼差しだけが私に突き刺さる。  「ねぇ、私、なにか悪いことした?」  遠慮がちに聞いてみる。とても綺麗な形のいい唇の口角があがり、ほんの少し微笑む。その美しさに私は圧倒されるが、彼の口から紡ぎ出された言葉は残酷だ。 「いや、何もしていない。むしろ何もしていないから俺がイライラするのかな?」と言った。  夫は私に・・・・・・お金を要求した。そう、彼は私のお金だけが目当てだったのだ。 ※異世界中世ヨーロッパ風。残酷のR15。ざまぁ。胸くそ夫。タイムリープ(時間が戻り人生やり直し)。現代の言葉遣い、現代にある機器や製品等がでてくる場合があります。全く史実に基づいておりません。 ※3話目からラブコメ化しております。 ※残酷シーンを含むお話しには※をつけます。初めにどんな内容かざっと書いてありますので、苦手な方は飛ばして読んでくださいね。ハンムラビ法典的ざまぁで、強めの因果応報を望む方向きです。

私がもらっても構わないのだろう?

Ruhuna
恋愛
捨てたのなら、私がもらっても構わないのだろう? 6話完結予定

訳ありヒロインは、前世が悪役令嬢だった。王妃教育を終了していた私は皆に認められる存在に。でも復讐はするわよ?

naturalsoft
恋愛
私の前世は公爵令嬢であり、王太子殿下の婚約者だった。しかし、光魔法の使える男爵令嬢に汚名を着せられて、婚約破棄された挙げ句、処刑された。 私は最後の瞬間に一族の秘術を使い過去に戻る事に成功した。 しかし、イレギュラーが起きた。 何故か宿敵である男爵令嬢として過去に戻ってしまっていたのだ。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

死んで巻き戻りましたが、婚約者の王太子が追いかけて来ます。

拓海のり
恋愛
侯爵令嬢のアリゼは夜会の時に血を吐いて死んだ。しかし、朝起きると時間が巻き戻っていた。二度目は自分に冷たかった婚約者の王太子フランソワや、王太子にべったりだった侯爵令嬢ジャニーヌのいない隣国に留学したが──。 一万字ちょいの短編です。他サイトにも投稿しています。 残酷表現がありますのでR15にいたしました。タイトル変更しました。

【完結】ご安心を、問題ありません。

るるらら
恋愛
婚約破棄されてしまった。 はい、何も問題ありません。 ------------ 公爵家の娘さんと王子様の話。 オマケ以降は旦那さんとの話。

処理中です...