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第9話 仲良し
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「これは、もう無理かもしれませんね」
「そう」
ケイトの言葉を聞いて残念に思うが仕方ない。
確かに背中一面にこのようになってしまっては、普通では落ちないだろう。
「替えのドレスは持ってきていたわよね、そちらを出して頂戴」
「畏まりました」
ケイトはすぐさま、荷物を広げる。
「申し訳ございません、ディアナ様。必ず弁償いたしますので」
可哀想そうな程に顔色を悪くし、震える彼女に微笑みかける。
「いいのですよ。それよりもキャシー様のドレス無事に綺麗になりましたね。会場に戻られては? 誰かといたようですし」
キャシーは顔を横に振る。
「ディアナ様にこんな無礼をしたのですから戻れません。それにアリス様なら事情をご説明すればわかってくれると思います」
「アリス様と一緒だったのですか?」
「えぇ。飲み物を持って待っててほしいと言われ、控室に行かれたはずです。そう言えばお会いしませんでしたね?」
身だしなみを整えたいと言っていたから、てっきり侍女たちの部屋にいのだと思った。
「すれ違いかしら?」
でもこれでシリウスはアリスと結ばれるだろう。
その後は二人に近づかなければ大丈夫だ。
元より仲睦まじい様子を見たくはないから、避け続けるつもりでいるが。
「ともかく、わたくしの事は気になさらずにどうか楽しんでいらして」
「ディアナ様を一人ここにおいて楽しむなんてできませんわ」
「いいのよ。わたくし本当は茶会にいたくなかったのだから」
ディアナは悲しそうに笑う。
「今回の茶会でシリウス様の婚約者が決まります、おそらくアリス様が選ばれるでしょう。わたくし、その場面を見たくないの」
「私がその機会を奪ったからですか?」
キャシーは泣きそうになっていた。
どうやらキャシーも二人が婚約者候補だとは知っていたようだ。
「いいえ、寧ろ恩人よ。万が一シリウス様の婚約者になったとしても、わたくしでは殿下支えられなかったから」
ディアナはため息をつく。
「シリウス様を支える度量も頭脳もないわたくしでは、きっと迷惑をかけていた。だからならなくて正解なのよ、キャシー様にお礼をしたいくらいだわ」
「そうはいわれましても、やはり悪いです」
「そんなに言うならばキャシー様、お詫びの印にわたくしの友達になってくださいな。それでこの件は不問にしましょう」
ディアナはキャシーとお話をしてみたかった。
彼女はとても博識で、学力テストの順位でいつも上位に居て気になっていた。
「お友達に? いいのですか?」
「勿論よ」
キャシーも嬉しそうにしているし、言ってみて良かったとディアナも笑顔になる。
「そう」
ケイトの言葉を聞いて残念に思うが仕方ない。
確かに背中一面にこのようになってしまっては、普通では落ちないだろう。
「替えのドレスは持ってきていたわよね、そちらを出して頂戴」
「畏まりました」
ケイトはすぐさま、荷物を広げる。
「申し訳ございません、ディアナ様。必ず弁償いたしますので」
可哀想そうな程に顔色を悪くし、震える彼女に微笑みかける。
「いいのですよ。それよりもキャシー様のドレス無事に綺麗になりましたね。会場に戻られては? 誰かといたようですし」
キャシーは顔を横に振る。
「ディアナ様にこんな無礼をしたのですから戻れません。それにアリス様なら事情をご説明すればわかってくれると思います」
「アリス様と一緒だったのですか?」
「えぇ。飲み物を持って待っててほしいと言われ、控室に行かれたはずです。そう言えばお会いしませんでしたね?」
身だしなみを整えたいと言っていたから、てっきり侍女たちの部屋にいのだと思った。
「すれ違いかしら?」
でもこれでシリウスはアリスと結ばれるだろう。
その後は二人に近づかなければ大丈夫だ。
元より仲睦まじい様子を見たくはないから、避け続けるつもりでいるが。
「ともかく、わたくしの事は気になさらずにどうか楽しんでいらして」
「ディアナ様を一人ここにおいて楽しむなんてできませんわ」
「いいのよ。わたくし本当は茶会にいたくなかったのだから」
ディアナは悲しそうに笑う。
「今回の茶会でシリウス様の婚約者が決まります、おそらくアリス様が選ばれるでしょう。わたくし、その場面を見たくないの」
「私がその機会を奪ったからですか?」
キャシーは泣きそうになっていた。
どうやらキャシーも二人が婚約者候補だとは知っていたようだ。
「いいえ、寧ろ恩人よ。万が一シリウス様の婚約者になったとしても、わたくしでは殿下支えられなかったから」
ディアナはため息をつく。
「シリウス様を支える度量も頭脳もないわたくしでは、きっと迷惑をかけていた。だからならなくて正解なのよ、キャシー様にお礼をしたいくらいだわ」
「そうはいわれましても、やはり悪いです」
「そんなに言うならばキャシー様、お詫びの印にわたくしの友達になってくださいな。それでこの件は不問にしましょう」
ディアナはキャシーとお話をしてみたかった。
彼女はとても博識で、学力テストの順位でいつも上位に居て気になっていた。
「お友達に? いいのですか?」
「勿論よ」
キャシーも嬉しそうにしているし、言ってみて良かったとディアナも笑顔になる。
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